新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.700 契約があるのに支払いが困難な客について
投稿者 Uさん 販売店従業員 東京都在住 投稿日時 2009.3. 3 AM 8:03
いつも拝見しております。大変参考になります。
最近不況のせいかお客様から、支払いが困難などの理由でしばらく休読したい、または解約したいとの電話が販売店によく来ます。
契約があるお客様には、解約は出来ませんと申し上げますが、支払いがきついといわれると、しばらく配達を休止しましょうかと言ってしまいます。私も集金をやっておりますので。
そうなると再入は電話待ちの休読という扱いになりますが、集金額が減るのと、再入電話待ちの客は本社から見た実売部数としてカウントされないとの理由で店側からみると困るようです。
店の経営者からすれば、拡材費がかかり、カード料が払われ、それで再入の見通しの立たない長期休止の客が増えては堪らないのはわかります。
しかし、そのお客様から契約を取った営業担当や当該区域の担当専業が疑われたり責められるのも困ります。(新聞取りたくなくなったらお休みすれば新聞代は発生しませんよといって拡張しているわけではありませんので。)
お客様の中にも我々から見れば普通の暮らしをしているようにしか見えないのに、支払いが困難だと言い張る方が見受けられます。
私も口下手だったり修行が足りないもので、こんな時どう対応すればお店側もお客様も納得するでしょうか?
ゲンさんならどう対応されますか?
宜しくお願いいたします。
回答者 ゲン
『最近不況のせいかお客様から、支払いが困難などの理由でしばらく休読したい、または解約したいとの電話が販売店によく来ます』というのは最近、良く聞く話や。
それに伴い、『支払いがきついといわれると、しばらく配達を休止しましょうかと言ってしまいます』と言うのも仕方ないわな。
「契約やから取り続けてほしい」と強行に言えば揉めて、今後、その客から二度と契約が貰えんようになる恐れがあるさかいな。
ワシも、客側からそういう相談を受ければ、「しばらく休止して貰うよう頼めばええ」とアドバイスしとるし、たいていの販売店はそれを受け入れとる。
ただ、その場合でも、『そうなると再入は電話待ちの休読という扱い』というのは、どうかと思うがな。
それやと、その客の善意にすがるしかなく、永久に再入の電話が来んということも考えられる。それではあかんわな。
『お客様の中にも我々から見れば普通の暮らしをしているようにしか見えないのに、支払いが困難だと言い張る方が見受けられます』というのも確かにおるな。
そういう相手には、契約者としての責任があると法的根拠を示して契約期間の全うを促すしかないやろうなと思う。
総体的に、そういう人は、新聞の購読契約程度のものは簡単にいつでも解約できると思い込んどる場合が多い。
そういう人には、契約は法律で保護されているという根本的なことを説くしかないということや。
現在が不払い状態やというのなら、販売店の判断も必要やが、一応、支払いを続けとるようなら道理は弁えとるはずやさかい、それで押し通せば今回の契約に対しては、それほど問題はないやろうと思う。
ただ、そういうタイプに次回の契約を期待するのは難しいかも知れんがな。
いつ購読が開始されるのかが分からんというのでは、『本社から見た実売部数としてカウントされない』というのも仕方ないし、それでは店側が困るのも当然やと思う。
『こんな時どう対応すればお店側もお客様も納得するでしょうか?』というのは、それほど難しい問題やないと思う。
休止をするのなら、その期間を決めて、それを契約書に書き込んでおけばええだけのことや。
たいていの客なら、それに応じるはずやし、それがあれば販売店も安心するやろうと思う。
この契約書に書いておくということが重要で、それがないと言うた言わんの水掛け論になり、その休止が休止と判断されん場合も考えられるさかいな。
客によれば、「この不景気やから、いつ再読できるようになるか分からん」と言うケースもあるやろうが、「なるべくお客さんには便宜をお図りしたいのですが、いつまでという休止期限を店に報告しないと私どもの立場がありませんので分かってください」と、言えば、「そんなの無理や」とまで言う客は少ないと思う。
販売店にもよるが、3ヶ月ないし6ヶ月という期間を決めておけば、ええのと違うやろか。
それでも難色を示す客には「確かに今は不景気ですが、こんな状態はいつまでも続きませんよ。もし、お約束の期間まで待っても同じような状況でしたら、そのときはまた、ご相談に乗りますので」と言うのも手やと思う。
ただ、そのとき「大丈夫ですよ。そのときになったらまた延ばせばいいですから」というような安請け合いはせん方がええで。ヘタしたら、あんたの立場が拙くなるさかいな。
