新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.640 昨今の新聞業界に対する認識や今後の打開策等について


投稿者 H.Sさん 新聞販売店専業員 東京在住 投稿日時 2008.11. 8 AM 7:43


お久しぶりです。H.Sです。

最近私の勤めている店でも、四店舗ある中で、四人がリストラで解雇されました。

私はSHに参加しているので、他店の社員にも話を聞く機会があるのですが、どうもリストラや配達区域の統廃合は、かなりの店舗で行われており、私の勤めている店のライバル店でも、同様であると懇意にしている、同業他社の人に聞き及んでおります。

私のあまりに近隣の状況なので、早合点は出来ないのは承知しておりますが、店員会の席で所長が言った折り込みチラシの減少が、どうもその原因になっている気がしてなりません。

そもそも新聞代金は、本社納金に七割とも八割とも支払うものだと聞いたことがあり、新聞販売店の経費をその残額から捻出することは無理で、実は折り込みチラシ収入こそ、本社補助金と合わせて、運転資金に出来るのだと教えられたことがあります。

生かさぬよう殺さぬようの本社補助金も、本社の財務状況の悪化に伴う減少傾向や折り込みチラシ収入の減少、また経費負担の増加(押し紙や拡材費の高騰等)等で、新聞販売店経営が、とても大変な状況になっているのではないかと危惧しております。

ハカセ様、ゲン様の昨今の新聞業界に対する認識や今後の打開策等、お聞かせ下されば幸甚であります。

貴サイトに救われたと言っても過言ではない私は、益々の貴サイトのご発展とハカセ様、ゲン様のご健勝を願って止みません。

これから寒い時期になりますが、風邪等患うことなく、サイト運営を御精進下さいませ。


回答者 ゲン


『昨今の新聞業界に対する認識や今後の打開策等、お聞かせ下されば幸甚であります』ということやけど、難しい質問やと思う。

あんたの言うておられるとおり、現在、新聞業界全体が冷え込んでいるのは確かや。あんたに限らず、日々寄せられてくる業界の情報で明るい話題はほとんどないさかいな。

現状では正直言うて、こうすれば間違いない、ええやろという特効薬のようなものは何も見当たらん。

これも時代の流れと言うてしまえば、それまでかも知れんが、今や「新聞」はかつてのように報道の中心やった頃とは違う。

インターネットの台頭により、その地位が落ちつつあるのは誰の目にも明らかやさかいな。言えば、斜陽産業化しとるのが現状やと思う。

しかし、新聞各社は、それを認めることができずに、あろうことか、そのインターネットを軽視するという愚策に出たと思われるフシが多々ある。

確かに、インターネットの存在そのものにも問題がないわけやない。一部の心ない人間による誹謗中傷が日夜繰り広げられ、昔では考えられんような犯罪さえも横行しとるような世界や。

個人的には、それぞれ問題を抱えとっても、新聞の情報の方がインターネットのそれよりも信頼度は高いと思う。

とてもやないが、現在の状況で新聞が消滅したとして、インターネット主体の情報で日々暮らさなあかんと考えるだけでも、ぞっとするものがあるさかいな。

しかし、例えそうであっても新聞社がインターネットを軽視したのは頂けん。

誰にでも分かりそうなことやが、インターネットの先には一般読者がいとるという単純なことを見落としして、そこでの発言を無視し続けた結果が、今日の状況を招いたと言うても過言やないと思う。

インターネット情報のすべてが信頼のおけるものやないとしても、その中に真実が含まれとるのもまた確かなことや。

そのインターネットが台頭する以前なら、新聞社も自身の都合の悪い事は「報道しない」ことにより隠蔽はできた。

しかし、インターネット上では、そういう隠蔽は簡単に暴露される。

それに気づいてないのか、新聞業界は悪質な勧誘行為に口をつぐみ、押し紙の存在を否定し、平気で新聞部数の水増し行為を続けとるわけや。

さらには、当メルマガで指摘した『第8回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■MDN醜聞の波紋』のような国辱的とも言える行為を長年に渡り平然と続けた結果、それがネット上で明るみに出て隠しきれず、謝罪せなしゃあない状況になったというのもある。

