新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.698 なぜこのような複雑な営業体制が存続しているのですか


投稿者 pa さん  投稿日時 2009.2.22 PM 7:43


NO.695での明確なご回答ありがとうございます。いつもROM専でしたが、投稿して励みになりました。

また別角度からの質問になりますが、ご意見お聞かせ下さい。

@専拡、専業、本社管轄等営業部隊、本社並びに地区のSHやSAT、団、この五つは何が違って、何にメリット・デメリットがあるのですか、また、なぜこのような複雑な営業体制が存続しているのですか。

ちなみに、SHとはスーパーヘルプの略で、Y社の東京圏西部(多摩地区)で、たぶん全国的と思いますが、ある販売店の部数増の為、近隣販売店の専業が集められ5人から15人程度で、拡張を行います。特拡の一種です。

SATとは、A社の制度でスペシャル、アタック、チームかスーパー、アタック、チームの略です。

SHとは基本的なコンセプトが違うのですが、販売店の役職者クラス(店長や主任だけ)がSATに登録すると本社経費で、月3万円程度給与に上乗せされます。

本社の意向を聞かない改廃店の引き継ぎ業務を、専属部署を設ける代わりに、保険的な役目です。

改廃が出なければ、無駄経費ですので、餌で釣られて特拡に出ることもあるそうです。刺繍入りのYシャツが支給されます。

A私のバンクは関東圏です。B券ぶつけ合いから拡材戦争に移り変わり、ブツが違うだけで同じことの繰り返しです。B券20枚がスーパードライ2ケースに変わっただけです。でもこの物々交換も限界です。

拡材経費が絞られた今、次の拡材はSしかないと思います。

このSに対して関西圏におられる、ゲンさんの考え方と、S競争になった場合の、固定読者への言い訳はどうするのでしょうか。

BM社がB券を廃止したのは本当の話ですか。

CN社が儲からないとの話は、真実ですか。


回答者 ゲン


@の質問から順番に答えるとする。

専拡とは専属拡張員の略で、新聞販売店が独自に雇う専属の営業員と、拡張団からその販売店だけの拡張をするために派遣される拡張員の2種類がある。

たいていは前者を指してそう呼ぶことが多い。これは昔からあるものやが、ここ最近、多くの販売店でその専拡を雇うケースが増えつつあるようや。

その理由として、古来からの拡張団が縮小、あるいは廃団になり拡張員の絶対数が減ってきたということ。悪質な拡張員の出入りに辟易(へきえき)した販売店が従来の拡張員を必要としなくなったこと、などが挙げられる。

『何にメリット・デメリットがあるのですか』というのは、どの立場で見るかによって違うてくる。

前者の専拡の場合は、販売店にとってメリットがあるということになり、従来から出入りしていた拡張団にとっては、その専拡がいることで、その販売店への入店頻度や人員が減り、契約数が減少する可能性大やから、デメリットになると言える。

後者は、販売店が特定の拡張団に、気に入った拡張員だけの出入りを要請した結果、そうなったもので、販売店は気心が知れて安心でき、拡張団もそこでのカードが増える場合が多いから、双方にとってメリットになり、デメリットはあまりないと思う。

専業というのは、新聞販売店の専業従業員の略、社員のことで、配達、集金、営業の俗に言う3業務をするのが普通や。

営業だけに限ると、他の配達や集金をしていることもあり、拡張員と比べると営業に費やす時間が限られる。営業の大半は、止め押しという継続依頼が多い。新勧の獲得契約数は人にもよるが総体的に少ないというのが一般的な評価や。

販売店が専業に営業をさせるメリットは、その報酬額が拡張員への支払いに比べると圧倒的に安いということがある。デメリットは、その営業力の弱さということになる。

中には凄腕の専業もいとるが、平均すれば、やはりプロの営業集団である拡張員には遠く及ばんさかいな。

本社管轄等営業部隊というのは、平たく言えば、新聞社の資本が100%入った子会社のことで、表面上は別会社としての看板を上げとる拡張団ということになる。

一般の拡張団に比べて、その募集の段階で厳しく審査、また入社後の研修というのもしとる所が多いから、まともな営業員が多いと見られている。

実際、不法行為などが発覚したら即座にクビもあり得るから、ヤクザまがいの違法行為を働くような拡張員は少ないと思う。また比較的、女性や若い人間が多いのが特徴と言える。

メリットは、トラブルが起きにくい、新聞社、販売店の評判が上がりやすいこと。デメリットは、従来の拡張員と比較すると一人当たりの契約数が少ないことが挙げられる。

SHというのは、『たぶん全国的と思います』ということやが『近隣販売店の専業が集められ5人から15人程度で、拡張を行います。特拡の一種です』というのは、ワシらの方では聞いたことはないな。

そちら方面特有のシステムやないやろうか。

『ある販売店の部数増の為』ということなら、ワシらの方でもそのための特拡というのはあるが、その場合は、団の人間、30名〜40名くらいでやることが多いがな。

SATという『本社の意向を聞かない改廃店の引き継ぎ業務を、専属部署を設ける代わりに、保険的な役目です』のは、これはおそらく、そちらの秘密部隊みたいなものやないのかな。

