新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.688 マーケティング的な発想について


投稿者 ノルマルノルマンさん  投稿日時 2009..2. 7 PM 10:07


2.マーケティング的な発想について(NO.687からの続き)

新聞社はいわゆる報道に関する仕事であって、いわば情報を商品としているわけです。商品であれば、一般的には、マーケティング的な発想が必要になります。

情報を商品としている場合には、「どんな情報を、どんな人たちに対して、どのようなスタイルで提供していくのか?」そのようなことについて、明確な意識が必要になるはずです。

しかし、新聞は、まさに何百万部を発行しているだけあって、逆に言うと、そのようなマ
ーケティング的な発想を失念されているように感じております。

だから記事を実際に読んでいると、そのような記事が掲載されている媒体を、継続して受
け取る気がなくなってしまう・・・いわば、自分のような人間は対象外なんだろうなぁ・・・と感想を持つ・・・そのような人も多いのでは?

実際に私のような人間を対象外として認識した上で記事を作成しているのならともかく、想定している購読者のイメージ自体が具体的なものなのでしょうか?

それについてのご見解を賜れば幸いです。


回答者 ハカセ


『新聞社はいわゆる報道に関する仕事であって、いわば情報を商品としているわけです。商品であれば、一般的には、マーケティング的な発想が必要になります』というのは、私もそのとおりだと思います。

残念ながら、新聞社の新聞販売戦略にはそれが欠如していると言わざるを得ないと考えます。

もっとも、現場の新聞記者の方自身が「販売に関してはというと、あまり関心がないという他ありません」と言われているくらいですから、実際にも新聞社自体の考え、姿勢がそうなのでしょうけどね。

多くの新聞社では、紙面を作る編集部に絶対の権限があって、販売部、営業部というのはそれほどの発言権がないと聞きおよびます。

そのためどうしても新聞は制作サイドの思惑が強く反映するため、作りさえすれば売れるはずだ、あるいは、売るのは販売店の役目、拡張員の仕事と長く考えられてきた歴史がそうさせるのかも知れません。

ただ、新聞社が「販売に関して関心がない」という背景には、「新聞は不特定多数のすべての人へ情報を伝えるのが使命」との考えがあるとも言えます。

そこには最高のものを作っているという自負から、それに対しての評価や批判を意に介することが少ないようにも思えます。そんなものに振り回されていたら何も書けないという声も新聞社からは聞こえてきそうですしね。

もし、そう考えているのだとすれば、最初から『どんな情報を、どんな人たちに対して、どのようなスタイルで提供していくのか?』という疑問など持ち合わせる余地がないということになります。

政治経済の問題や事件事故、不祥事などの報道は、誰かを想定して、もしくは特定してするものではないと言われれば、そのとおりですからね。

真実を伝えるという一点に関して言えば、私もそれに対して反論はできません。むしろ、誰かに伝えるためだけにそれらを報道する方が、おかしなことだと考えますしね。

売れようが売れまいが、その考えを貫き通すというのであれば、それはそれなりの考え方のような気もします。

『だから記事を実際に読んでいると、そのような記事が掲載されている媒体を、継続して受け取る気がなくなってしまう・・・いわば、自分のような人間は対象外なんだろうなぁ・・・と感想を持つ・・・そのような人も多いのでは?』

ノルマルノルマンさんが、『そのような記事が掲載されている媒体を、継続して受け取る気がなくなってしまう』、あるいは『いわば、自分のような人間は対象外なんだろうなぁ・・・と感想を持つ』といったお気持ちになられるのは自由だとは思いますが、『そのような人も多いのでは?』と、私に水を向けられるのはどうでしょうか。

それについての確かなデータを持ち合わせているわけではありませんから、断定はできませんが、一般の購読者がそこまで考えているとは到底、私には思えません。

ゲンさんに尋ねると「新聞記事の内容が自分とは関係ないと考えるのが当たり前であって、拡張してて、その人の言うように自分が読むには対象外の記事やから嫌いやと考えるような人と出会うたことなんかないで」、また「断り文句にもそういうのはないな」と言っていたことからも、それが裏付けられるのではないかと思います。

このサイトへ、そのような意見が寄せられたのは今回が初めてでもありますしね。

もちろん、だからと言ってノルマルノルマンさんの考えを否定しているわけではありません。何度も申し上げますように、どのような意見、考えを持たれようとそれはその人の自由だと考えていますので。

