新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.67 認知症(痴呆症)の人間と交わした契約は無効に出来ますか


投稿者 匿名希望 主婦 投稿日時 2005.2.4. PM6:13


はじめまして。実は近所のアパートに一人で住んでる主人の父親のことなのですが、こんなことはどこに相談していいのかわからず困っていたら、このホームページを知りました。

現在、義理の父は軽度の痴呆ということで通院しています。症状は進行性ということで、このままでは、いずれ介護も必要になると医師からも言われてますので、近々同居を考えています。

昨日のことなのですが、私が義父の部屋に行ったおり電話がかかって来ました。私か出ると「○○新聞店ですが、去年の8月に、今年の平成17年3月から2年ということで契約を頂いてましたので、その確認です」ということでした。

私は義父の症状をその新聞販売店さんに伝え「新聞は解約して下さい」と頼みました。その新聞販売店の人も「仕方ないですね」とおっしゃって下さったのはいいのですが「それではこちらがお渡ししたビール券20枚と洗剤5ケースに、解約違約金として2万円頂く決まりになっているのですが」と言われます。

義父にその新聞の契約のことを聞くと「知らない」「覚えていない」と言います。痴呆症のこともあるので、分からずに契約したのかとも思いましたが、腑に落ちないこともあります。

義父はビールは飲まないのです。ですから、ビール券の要求を義父がして受け取ったとも思えません。洗濯も私がしているので、もし、その洗剤を義父が本当に受け取っていたら、部屋のどこかにその洗剤はあるはずですがどこにもありません。

もしかしたら、勧誘の人が義父の痴呆をいいことにだましたのではないかと疑っています。
こんな状態でも、新聞販売店さんの言う通りの景品を返して、解約違約金も払わなくてはいけないのでしょうか。よろしく、教えて下さい。


回答者 ゲン


お義父さんが痴呆症とのこと、心中お察しする。ご本人もさることながら、世話をされてるあんたの心労も相当なもんやと思う。この痴呆症のことを今は認知症と言い換えられとるので、ワシはそう呼ばせて貰う。

実は、去年、あんたと良く似た相談を受けたことがあるのやが、その人の希望で非公開としたので、このQ&Aには載せてなかったけど、その時のアドバイスのために調べたこともあるので参考になればと思う。

架空契約やないかと疑っておられるようやけど、今の段階では、それは良う分からんし断定出来ん。拡材(ビール券・洗剤)を受け取ったかどうかというのも、ただないと言うだけでは判断のしようがないからな。

電話での確認ということやけど、これは普通にあることや。先付けの契約の場合、購読開始の一ヶ月前くらいから一週間前までに確認の電話をするのが、一般的や。販売所も、無用なトラブルを起こしたくはないからな。

その点で言えば、今回の場合、販売所には常識があると思う。せやけど、勧誘員が悪どい奴やったら、状況的に詐欺契約ということも考えられる。

いずれにしても、話し合いではっきりさせた方がええやろと思う。そのための手順と準備するものを説明する。

@ まず、販売所の言う契約書をお義父さんが持っているかどうかを探すことや。あれば、名前、住所の記入欄の筆跡を見る。

お義父さんの筆跡やなかったら、詐欺契約ということも十分考えられる。当然、解約は可能やし、何も支払う必要はない。契約書の名前と住所欄は本人記入が大原則やからな。

この時、ハンコが押されとることを言う人間もおるが、ハンコみたいなもん今日び100円ショップにでも行けば大抵の名前は揃う。事実、てんぷらなんかを良う上げとる奴はそのハンコを幾つも持っとるからな。

もし、見つからなくても、販売所で保管してあるはずの契約書を後で確認出来るから別に構わん。なしでも話し合いの場に行けばええ。

A通院されとるということやから、医師の診断書があればええ。取るのが面倒(これはどんな医療保険でも実費が必要)なら、病院名と担当医師名を知っておくだけでも、話し合いの場ならええ。

いつ頃からか。これは、この場合、結構重要や。契約年月日時の時点で、この病気の症状がすでに認められていたかどうかを知る。程度により要介護の認定があるはずや。

B認知症の場合、 法定後見制度、保左、補助制度というのがあるが、その手続きはしとるのかな。まだならしておいた方がええと思う。申請は家庭裁判所になるが、良う分からんようなら、法律家にでも頼めば教えてくれる。

今後のこともある。今回は、タカが新聞の購読契約やから、それほど煩わしくもなく解決する確率の方が高い。せやけど、お義父さんがこういう状態やと、もっと悪質な訪問販売業者に高額商品を売りつけられる被害が発生せんとも限らんからな。

