新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.670 新聞屋とのトラブルがあり、毎日不快です
投稿者 chibi さん 投稿日時 2009.1. 6 PM 6:23
こんにちは。
新聞屋とのトラブルがあり、毎日不快でどのようにしたら良いのか分からないので相談させていただきました。
平成19年5月に兄の仕事付き合いの新聞屋Aさんから新聞をとってほしいと話がありました。
最近はそのような事はしていないと知らずに、昔、母親が新聞屋からテレビを貰ったと聞き、当時引っ越ししたばかりで、エアコンがなかったのでエアコンがほしいと兄に伝えると、新聞屋Aさんから4万円の商品券を貰いました。
そして兄が6月に契約をしてきて、契約期間は6年となっていましたが、兄が言うにはAさんは、「会社のマイナスになるけど、別に1年で辞めても良い」「引っ越ししたら続けなくて良い」などと言っていたようです。
それから去年10月に旦那の実家との話し合いで実家に引っ越しをする事になり、それを新聞屋に伝えると、Aさんではない方が家に来て、実家で新聞をとってほしいと言われました。
しかし、Aさんが「引っ越しするなら辞めて良いと言った」と伝えると、帰られましたが、すぐ後Aさんが来て、「そんな事を言っていない、商品券を返せ」と言われました。
でも、契約時に兄から言われた事を伝えると思い出したのか、納得して帰られました。
しかし、実家の都合で、引っ越しが延びてしまい、1ヵ月経った後、また新聞が届くようになりました。
家ではいつでも引っ越しできるように、荷造りしてあるので新聞がとても邪魔になり、「」新聞屋に辞めたはずだが」と電話をした所、「解約させない、引っ越ししていないのだから新聞は届ける、解約したいのならば商品券4万円を返せ」と怒鳴られました。
あまりに怒鳴るので、こちらも腹が立ち、口論になりました。
確かに引っ越しが延びてしまったので、新聞を取らなければいけませんが、あんな態度を取る新聞屋ともう関わりたくないので解約をしたいのです。
しかし、うちは1年半も新聞を取ったのに商品券4万円全額返還しなければいけませんか?
それから商品券4万円は違反ですか? 教えてください。
回答者 ゲン
あんたの場合、『解約したいのならば商品券4万円を返せ』というのは、その販売店の言い方には問題ありそうやが、その請求自体は、おかしなことでも違法なものでもないと思う。
むしろ、これは民法545条の原状回復義務に照らせば、当然の権利とさえ言える。
これは、契約を解除した場合、すべてのケースに摘要される法律で、契約が解除されたら、お互いそれ以前の状態に戻す必要があるとされとるものや。
早い話が、その契約解除により、お互いが損も得もせん白紙の状態に戻すという考え方や。
引っ越しによる解約自体には問題ない。
『引っ越ししたら続けなくて良い』というのはそのとおりで、あんたの判断次第で自由にしたらええ。その場合、問題なく契約解除はできる。それを言うたとか言わんとかの問題やない。
但し、その場合は、その契約を全うすることを条件に貰ったサービス品、この場合、4万円の商品券は返還する義務が生じる。それが、民法545条の原状回復義務というものや。
もっとも、これに関して言えば、その約束を守れんのやから、その約束を守ることを条件に貰った物は返すべきやというのは、法律云々のあるなしは別にしても当然なことやとは思うがな。
あんたが、それを受け取り続ける正当な理由は何もないのと違うやろか。
引っ越しをすることになったというのは、あくまでも、あんたの側の一方的な都合で、その販売店に非のあることやない。それは分かると思う。
非のない事で不利益を被るのは理不尽ということになる。今回の場合、その販売店が、まさしくそれなわけや。
一方的に契約解除するには、ペナルティとしての解約違約金が必要になるのが一般的やが、事、その販売店の営業エリア外に引っ越す場合に限って、止む得ない事情ということになり、それは必要なくなる。
普通は、それで良しとせなあかん。
その上、貰うたものは返したくないと言うのでは、きついようやが、あんたの我がままでしかないと思う。整合性が何もない。
それが嫌なら、その販売店の人間が言うように、引っ越し先でその新聞を契約期間満了まで購読するしかないということになる。
あんたは、おそらく新聞の契約くらい簡単にいつでも解除できると考えておられたのかも知れんが、正当に交わされた契約は法律で保護され、簡単に契約解除はできんことになっとる。
『会社のマイナスになるけど、別に1年で辞めても良い』『引っ越ししたら続けなくて良い』と言われたというのが、あんたの拠り所のようやが、そのとき『その場合、4万円の商品券は返さなくていい』とでも契約書に明記されてない限り、その4万円の商品券の返還から逃れることはできんと考えとく必要がある。
それが例え口頭だけの約束であっても争うことはできるが、あんたの話を聞く限り、それもなさそうや。したがって、その4万円の商品券の返還を拒否して争うには根拠が弱すぎると思う。
もっとも、『あまりに怒鳴るので、こちらも腹が立ち、口論になりました』というのは無理もないとは思うがな。客商売をしている販売店としては、お客を怒鳴るなど以ての外であるまじきことやと思う。