ただ、『そのような人も多いのでは?』というご意見には、私としては、「多くはないと思いますね」としか言えませんが。

基本的に、新聞に掲載された記事についての善し悪しや情報の取捨選択は読者がすればいいと私は思います。

しかし、昨今の厳しい新聞業界の現状を考えれば、今までのその姿勢では、これからの新聞社の経営は難しいのは確かですけどね。

インターネットが普及する以前までだったら、まだ通用していた考え方かも知れませんが、現在のように情報が氾濫している社会にあっては、それまでの一人勝ちという感覚ではやっていけないと思います。

スポーツ紙やタブロイド紙のような面白味のある紙面にするか、購読層を絞った紙面構成への転換を計る、といったようなことが必要になると考えます。

『実際に私のような人間を対象外として認識した上で記事を作成しているのならともかく、想定している購読者のイメージ自体が具体的なものなのでしょうか?』

先にも申し上げましたとおり、「新聞は不特定多数のすべての人へ情報を伝えるのが使命」との考えがある限り、具体的な購読者をイメージして記事が書かれることは、まずあり得ないと思います。

一般的に文章を書く人間は、特定の読者を想定して書くということが基本の一つでもあるわけで、ノルマルノルマンさんもその観点で言われておられることだと思います。

それは私どもも同じで、例えば、このQ&Aの場合、まず相談者、次にその質問を参考にされるであろう読者を想定して理解して貰えやすい文章を書くように心がけているわけです。

メルマガでしたら、そのテーマ毎に読者を想定するといった具合ですね。

新聞の場合はそれがない、考えられないということだと思います。敢えて、想定していることがあるとすれば、成人向けということくらいでしょうか。

もっとも、それ以下の年齢に対しては「子供新聞」というのがありますけどね。

ですから、新聞社としては、字が読めるという条件さえクリアされれば、ほぼすべての人がその対象だと考えているということになります。

過去、このQ&Aに『NO.530 なぜ、女性専用の新聞が発行されないのですか?』 という質問がありました。

その回答で、ゲンさんは、


それにしても、女性向けの新聞というのは面白い発想やな。言われてみれば、そういうのがあってもええとは思う。

子供新聞というのは、将来を見据えた新聞社の戦略の一環として考え出されたものやから、それなりの方向性というのは、はっきりしとる。

ただ、その一方で、女性専用というのはどうかなという気もせんではない。

そもそも、新聞自体、男女の区別を念頭に入れて作られたものやないと思う。広く一般に向けてが基本にある。

もっとも、新聞の歴史は古く、封建時代から長く続いとるということで男尊女卑の思想が色濃く受け継がれとるのやないかと考えられたのかも知れんがな。

あるいは、新聞各社で、圧倒的に男性記者の方が女性記者よりも多いということもあり、女性に対する配慮に欠けとると感じられてというのも考えられる。

新聞のレディース版というものができたとして、具体的にどんな内容、情報がええのやろうか。

子供新聞やったら、毎日のニュース記事を子供向けにやさしく分かりやすく解説するというのは分かるが、それを女性向きにというのは、どうもピンと来んけどな。

女性の立場に立ったニュース解説ということなのやろうか。

しかし、それをコンセプトにした場合、新聞という範囲を逸脱することになると思うのやがな。

新聞というのは、事実を事実のままに伝えるというのが最大の使命やと考える。そこには、いかなる見方や思想も入る余地のない客観性がなかったらあかんものや。

もっとも、そうは言うても、記事を書いてそれを載せとるのは人間やから、まったくのイデオロギー(思考傾向)抜きというわけやないとは思う。

新聞各紙、同じ事件、出来事であっても、その記事の扱いが微妙に違うということは実際あるしな。また、そう受け取られても仕方ない記述や表現があるのも確かや。

ただ、そうであっても、女性受けする記事を書く必要性というのには疑問を感じる。もちろん、それが男性向けであっても同じや。

ワシらにとっても確かに、その方が面白い記事になり、売り込みやすいということに、つながるからええのかも知れんが、果たしてそれで新聞としての役目が果たされるのかと考えたとき、どうしても疑問符がつく。


と、言っていました。

ゲンさんは懐疑的なようでしたが、私はそれもアリかなと思います。

少なくとも、何も行動を起こさないよりはいいのではないかと考えています。


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