新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.666 母の結んだ契約を解除したいのですが


投稿者 SNさん  投稿日時 2008.12.21 PM 0:54 


2001年1月に父が亡くなり、母と二人暮らしの生活をしています。

慶弔など地域情報が豊富な地元紙のH新聞を購読していました。

2001年に学生アルバイトのA新聞の勧誘員にほだされて当時82歳だった母が3ヶ月だけという口約束をし、次の日曜日に正規の販売員がきて2年契約を求められ、父を亡くし気落ちしている母の好きなようにしてあげたいという思いで、深い考えもなく、この時は私がサインしました。

一年ほど経過した時点で、やはり仕事上支障を感じたので解約したい旨連絡しますと、2年契約と5年契約のコピーを2枚持参して、解約はできないといわれました。

この時初めて知ったのですが、最初の契約から一週間後、私が仕事で不在の時に母が5年の契約書にサインしていたのです。

認知症ではないものの、お人よしな上に世間知らずで判断力も衰えた母につけこみ、89歳までの契約を結ばせていたのです。

契約書にはそれぞれ鉛筆で「2年しばり」「5年しばり」と記入されていました。

この時は仕事も忙しく時間もさけなかったので泣き寝入りした形で今日まできたのですが、今年の2月に会社が解散し、求職中の身になってしまい、地元紙のH新聞の求人情報が切実に必要になってきました。

改めて解約を申し出たのですが後2年契約が残っているといって応じてくれません。

このようなケースでは解約できないのでしょうか?

又、違約金が発生するとしてどの程度が妥当なのでしょうか?


回答者 ゲン


『最初の契約から一週間後、私が仕事で不在の時に母が5年の契約書にサインしていたのです』というのは、この業界としてもたちの悪いことで、道義的にも悖(もと)る行為には違いないが、法律的な観点から言うと、残念ながら違法とまでは言えんと思う。

どんな事情があれ、納得してサインした契約書は、契約として立派に成立する。

納得のできん契約には、クーリング・オフという契約書を受け取ってから8日間以内なら問答無用の契約解除権が消費者に与えられとるわけやから、それを行使すればええことやさかいな。

契約書というのは、そう簡単に解除できんからこそ、特別にそういう法律があるわけや。裏を返せば、それが違法なものか、やむを得ない事情のものでない限り、契約の解除はできんということになる。

『認知症ではないものの、お人よしな上に世間知らずで判断力も衰えた母につけこみ、89歳までの契約を結ばせていたのです』と、あんたが憤慨される気持ちも良く分かるが、そういう高齢者と契約したらあかんという法律も特にない。

日本の社会のシステムは、まだ、その手のことは「自分で守りなさい、自己責任ですよ」という風にしかなっていないと言える。

こういうのは、本来なら、新聞販売店自らが道義として弁(わきま)えなあかんことなんやが、「縛り」と称してそういう愚を冒す所があるのもまた事実や。

あんたには、きついようやが、その販売店が応じんようなら、その契約の解除は難しいと言うしかない。

『違約金が発生するとしてどの程度が妥当なのでしょうか?』という質問も、その販売店が解約に応じるということが前提になる。

そして、その解約違約金に関しては、あくまでも当事者同士の話し合いの結果決まるものやさかい、妥当な金額というのは、この業界には存在せん。

ただ、『解約を申し出たのですが後2年契約が残っているといって応じてくれません』というのは、どういうことなんやろか。

あんたの話を聞く限り計算が合わんけどな。

『2001年に学生アルバイトのA新聞の勧誘員にほだされて当時82歳だった母が3ヶ月だけという口約束をし、次の日曜日に正規の販売員がきて2年契約を求められ』

というのは、それが2001年の最後の月、12月に契約したとしても、2003年の11月には、最初の2年契約は切れる。

『2年契約と5年契約のコピーを2枚持参して』と言われとるから、2003年の12月からの5年契約となると、2008年の11月、つまり遅くとも先月には契約は終了してなあかんはずや。

2001年の最初の契約月、如何(いかん)では、もっと前に契約が終了してなあかんことになる。

『89歳までの契約を結ばせていた』と言われておられるように、2001年から、二つの契約で都合7年契約やから、お母さんがその当時82歳で、現在89歳という計算は合う。

その点、もう一度、確かめられたらどうや。

そうなら、その販売店が2枚の契約書だけを持ってきて『後2年契約が残っている』というのは、おかしな話やと言うしかないさかいな。

ひょっとして、今年、また新たに2年契約を結んだということなんやろうか。それなら救われんことになる。

そうやなく、その販売店が勘違いしとるのなら、それで終わるからええがな。

それとは別に、今後のこともあるので、お母さんには一切契約することを止めて貰うように説得するか、「成年後見制度」を利用して、あんたが法定後見人になることを勧める。

そうすれば、お母さんが契約したとしても、あんたの判断でその契約を解除することができるようになるさかいな。

これは本来、認知症患者に摘要するものやけど、各市町村に設置されとる「地域包括支援センター」の窓口で89歳という高齢と判断力が衰えたということを強調されて相談されればケースにより申請を受理されることもあるようや。

そうでもせんと、新聞購読契約くらいなら、まだその被害は知れてるやろうけど、最近、高齢者を狙った悪質な業者が横行しとるから、そんなのにかかったら取り返しのつかんことにもなりかねんさかいな。

結論として、今回の相談内容からすると、すでに契約は終了しとるはずやから、その点、もう一度良く確認されることを勧める。

万が一、新たに今年、お母さんが契約されておられるのなら、そのときはもう一度、連絡してくれたらええ。

その場合の契約解除は厳しいが、まったく手がないというわけでもないさかいな。


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