この後見人制度で後見人が決まれば、総ての契約は、その後見人の承諾が必要になるから、こういう問題を事前に防げる。因みに、この後見人は4等親以内の親族なら誰でもなれる。

しかし、これは、将来的には相続の問題にまで絡むから、親族で話し合って決めといた方が無難やろな。

C念のために、お義父さんの直筆の手紙か何かがあるとええ。出来れば、契約時くらいのものがあったら言うことがない。筆跡の分かるものやな。

D話し合いの場には、電話を受けたあんたと、出来たらもう一人、信頼出る男の人が居てればええ。他人の方が、証人という意味でもええんやが、頼めなければ、ご主人でも構わん。

この時、お義父さんは同席せん方がええと思う。本当はこの時、後見人が同席してた方が話は早いんやが、後見人の決定には家庭の事情もあるやろうから、取り敢えず、ご主人かあんたが代理やということでええ。話し合いの場ならそれで十分やと思う。

E販売所にアポイントを取り出向く。販売所で話す方が、書類を持って来てないとの言い逃れで問題を引き延ばすことを防げる。契約書類の改竄も防げるしな。

出向く際には、こちらで用意している物、してない物などの情報は一切伝えん方がええ。ただ話し合いをしたいと言うだけでええ。

F販売所での話し合いの場で、契約書の控えが家にない場合、お義父さんの購読契約書を見せて貰う。販売所には必ず複写の契約書が保管されてある。なければ、その場で総てが終わる。契約はなかったものとして引き上げたらええ。

そんなことがと思うかも知れんが、ルーズな販売所やと契約書をなくしてる可能性もある。客に問い合わせる場合、パソコンに入力した画面だけで問い合わせることがあるからな。

契約書を出せば、お義父さんの筆跡かどうかを確認する。筆跡が違えば、明らかな偽造や。それで総てが終わる。

Gお義父さんの筆跡でその契約書が、ほぼ間違いないものと判断されても、現在のお義父さんの病状次第で解約出来る。医師から聞いた病状説明をするか、診断書を見せる。

契約時すでに病状が発症していたと証明されたら、この契約は無効や。同じ拡張員として恥ずかしい限りの話やが、中にはそんな奴もおる。明らかに、そうやと思える人間に契約書を書かせるんや。

H後見人の話をする。この場合、親族間の了解が取れておれば、販売所には後見人を名乗ってもええ。実際、家裁の手続きは時間がかかるから、後で出来る時にしといたらええ。後見人の立場で解約出来る。

販売所の人間は、新聞契約関連の法律と言えば、クーリングオフくらいしか知らん所が多いから、一応説明しといた方がええやろと思う。

この場合、民法7条、11条、14条の精神上の障害により判断能力に疑問のある者について、その程度により、後見、保左、補助の制度を規定し、その代理人が代わって判断出来ることになっとる。つまり、後見人次第やから解約も出来るということや。

ここまで、説明すれば、ほとんどの販売所はやむなく契約の解除に応じるはずや。解約違約金も発生せん。

こういう問題で変に揉めると、評判が落ちるからな。あの販売所は認知症(痴呆症)の人間に新聞を無理に取らせようとしてると言うてな。

それに、これは評判だけやなく、新聞社にそのことが知れたら大変や。世間はこういう問題には厳しいからな。その販売所はただでは済まんはずやから、諦めるしかない。

I契約の解除が出来たとしてもまだ問題が残っとる。ビール券なんかの景品や。本当にお義父さんが受け取っているのなら、貰うてるもんは返した方がええ。せやから、確かにお義父さんがそれを受け取ったという証拠を見せて貰う。

拡張員にしろ、店の従業員にしろ、ちゃんとした勧誘員はその領収をきちんと取る。ワシの場合やと必ず渡した拡材は契約書に記入して、そこに契約者のサインを貰うようにしとる。簡単な領収書代わりや。販売店によれば、それを義務付けとる所もある。

J契約当時、お義父さんが健常者であり、契約自体も正当で尚かつ、景品も確かに受け取っているということであれば、その販売所には落ち度がないことになる。

その場合、契約の解除自体は、現在のお義父さんの症状から受け入れる他はないが、この販売所のように、解約違約金を請求する所がある。もちろん、貰った景品は返還せんとあかん。

これは、販売所が、お義父さんの契約に対して拡張員に拡張料などの支払いをしとるからや。丸損はしたないと考える。

しかし、言う通りの額は払わんでもええとは思う。交渉で折り合える線でお互いで決めたらええことや。事情が事情やから、販売所もそう強くは出んやろと思う。世間体を気にする販売所は特にな。

これでも、ワシが説明した通りの流れにならん場合があるかも知れんけど、その時はまた相談してくれたらええ。何度でも相談に乗るつもりや。


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