新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.636 内覧会での契約です


投稿者 Kさん 某新聞販売店従業員  投稿日時 2008.10.23 AM 3:14


こんばんは。私は某新聞販売店の従業員です。プロとしての新聞販売店はどうあるべきか、日々模索しています。

ある事について、ゲンさんに相談に乗っていただきたいのです。

およそ一年前の内覧会での事です。私の他に、某紙の拡張員が二人いて、合わせて三人、協力的に営業していました。

その際に、他紙の固定読者が3カ月だけ、私の新聞を契約してくれました。それが、20年11月から3カ月というものです。

ところが先日、解約したいとの電話が販売店にありました。事情を聞いたところ、契約の際にいつでもやめられると、私が言ったというのです。

私はプライドをもって仕事をしてますので、間違えてもそんなことは言いません。そんなテンプラまがいの行為をするくらいなら、この仕事はしてません。

私の憶測ですが、そのお客様は、過去に実際にその様な事があって、その記憶が私の件とダブっているのか、あるいは他紙の拡張さんが、私の耳の届かないところでその様なことを話したのか、、、、、、、。

なるべくお客様とカドがたたない様に話し合いをしたいと考えています。アドバイスよろしくお願いします。


回答者 ゲン


『なるべくお客様とカドがたたない様に話し合いをしたいと考えています』というのは、あんたのケースでは難しいかも知れんな。

こちらの意に背く形で契約解除しようとする相手と穏便に済ますには、その要求を受け入れるしかないが、それでは意味がないやろうしな。

しかし、その姿勢は大切やと思う。その気持ちがあれば、相手を客として丁寧な言動に終始することができるさかいな。

こういうケースで大きなトラブルに発展するのは、その言葉尻を捉えられてというのが多いから、特にその注意は必要やと思う。

「その言い方が気にくわん」てなことになると修復はほぼ不可能になるさかいな。

ただ、『私はプライドをもって仕事をしてますので、間違えてもそんなことは言いません。そんなテンプラまがいの行為をするくらいなら、この仕事はしてません』と自信を持っていれば、どうしても強気で話すことになりやすい。

勢い「そちらの聞き違いでしょう」と言うて終いがちやわな。

そうなれば、言うた言わんの水掛け論になり、確かな契約書がある以上、あんたの方が法的にも有利になるからよけい強気に喋ることになると思う。

どんな揉め事でもそうやが、相手の言い分を一切否定して、こちらの正当性を押し通すだけやと相手は素直に納得できず、話がこじれやすくなるもんや。

ワシの経験から言うて、こういうケースでは相手にどうするか選択させるという方法が一番ええと思う。

要するに、損得の判断をその客にさせるわけや。

例えば、「このケースですと、そちらが契約を解除したいというのは自己事由ということてになりますので、どうしても解約されたいというのであれば、そのペナルティとして解約違約金を申し受けることになります」と言う。

その解約違約金については、あんたの販売店の意向もあるやろうから、それを伝える。

その際、相手は必ず「いつでもやめることができると言うたやないか」と主張するはずやが、「それについては、私はそのようなことは言った覚えはありません。しかし、どうしてもと言われるのであれば解約はできますが、その場合には解約違約金が必要になるということです。これは法的にも認められたものです」と言う。

さらに「ご存じのように、契約とは契約書の内容がすべてで、もし、そちらの言われるように、いつでも解約可能ということでしたら、その契約に双方納得の上で、その旨記載しているはずです。それに、そもそも期間が明記されている契約でいつでも解約可能という契約などありませんよ。それでしたら、最初から契約書を交わす意味すらないですからね」と説明する。

「加えて、そちらがどうしても契約を解約されたいというのであれば、契約時にお渡したサービス品の返還も必要になります。これは、民法545条の原状回復義務というのに規定されていますので」と付け加える。

つまり、その相手が解約することによる出費とそのまま購読することによる出費の損得勘定をさせるわけや。

揉め事を極力抑えるには、こちらはあくまでも冷静に理路整然と話し、どうするかの選択を相手に委ねることが最上やと思う。

第三者が聞いてもなるほどなと思えるものやなかったら、ヘタにあんたの方の主張だけを押し通すと店の評判というのにも関わってくる。

今回、こういう対応をすれば、その客が新聞社の苦情センターに訴えようが、消費者センターに相談しようが、いずれの機関も、あんたの言うてることの正当性を支持するはずやと思う。

ただ、それで穏便に済むかと言えば、その客次第では疑問符はつくがな。交渉に勝つのと、相手を納得させるのとは別ものやさかいな。

あんたの言われるように『なるべくお客様とカドがたたない様に』ということを重視されるのであれば、一歩退いて、「こちらも損をしますが……」という交渉で臨めば、また違った結果になるとは思う。

具体的には、その解約交渉の場で、本来正当やと思われる要求から幾分割り引いた提示をすれば、比較的、その相手も納得しやすいのやないかな。

今回のケースは、ワシもあんたの方の主張に分があるとは思うが、例えそうであったとしても、その客が嫌やと言うてる新聞を強引に取らせても結果として、あんたの店のためにはならんと思う。

最高の状況になったとしても、その3ヶ月間購読させることやが、その契約が済めば、その客はおそらく二度と契約はせんやろうしな。

その間、その客は嫌々購読するわけやから、どうしてもあんたの店に不利になる噂を周囲に話すことも考えられ、幾分かは評判が落ちるというのも覚悟せなあかんやろな。

その契約だけのことを考えるか、もっと大きく捉えるか、それはそちらの考え方次第やと思うから、これ以上はワシの言えることやない。

どう対処されるかは、良う考えてされたらええと思う。


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