新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.717 雑談のタイミングを教えてください


投稿者 winning さん  投稿日時 2009.4.19 PM 10:40


始めまして、私は専業を目指して最近、営業をやらしてもらっているのですが、雑談を切り出すタイミングが分からなくて、なかなか雑談できません。

断られたあとなのか、それともドアが開いたときなのか、ご指導のほどお願いします。


回答者 ゲン


『私は専業を目指して最近、営業をやらしてもらっている』というのは、現在はアルバイトの配達員でもされておられるのかな。

過去に営業の仕事をされていた経験があるのなら、雑談の効果について話しても分かって貰えるやろうが、営業経験がゼロの場合は、そのやり方をいきなり覚えても無理やないかなと思う。

友達同士、知人同士のそれとは意味合いが違うさかいな。

まあ、そうは言うても、このコーナーは「なんでも」と銘打っとるさかい、質問されたことには極力答えるようにはしとるが、営業の基礎的な知識、および考え方ができてないと、単なる雑談の方法が分かるだけにしかならんというのは言うとく。

その雑談を営業に結びつけていくのは、基本的な営業力、基礎が身についてなかったら難しいさかいな。

まあ、それは別に勉強して貰うたらええことやがな。

『断られたあとなのか、それともドアが開いたときなのか、ご指導のほどお願いします』というのは、雑談は営業に入るための客の心、気持ちをほぐすための一つの手段として用いるものやさかい、最初に話すときの方がええ。

要するに、つかみやな。

ただ、最初に雑談を持ってきたらええと言うても、咄嗟に機転の利く、誰とでも気楽に話せるようなタイプの人やと、特に問題はないやろうが、そうでないのなら構えてしまい、何を言うてええのかすら分からん場合が多いやろうと思う。

そういう人のために、その場合のオーソドックスなものを幾つか紹介する。

いずれも、客がドアを開けた瞬間にさりげなく言うのがコツやで。それと、少しだけでもええから、ユーモア、ジョークを交えられたら尚、効果的や。


初対面での効果的な雑談トーク事例


1.天候について話す。

「良く雨が降りますね。あんまり雨ばかり降られたら私らの仕事は上がったりですわ。あっ、そうそう、雨と言えば、昨日の○○県の土砂崩れ、大変でしたね……」

このとき、見本の新聞にその記事があれば、それを指し示しながら言う。

「本当ね」と乗ってきたら、すかさず「実は私の郷里も、そこと似たようなものでして……」と、その話をつないでいくことが可能になる。

「毎日暑いですね。地球温暖化で北極の氷が溶け出しているという話ですが、それより先に私の脳ミソの方が溶けてしまいそうですわ」

「面白いこと言うな」という反応があれば、「今、テレビでシロクマとペンギンの面白いCMをやってますけど、あれ、洒落になりまへんで……」と、こちらのペースに巻き込むように持っていく。

他に「寒いですね。私の身も心もサイフも寒いですわ」「何や、もうすぐ台風が来るそうでっせ」「もう、すっかり秋ですね。私の頭も寂しく……」「暖かくなってきましたね。つい今し方、そこの公園を通ってきましたけど桜が満開でしたね。お宅では、どこかお花見に行かれますか……」と、際限なく続けることが可能や。

2.取り敢えず、目に入ったものは何でも褒める。

玄関を開けて貰った瞬間から目に見えるものは何でもネタに使える。

「あっ、その絵、とてもいい絵ですね。実は私、これでも学生時代、絵が好きでしてね……」「その花瓶のお花、何というお花ですか……、へえー、そうなんですか」「お宅のワンちゃん、さぞや立派な血統書がおありなんでしょうね。私も犬が大好きでして」「わあ、可愛い猫ちゃん。名前は?どらエもん? それはないですよね……」

という具合や。

3.何気なく近づく。

家の前で掃除をしとる主婦とか洗車しとる男性に声をかける。あるいは、庭で植木の剪定や家庭菜園をしとるようなケースでもええ。

ワシは、インターフォンを押しての個別営業より、雑談をする場合はその方が多い。

これは、旧メルマガ『第13回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■ゲンさんの勧誘実践Part 1 雑談から』を参考にしてくれたら、その方法が分かるはずや。

その部分だけ抜粋する。


「ご主人、ご精が出ますね」

家の前で洗車しとる客にそう声をかける。ワシは、インターフォンを押しての個別営業より、こういうのが多い。

「どちらさん?」

ちょっと、胡散臭さそうな感じでその客が訊く。

「Y新聞の新聞屋です」

例によって、ワシは努めて明るく答える。

この時、相手により言葉使いを使い分ける。丁寧に言うか、気安い調子で言うかは相手次第や。その効能の話はまた別にするが、この客の場合は丁寧に言うた方がええと踏んだ。
「うちは新聞はA新聞と決めてるからいりませんよ」

