新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.64 ビギナーズラックでしょうか?
投稿者 halさん 男性 21歳 新聞拡張員 投稿日時 2005.1.28 AM0:05
自分はなぜか21の若さで拡張員になってしまったものです、昨日そして今日と仕事をしたんですが、ビギナーズラックでしょうか?順調にカードが上がっています。
この仕事面白いですよ。ちなみに家の父親は拡張団の団長です。このまま拡張員で食っていくか、他の仕事を探すか迷っています。郵便屋の営業(保険セールス)もやってみたいと思ってるんですよ。
あとこの仕事が乞食読者のおかげで成り立ってるのがこの二日間で良くわかりました。ゲンさん自身はパソコンは持ってないんでしょうか?良かったらメールの交換しませんか?図々しいとは思うんですが。あと僕も拡張の本が出たら買ってしまいます(笑)
回答者 ゲン
ビギナーズラックかどうかというのは良う分からんけど、お父さんが団長さんやということは子供の頃からある程度、この世界のことが分かっていたのやないかな。
素人が難しいと考えるのは、この世界のことを知らんからや。単に新聞を売り込むだけの営業と考えるから、直面するギャップとの差で大抵は困惑するもんなんや。
断られ方は尋常やないからな。おそらく、営業という分野では最悪と言うてもええやろ。その世界をあんたは、拡張の営業とはこんなもんやろと普通に思うてたはずやから、その点では、他の人間にない強みを持っとると思う。
ただのすぶの素人とは違うはずや。この差は大きい。この世界に大した不安がないからな。大抵は「こんなんで契約みたいなもん上がるんかいな」と悩む。ワシも始めた頃はそうやった。
せやから、初日、二日と立て続けにカードが上がったというのは、単なるビキナーズラックやないやろと思う。もちろん、この仕事は短期で見たら運の要素も強いが、それ以上にセンスがものを言う。
お父さんの団長さんになら、このセンスの意味が分かるやろと思う。これは、こうしたらそういうセンスが磨かれるといった類のもんやない。ほぼ天性のもんや。つまり、あんたにはそのセンスがあるのやろと思う。俗に言う営業センスや。
それとこの仕事は環境の差がかなり左右する。環境というのは、新聞銘柄、所属拡張団、地域、販売所などの違いのことや。
その中でも特に大きいのが、所属拡張団や。働く場所によってこれほど差のある業界も少ないやろと思う。特にそこの社長、つまり団長の能力で大きく違う。
拡張団の団長になるくらいの人間は、拡張の実績、実力は群を抜いとる。加えて、新聞社の信用もある。新聞社直属の団はそういう人間しか団長にはせん。
しかし、そんな団長と言えども人間やから、いろんなのがおる。ワシはそういう人間を良う見て来たから分かる。
ええ加減な団長の下やとろくな仕事は出来ん。反対にしゃきっとした団長やと仕事もしやすい。また、そういう雰囲気になる。それは、その団長の人間性による。
厳しく文句を言うたり叱責することが、管理、監督とはき違えとるトップの下で仕事しても成績は伸びにくい。
そういう所の団長は、成績を上げられんのは、その団員がだらしないと思うから余計、叱る。叱られた団員は、当然やけど萎縮する。もしくは、それを逃れるために不良カードに走る。それが発覚すれば、また叱る。悪循環や。
団員がそういうことをするのは結局、その団長の統率力、指導力がないことの現れなんやが、そのことに気付く人間は少ない。
『善く将たる者は愛と威とのみ』という教えがある。
立派なリーダーの条件のことを言うてる。「愛」というのは、愛情、温情、思いやりなどの情けのことで「威」とは強さ、厳しさのことを言うてる。その二つが揃って優れた統率力が生まれ、立派なリーダーになれるのやと言う。
優しいだけや特に新聞の拡張団の団長は団員に舐められ言うことも聞かんやろし、厳し過ぎるのも団員を萎縮させるだけでええことがない。そのバランスが難しい。
ワシの知る限りそういう団長は少ないが、そのバランスを兼ね備えたトップの下で仕事すると、それほどの力量がなくても、その団員は確実に伸びる。
それが、ワシの言う、働く場所によって違うということや。人間性の愚劣な団長になると、単にその能力がないだけやなく、団員そのものを食い物にしようする露骨な姿勢を見せる者もおる。こういう所で拡張員として働き始めたらその人間にとっては最悪やし不幸や。
この仕事が面白いというあんたは、単にカードが上がったからということだけやなしに、そういう仕事のお父さんを自然な形で見て来とるからそう感じられるのやと思う。
あんたは気が付いておらんかも知れんけど、それはお父さんさんが統率力の優れた人やからやと思う。統率力の優れた人間の周りには当然のように優れた人間が集まる。その人たちにあんたは囲まれとるのやないかな。
