新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.710 契約違反で購読契約解除できますか?


投稿者 M.Kさん  投稿日時 2009.3.30 PM 9:21


はじめまして、ゲンさん宜しくお願いします!

一応済んだ話なのですが納得いかなくご相談させていただきます!

M新聞を購読していましたが最初の契約で近所のスーパーのチラシは絶対に入れてくださいと言う契約と半年間無料で2年間契約しました。

今回、新聞配達員に最近OOスーパーのチラシが入っていないので入れるようにいったんですが一向に入りません。

ですので、解約する旨M新聞の販売所に連絡したところ契約書には書いてないといって、次回から入ってなければ電話で連絡してきてくれというのですが配達員に何度も言っているのに今更と思い、もういいから解約してくれというと契約違反だというのです。

最初に5000円分の商品券と半年の購読料サービスといううのが条件でした。

契約書を見ると確かに上記の内容しか書いておらず、チラシのことは口頭でいっただけで文面に書いてないので知らない。と、これからは入れるというのですが何度もいっているこちらからすればこんな新聞はもういいと思うじゃないですか?

ですから解約して下さいといって貰った商品券を返したら半年分のサービスの新聞代も払えといわれ、もし払わなければ法的に訴えるというのです。

仕方なくサービス分の半年分とサービスの商品券は返しましたが、こちらが言ったことは契約書には書いてないです。

しかし、口頭でそれならという条件で購読したのに後味の悪い契約をしてしまい、以前のY新聞をやめてM新聞にしたのにY新聞の方がサービスがすごくよくて今回またY新聞の購読をお願いしたのですが後々、考えると腑に落ちません。

このようなケースはあるのでしょうか?

宜しくお願いします!


回答者 ゲン


あんたが、『このようなケースはあるのでしょうか?』と言われるのは二通りのケースがあると考えられる。

一つは、特定のチラシを入れてほしいということで契約したのに、それが入ってなかったということやと思う。

そういうのは、あってはならんことやが、希にそうなってしまうケースも考えられる。

それは、そのOOスーパーがその販売店に毎回、折り込みチラシを入れるよう依頼していたとは限らんということがあるからや。チラシ自体の依頼がなければ入れようにも入れられんさかいな。

あんたは、あんたの家だけにそれが入ってないと考えておられるのかも知れんが、そうする方がこの業界では難しいことやと言える。

あんたのところに入っていなければ、他も入ってないという可能性が高い。

通常の販売店では、折り込みチラシは折り込み機という機械で自動的に入れる仕組みになっとる。機械に故障や不具合がない限り、同じ枚数のチラシがセットされる。

折り込みチラシは、帯(おび)と呼ばれる二つ折りになった少し小さめのチラシに挟まった束の状態で新聞に差し込まれとると思うが、そこまでを機械が自動的にする。

それを早朝、新聞社から届けられた直後の新聞に挟み込む。

その中から、特定の家だけそのチラシを抜き取るのは不可能に近いから、その日は、そのOOスーパーからのチラシ依頼自体がなかったと考えるのが自然やろうと思う。

まあ、どんなことでも例外があるから、何かの拍子にあんたのところだけ、そのチラシが抜け落ちていたということも考えられんではないが、その場合やと、客からそのクレームが入れば、そのチラシを持って行くのが普通で、それをしてないということなら、やはりチラシそのものがなかった可能性の方が高いと思われる。

また、何度もそのチラシだけが抜け落ちる例外というのも考えにくいから、初めからそのチラシ依頼自体がなかったため入ってなかったという風に考えた方が自然やと思う。

そのOOスーパーがその販売店にチラシの配布の依頼をしてなかったら、何度、そうクレームをつけられても、ないものは入れようがないわな。

これをどう考えるかやが、その約束をしたあんたにとっては契約違反ということになるやろうし、その販売店にとってはどうしようもない不可抗力ということになる。

入るべきすべての回で、そのチラシだけが入ってないのやったら、消費者契約法の「不実の告知」に該当すると考えられんでもない。そのOOスーパーからのチラシ依頼が最初からないと知っていたにも関わらず、入れるとしてウソの約束をしたとなるさかいな。

つまり、ええ加減なことを言うて契約したとなるわけやが、何度かは実際にそのチラシが入っていたのなら、それも主張しにくい。

その販売店が、そのチラシの依頼は当然あるものやと考えていたと言われれば、それを覆すのは難しいさかいな。そのOOスーパーが折り込みチラシをその販売店に入れるかどうかは、あくまでもOOスーパー次第で、その販売店の責任を問えることやないと思う。