この存在をハカセが実際に新聞社に問い合わせたが、そのような組織、仕組みはないという返事やったというさかいな。例えあったとしても、公にはしてないということなのやと思う。

これは、穿った見方をすれば、販売店を改廃させるための強制的な組織のようにも見えるさかいな。

普通に考えて『本社の意向を聞かない改廃店』というのは、『本社の意向を無視する販売店を改廃させる』と解した方が自然やと思う。

もし、そうなら、いろいろ問題の含んだ組織のようにも考えられる。

悪いが、このSH 、SATとも、その実態が良う分からんから、ワシにはそれについてのメリット、デメリットには言及できん。

団(拡張団)については、今更、あんたに説明するまでもないと思うが、その詳しい成り立ちなどが知りたければ、旧メルマガに『第50回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■拡張員事情の昔と今』というのがあるから、それを見て貰えば分かると思う。

『なぜこのような複雑な営業体制が存続しているのですか』ということやが、一言で言えば、歴史の積み重ねがあるからやということになる。

それらの仕組みは、すべて一朝一夕にできたものやない。それなりの経緯、紆余曲折を経て、必要に迫られ出来上がったものばかりやと思う。

この業界にも他と同じで、過去に無数の仕組みが生まれては消えるということを繰り返してきた。世の中の仕組み全体に言えることやけど、それが必要、もしくは機能しているものだけが残ったということや。

それに尽きる。

Aの『S競争になった場合の、固定読者への言い訳はどうするのでしょうか』ということやけど、S(エス)と呼ばれる新聞の無料期間サービスは、関東方面では少ないようやが、全国的なことで言えば、こちらの方が主流やと言える。

地方紙やブロック紙のほとんどは取り入れられとるし、全国紙でも地方では、その地方紙などと張り合う手前、拡材と二重仕立てのサービスとして使うとる場合が多い。

この質問は、あんたの関東方面でそうなった場合のことやと思うので、そのつもりで答える。

「今後は、景品表示法という法律で、サービス品を渡せる上限が今より厳しく規制されますので、各社とも無料期間サービス中心になります。こちらですと、その法律に触れませんので」と言えばええ。

6.8ルールというのは知っておられると思う。景品表示法で、景品の最高額を取引価格の8%又は6ヶ月分の購読料金の8%のいずれか低い金額の範囲内と決められとるというものや。

これには、無料期間サービスの新聞は除外される。これは実質的な値引きになると判断されるからや。値引き行為そのものは独占禁止法で禁止されとらん。

景品表示法どおりのサービスを守るとすると、最高でも2000円弱までの商品しか渡せんということになる。全国紙の朝夕セット地域やと1884円がそのサービス品にかけられる上限となる。

もっとも、それを厳守しとるかどうかは何とも言えんがな。

それに比べ、S(エス)と呼ばれる新聞の無料期間サービスは、全国的に見ると1年契約で3ヶ月というのが普通や。これを金額に換算すると、実に11775円にもなる。

これが、景品表示法ではお咎(とが)めなしとなる。

せやから、単純に、「この無料サービスの方が断然、お得ですよ」と言えばええだけや。そちらの方で、そのサービスが浸透してないとすれば結構、有効なトークになるのやないかと思うがな。

念のため、客に、そのS(エス)と、缶ビール2ケースのサービスとどちらがええかを選ばせて、それでS(エス)を選んだ場合は、たちまち、その景品表示法に触れて違法となるから気をつけなあかんで。

S(エス)に例え洗剤1個プラスしても、その法律に触れる。それをする場合は、最初からS(エス)だけを勧めなあかんということになる。

それが、この法律のややこしいところで、何でそんなことになるねんと思う前に、そうやと納得して覚えるしかない。所詮、法律とはそんなものやと。

ただ、そのS(エス)と呼ばれる新聞の無料期間サービスについては新聞社が許可したり公認したりのすることはまずないと思う。どこの新聞社も新聞社が行う値引き行為以外は一切認めんというのが公のスタンスやさかいな。

参考までに、全国紙の朝夕刊セット価格、3925円というのは、新聞社に言わせると、それ自体がすでに特別割引価格で、定価とは違うわけや。定価やと思うとる人が多いがな。

駅、コンビニ売りの新聞は朝刊130円、夕刊50円というのが定価として売られている。両方で180円。これを30日買ったとすると、5400円になる。

本来は、この5400円が1ヶ月の定価にならなおかしいが、新聞は配達サービス込みで3925円、実に1475円の3割近くも値引きして売っとるというのが、新聞各社の説明になっとる。

つまり、これができる背景には、値引き行為自体が独禁法の補完法としての景品表示法に抵触せんということがあるからや。

それが故に、ほぼ全国的にこのS(エス)というのが、サービスの主流になっとると考えられるわけや。

但し、ここから先の値引きを勝手に販売店がすると、景品表示法には触れんが、新聞の場合はその法律とは別に、新聞特殊指定(新聞業における特定の不公平な取引方法) で禁止項目というのが設けられとるから、それに抵触する可能性が高くなる。

