新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.661 新聞拡張員業界はあと何年くらいもちますか


投稿者 Hさん 拡張団班長  投稿日時 2008.12.15 AM 1:44


この新聞拡張員業界はあと何年くらいもちますかなぁ? と部下に聞かれました。

ワシの思うとこ、あと10年持てばええ方やと思う。訪問販売自体が罪とされてるような現状や。

こん先インターネット技術がどんどん進み、活字なんて読むもんもおらんくなる流れや。

今の時代小学生やてパソコンに夢中となっとる時代や、どう考えたてワシら拡張員にとっては向かい風になっとるゆーことはわかってもらえると思う。そう告げときましたわ。

ゲンさんの回答は?


回答者 ゲン


現時点ではまだ、『ワシの思うとこ、あと10年持てばええ方やと思う』と、あんたが考えておられるほど深刻な状況やないと思う。

『訪問販売自体が罪とされてるような現状や』というのは、現在、秋田県議会で検討されている「不招請勧誘禁止条例」、通称「飛び込み勧誘全面禁止条例」が可決され、それが全国に波及すれば、確かにそうなる可能性もあるが、現時点ではまだ「訪問販売自体が罪とされてる」ということはない。

訪問販売自体は、れっきとした法律でも公認された職業や。せやからこそ、住宅や車、保険、各種物品の訪問販売業者が存在しとるわけや。当然、その中に新聞も含まれる。

それに、その「不招請勧誘禁止条例」自体もここにきて当初とは、かなり違うものになりそうな雲行きになっとる。

それには、訪問業界の強い抵抗もさることながら、世間から多くの賛同を得られると思うてた秋田県の県会議員さんたちのアテが外れたのやないかという気がする。

この問題については、当、旧メルマガ『第194回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■飛び込み勧誘全面禁止条例案についてのアンケート募集』で読者からの意見を広く募集した。

その結果は『ゲンさんのお役立ち情報 その9 飛び込み勧誘全面禁止アンケート結果情報』 にあるから見て貰うたら分かると思う。

結果は、ワシからしても意外なものやった。

賛成31.1%、反対52.7%、どちらでもない16.2%。

このサイトの特質から言うて、業界関係者が多いという印象があるかも知れんが、この案アンケートに関しては、その業界関係者の参加は26%弱にしかすぎず、その他は一般読者やった。

もともと、このサイトは開設時以来、業界関係者の方も多いが、それ以上に一般読者の方の方が圧倒的に多いというのはあるんやけどな。

まあ、それは、このQ&Aへの相談件数の比率を見て貰うたら分かるとは思うがな。

その一般読者だけに限っても、この条例案に反対する人は48.2%で、賛成の37.5%より多いという結果になっとる。

はっきり言うて、このサイトの一般読者というのは、新聞の勧誘に対しては批判的な人が多い。その人たちの結果やから、おそらくこれは全国的な意見に近いものか、それ以上に条例案に反対する人が多いと考えてええと思う。

しかも、このアンケートはおそらく日本で唯一のもので、その条例を作る側も参考のために閲覧した可能性があると考えとる。

その根拠は、ヤフージャパンをはじめとする大手の検索サイトに「飛び込み勧誘全面禁止アンケート」というキーワードで検索すると、軒並みそのトップに上記のページが表示されるからや。

世間の動向を気にする政治家、とりわけその法律の素案をした秋田県県会議員さんたちが、それを見ていないということの方が、おかしいという気がするしな。

もっとも、秋田県議会でも独自に一般から意見を聞くとしていたから、それを認めるかどうかは分からんがな。

ただ、その結果も同じようなものやったと推察はできる。

それでトーンダウンした結果、当初、4月15日あたりでは「飛び込み勧誘全面禁止」というほどの触れ込みやった条例案が、10月6日には「勧誘を拒否する消費者のみを事前登録する制度を軸に再検討する」ということに落ち着き、来春の定例県議会への条例案提出を目指すということになった。

