新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.697 支払の滞りがちなお客様への「集金可能な時間帯」の件です
投稿者 たかみずさん 某全国紙販売店経営者 投稿日時 2009.2.17 PM 4:51
ゲンさん、ハカセ様
お久しぶりです。たかみずです。
すっかりご無沙汰をしております。しかし、ホームページはほぼ毎日Q&Aコーナーを覗かせていただいております。
「一つの事柄でも売る側、買う側と様々な物事の捉え方があるもんだ」と、自身の思考の偏りを防ぎ、売り手側だけの押し付けの行動にならない様に参考にさせていただいております。
さて、今回は質問を一つさせていただきます。
支払の滞りがちなお客様への「集金可能な時間帯」の件です。
※金欠ではなく、伺っても不在が多く(自振やカード払いなどの非接触型の集金方法も取り入れてくれない、前払いも×)なかなか合えないが、電話にも出ない、一人暮らし、しかし会えた際にははまとめて払ってくれる。
上記の様なお客様に対しての集金に伺う時刻についてですが、溜まってもまとめて払ってくれることがあるからといって毎回不在を承知でもあえるかもしれないという僅かな希望の為に行かなければならない、集金担当の人もこういうお客様の残証を抱えると精神的に嫌だし、いかんせん突然引越しや先方の経済状況の変化によって残証が焦げ付く可能性もあります。
お店には悲しくも残紙の山があり、仕入れが増えるわけでもないので配達拒否をするでもなくお届けしているのが現状です。
@お客様に対して、何時〜何時までなら新聞代金の集金に伺えるのでしょうか(法律的に)
A時刻の制約があったとして、某(なにがし)かの通知をしておけば時間外でも伺ってもいいのか
B他の販売店でそんなお客様に対して何かの必殺技があるのか?
C国語力(作文)能力の鍛え方
書いているうちに訳が判らなくなっていましたが、いかがなもんでしょうか。
どうぞ宜しくお願い致します。
回答者 ゲン
『@お客様に対して、何時〜何時までなら新聞代金の集金に伺えるのでしょうか(法律的に)』ということやが、新聞販売店は貸金業と違うて、集金時間の制限というのは法律では規制されとらん。
もっとも、一般常識というのがあるから、新聞販売店として法律に規制されらんからと言うて、いつでもというわけにはいかんわな。
そうするとトラブルのもとやし、それにより大事な客を失いかねんさかいな。それに、そんな風評が立つことで店としてもマイナスのイメージを持たれることになるのは避けたいところやろうしな。
一般の常識としては、午前9時以降から午後の9時ないし10時頃までが集金できる時間の限度やないやろうかと思う。もっとも、その時間内であっても客が就寝していたら、それも拙いわな。
新聞販売店の集金人の中には、早朝の配達中に客を叩き起こすという人間が、まれにおるようやが、これも常識はずれやし、トラブルのもとや。止めといた方がええ。
『A時刻の制約があったとして、某(なにがし)かの通知をしておけば時間外でも伺ってもいいのか』
これはそれでええと思う。
但し、その通知には、「本日、○時に集金に寄せていただきましたが、お留守でしたので、再度、○日○時に寄せていただきたいと考えています。つきましては、ご都合のよろしいお時間などがございましたら、お知らせいただければ助かります」とでも書き添えておいた方が無難やろうな。
連絡がなければ、その日時に行くのはええやろうと思う。暗黙の了承と受け取れんこともないさかいな。
少なくとも、こちらが誠意を見せたということで、相手が文句を言うても対応することはできる。
『B他の販売店でそんなお客様に対して何かの必殺技があるのか?』というのは、普通は電話をするか、先ほど言うたような通知したメモ書きなどをポストに放り込むことくらいやと思う。
ワシなら、その契約の最初の段階で、集金時間も聞いておくがな。それをカードに書くこともある。
勤務先に電話するという販売店もあるようやが、それは相手次第でしてもええ場合もあるけど、揉める可能性が高いやろうから止めといた方がええと思うな。
『電話にも出ない、一人暮らし、しかし会えた際にははまとめて払ってくれる』ということなら、会えるまで行くしかないやろうと思う。
その会えた時間を覚えておいて、次回もその時間帯に行くか、もしくは、その客に次回の都合を聞いておくことや。それをはっきり言わん場合や難色を見せる場合は、面倒でも会えるまで通うしかないやろうな。
ただ、あんたが『集金担当の人もこういうお客様の残証を抱えると精神的に嫌だし、いかんせん突然引越しや先方の経済状況の変化によって残証が焦げ付く可能性もあります』ということで、その客はどうでもええ、あるいは切ってもええということなら、揉めるのを覚悟で「決まった集金日時を教えていただかないと困ります」と強気で言うのも手や。
その客が、その新聞の購読を続けたいのなら、それに応じるやろうし、そうでもなかったら「そんな言われ方するのなら止める」と、怒り出すかも知れん。
