新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.694 店を辞めたいのに辞めさせてもらえません


投稿者 hinatan さん Y新聞専業員 大阪在住  投稿日時 2009.2.15 PM 8:19


ゲンさんはじめまして、こんにちは。

私は大阪でY新聞の専業員をしています。唐突なのですがご助言頂きたくメールをしました。

実は一昨日の事なのですが、雨が降る中バイクに乗っており、運転ミスでスリップ事故を起こしてしまいました。

その際、背中から腰を縁石に打ちつけ転がってるバイクを起こそうとした所、腰に強烈な激痛。

過去に腰椎椎間板ヘルニアをやっている私には直ぐにソレだと分かりました。

立っても地獄座っても地獄…同じ姿勢を取り続けるのが地獄でなりません。かと言って直ぐに手術が出来る余裕もなく妻と話し合った結果、私が三歳の息子をみながらリハビリ生活をして、妻が今の仕事で生活を維持すると言う事になり店に『働ける身体やないんで今日で辞めさせて下さい』と言う旨の事を告げたのです。

が、『通常、退職するなら辞める1ヶ月前に言うもんや。いきなり辞めるやなんて認められへん。法律で決まってるんやで。それやったら訴えるぞ』と言われました。

ゲンさん、良い助言をお願い致します。


回答者 ゲン


それが新聞配達中の事故が原因で腰痛が再発したということなら、病院に行ってその診断を受け、診断書でその証明をして貰えれば、労災保険が適用されるはずやから、辞める前にまずその申請をすることを勧める。

その販売店も『辞めるやなんて認められへん』と言うてるのやから、ちょうどええやろ。あんたにとっても、急いで辞めると言わず、それが治るまでゆっくり休養する方がええと思うで。

診断書にある怪我で仕事ができずに休むというのを拒否することは、どんな事業所でもできんことやさかいな。実際にそれを強要すればちょっとした事件にさえなりかねんことや。

堂々とその怪我が完治するまで休んどいたらええ。

ただ、あんたの所の代表者とやらは話の分からん人間のようやから、その労災を使うことに難色を示すかも知れんが、労災保険は強制摘要やさかい、いくらそこの代表とやらが拒否してもあかん。

サイトの法律顧問をして頂いている今村英治先生から、寄せられた情報に『ゲンさんのお役立ち情報 その1 労災についての情報』というのがある。

その箇所を抜粋する。


労災保険は強制適用です。従業員から保険料は一切徴収されず100%事業主が支払うものです。バイトも含め全従業員適用です。それどころか不法就労の外国人も労災法上は保護されます。

新聞店は適用除外業種ではないですから、法人だろうが個人だろうがいい逃れはできません。そして、事業主が保険料を払っていようがいまいが、また未加入であっても労働者は当然の権利として労災を申請できます。治療費は自己負担ゼロ。全額保険で出ます。

休んだ場合の休業補償は、貴HPにあるとおり4日以降から法律上では60%、また他の制度から20%支給され実質80%保障です。

亡くなった場合には遺族に対して、障害を負った場合は程度に応じて年金が支給されます。厚生年金との併用は可ですが一部労災保険が減額されます。

保険がおりない最初の3日間の休業補償は、労働基準法により事業主が支払うよう義務付けられています。

労災保険は雇用保険とセットになっており、このセットを労働保険と称します。旧労働省の管轄の保険です。

一方、健康保険は厚生年金とセットになっており、このセットを狭義の社会保険と称します。これは旧厚生省の管轄になります。

世間一般的には労働保険と社会保険をひっくるめて広義の社会保険と言っています。

今では上記役所は一体化されてしまいましたが、未だに縦割り行政は残っています。したがってアンケートにありましたように社会保険が未加入だから労災がおりないということはありません。必ずおります。

それから、労災を使うと保険料が上がるというのは、一定の要件に該当すると利用できるメリット制のことですが、新聞販売店でこれに該当するお店はまずないでしょう。労災事故があったからと言っても必ずしも保険料がアップするわけではないです。