実際、景気というのは変動のあるもので、ええときも悪いときもそう長く続くもんやない。悲観的な人間は、今の状態がこの先も延々と続くもんやと考えがちやがな。
今の不況とやらも、ほんの2、3ヶ月前に始まったもので、悲観的な思考の大企業のトップ連中が、目先の利益が減ったことでバタバタと慌てた結果にすぎんと思う。
それに煽られた株式市場がパニックを引き起こしただけやと。
まあ、一口にそう言い切れるほど事は単純やないかも知れんけど、「こういう急激な悪化は反発するのも早いはずですから、すぐ持ち直しますよ」という説得くらいはできるのやないやろか。
実際、その可能性が高いと個人的には思う。
ワシは57年の人生で、何度か不景気と称する事態を経験してきた。
古いところでは、1973年のオイルショックというのがあったが、あの頃は、店先からトイレットペーパーや洗剤が消え、デパートではエレベータが止まり、テレビの深夜放送が中止になり、街のネオンさえ消えたことがあった。
但し、その多くは、実際の不況以上の風評による影響が強かったとワシは見とるがな。
考えたら、すぐ分かることやが、当時のオイルショックというのは、中東で第4次中東戦争が勃発したことにより石油が日本に入って来んようになったのが原因やった。
トイレットペーパーや洗剤は、その石油不足とは直接何の関係もないものや。
誰かが広めた、「トイレットペーパーがなくなる」、「洗剤が手に入らんようになる」という根拠のない噂に皆が振り回された結果にすぎんわけや。
余談やが、新聞の拡材に洗剤が多くなったのもこの後からで、ちり紙交換にトイレットペーパーが使われ出したのも、この頃からやと言われとる。まあ、その風評に便乗したということやな。
事ほどさように、風評というのは世間に与える影響が大きいわけや。
現在は、まだそこまでの状態やない。ただ、実際以上の風評が景気を悪化させとるのは、その頃と良く似とるがな。
その頃、新聞はどうやったかと言うと、どの新聞社もその時期に急激な部数増を果たし、世間とはまったく逆の現象が起きていた。
むしろ、新聞は、そのオイルショックが招いた不況があったからこそ、驚異的に伸びたとさえ言えるほどや。
なぜか。それは、偏(ひとえ)に情報の重要性が認識されるようになったからやと思う。
特に、中東の情勢は、新聞を通じてというのが、その頃、最も得やすい情報源やったわけや。
今は、インターネットというのがあるから、その当時と比べることは難しいかも知れんが、それでも新聞にはいろいろな情報が載っているという強みがあるのは確かや。
そこで、最後の質問の『ゲンさんならどう対応されますか?』ということになるわけやが、ワシなら、その情報の必要性を休止したいという人に根気良く説明するやろうと思う。
「新聞というのは、これで結構、いろいろ生活の知恵や役立つ情報が満載されていますから、こういうときにこそ見直されて読まれたらどうですか。きっとお役に立ちますよ」と。
実際、新聞紙面にはそういうのも多いし、普段なら気がつかん情報にも気づかせて貰えるということがある。
確かにインターネットというのは情報量は多い。しかし、それは多くの場合、それを探す人にしか目的の情報を得ることはできんものや。探さんかったら、その情報を目にすることはまずないと言うてええ。
インターネットではリンクという、芋掘りに似た作業が中心やさかい自然にそうなる。それをすることにより、目指す芋が多く取れるのは間違いないやろ。
しかし、それでは横の畑にあるスイカには気づきにくい。
新聞は、ある特定の情報を詳しく調べるという点ではインターネットに比べて弱い。
ただ、新聞には興味のない情報でも視覚的に飛び込んでくるという要素がある。それが、ときとして、その人にとっては重要な情報となる場合がある。
それにより芋畑の横にスイカ畑の存在を知ることができるからや。いくら芋が好きでも、誰しもスイカも食べたいと思うやろ。
「新聞には、そういう情報が得られやすいですから、読み続けられても損にはならないと思いますよ」と説得するわけや。
「こういう時代だからこそ、情報の窓口は広げておいた方が何かと有利ですよ」とも。
その説得の仕方次第では「上手いこと言うな」と、納得して貰えることもある。
もっとも、必ずそうなるという保証はできんが、チャレンジしてみる価値はあると思う。
ただ、それには、まずはあんたが、ワシの言うたことに納得して同調できんと、どうしようもないがな。
何でもそうやが、あんた自身がそう信じ切ってないと相手を説得することなんかできるもんやないさかいな。
書籍販売コーナー 『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集』好評販売中