なかなか難しいことやが、こちらが困っているとはっきり相手に伝えることも必要な場合がある。客によれば、その事にまったく気づかん人間もおるさかいな。
ワシの方からは、こんなところや。
最後の『C国語力(作文)能力の鍛え方』については、ハカセから聞いてほしいと思う。
回答者 ハカセ
私は、人に文章がどうのと言えるほどの自信家ではありませんので、ゲンさんからそう振られても困るのですが、分かる範囲内ということでよろしければ、お答えしたいと思います。
まさか、プロとしてというのでないと思いますので、一般的な文章としてお話します。
『C国語力(作文)能力の鍛え方』というのは、それが何のために必要なのかによって大きく違ってきます。また、それを読ませたい相手次第というのもあります。
一般的な文章は、相手にこちらの意図が的確に伝われば、それでいいわけですから、なるべく端的に分かりやすく書くことが必要になります。
ただ、この分かりやすく書くというのは、これで結構、難しいところがあります。
一つには、書き手が常識だと思っている事や分かり切っていると考える事が、相手にとってはそうでもないという事が往々にしてあるからです。
例えば、新聞販売店では常識となっている業界用語などは、それ以外の人には、まったく意味が通じない場合があります。
今回の質問の中に『お客様の残証を抱える』という文章がありますが、これの「残証」というのは業界関係者なら誰でもすぐに何か分かりますが、一般の人には理解されない可能性があります。
このような場合は「残証」のすぐ後に()で「領収書」とした方がいいでしょう。
『お客様の残証(領収書)を抱える』という具合ですね。それでおおよその意味が通じるはずです。
もちろん、「残証」というのは、厳密に言えば領収書のことだけではなく、この業界特有の「証券」という集金業務の確認のためにある必要なものなわけですが、そこまでは一般の人に説明する必要はないと思います。
文章を書く上では、この理解されない可能性があるということに気づくことが肝心になります。
もっとも、たかみずさんがこれを書かれたのは、私どもへの質問としてですから、そこまで考える必要はなかったわけですので、間違いだと指摘しているわけではありません。
ただ、その読み手に、その業界関係者と違う人がいると想定される場合は、やはりその想定する人すべてに分かりやすくを心がけるべきだということが言いたかったわけです。
たかみずさんが、どの程度のレベルを望まれておられるのかは分かりませんが、頂いたご質問の文章を拝見する限り、あまり問題があるとは思えません。
今のままで、十分、相手に伝わる文章となっていますので、そのままでよろしいかと思います。
この文章については、プロの作家でも日々、頭を悩ませながら書いているわけで、その心得のない人にはとても難しい作業だと言えます。
私も常に悪戦苦闘しながら書いています。正直言って、未だに満足のいくような文章が書けたという自信はまったくありません。そんなものです。
中国唐の時代の賈島(かとう)という詩人が「僧は推す月下の門」がいいか「僧は敲(たたく)月下の門」にするかで悩んだという有名な故事があります。
普通の人にとっては、どちらでも良さそうなものですが、その文章を書く本人にとっては、「推(おす)」にするか「敲(たたく)」にするかというのは、とても重要な意味を持つものなのです。
結果、賈島は「僧は敲(たたく)月下の門」にしたわけですが、私は「僧は推す月下の門」でもいいと思っています。
おそらく、誰にもその正解は分からないのではないでしょうか。
だからこそ、その故事が文章を何度も吟味するという意味の「推敲」という語源になったわけですから。
この言葉一つ一つの選択が文章を形作っていきますので、それには正しい語句、意味の分かりやすいものを良く考えて選ぶ必要があります。
そのためには誤字、脱字もなるべく避けなければなりません。
もっとも、これに関して、私にはあまり大きなことは言えませんけどね。
実は、有り難いことにこのサイトの読者の中には、その誤字、脱字を逐一知らせてくれる人がおられますので、一見して、サイトにはそういうのが少ない印象を持たれるかも知れませんが、本当は間違いの多い人間なのです。
その間違いを少しでもなくす方法は、まさに推敲を重ねるしかありません。
私は、一つの文章を書き上げると言葉使いが適切か、誤字、脱字はないかなど、一応、最低、三度は見直すようにしています。もっとも、それでも、その誤字、脱字があるわけですが。
たかみずさんの場合は、お客さんに分かって頂ける文章がしっかり書けたらいいということだと思いますので、今、私が言ったことを理解されるだけで十分だと考えます。
この文章の話になるとキリがありませんので、今回はこのあたりにさせて頂きたいと思います。また、何かありましたら、いつでも気楽に質問してください。喜んでお答えしますので。
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