その団長の善し悪しを見分ける方法を一つ教えてくれと言われたら、ワシはいつもこう言うてる。自分の部下を自慢出来る団長に劣悪な人間はおらんと。特に外に向かってな。本人にだけ言うてる場合は他の思惑もあるから何とも言えん。
外に向けてそれが言え、尚かつ、自分の存在はその団員の支えがあってこそやと思うてる団長は、当然のことながら団員のことを真剣に考えるから、そこで仕事する人間は幸せやということになる。
あんたがこの仕事が面白いと思うたら続けるのも善し、他の仕事に魅力を感じたのならそれにチャレンジするのもええと思う。
特にあんたの場合は、他の仕事というても同じ営業の分野に属することやから、無駄なことにはならんやろと思う。
営業というのは、これでなかなか奥の深いもんや。新聞の営業もそうやけど、他の営業もそれなりに難しい面がある。それらを勉強するのも悪いことやない。
あんたは若い。これからあらゆる可能性がある。若いということはなりたい人間になれる可能性が高いということを覚えておいて欲しい。
あんたが将来、営業のエキスパートになろうと思うたら、それほど難しいことやないと思う。センスと下地があり、何より、営業を面白いと捉えとる所がええ。
営業を楽しめる境地になれば大したもんなんや。普通は、辛くしんどいことやと思う仕事やからな。せやから、営業は楽しいもんやと持続して思えれば、あんたは営業の世界では間違いなくトップクラスの男になれるやろ。
しかし、苦言も一つ言うとく。あんたが「この仕事が乞食読者のおかげで成り立ってるのがこの二日間で良くわかりました」と言うてるのが気にかかる。
そういう思い込みはせん方がええ。当然やけど、新聞の購読客はその乞食読者と呼ばれとる人間ばかりやない。それが、すべてか大半のように考えたら、せっかくのあんたの可能性が閉ざされることになりかねん。
つまり、そう思いこむと特定のターゲットだけ狙うようになるからな。もちろん、それも新聞営業の重要な要素の一つではあるが、さらに上を目指そうと思うたら、自分の可能性を狭めるようなことをしたらあかん。
若いあんたには、あらゆるタイプの客に対応出来る営業マンになって欲しいと思う。それが、真の意味での営業のエキスパートということや。
それなら、ワシはどうかと聞かれても困る。ワシは、拡張、建築屋の営業経験30年でも未だに一拡張員のペーペーや。褒められたもんやない。せやから、人に偉そうに言えた義理でもないけどな。
ただ、ワシのような歳になるともう先は知れてる。今から、何かを足掻いてもどうなるものでもないし、その欲すらない。
自分のことを棚に上げて、敢えて言わせて貰うが、若い内は自分で自分の可能性に蓋をせんといて欲しい。せやから、乞食読者という捉え方も、ひとつの客のタイプやというくらいに考えて貰いたい。
最後にメール交換のことやけど、ワシは一応、ハカセの影響でノート・パソコンは去年買って持っとる。メールを見たりインターネットを見るくらいは出来るけど、メールの遣り取りは今は難しいとしか言えん。
あんた以外にも何人かはそう言うてくれる人もおるのやが、ワシは正直、慣れてないから苦手や。見るのは好きやけどな。
それに、当たり前やけど文章もハカセのようには書けん。確かに話す内容の意味は、ハカセはある程度、忠実に再現してくれてるが、独特の文章の言い回しはワシには出来ん。文章の構成もな。
ハカセはワシの言うことをその場ですぐ文章に出来る特技を持っとるからええけど、ワシには、いくら時間があっても書けん。
それに、あんた一人とメール交換というわけにはいかん。するのなら、申し込まれとる皆とせんとあかんやろと思う。あんたになら分かると思うが、そんな何人もの人間とメールをする暇は、ワシら拡張員にはない。
ワシとハカセとの主な連絡は、ハカセが送ってくれたメールをワシが確認して、電話でそのことを伝えるということが主や。後は、週に1,2度、ハカセの家に行って直接、話すようにしてるくらいや。
そういうことやから、直通は無理にしても、ハカセにメールを送ってくれたら、それをワシが確認して、その返答内容を伝えるわけやから、結果的には、ワシとのメール交換になると思うけどな。
それから、本のことやけど、ハカセは今年中にはなんとか出したいと言うてるけど、ワシは焦るなと言うてるんや。あんたのような人も他にもいてることはいとるのやが、ワシはどう考えても売れるようなもんとは思えんからな。
もっとも、ハカセの書く文章自体は面白いから、その面では多少期待も持てるやろとは思うけど、内容が内容なだけに、とても一般受けするとも思えん。まあ、それも、出すか出さんかはハカセ次第やけどな。