Y新聞社にしても、旧メルマガの『第158回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■押し紙裁判の波紋』で取り上げたように、裁判で新聞社側の敗訴になり上告をせず、その判決を受け入れたということがあった。

しかし、それにも関わらず、Y新聞社は実際にはその判決を無視し、あろうことか、それを訴え出た店主に対して、今年、7月31日付けで強制解任という暴挙に出とる。

現在、それについても係争中とのことや。もっとも、個人的にはこんな暴挙が認められるわけはないとは思うがな。

それ以外の新聞各社にしても様々な問題を引き起こしとるのが現状や。それらについての詳細はまた別の機会にでも言うつもりやけどな。

ただ、はっきり言えるのは、ここにきてインターネットの普及とともに、新聞各社の愚行の多くが次々と明るみに出てきたということや。

いずれにしても、それらが、新聞の信用を大きく失墜させたのは、残念ながら認めんわけにはいかんやろうと思う。

そして、当然のことやが、企業の多くはその一般大衆を無視しては成り立たんわけや。

実際、件のM社による『MDN醜聞』事件の際には、多くの一般市民が各大手企業に対してM新聞紙面への広告掲載を拒否するようにとの運動までしとる。

結果、WEB上でのことではあったが、現実に、そのM社への企業の広告が一時的にせよ、すべてなくなるという事態にまでなったさかいな。

一度落ちた信用の回復は難しい。

そのためかどうかは定かやないが、各企業が新聞紙面への広告の掲載を手控え始めたのは事実や。現在、新聞各社が頭を悩ませとる一番の問題がその広告減少やという。

それが、現在、折り込みチラシにまで影響してきとるのは間違いないと思われる。

加えて、世界的不況というのもある。

企業が不況に対するには、リストラと宣伝費を削減するというのが、今ではほぼ常套手段化されとることでもある。

さらに、消費者もその生活不安から買い控えする傾向にあり、その折り込みチラシでの費用対効果が得られにくいという理由から、勢い各企業も折り込みチラシを減少する傾向になっとるものと考えられる。

さらには、その折り込みチラシも以前は、新聞紙面に挟み込むだけやったものが、インターネット上で簡単に検索でき見られるシステムが普及しとるというのもある。

当然ながら、それに魅力を感じた企業が流れることになるわな。そこで、そのための費用を使う分、折り込みチラシの減少が起きるということにもなる。

つまり、いろいろな複合的な要因が重なって、現在のような状況になっとるわけや。

ワシが「特効薬のようなものが何も見当たらん」と言うた背景にはそれがある。何かの原因を取り除けば、それで解決とはならんさかいな。

それなら、どうしようもないのかと言えば、そうでもない。

そういう個人レベルでの頑張りではどうしようもないとあきらめて投げやりになったら、よけいあかんようになる。

できる事をできる範囲でする。それしかない。

具体的には、新聞販売店のその地域での評判を高めることが一番有効な手段やと思う。

先にも言うたように、現在の新聞業界の衰退傾向の原因は、その評判の低下が招いたという側面が強い。

確かに、折り込みチラシの減少は全国的な規模で拡がりつつあるが、それでもすべての地域でそうやと言うわけでもない。

その地域で評判のええ、またシェアの強い販売店には折り込みチラシの依頼は変わらずあるというからな。

その評判を上げるための努力は、あんたには今更言わんでも分かっておられるやろうと思う。

インターネットにできんことが、新聞販売店にはできる。それは、人と人との触れ合いによる人間関係を作れることや。

「地域の親切な新聞屋さん」を目指せば、ある程度、頑張れるのやないかと思う。

これからしばらくは、新聞部数の減少に伴い新聞販売店も減ってくるやろうし、リストラも行われると思われる。

そして、その中で真っ先に消滅していくのは、一般読者を無視するような評判の悪い販売店であり、悪質な従業員からに間違いないとワシは考えるがな。

心配せんでも、まだまだ新聞が必要やという人は多い。その人たちを大切にすることが、ひいては新聞販売店を維持する最大の秘訣になるのやないかと思う。


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