新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.630 これでは契約の解除にはなっていないですよね?


投稿者 dorp さん 女子大学生  投稿日時 2008.9.26 AM 0:11


こんばんは。今日Y新聞の拡張員が来て契約をしてしましました。

インターフォンでは「地域の環境活動のお届けものに参りました」というので、ドアを開けてしまいました。

「段ボール、新聞紙等無料で引き取ります。地域のボランティアなんです」と言ったので、段ボールとA新聞の紙袋に入った新聞を渡すとA新聞の悪口を言い、Y新聞の勧誘をしてきました。

いきなり何箱も洗剤、トイレットペパー、紙袋を渡し、カタログも渡され契約をしつこく頼まれました。

私は現在とっているA新聞も次の更新でやめる旨、4月から実家に帰るため引っ越す旨を伝えました。

すると「2、3、4月の契約にして4月は引越したといえばそれでいいから。お金払わなくていいから」などと言われ、それでも渋っていると「4、5、6月の契約にしよう。お金かからないから。営業成績にひびくから。人助けだと思って」と言われ契約してしてしまいました。

そしてこの引っ越しのことは販売店には言うなと口止めされました。

ただその人が帰ったあと、クーリングオフ期間が過ぎると解除料がかかることを知り、契約を解除したいと思っています。

2時間ほどして販売店から契約のお礼と確認電話がかかってきたので、引越しのことは言わず解約をしたい旨を伝えると、すぐにうちに来た販売員に変わりました。

「解除してください」とはっきり言っても、「大丈夫ですか」と聞かれ、「契約を解除してください」ともう一度はっきり伝えたにも関わらず「ではよろしくお願いします」と言っていきなり電話を切られてしまいました。

品物の引き取りの話もないし、これでは契約の解除にはなっていないですよね?

明日もう一度販売店に電話しようと思うのですが、この販売員にまた変わるのではないかとか、一人暮らしの女子大生なので何度も来られると怖いだとかいろいろと不安があります。

どうしたらよいでしょうか。


回答者 ゲン


あんたの場合、一番ベストなのは、クーリング・オフすることやと思う。

普通なら、『今日(25日)Y新聞の拡張員が来て契約をしてしましました』ということで、そのクーリング・オフまでの期限が、9月2日までと日にちに余裕があるから、まず、その販売店に連絡した方がええと言うのやが、話を聞く限り、そうしても無駄なような気がする。

『2時間ほどして販売店から契約のお礼と確認電話がかかってきたので、引越しのことは言わず解約をしたい旨を伝えると、すぐにうちに来た販売員に変わりました』というのがその理由や。

あんたにかかってきた電話というのは、表向き「お礼の電話」やが、実際は「監査」と言うて、その勧誘員が持って帰った契約が正しいかどうかを調べるためのものや。

このとき、あんたが「解約したい」と告げているのやから、ちゃんとした販売店なら、まずあんたの話を良く聞こうとするはずやと思う。

少なくとも、すぐその勧誘員に代わるようなことはせん。

そして、代わったその勧誘員が「大丈夫ですか」とか「ではよろしくお願いします」と言っていきなり電話を切るようなことを横で許すというのもおかしな話や。

普通に考えて、新聞を止めたいと言っている契約者と、そういう会話が成立するはずがないというのは誰にでも分かりそうなことやさかいな。

それを不審に思い、再度、その電話を代わって、契約者であるあんたの真意を確かめなあかんわな。

『品物の引き取りの話もないし、これでは契約の解除にはなっていないですよね?』と、あんたの言われるとおり、契約解除とはほど遠いし、その勧誘員は、その会話を理由に、あんたにはやはりその契約を認めて貰うたと、その販売店の人間に言うてるはずや。

結果、あんたからの契約が成立したものとして、その販売店も処理しとると考えて間違いないと思う。

契約に来た勧誘員がタチの悪い男やというのは良う分かるし、その販売店も程度が悪いというのも推し量れる。

未だに、「地域の環境活動のお届けものに参りました」とか「段ボール、新聞紙等無料で引き取ります。地域のボランティアなんです」というような騙しのような手法を使うとるというのがその理由や。

