新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.708 粗品の返却について


投稿者 Obさん  投稿日時 2009.3.28 PM 6:50


初めまして。私は大学生で一人暮らしなのですが、新聞の解約の事で悩んでいたことがあり、解決法を模索していたところ、こちらのサイトに辿り着きました。

つい4日前に、外出の際に新聞勧誘の方がいらっしゃって粗品を渡してきて、Y新聞と契約してくれと言われてしまいました。

何度も断ったのですが、なかなか帰ってもらえず、急いでいたため、仕方なく3ヶ月間の契約をしました。

2日後に、クーリングオフにより契約解除を行ったのですが、翌日、新聞勧誘の方がいらっしゃって、「クーリングオフするらしいので粗品の回収に来ました」と、インターホン越しにおっしゃったので、それじゃあ粗品を返却しようと、ドアを開けたところ、「なにクーリングオフしてんだよ!!」と怒鳴りながら家に押し入ってきました。

あまりに突然のことだったので呆気に取られていると、もう一回契約しろと詰め寄ってきました。

実は過去にも1度、Y新聞の契約をクーリングオフしたのですが、そのことを引き合いに出して、「お前これで何度目だ? 調子に乗るんじゃねえぞ!!」と、怒鳴り散らしてきました。

「粗品を返しますから」といっても「それはできない」と受け付けてくれず、殴りかかってきそうでしたし、あまり怒鳴られてもアパートなので隣人にも迷惑が掛かってしまうと思い、再び3ヵ月間の契約をしてしまいました。

契約をした途端に穏やかになったので、「こちらの粗品はお返しします」と言ったのですが、頑なに拒否され結局、返却できませんでした。

またクーリングオフをしようと考えているのですが、また同じ勧誘の人間が「粗品の回収」と偽って契約を迫ってくるのではないかと困っています。

この場合どうしたらよいのでしょうか?


回答者 ゲン

『2日後に、クーリングオフにより契約解除を行った』というのは、どういう方法でされたのかな。

クーリング・オフというのは、「特定商取引に関する法律」の第9条に、「訪問販売における契約の申込みの撤回等」という項目があるのやが、それを称して、便宜的にそう呼ばれとるものや。

法律家のブログやサイトで頻繁に使われ、世間にも浸透しとることで、これを法律用語と誤解しとる人が多いが、法律の条文にそういうのはない。まあ、一般には、それで通っているから、ここでもそう表現はしとるがな。

このクーリング・オフを法的に有効とするためには、文書で通知するものと、その「特定商取引に関する法律」の第9条、「訪問販売における契約の申込みの撤回等」で決められている。それ以外は、クーリング・オフとは認められん。

具体的には、内容証明郵便や配達証明付きハガキ、簡易書留ハガキというのが一般的や。中には、電子内容証明郵便で出すというケースもある。

いずれも日本郵便(JP)でその手続きを取るようになっとるものばかりや。

その詳しいことは、サイトの『ゲンさんのお役立ち情報 その8 クーリング・オフについての情報』 にあるので、それを見て頂ければ分かると思う。

良く『クーリングオフにより契約解除を行った』という人の中には、「販売店にそう伝えた」というケースがあるが、それではクーリング・オフで解約したことにはならん。

それは、ただの話し合いによる普通の「任意解約」ということにしかならん。もちろん、それでも契約の解除は成立する。

但し、それでは今回のように『また同じ勧誘の人間が「粗品の回収」と偽って契約を迫ってくるのではないかと困っています』というのを防ぐ手だてというのが限られてくる。

『お前これで何度目だ? 調子に乗るんじゃねえぞ!!」と、怒鳴り散らしてきました』というのを、その販売店に言うて「止めさせてほしい」と訴えるくらいやが、そんな勧誘員を送り込むような販売店が「分かりました。もう二度とさせませんので」と大人しく従うというのは、確率的にも望み薄いと思う。

新聞社に訴えても、「販売店に伝えておきます」程度の返答しかないやろうから、タチの悪い販売店や勧誘員やったら、またやって来て「何で新聞社に言うんや」と怒鳴り込んで来るのが関の山やという気がする。

しかし、この文書による通知をした場合は、そうはいかん。

文書でのクーリング・オフの通知をした場合、今回のように後でそれに対して文句を言うたり翻意させたりするような行為は法律で禁止されとる。

特定商取引に関する法律の第6条第3項に、

販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約を締結させ、又は訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、人を威迫して困惑させてはならない。