つまり、これは勧誘を受けたくない人の登録をして、それを知った業者がその登録者への勧誘をしてはならないというものや。

しかし、これに関しては、ワシらにとっては却ってええことやと思う。

ワシらの勧誘営業というのは、大半が断られるものと相場が決まっとる。

100軒訪問しても、ええとこ10〜20軒程度の確率でしか話を聞いて貰えることはないさかいな。

その大多数である80〜90軒の家にそれがあれば、却ってその訪問の手間が省けるという考え方もできる。そういう訪問拒否のステッカーを貼っている家は無条件に除外すればええんやしな。

逆に言えば、それが貼ってない人へは勧誘しても構わんと受け取れるわけや。

当たり前やが、これでは、「飛び込み勧誘全面禁止」の法律にはほど遠いわな。

当初の予定どおり、65歳以上の高齢者への訪問勧誘全面禁止ということになっていたら、それが起点となって、将来的には、すべての勧誘訪問禁止につながる可能性もあったが、これで、それはほぼなくなったと断言してもええと思う。

良きにつけ悪しきにつけ、こういう結果は前例として生きる。特に行政、法律の世界ではな。

少なくとも、この秋田県の県議会では、今後、同様の法律案の再提出は、しにくいやろうし、このことで他府県も同じような条例案の検討を躊躇するやろうというのは想像に難くないさかいな。

つまり、これで、あんたの言う『訪問販売自体が罪』という目はなくなったと考えてもええということや。少なくとも、訪問販売営業を容認してくれる一般の方が数多くおられる限りはな。

もっとも、今後、あまりにもえぐい勧誘営業が頻発して多くの人に多大な被害を及ぼすことになったら、そのときはどうなるかは分からんがな。

『こん先インターネット技術がどんどん進み、活字なんて読むもんもおらんくなる流れや』というのも違うと思う。

むしろその逆で、現在はインターネットが盛んであるが故に、却って活字の読み書きは現代人にとって必修科目になっとると言える。

特にメールがそのええ例や。あんたも、メールでこの質問を送って来られとるわけやけど、文章を書くには、それなりに勉強せなあかんというのは分かると思う。

文章を書くというのは、言いたいことを相手に伝えるための手段なわけや。

そのためには、当たり前やが、正しい字を知り、正しい言葉を知らな、相手に伝わらんばかりか、ヘタをするとその間違いで教養がないとバカにされかねんことにもなる。

現在、漢字に関連したクイズ番組がテレビ各局に多いのもそうした流れからやろうと思う。

漢字検定というのも、一つのブームですらある。昔の本を良く読んでいたとされる時代ですら、そういうものはほとんどなかった。それからすれば、今は、より活字が必要やと認識されとる時代でもあるわけや。

故に、活字離れは現在ではないと断言してもええと思う。

ただ、新聞紙面を読むという頻度が、インターネットの登場で激減しとるのは疑いのない事実ではあるがな。

『どう考えたてワシら拡張員にとっては向かい風になっとるゆーことはわかってもらえると思う』というのは、そのとおりやと思う。

現在、この業界は昔の華やかやった頃と比べれば、格段に落ち込んどるし、厳しい冬の時代が到来しとると言うてもええ。

しかし、それでも、この業界が消滅することまでは考えにくいと思う。規模の縮小はあるやろうがな。

業界の消滅があるとすれば、紙の媒体そのものが行き詰まったときやと思う。これについては、地球環境レベルの話で、新聞の衰退に起因するものやないと思うとる。

むしろ、皮肉ではあるが、新聞の衰退が進行してその紙の使用量が減れば、その分、業界の延命になるとすら考えられる。

旧メルマガ、『第100回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■新聞の未来』 の中でそのあたりのことも詳しく話してるから、良く見ておいてほしいと思う。

もっとも、それは、今から2年以上前に話した内容やから、現在では修正が必要な部分も若干あるが、大まかには、それがワシの意見やと思うて貰うて差し支えない。


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