ただし、未加入時に事故が発生し、事後加入すると、ペナルティーとして事業主は労災にかかった費用の40%を負担しなければなりません。

休業中に事業主が給料を払ってしまうと、本来もらうべき休業補償の額にも影響します。そこで給料という形ではなく、労災でまかないきれない部分を労災の上乗せ保険として民間の保険に加入している事業主も少なくないです。

高い社会保険料(健保・年金)と比べて新聞販売店の労働保険料率は労災5/1000 雇用19.5/1000(労8/1000, 使11.5/1000)合計24.5/1000にすぎません。 会社負担は16.5。

100万円給料を出しても事業主は16,500円の負担で済むわけですから民間の保険より著しくお得な保険です。

社会保険には未加入でも労働保険には加入しているという会社があるのも事実です。社保と労保では保険料の額そのものの差が大きい(労保は社保に比べてとても安い)という事情もさることながら、ペナルティーの有無も大きく影響していましょう。

労働基準監督署という役所は労働法上における警察権を行使できます。労災隠しには非常に厳しく下手したら懲役くらう可能性もあります。

また労働保険の未加入については今後非常に厳しい取締りが予想されます。

ゲンさん、ハカセのご両名におかれましては新聞業界全般において、こうした国の制度を広く浸透させ、不幸にして労災事故にあってしまい社会的弱者になってしまった場合でも救済措置があるんだという認識をお仲間たちにも持っていただけるよう機会がありましたら教えてあげて下さいませ。


ということやから、配達中、および通勤中などの業務時間内の事故が原因の怪我であることが証明される診断書でさえあれば、何の問題もないはずや。再発かどうかも、あんたが判断するのやなくて医師の診断に委ねたらええ。あんたの話やと間違いなく、その事故の怪我やと認定されるものと思う。

その診断書を提示しても尚、その販売店が何も対応しようとせんのやったら、あんたの場合、大阪労働局・労災保険のページ に行ってその手続きに関して問い合わせたらええと思う。

但し、それが仕事以外のプライベートな事故のケースやと、その労災保険の適用というのは無理やろうが、その場合でも、仕事ができんのやから怪我が完治するまで休暇申請はできる。その場合に備えるためにも一応診断書を取っておくことや。

その販売店との就業規則、あんたの勤務期間次第で有給休暇の申請も可能やから、それを利用する手もある。それを認めんということであれば、管轄の労働基準局に相談に行けばええ。

こちらの方は、大阪労働局・労働基準監督署所在地一覧で該当の地域を調べられたらすぐ分かるはずや。

ちなみに、『通常、退職するなら辞める1ヶ月前に言うもんや。いきなり辞めるやなんて認められへん。法律で決まってるんやで。それやったら訴えるぞ』というアホな話はない。

法律で決まっとるのは、解雇する場合、労働者に対して30日前に予告通知する義務が事業所にあるということで、労働者は嫌なら自由に辞めても法的な拘束を受けることはない。それも怪我などのやむを得ない事情で辞めたいという人間に対して、訴えることなんかできるわけがない。

それを通告しても同じことを言うようやったら、その会話を録音したものでも持って、その管轄の労働基準局に相談すればええ。そうすれば間違いなく、その販売店はお灸を据えられるはずや。

もっとも、新聞販売店の代表としたら、人手不足による配達人の手配ができんということで、そう言いたい気持ちは分からんでもないが、怪我人に対して気遣うことすらできん所で誰も仕事したいとは思わんわな。

おそらく、その販売店では人は長続きせんのやろうなと思う。そういう販売店の代表者のような考え方やと、これから先はないと思うで。気の毒やが、自業自得というやつや。

まあ、いずれにしても、労災保険の適用と休業申請をして、保障して貰えるものはすべて保障して貰って、辞めるかどうかの結論はその後でええのやないかな。

その販売店がいくら必死になってもどうにもならんことやさかいな。もし、辞める段になって、しつこく訴えると言うようやったら「どうぞお好きに」とでも言うて相手せんことや。

このケースで唯一、問題があるとすれば、あんたが住んでいる住居が販売店所有もしくは借り受けとる場合やが、それやと、すぐに退去させられる可能性がある。

例え、その販売店に借金していたとしても、今日び借金を理由に拘束することはできん。

まあ、それらの心配をされておられんところをみると、それはないようやから、何の心配もいらんやろうがな。


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