というのがある。

分かりやすく言うと、契約した客がクーリングオフを申し出ているのに、それを防ぐため脅したり威圧して困らせるような行為の禁止ということや。

それは、クーリング・オフの文書を送付した後も摘要される。実際、その法律違反で逮捕されたという事例まであるさかいな。

このQ&Aの『NO.108 近所で販売店員が逮捕されました』というのがそのええ例や。

これは表面的には『「購読しろ」押し売り2時間』として、当時の新聞やテレビで報じられた事件やが、実際の逮捕容疑は、「特定商取引に関する法律の第6条第3項」やったわけや。

せやから、あんたが、その文書の通知をしているにも関わらず、その勧誘員がやってきてその新たな契約書を無理矢理書かせたということであれば、迷わず、近くの警察署の「住民相談窓口」に相談して届け出ればええということになる。

その際、JP(日本郵便)から渡されたその文書を出した証拠の控え、もしくはそのコピーと、今回の契約書を持って行くのを忘れずにな。

そうすれば、その勧誘員は逮捕される可能性もあるし、新聞本社からも詫びに来ることもある。もちろん、今後、二度とそんな真似をされることもないはずや。

ただ、この警察に届ける場合、先に派出所に相談される方がおられるが、なるべくそれは止めておかれた方が無難やと言うとく。

時折、その法律自体の存在を知らないという派出所の警官もおって、文書でのクーリング・オフをしているのにも関わらず、それを出した直後の勧誘に対して「断らずに契約したあなたが悪い。私達にどうしろと?」と、一蹴され、嫌な思いをされたこともあると聞くさかいな。

ワシらからしたら信じられん対応やが、中にはそういう警察官もおるということや。もちろん、すべてがそうやとまでは言わんがな。

その点、警察署の「住民相談窓口」の係員は総じて親身になって相談者の話を聞いてくれることが多い。法律にも詳しいから、少なくともそんな嫌な思いはせずに済むはずや。

もっとも、そうは言うても、それを事件化するかどうかは、その警察の裁量権の範囲内とされとるから、絶対にそれで取り締まって貰えるかというのは断言できんがな。

ただ、相手側にあんたの意志を伝えるくらいはするはずやし、その警察に届けたという事実を持って、新聞社の苦情センターにその件を通報すれば、新聞社も無視はできんはずやから、それで終わる可能性は高いと思う。

また、そうでなかったらあかんわな。その販売店は明らかな違法行為をしとるわけやさかいな。

ワシが、そういうアドバイスをした人の中には、「仕返しされるのが怖い」という人もおったが、結果として、今までのところ、そうされたという事例の報告はない。

その事件のことは、この業界では有名やさかい、よほどのアホでもない限り、文書でのクーリング・オフの通知後にそんな真似をする人間はおらんはずや。

まあ、絶対とまでは言えんが。その、よほどのアホというのも、どの世界にでもおるさかいな。

ただ、あんたの場合、『2日後に、クーリングオフにより契約解除を行ったのですが、翌日、新聞勧誘の方がいらっしゃって』と言われておられるのは、いかにも早すぎるから、おそらくは電話などによる口頭で伝えただけなのやないかなという気がする。

もし、そうであるなら、多少、金はかかるかも知れんが、文書でのクーリング・オフをしとく方が何かと有利やし、安心できると言うとく。特に、今回のように話し合いになりそうもない相手の場合には有効な手段やと。

そうしておけば『また同じ勧誘の人間が「粗品の回収」と偽って契約を迫ってくるのではないかと困っています』というのも心配する必要もなくなる。

その販売店からは、その粗品の受け取りのためだけにしか訪れることはできんから、返せば受け取って大人しく帰るしかないさかいな。

万が一、それでも、その勧誘員が同じような態度に出てきたら、「あなたの行為は法律違反ですから、警察に訴えますよ」と言えばええだけのことや。

あるいは、危険を感じられて怖かったということであれば、一応、その勧誘員の言うとおりにした上で、警察に駆け込むという手もある。

その場合、携帯電話の録音機能やボイスレコーダーなどで、その会話を録音しとけば完璧や。

それでも、揉め事が続くようやったら、また、いつでも連絡してくれたらええさかいな。


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