これをすること自体が、もうすぐ違法行為になるというのにな。

当メルマガに『第3回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■『特定商取引に関する法律』の改正案成立について』というのがある。

この法律の改正で、新聞営業を含む多くの訪問営業で、従来の勧誘方法は通用せんようになる。

これの第3条ノ2第1項で、

販売事業者又は役務提供事業者は、訪問販売をしようとするときは、その相手側に対し、勧誘を受ける意志があることを確認するよう努めなければならない。

と、規定されたからや。

これは、「勧誘の意志の確認」というもので、勧誘営業をするのなら最初にそれとはっきり相手に通知せなあかんというものや。

それからすれば、この勧誘員のように「地域の環境活動」だの「地域のボランティア」というええ加減な話をして勧誘を始めること自体が違法行為になる。

この法律の施行日は、まだ決まってないが遅くとも、来年、平成21年6月19日までの間に施行されることになっとる。

但し、これは努力規定ということになっていて、これに違反したとしても、特に罰則規定が設けられてはいないということで、多くの販売店では、あまり深刻には捉えてないようやがな。

しかし、販売店や拡張団を管轄する新聞社および「新聞インフォメーション・センター(旧新聞近代化センター)」あたりがこのことを知ると大変や。その法律の施行前の今でさえ、それと同じ臨戦態勢を敷いとるくらいやさかいな。

ある意味、今回のことが発覚すれば、その勧誘員や販売店にとっては法律以上に厳しいものがあると思う。

さらに、あんたが『4月から実家に帰るため引っ越す旨を伝えました』と言うてるにも関わらず『4、5、6月の契約にしよう。お金かからないから。営業成績にひびくから。人助けだと思って』と言うに及んでは救いようのない人間やと言うしかない。

そして、それを容認しとるような販売店も、それと同類やと見なされても仕方ないわな。

それが、その販売店に言うても無駄やという理由や。

おそらく言えば、またその勧誘員が翻意させるために来るのも目に見えとるやろうしな。

その点、クーリング・オフをしてしまえばその心配は、ほぼなくなる。

但し、クーリング・オフでの解約は文書でないと法的効力はないものとされとるから注意せなあかんで。

そのやり方については『ゲンさんのお役立ち情報 その8 クーリング・オフについての情報』で詳しく説明しとるから、良う見て貰うたら分かるはずや。

内容証明郵便、電子内容証明郵便、配達証明ハガキ、簡易書留ハガキといろいろ方法があり、それぞれ一長一短があるから良く考えて選択してほしいと思う。

一言付け加えるとすれば、ハガキでの選択をした場合には、出す前にそのコピーは忘れんように取っときや。ハガキの場合は内容証明郵便のように文書の中身までは証明してくれんさかいな。

このクーリング・オフは、契約日を含めて8日間以内であれば、その理由を相手に伝えることなく問答無用で契約解除ができるから、何のあとくされもなくなる。

しかも、このクーリング・オフをした後に、それを翻意させようとか文句を言うて来たらそれだけで警察に御用となる可能性すらある。

実際、『NO.108 近所で販売店員が逮捕されました』 でも、その事例がある。

これは、新聞記事には『2時間以上しつこく迫ったとして』という風に勧誘のえげつなさが強調して書かれているが、実際の逮捕容疑は、「特定商取引に関する法律 第6条第3項」というものや。

販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約を締結させ、又は訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、人を威迫して困惑させてはならない。

というのがその条文や。

簡単に言うと、契約した客がクーリングオフを申し出ているのに、それを防ぐため脅したり威圧して困らせるような行為の禁止ということや。

現在は、クーリング・オフ後に正当な理由なくして訪問すること自体もそれに触れると解釈されとる。

これが適用されると罰則規定は2年以下の懲役・300万以下の罰金となる。軽い罪やない。

この事件はその新聞報道だけやなしに、Yahoo Japan のトップぺージでリンク報道されていて、逮捕された販売店の従業員は、テレビニュースで実名報道されとった。