法的には契約違反に問いにくいとなる事例や。

ただ、それでも、あんたの主張する契約違反というのが認められたと仮定する。

その場合は、あんたが、その契約の解除を望めばそれが認められる。

今回、結果的に希望通り、その契約が解除されとるわけやから、問題はないはずや。

問題は、最初に貰った5000円分の商品券の返還と半年間の購読料サービス分の支払いやと思う。

『このようなケースはあるのでしょうか?』と言われる、もう一つの疑問やな。

これに関して言えば、それは当然のことやと言うしかない。

法的にも何らおかしなところもないし、その販売店の請求も当然なもので、それを支払われた、あんたも結果としてそれで良かったということになる。

ただ、それについて納得できんということやから、これからその説明をする。

民法第545条に、契約解除時の原状回復義務というのがある。

契約を解除する場合は、お互い契約する前の元の状態に戻そうという考え方や。

それに従うと、今回の場合は、契約違反によりその契約を守ることができんということで契約解除するわけやから、その契約を全うする条件として受け取っていた『最初に貰った5000円分の商品券』は返還せなあかんということになる。

それは分かると思う。

それが分かれば、『半年間の購読料サービス分の支払い』も同じことで、その契約を守ることができんと破棄する側が、そのサービスを受け取り続ける理由と権利というのもなくなるというのも理解できるはずや。

その権利がなくなれば、受け取った新聞も返還せなあかんことになる。この場合、実物での返還は実質的には無理やから、その代金での支払いということになる。

当たり前やが、新聞はタダのものやないさかいな。販売店もその仕入れ代金を新聞社に支払っているし、配達員にはその配達代を渡しとる。

販売店が、あんたに、それをサービスとして無料で配達していたのは、あくまでも契約事項を守らんがためで、相手側がその契約を破棄した場合は、当然のようにその支払いを求めるのが普通やと思う。

ただ、交渉の余地として、そのサービス分の新聞代金すべてが販売店の負担になるわけやないから、いくらか値引きを頼むことはできたかも知れんがな。

それも今となっては、後の祭りやけどな。

良くこういう場合、その販売店が悪いのやから、そんなものは支払う必要はないという論法を持ち出す人がおられるが、このケースが百歩譲って販売店側の全面的な契約違反やとしても、法律で認められるのは、その契約解除までにすぎんわけや。

契約者としては、その契約の解除ができれば良し、ということになる。

そのためのペナルティを相手側に強制的に科すことは法律で認められとらん。つまり、どんな契約でも解約する以上、タダ貰いにはならんということや。

したがって、『ですから解約して下さいといって貰った商品券を返したら半年分のサービスの新聞代も払えといわれ、もし払わなければ法的に訴えるというのです』というのも、何らおかしなことやないということになる。

実際にも、あんたがそれを拒否して支払わんかった場合、その販売店がそう訴え出れば、かなりの高確率でその支払いをせなあかんことになるはずや。

もっとも、ワシは裁判官でもなんでもないし、一介の拡張員にすぎんさかい断言することまではできんがな。実際の裁判は、やってみな分からんというケースもあるしな。

ただ、法に照らせば、そうなるやろうというだけのことや。

今回の場合、契約書にそのチラシを絶対入れるという記述がないとのことやから、あんたの方は口頭で言うただけということになり、争いになれば契約違反とまでは認められん可能性の方が高いやろうと思う。

『こちらが言ったことは契約書には書いてないです』というのも、そのときにその契約書の控えを貰うとるはずやから、それはその場で確認して、なければ「書いといてほしい」と要求しとかなあかんものや。

それをしてない落ち度も問われる。

客がそこまでせなあかんのかという思いがあるかも知れんが、どんなものでも、事、契約を交わす限りは細部にまで納得してから、サイン、捺印するように心がける必要がある。

またそうすることが、結果として自身の身を守ることになると知るべきや。

契約とは、主にその契約書に書かれた事柄を守ることやさかいな。裏を返せば、契約書に書いてない事柄は法的拘束力に欠けるということを意味する。

つまり、契約違反と認定されいない、契約の一方的解除は、司法の場では自己都合と見なされる可能性が高いわけや。

その販売店が徹底して争う気やったら、あんたが自己都合の契約解除をしたと主張して、それらとは別に解約違約金の請求もできたと考えられる。

それをせず、サービスした分だけの返還で契約解除に応じたわけやから、ある意味、その販売店は良心的やったと言えるのやないかと思う。

もっとも、あんたがどう受け取るかは自由やがな。ただ、事、法的な面だけで言えば、その販売店に落ち度は少ないということになるわけや。

まあ、それでも、証拠や法律云々は別にして、その販売店の勧誘員が、あんたの条件を呑んで契約したのは、ワシも同じ勧誘員やから、それにほぼ間違いはないとは思うがな。

それを承知しているからこそ、その販売店も、それだけの返還を条件に契約解除に応じたのやないかなという気がする。

この結果は、ワシから言えば、あんたの完全勝利やったと思うけど、それでは不満ということなのかな。

あんたの方に、実質的な損害はなかったわけやしな。もっとも、嫌な思いをした分、損やと言われれば返す言葉はないがな。


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