新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.675 10年前と現在とでは何か大きな変化はあるのでしょうか
投稿者 K.Gさん 投稿日時 2009.1.15 PM 9:30
はじめまして、私は以前新聞専業として5年ほど働いていましたが、このサイトを見ているうちにまた興味がわいてきました。
10年前と現在とでは何か大きな変化はあるのでしょうか。
また、S新聞の夕刊がなくなったと聞きましたが、販売店ではなくなった分を営業活動などに力をいれて、さらに大変な仕事になっているのでしょうか。
回答者 ゲン
『S新聞の夕刊がなくなったと聞きました』というのは、確かに東京本社版が2002年3月30日に夕刊を廃止しているが、同じS新聞でも大阪本社は朝夕刊セット(京阪神通勤圏のみ)は継続したままやけどな。
発行部数で業界7位。その発行部数の53%が、大阪、奈良に集中しとる。
ちなみに、この二つの地域ではシェア20%あり、Y紙、A紙、M紙の日本三大紙と言われる大手紙と肩を並べる勢力を誇っている。
『販売店ではなくなった分を営業活動などに力をいれて』という具体的なことは、あまりなさそうや。
夕刊が廃止された地域は、他紙の全国紙と比べて価格が975円ほど安いから、営業的に言えば売りやすくなったとは思う。新聞社も当初は、それが狙いやったようや。
しかし、新聞というのは安ければ売れるというものでもない。実際、S新聞にしても、朝夕セットで他紙全国紙と同価格の地域(大阪、奈良)での売り上げが最も多いわけやさかいな。
ただ、その他の地域では低価格にすることで売り上げを伸ばそうとしたと思うが、その廃止当初こそ、効果があったようやが、現在はそれほどでもないという。
もっとも、夕刊廃止に動いたのは、同じS新聞社の夕刊F紙が、日本のタブロイド紙としては講談社系の日刊G紙と、発行部数をほぼ二分しているということも理由としてあったと聞く。
すでに売れる夕刊紙を発行しとるわけやから、廃止しても構わんかったということやな。
ただ、大阪本社の方は、販売店組織の結束が強い地域では、未だに夕刊があるがな。
つまり、夕刊廃止により『さらに大変な仕事になっているのでしょうか』というのは、あまりそれとは関係ないと思うということや。
ただ、販売店により旨みがなくなったのは確かなようや。
朝夕セット地域で、朝刊のみという客に対しては、その販売店独自に価格設定をしてたというのがある。また、それが許されていた。
一般的に3100円〜3700円というのが多かったようや。それが、朝刊のみで2950円と決められたから、高く価格設定していた販売店ではかなりの減収になったと考えられる。
大阪本社での、販売店組織からの夕刊廃止の反対には、そういうことも影響してたのやないかと思う。
ちなみに、他紙全国紙では朝刊のみの場合、その販売店次第での価格になっとる。これについては、新聞社としての取り決めは特にないということや。
その減収幅が大きい販売店は大変やったやろうとは想像つくがな。
『10年前と現在とでは何か大きな変化はあるのでしょうか』というのはネットの普及に伴う新聞離れによる無読者の増加、人口減による購読者数の絶対数の減少などの要因で購読部数が、どことも軒並み減ってきとるというのが大きいと思う。
特に、新聞を読むことが当たり前という感覚の時代を生きてこられた大得意様でもある高齢者の方々の死亡というのが、新聞業界にとっては大きな打撃になりつつある。
加えて、昨年後半からの大不況により、新聞の購読を止めたいという人が急激に増え出しているというのもある。
実際、その手の相談が、このQ&Aでも目立って増えとるさかいな。
さらに不況は、新聞紙面の広告収入減少という事態まで招いとる。企業の多くが、そのメディアに対する広告費の削減を打ち出しとるのがその原因や。
結果、現在、大半の新聞社が赤字計上、およびその予想をしとる。未だかつて、新聞業界にこういう非常事態はなかったと思う。少なくもワシは知らん。
当然やが、それらが新聞販売店に影響せんはずはない。部数の激減以外にも、折り込み広告の減少というのも顕著になっとるさかいな。
10年前には考えられんかった事態やと思えばええ。
しかし、そんな大変な状況であっても、頑張っておられる新聞販売店は多い。
ピンチはその捉え方次第で必ずチャンスに変わる。これは、普遍の真理やと思う。
業界一丸となって、そのためにいろいろな工夫や知恵を出し合い、この難局を乗り切っていくものと信じたい。せめて、ワシらもその一助になればと思うとるんやけどな。
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