とりつく島もないという雰囲気を漂わせて断りが即座に入る。

「分かってます。ほとんどの方がそうですからね。別に無理に取ってくれとは言いませんから」

これはあくまでも営業テクニックとしてのトークやが、半分は余裕を見せる意味もある。何でもそうやが焦ったらあかん。

「……」

この時、初めてこの客はワシの方をはっきりと見た。ちょっと、変わった奴やなと印象付けられたら、この段階は良しとする。

「参考までに聞きたいんですけど、この辺は、私らみたいな勧誘員は良く来ますか」

これはどんな時でも聞いておくとええ。例え、この客があかん場合でも情報として使えるからな。

それと、この質問をすることで、客は、自分をターゲットにするのを諦めたと勘違いすることが多い。安心するんやな。

「多いみたいやな。嫁さんが良うぼやいとるからな」

「たちの悪いのが多いと?」

「しつこくて胡散臭く、程度の悪い人間が多いと嫁さんが……、いや、あんたみたいな人とは違うと思うけど」

「いえ、いいんです。私らはどこに行ってもそう思われてます。実際、中にはたちの悪いのもいてますからね。そんな連中と一緒にされて、お客さんから拡張員というだけで罵声を浴びせられることも多いですしね」

「大変ですね」

こういう同情の言葉を洩らす客もおるが、この時、チャンスとばかりここで攻勢に転じたらあかん。まだ、早い。

しかし、この時点では、世間話くらいは出来る雰囲気になっとるから、相手の性格を探るつもりで、とりとめのない話をする。

「私は映画が好きでよく観ます。それも洋画が。ご主人は?」

「たまに、ビデオで」

「ちょっと古いですけど、私はダイハードが好きなんです。特に『ダイハード3』が面白かったですね。ご主人も観ました?」

「ええ、一応は」

ここで、ワシはどこがどう面白かったのか自分流の解説をするんや。

『ダイハード3』を知らん人のために簡単にストーリーを説明する。

あるテロ組織がニューヨークで爆弾テロを繰り返していた。

そのテロ組織のボス、サイモンはなぜかブルース・ウィルス扮するジョン・マクマーレン刑事と、たまたま巻き込まれただけのサミュエル・L・ジャクソン演じる電気屋店主ゼウスに爆弾の捜索を命じる。

従わないと爆弾を爆破させ大勢の市民を殺害すると脅かして無理に従わさせる。サイモンは『ダイハード1』でジョンにロサンゼルスのナカトミビルから突き落とされたテロ組織のボス、ハンスの兄やった。

その弟の敵討ちの意図もありジョンに狙いをつけた。 しかし、サイモンの真の狙いはウォール街にある連邦準備銀行の金塊やった。

そのサイモンの組織との戦いで、ジョンとゼウスが映画の題名通り、死ぬほどハードな戦いを繰り広げるというお決まりのストーリーや。

この映画の見所は、5分に1度の山場とアクションということや。確かにその息をもつかせんアクションとストーリー展開も面白いんやけど、ワシはこの映画の中のクイズ的要素がなぜか深く印象に残っとる。

ワシの好きなその場面は、ハンスに指示されて来た公園の噴水で爆弾入りのアタッシュケースを発見する所や。

ジョンがそのアタックケースを開けると爆弾の起爆タイマーのスイッチが入る。間髪置かず、ハンスから携帯電話でメッセージが来る。

「噴水に5ガロンの容器と3ガロンの容器がある。これを使って4ガロンきっちりの水を入れた容器を、アタッシュケースの電子計量秤に乗せると爆弾の解除が出来る。生きていたら5分後にまた連絡する」と言うて電話を切る。

この問題は一見簡単なようやけど、結構、難しい。映画を観とる最中、必死で考えたのを覚えとる。

この話をたまたま、洗車中の客に話したから効果があった。ワシの話を聞き終わる頃には、必死になってこの問題を解こうと、どこからか、大小2つのバケツを持ち出して水を入れながら悪戦苦闘しとった。

ついに、ギブアップが入る。

この話は今まで3人くらいにしたけど、3人とも分からんかった。分かれば単純なんやけどな。

答えを言う。

3ガロンの容器に4ガロンの水は入らん。せやから、5ガロンの容器に4ガロンの水を入れなあかん。ここまでは誰でも分かる。

5ガロンの容器に満杯の水を入れ3ガロンの容器に移す。すると、5ガロンの容器に2ガロン分の水が残る。

3ガロンの容器に入った水を捨て空にする。5ガロンの容器に残った2ガロン分の水を空の3ガロンの容器に移す。3ガロンの容器に2ガロン分の水が入る。

5ガロンの容器に水を満杯に入れる。3ガロンの容器には2ガロン分の水が入っとるから、後1ガロン分の水しか入る余地がない。

そこに、満杯の5ガロンの容器から水を移せば、5ガロンの容器には4ガロンの水が残るというわけや。

ここで注意せなあかんのは、これが分かってるからと言うて得意げに説明せんことや。特に営業の一環でこういう話をしとる時は尚更や。


ここで出てくる話をそのまま使うたという人もおられたが、内容はその都度変えた方がええ。ここに出てくる『ダイハード3』はもう古いから、食いつきも悪いやろうしな。

あんたが三国志のファンで詳しいのやったら、今やと『レッドクリフ』の話なんかがええのやないやろか。

今、ワシは、この方法をやるときは、もっぱらこれや。それについて話すと長くなるから、別の機会にするが、要するにそういうネタを探すということやな。

それに、雑談というのは、その個人特有の話し方、キャラクターによっても違うから、人の話がいくら面白うても、そのまま話すだけでは効果は薄いと思う。自分だけのオリジナルやないとな。