これはすでに3年前の事件やが、業界にとってはビッグニュースやった。

たいていの販売店ならこの事実は知っているはずやと思うから、クーリング・オフさえすれば、ほとんどはそれで収まるものと思う。

ただ、そうやから心配せんときて言うても、『一人暮らしの女子大生なので何度も来られると怖いだとかいろいろと不安があります』と言われると、それでも絶対大丈夫やとまでは断言はできんがな。

別に、これは脅かすわけやないが、今の時代、理屈では考えらんようなことを平気でする者がおるのは事実やし、相手がろくな奴やないと予想ついとるわけやから、用心に越したことはないわな。

クーリング・オフの書面を出した場合、後は、貰ったサービス品の返還というのがある。

先ほど、正当な理由なくして訪問することは許されんと言うたが、そのサービス品を回収しにくるときは、その正当な理由ということになるから、それを拒むことはできん。

そのとき、誰か頼りになる男性か、友達でもええから複数と一緒のときなら問題は少ないと思うが、一人の場合やと注意が必要や。

その場合は、ドアチェーンをかけたままで対応し、その隙間からそのサービス品を返すようにすればええ。その際、返したという証の書き付けを貰うとけばベターや。また、そのときの会話をそれと知られずに録音しとくのでもええ。

あるいは、誰かに付き添って貰って、そのサービス品を販売店まで返しに行くのでもええ。

そして、それ以降は、ドアには鍵をして知り合い以外には絶対出んことやし、出るのならドアチェーンはしたままで対応することを徹底することやと思う。

若い女性の一人暮らしなら、それくらい用心しても用心のしすぎということはないと思うさかいな。

本来なら、これでアドバイスの終わりとするところなんやが、あんたに関してはもう一つだけ言うておく。

もっとも、これについてはワシ個人としては、あまり勧められた方法やないんやけどな。

ただ、事、あんたの安全ということにかけては、仕方ないとも思うので情報の一つとして教えとく。

それは、その4月に確実に引っ越すのなら、そのまま何もせず、その時期が来たら「急に引っ越しすることになったので契約を解除したい」と言うことや。できれば、その期日が近くなってからの方がええやろうなと思う。

このとき、間違っても契約時に引っ越しするのが分かってたとは言わん方がええで。

まあ、そう言うても、その勧誘員が、それとバラすことは絶対にないやろうから、あんたさえ、それを主張すれば分かることはない。

その実家が、その販売店の配達エリア外やったら引っ越しを理由に確実に解約できる。一般的に他府県ならまず問題ないはずや。

ただ、隣町とか隣接する市というのなら、その販売店のエリア内という可能性もあるがな。その場合は引っ越しを理由とする一方的な契約解除はできんようになると知っておいてほしい。

その際、その販売店は引っ越し先の住所を教えろと言うかも知れんが、それは嫌やったら教える必要はない。個人情報に関することやから無理に聞くこともできんしな。

そうすれば、それまでは、その販売店の契約者ということやから、Y紙からの勧誘員は来んはずや。例え来ても、契約しとると言えば、大人しく帰ることでもあるしな。

その引っ越しまでは、少なくともその勧誘員に対して怖がる必要はなくなる。

そして、引っ越すときには、今貰っとるサービス品はそのまま返せば、それですべて終わるはずや。

但し、それをするのは、厳密に言えば、法に触れる行為やというのも言うとく。

その勧誘員は、ハナから新聞を取るはずのない相手から契約を取っとるわけや。そうすることで、その勧誘員は、販売店から拡張報酬を騙し盗ることになる。

立派な詐欺行為や。

そして、あんたはそれと知らんかったとしても、ハナから成立するはずのない契約と承知して手を貸したわけやから、その行為を補助したことになる。

つまり、詐欺幇助の罪に問われかねんわけや。

もっとも、この程度で実際に検挙されたり罪に問われるようなことはほとんどないかも知れんが、それをすれば結果として法に触れる行為なのは間違いない。

ワシも、その販売店がまともな所なら、こんなアドバイスをするつもりはなかったが、このケースはやむを得んと考える。

ただ、どうするかは、あんたの判断次第やけどな。

ワシが推奨するのは、クーリング・オフでの契約解除やが、安全を優先したいのなら、引っ越しすることでの契約解除を選ぶのも手やと思う。

いずれを選択されるかは、良う考えて決められたらええ。


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