新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.633 てんぷら(架空契約)について


投稿者 Pさん  投稿日時 2008.10.10 PM 10:36


契約の事で質問させていただきます。アパートの一室で一人暮らしをしている者です。

【状況】
本日、勧誘の人が来て、Y新聞の契約をしてしまいました。

気さくでフレンドリーな感じのおじさんでした。

「悪いけど新聞は一切読まないし、そもそも来月引越しますんで」と伝えると、「あらぁ。なんだじゃあこれ持ってっていいよ〜」と言って景品を渡されました。

続けて、世間話を織り交ぜながら、“4〜6月の3ヶ月間”という、すでに退室した後の期間での契約書を作り、

「もういない時期だからどうせ配達できないし、お金の請求もないんだけど、この紙書くだけでも成績になるんだよ〜、あくまでも形式的な物だから」といってサインを要求されました。

つい口車に乗ってしまいサインをしましたが、とても気になっています。

【質問したい点】

質問したいのは、仮にこのまま何もせずに引越した場合にどうなるのかという事です。

実際に、次にこの部屋に住む人には4月から新聞が届くのですか?

その住人は請求をされるのですか?

連休明けにクーリングオフをするつもりですが、こういったてんぷらと呼ばれる手法での契約の場合、その後の流れとして具体的にどういった状況になるのかをお聞きしたいです。


回答者 ゲン


『質問したいのは、仮にこのまま何もせずに引越した場合にどうなるのかという事です』ということやけど、あんたの場合、厳密に言えば、そうすると法に触れることになる。

どういうことか今から説明する。

あんたが契約書にサインしたということは、当たり前やが契約が成立したということを意味するわけや。

しかし、その契約は、最初から購読不可能なものやから履行されることは絶対にない。

つまり、実行できん契約を交わすというのは、騙しになり詐欺罪に問われる可能性があるということになる。

もちろん、あんたにその気持ちはなく、その勧誘員の口車に乗っただけということなのやろうが、それにより、その勧誘員は、ありもしない契約をでっち上げて、その新聞販売店から拡張報酬を巻き上げることになる。

詐欺罪の成立要件、金品を騙し取るというのに該当する。知らん事とは言え、あんたはそれに手を貸したことになるわけや。

加えて、あんたは成立もせん契約と分かって、そのサービスとなる景品も受け取っとるから、法的には共同正犯、詐欺幇助が摘要される可能性がある。

あんたが、いくら口車に乗った、騙されたと主張しても情状酌量の余地があるだけで、罪自体は成立する。法律とはそうしたもんで、知らんかったからという理由だけで許されることはまずない。

世の中には、そういうケースは他にもいくらでもあるから良う留意しとくことや。

ただ、一般的な事例で言えば、あんたのようなケースで罪に問われたというような話を聞くことはないがな。例え、発覚したとしても警察あたりでは不問に付されることの方が圧倒的多いとは思う。

さらに、その販売店に分からず引っ越しして終えば、追いかけてくる新聞販売店が少ないのも事実で、逃げ得になるケースがほとんどや。

それがあるからこそ、その勧誘員はそういう甘い誘いを持ちかけとるわけや。

もちろん、その引っ越しの最中に見つかれば、詐欺やないかと言われても仕方なく、それ相応の責め方をする販売店はあるやろうがな。

ついでに言えば、そのとき、あんたがその勧誘員に騙されたからと主張しても、その勧誘員は絶対と言うてええほど、「そんなことを言うた覚えはない。知らん」と、シラを切るのが普通やから、ヘタをすると、あんただけが悪者にされかねん。

それ以外は逃げ得やとは言うても、中にはとことん追いかける販売店の店主がおるのも確かや。銭金(ぜにかね)に関係なく無法なことをされて我慢できんという人間は、どの世界にもおるさかいな。

その場合、その被害届けを警察に出すことが多い。その上で、あんたの住民票を役所に請求する。

現在、個人情報保護法の関係で住民票の請求は、かなりハードルが高くなっとるが、警察への被害届けを添え、債権保全のためという理由づけをされると、その住民票の発行に応じる自治体もある。

そこまでする販売店なら、あんたの引っ越し先にまでやって来るということは十分考えられる。

また、そうやなくても、その契約時に、あんたの携帯電話番号でも書き込んでいたら、その番号を変えるまでは、しつこく電話してくるということも考えられるわな。

そういう面で言えば、そのまま引っ越すというのは、うっとうしい事になる可能性があると一応覚悟しとく必要がある。

『実際に、次にこの部屋に住む人には4月から新聞が届くのですか?』というのは、そういうケースも多い。

ただ、その場合は、たいていその住人がクレームをつけるやろうから、その時点で話は終熄するやろうがな。

当然やが、その契約書が交わされたときには、その入居者はまだ入居してないわけやから、どんな販売店でもあきらめるしかないわな。

また、その入居者の氏名や年齢、筆跡、電話番号のすべてが違うから、別人と認定せんわけにもいかんしな。

『その住人は請求をされるのですか?』というのは、そのクレームをつけてなかった場合、請求されることはあるやろうな。

一般的には、てんぷら(架空契約) などで不法に新聞を投函されれば文句を言う人が大半なんやが、中には面倒になることを嫌がりそのままという人もおられる。

その場合は、その契約どおり新聞が配達され集金も行われる。

『連休明けにクーリングオフをするつもりですが、こういったてんぷらと呼ばれる手法での契約の場合、その後の流れとして具体的にどういった状況になるのかをお聞きしたいです』

ということやが、クーリングオフをすれば、それですべて終わるから、後腐れというものはほとんどないと考えてええ。

今回のあんたの言う、てんぷらの件は黙っといた方が無難やと思う。

口車に乗ったとはいえ、ヘタにそれを言えば、先にも言うたようにその勧誘員は絶対にそれと認めんやろうから、あんた自身が不利になる可能性があるさかいな。

幸い、クーリングオフというのは、その理由を言う必要が一切ないとされとる。どうしても、それに答えるのなら、気が変わったからと言うだけでええわけや。

ただ、クーリングオフというのは、口頭で伝えただけは法的効力はないから、必ず文書で出すことが義務づけられとるというのは言うとく。

中には、口頭で販売店に伝えたのをクーリングオフしたと勘違いされる人もおられるさかいな。それで、言うた聞いてないというトラブルになったというケースもある。

ちなみに、クーリングオフの手続きについては『ゲンさんのお役立ち情報 その8 クーリング・オフについての情報』 に、その詳しい説明があるので良う見といてほしい。

その手続きを済ませ、貰った景品を返せば、何の問題もなく終わるはずや。

それで問題になること自体が大問題やさかい、そのときにはまた相談してほしい。まあ、そんなケースはほとんどないやろうがな。


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