ただ、『あんな態度を取る新聞屋ともう関わりたくないので解約をしたいのです』という気持ちは分かるが、その場合でも無条件には解約できんということや。
そうするには、そうするだけのペナルティを覚悟する必要がある。それが契約事であり、法律ということになる。
『確かに引っ越しが延びてしまったので、新聞を取らなければいけませんが』と言われておられるとおり、現在、引っ越しが延期になったのなら、それまでは購読する義務があると思う。
『しかし、うちは1年半も新聞を取ったのに商品券4万円全額返還しなければいけませんか?』というのは、法律的にはそうなる。途中解約をするというのは、そういうことや。
原状回復義務で元の状態に戻すのなら、その間支払った新聞代は損やないかと考える人がたまにおられるが、それは違う。
新聞代というのは、あくまでも宅配された新聞に対して支払う正当な対価で、商品券4万円というのは、契約書の期限を守ることを前提として受け取ったサービス品なわけや。
何でもそうやが、買って利用した物の代金は支払う義務がある。それは元の状態に戻すまでもなく、すでに公平に処理されとることやから、それに対して損得はないことになる。
もっとも、あんたの気持ちとしては損かもしれんがな。ただ、途中解約をして得になることは何もないとだけは言うとく。
もし、このまま、あんたがその商品券4万円を返還しなければ、早い話が、1年半の購読でそれを手にするということになる。悪いが、それはどう考えてもおかしいと言うしかない。
但し、引っ越しが決まったという前提でなら、話し合いの余地はあると思う。1年半というのは、6年契約の4分の1やから、単純計算で1万円程度の値引きはあってもええと思う。
ただ、現在のように拗(こじ)れた関係やと、その話し合いをするのは難しいかも知れんな。
さらに、現在、引っ越しが決まってない状態で解約を希望するとなると、単なるあんたの側の一方的な自己都合ということになり、その商品券4万円の返還+残りの契約に対する解約違約金も必要になる場合も考えられる。
その販売店が、それを請求するかどうかは分からんが、請求されたとしても仕方ないということや。
せやから、その話をするのなら、引っ越しが決まってからの方がええと思う。それまでは、その新聞を購読しといた方が損得勘定から言えば得やと思う。
もっとも、気分的に我慢できんということで、解約違約金を支払ってでも解約したいというのであれば止めはせんがな。
その場合、特に解約違約金の金額に決まりがあるわけやないから、その販売店と話し合って折り合える額で手を打つしかない。
その仮定の話については長くなるので、別途、その状況になったら相談してくれたらええ。
『それから商品券4万円は違反ですか?』というのは、景品表示法に抵触し、違法と判断される可能性は限りなく高いと思う。
ちなみに、この法律で言えば、景品の最高額は取引価格の8%又は6ヶ月分の購読料金の8%のいずれか低い金額の範囲内ということになっている。これを業界では、6.8ルールと言う。
この法律を運用するのは、公正取引委員会で国の行政機関で内閣府の外局という位置づけの部署になる。
これは、通常の法律と違って、警察などに言うても管轄違いを理由に門前払いをされるだけで無駄や。個人的な裁判の対象にすらならん法律でもある。
訴え出るのなら、その公正取引委員会のみということになる。
そこで、違法性ありと認められれば、その販売店が何らかの処罰を受ける可能性はある。
もっとも、処罰というても刑法犯罪や民事事案やないから、個人にそれがおよぶことはないがな。
新聞の場合、罰せられるのは、あくまでも組織としての新聞販売店のみとなる。それも、せいぜい、「次からはこのようなことは二度としませんと公示しなさい」という程度のものが多い。
一応、罰金も科せることにはなっとるが、よほど悪質と判断せん限り、それはないと思う。
ちなみに新聞社は、この法律に触れることはない。というより、むしろ、この法律は、新聞社による自主規制で提案したものを公正取引委員会が認めたものにすぎんさかいな。
そして、現在、この違反による摘発が極端に少なくなっているという傾向にある。新聞の場合、平成14年以降、この違反で摘発されたというケースをワシは知らんさかいな。
有名無実とまでは言わんが、それに近いものがあるのやないかと思う。
あんたは、それが違法であれば、その契約自体が無効になると考えられて、その質問をされたのやと思うが、残念ながらそうなる可能性は極めて低いと言うしかない。
しかも、その法律が適用されたとしても、公正取引委員会は国の行政機関の一部やから、民法の決まりに逆らってまで、その4万円の商品券を返さんでもええというような決定を下すようなことは絶対ないと断言してもええ。
というより、そんな個人の契約など預かり知らんということになるやろうと思う。
この法律は、あんたが考えるような性質のものとは、まったく種類の違うものやということや。しかも、それが違法と判断されるには、その公正取引委員会が調査してそう決定した場合のみということになる。
現時点では、単に疑わしい状況にあるというだけにしかならん。
あんたにとっては、あまりええ回答とは言えんかも知れんが、ワシとしてはこう答えるしかないわけや。分かってほしいと思う。
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