その禁止項目の第一項に、『日刊新聞の発行業者は、直接、間接を問わず、地域、相手により異なる定価や定価を割り引いて販売すること』というのがあり、その統一されん値引き行為が事実上、禁止されとるわけや。

これに抵触すると、その新聞特殊指定禁止項目違反として、その見直しということになり、実質的に新聞を保護している再販制度が骨抜きになる。少なくとも新聞各社は、それを恐れとる。

せやから、立場上、新聞社としては、その値引き行為となるS(エス)を公には認められんということや。

しかし、その割合は定かやないが、新聞販売店の中には、直接、取り締まりを受ける景品表示法には抵触せんということで、新聞社の意向を無視して勝手にそれをしとる所もある。

あくまでも、それを新聞社は知らんという立場や。その実態は違うとは思うがな。新聞社がその事実を知らんわけはなく、当の監視する立場の公正取引委員会もそれを把握済みなのも間違いない。

単に見て見ぬふりをして見過ごされていただけやと思う。

結論として、今までそのS(エス)が行われていた地域はそれほど問題視されんやろうが、これから新たにそれをするとなると、果たして新聞各社が目をつぶるか、また、半ばその実態を容認気味やった公正取引委員会が、その事実を知ってどう対処するか、そのあたりは微妙なところやないかな。

いずれにしても、現場の人間は、上が下した決定や指示は守るしかないから、そのS(エス)が導入された場合は、先ほど言うたようなことを客に説明するのがベターやと思う。

『BM社がB券を廃止したのは本当の話ですか』というのは、悪いがその情報はまだワシらには入ってないから、何とも答えようがないな。

関東の方では、A紙とY紙で去年の4月1日から金券廃止になったというのは聞いて知っていたが、その他の新聞系列の販売店で禁止という風にはなってなかったと聞いとる。

ただ、その流れが定着すれば、その他の新聞社もその地域での追随があってもおかしくはないとは思うてたがな。

ちなみに、同じA紙やY紙でも、その他の地域ではビール券や商品券は未だに使われとるところがあるから、全国的に禁止ということでもないとは思う。

ただ、販売店の自主規制、方針としてその金券からカタログ景品サービスへ移行しとるケースの方が多いようやが、それも徹底されとるとはとても言い難い状況やないかな。

販売店次第で、それぞれやというのが一番確かな答えやろうと思う。

実際、ハカセの住む地域の販売店からは、毎年1年契約で5000円の商品券を持ってきとるという事実もあるさかいな。

『CN社が儲からないとの話は、真実ですか』というのは、他の幾つかの大手の全国紙が赤字に転じたと発表したことで、新聞業界全般が苦しくなっとるのは確かやから、まったく影響がないとは言えんやろうが、経営的には新聞社の中では比較的安定しとる方やと思う。

ただ、儲かるか儲からんかということになると、以前と比べると計上利益が減っているということのようやから、儲からんようになったと言えるかも知れんな。もっとも、赤字の新聞社からしたら儲かっとるやないかとなるやろうがな。

以上が回答のすべてやが納得して貰えたやろうか。


この件に関する情報が寄せられたのでお知らせする。


追記 SAT・・・懐かしい名前に、ピピピときました

投稿者 カズさん  投稿日時 2009.2.27 AM 0:07


懐かしい名前に、ピピピときました。

関東のお話。SAT・・・本社が裏で指示をだし販売1部のA連合会が中心となり専業エリートのSAT隊員誕生です。

その後、各地区SATが誕生です。あくまでも地区のA会が中心となり全店受け入れ調整、集計、報告。基本はレンカンです。1年交代。

まだやってたのか〜。

8・9年前くらいからかな。でも似たようなのは昔からあったよ。Y紙、 所長研修とか助担当員研修とか、地区の応援〜などなど。

たぶん9年前くらい前に机上の理論で専業に拡張員の代わりを期待して本社のお金も少し使って始めたと思います。

個人経営が多い中、配達・チラシ・集金をやっての新規拡張はムリでしょう。

今はどうなんでしょう。社としてまだ大型店舗を目指してるのでしょうか。4000部以上のお店で無いと生き残れないと思いますが・・・・。

大型店にして集金・チラシはアルバイト、専業は代配と営業これを一時目指してたと思います。

SATは連帯感を生みますね。実はあれは眠ってる店、専業への刺激策だったんですよ〜。だって地区の成績、即公開ですから。

もちろん無茶する人もまれにいましたよ。それに簡単に揚げられたら恥とする所長もいましたので、お店の応援?いらない辛い資料でどうぞ。

意外に思われるけど、この業界あまり他店の内情は知りません。地区SATで月とスッポンを知るようになります。任務が終わった後、下を向いて家路に着く人もいたのでは?

人間は孤独だからこそ連帯感、使命感が必要なんです。誰にも気付かれなくても、あったかな心がある。新聞を本当に待っている人がいる。お互い孤独だから新聞を通して生きてる証が欲しいんです。


書籍販売コーナー 『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでも選集』好評販売中


ご感想・ご意見・質問・相談・知りたい事等はこちら から


Q&A 目次へ                                 ホーム