新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.706 このまま泣きを見ないといけないのでしょうか


投稿者 タカハシさん  投稿日時 2009.3.24 PM 8:06


初めまして。

現場で怪我をして今日で4日めです。怪我した時は労災を使うと困るので休んだ分保障するからとのことで話が終わり、あらためて話しに行きましたが、そちらの話を逃げようとしてます。 

また会社の指示で現場で怪我したことにしないで医者に行きました。靱帯を怪我してるのでギブスをしないといけないのですが、それもできない状態です。 

このまま泣きを見ないといけないのでしょうか。 

教えてください。また家族もいますし、我慢して働かないといけないのですか。 

何かアドバイスください。 


回答者 ハカセ


『現場で怪我』と言っておられるのは、新聞販売店、もしくは拡張団での仕事ではなさそうですので、ゲンさんではなく私がお答えします。

『怪我した時は労災を使うと困るので休んだ分保障するからとのことで話が終わり、あらためて話しに行きましたが、そちらの話を逃げようとしてます』ということですが、仕事中の怪我に間違いがないのでしたら、なるべくなら労災保険を使われるように手続きをされた方がよろしいかと思います。

手続き自体は、その会社が嫌がるようでしたら、お近くの労働基準局に直接出向いて、相談されれば、たいていは受理されるはずです。

全国労働基準監督署の所在案内

その会社が、なぜ『怪我した時は労災を使うと困るので』と言ったのかは良く分かりませんが、その会社が労災保険に未加入、または保険料の未払いが理由だとしても、労働者であるタカハシさんには、その労災を受ける権利があると考えられます。

但し、適用除外業種とされている、国の直営事業、官公署の事業、船員保険の被保険者、5人未満の労働者を使用する個人の農業経営事業、労働者を常時には使用せず、かつ年間使用延べ労働者数が300人未満である個人の林業事業、常時5人未満の労働者を使用する個人経営の水産事業などでは、労災保険は適用されませんが。

それ以外でしたら、労災保険は強制適用されます。それについては、サイトの『ゲンさんのお役立ち情報 その1 労災についての情報』 に、当サイトの法律顧問をして頂いている法律家の今村英治先生から寄せられた情報がありますので、それがお役に立てるのではないかと思います。

その部分を抜粋してお知らせします。


労災保険は強制適用です。従業員から保険料は一切徴収されず100%事業主が支払うものです。バイトも含め全従業員適用です。それどころか不法就労の外国人も労災法上は保護されます。

新聞店は適用除外業種ではないですから、法人だろうが個人だろうがいい逃れはできません。そして、事業主が保険料を払っていようがいまいが、また未加入であっても労働者は当然の権利として労災を申請できます。治療費は自己負担ゼロ。全額保険で出ます。

休んだ場合の休業補償は、貴HPにあるとおり4日以降から法律上では60%、また他の制度から20%支給され実質80%保障です。

亡くなった場合には遺族に対して、障害を負った場合は程度に応じて年金が支給されます。厚生年金との併用は可ですが一部労災保険が減額されます。

保険がおりない最初の3日間の休業補償は、労働基準法により事業主が支払うよう義務付けられています。

労災保険は雇用保険とセットになっており、このセットを労働保険と称します。旧労働省の管轄の保険です。

一方、健康保険は厚生年金とセットになっており、このセットを狭義の社会保険と称します。
これは旧厚生省の管轄になります。

世間一般的には労働保険と社会保険をひっくるめて広義の社会保険と言っています。

今では上記役所は一体化されてしまいましたが、未だに縦割り行政は残っています。したがってアンケートにありましたように社会保険が未加入だから労災がおりないということはありません。必ずおります。

それから、労災を使うと保険料が上がるというのは、一定の要件に該当すると利用できるメリット制のことですが、新聞販売店でこれに該当するお店はまずないでしょう。労災事故があったからと言っても必ずしも保険料がアップするわけではないです。

ただし、未加入時に事故が発生し、事後加入すると、ペナルティーとして事業主は労災にかかった費用の40%を負担しなければなりません。

休業中に事業主が給料を払ってしまうと、本来もらうべき休業補償の額にも影響します。そこで給料という形ではなく、労災でまかないきれない部分を労災の上乗せ保険として民間の保険に加入している事業主も少なくないです。

高い社会保険料(健保・年金)と比べて新聞販売店の労働保険料率は労災5/1000 雇用19.5/1000(労8/1000, 使11.5/1000)合計24.5/1000にすぎません。 会社負担は16.5。

100万円給料を出しても事業主は16,500円の負担で済むわけですから民間の保険より著しくお得な保険です。

社会保険には未加入でも労働保険には加入しているという会社があるのも事実です。社保と労保では保険料の額そのものの差が大きい(労保は社保に比べてとても安い)という事情もさることながら、ペナルティーの有無も大きく影響していましょう。

労働基準監督署という役所は労働法上における警察権を行使できます。労災隠しには非常に厳しく下手したら懲役くらう可能性もあります。

また労働保険の未加入については今後非常に厳しい取締りが予想されます。


最後の『また労働保険の未加入については今後非常に厳しい取締りが予想されます』と、今村英治先生が仰っておられることが、ネック、驚異になっているとその会社が考えている可能性はあります。

あるいは、労災保険を適用をすると、その保険料がアップするという間違った認識が、その会社の上層部にあるのかも知れません。

理想としては、その会社に理解して貰って労災保険の適用を求めた方がよろしいかと思います。

しかし、会社側が労災保険の使用をあくまでも固持する姿勢を貫くようだと、今後、働く上において何かとギクシャクして、やりにくくなるというのも予想されます。

最悪、仕事を辞めなければならないことにならないとも限りません。

ただ、そうかと言ってこのまま、その会社の指示どおりにしていたら、うやむやにされてしまうのではないか、実質的な保障は何もないのではないかという危惧も否めないでしょう。

お話を聞く限り、私もその可能性はかなり高いのではないかと感じます。

それこそ、『このまま泣きを見ないといけないのでしょうか』ということにもなります。

その会社が治療費全額の支払い、および『休んだ分保障するから』と約束したというのであれば、それを文書にして確約を取らない限り安心はできないと考えます。

ですから、その会社には、「その約束を文書化してください」と要求し、取り敢えずは『靱帯を怪我してるのでギブスをしないといけないのですが、それもできない状態です』という状況を、今すぐ改善して貰う必要があります。

それを伝えても、何もして貰えない、煮え切らないという態度を示すようであれば、「それがない場合は不安ですので、労働基準監督署に行って労災保険の申請手続きをしますので」と通告されるのはどうでしょうか。

どうされるかは、あくまでもタカハシさんの考え次第ですが、私見としましては、それすらできない会社、しようとしない会社では、この先、いくら頑張って働いても、結局、最後は冷たく突き放されるだけのような気がします。

私も数多くの職場を経験してきて、そういう事例はたくさん見てきましたから。

まずは、怪我をした従業員の身体を気遣うような姿勢の感じられない経営者や会社では話にならないのではないかと個人的には思いますが。

もっとも、この就職難の折、辞めるのを覚悟で労災保険の手続きを強行しろとは、ご家族の生活もあることですし、私には言えませんが。

ただ、そのくらいの気持ちを持って、その交渉に当たらないと今の状況は好転しないのではないかと思います。

強い気持ちで臨めば、案外、簡単に分かって貰えるということも、私の経験上はありましたからね。

個人的なアドバイスとしては、労災保険の手続きを取る方法をお勧めしますが、その決断はタカハシさん自身で行ってくださいとしか、申し訳ありませんが私には言えません。


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