4.集金時に常に軽い雑談を交わしておく。

これは、新聞販売店の専業専門の方法やが、あんたはそれを目指すというのなら、集金業務もせなあかんようになるやろうから覚えておいて損はないと思う。

専業の営業の大半は、この現読の期間延長依頼やさかいな。

集金業務なら、客とは必ず顔を付き合わせることになるわけやから、あんた次第でいくらでも雑談に持ち込めるはずや。

内容的には、1.2のようなものでええのやないかと思う。


以上や。

雑談は先にも言うたが、最終的に契約に持ち込むために客の気持ちを和(なご)ませる目的でするものや。

言えば、営業においては、そこそこ高度なテクニックを要する応用編に雑談があるということや。そう理解してほしい。

冒頭で、営業の基本が分かってないと、そのやり方をいきなり覚えても無理やないかなと言うたのは、そういう意味からや。

応用は基本ができてこそ有効なものやさかいな。何でも知りたい、覚えたいという意欲は買うが、一足飛びにテクニックのみに走りたがるのは、どうかなという気がするけどな。

もっとも、あんたが過去に営業経験があるのなら、ワシの言う雑談の方法も「なるほど」と理解して応用できるとは思うけどな。


読者感想 疲れない答え

投稿者 Jさん  投稿日時 2009.4.24 PM 5:09


今回の回答についてです。


答えを言う。

3ガロンの容器に4ガロンの水は入らん。せやから、5ガロンの容器に4ガロンの水を入れなあかん。ここまでは誰でも分かる。

5ガロンの容器に満杯の水を入れ3ガロンの容器に移す。すると、5ガロンの容器に2ガロン分の水が残る。

3ガロンの容器に入った水を捨て空にする。5ガロンの容器に残った2ガロン分の水を空の3ガロンの容器に移す。3ガロンの容器に2ガロン分の水が入る。

5ガロンの容器に水を満杯に入れる。3ガロンの容器には2ガロン分の水が入っとるから、後1ガロン分の水しか入る余地がない。

そこに、満杯の5ガロンの容器から水を移せば、5ガロンの容器には4ガロンの水が残るというわけや。


こういった問題には、たいてい複数の答えがあるわけですが、今後のゲンさんの営業ネタのバリエーションとして、私の答えも参考にしていただけないでしょうか?

以下、手順を説明します。


3ガロンの容器に満杯の水を入れ、空の5ガロンの容器に移す。

すると、5ガロンの容器に2ガロン分の余地が残る。

もう一度、3ガロンの容器に満杯の水を入れ5ガロンの容器に移す。

その途中で、5ガロンの容器が水で満杯になり、その時点で、3ガロンの容器には1ガロンが残る。

次に、満杯になった5ガロンの水をいったん空にする。

そして、3ガロンの容器に残った1ガロンの水を空の5ガロン容器に移す。

最後に、3ガロンに満杯に水を入れれば、4ガロンの水が残る。


もちろん、どちらの方法も正解なのですが、実は私のやり方の方が、現実に身体を使った場合、腕力が少なくて済みます。

その根拠は次のとおりです。

ゲンさんの答えですと、持ち上げる容器の量は、次のように変化します。

0→5ガロン
5→3
3→0
2→0
0→5
5→4

一方、私の方は、次のような水の移動で答えに行き着きます。

0→3
3→0
0→3
3→1
5→0
1→0
0→3

手間は私の方が余計にかかっていますが、5ガロンの水を持ち上げるのが1回だけという点がミソです。

5米ガロンは、グラムに換算すると「約19kg」です。

屈強なアメリカ人ならば、19キロという重さはへっちゃらな人が多いと思いますが、一般的な日本人の体力を考えると、私の方が「身体に優しい」方法ということになりせんでしょうか?

映画「ガリレオ・容疑者Xの献身」では、堤真一演じる数学者がポツリと、「あの公式は美しくない」というセリフを言いました。

「答えが合っていればそれで終わり」に満足せず、あれこれ他の考え方を詮索するのも面白いと思いませんか?

(これも雑談ネタになると思うのですが、いかがでしょうか?)

深夜番組「たけしのコマネチ大学数学科」でも、毎回、三者三様の答えがあって、数学という学問が、とても興味深いものだということがわかります。


コメント ゲン


それ、頂きという感じやな。

ワシは、単に映画で見たままを記憶していて、それを話しただけやったが、それにしても良う考えられたもんやと感心する。

おそらく、このサイトのためにわざわざ考えて頂いたのやと思うが、ほんまに有り難いことや。

ただ、この話自体は古いから、雑談のとっかかり、掴みとしては少し弱いかも知れんが、その考え方は貴重や。ちょっとした、カルチャーショックを受けたな。

ぜひ、今後の参考にさせて頂きたいと思う。

それにしても、このサイトの読者というのはつくづく有り難いもんやと、今更ながらに痛感するな。


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