新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.719 他紙のサービスがよくなったのはなぜですか?


投稿者 kyoga さん 拡張員 北海道在住 投稿日時 2009.4.26 AM 4:21


おひさしぶりです。北海道のA新聞の拡張員のkyogaです。

最近、北海道ではY新聞のサービスが半年でビール券5千円が当たり前になってるんですが、なぜですか。

ちなみに私の所の販売店では1年で5千円がいい所です。

Y新聞さんのサービスがよくなったのはなぜですか?


回答者 ゲン


『最近、北海道ではY新聞のサービスが半年でビール券5千円が当たり前になってるんですが、なぜですか』とワシに聞かれても、正直困る。

表向き、Y新聞の新聞販売店毎の方針でそうしとるのやろうから、そこの当事者に尋ねて貰わんことには、そのはっきりした理由は分からんとしか言いようがないさかいな。

この業界の人間なら、新聞社の方針、関与があるのやないかと考えがちやが、新聞社がそれを認めることはない。

それは、明らかに「景品表示法」に違反することやさかいな。新聞社が、表立ってその法律違反をしろとは口が避けても言えんわな。

それもそのはずで、「景品表示法」に規定されている新聞の景品付与の上限に関して言えば、その法律自体が新聞協会の自主規制で決められたものやさかいな。自らが決めた法律やと言うてもええ。

ただ、裏で何が行われているかというのは、その当事者でなければ分からんということや。新聞社の関与があるともないともな。

せやから、ワシにできるのは想像の域を出ん状況分析くらいなものや。おそらく、そんな事と違うかなという程度やな。

それで良ければ話す。

その前に、『ちなみに私の所の販売店では1年で5千円がいい所です』と言われておられるのは、それが正しいと思われてのことかも知れんが、それも法律違反になると言うとく。

所詮、五十歩百歩やと。

戦場において、敵に同じように背を向け、百歩逃げた人間に、五十歩逃げた者が「お前は卑怯者や」と言うてるに等しいことになるわけや。

その百歩逃げた人間も、五十歩逃げた者に対して「お前も逃げとるやないか。ただ逃げ遅れとるだけの話やろ」と反論するだけにしかならん。

きついようやが、あんたの言うてることは、それに近いことやと思う。

その両者にあるのは、限りなく説得力に乏しい不毛な罵(ののし)り合い以外のなにものものでもなく、そんなものは、第三者から見れば、どっちもどっちという風にしかならんことやさかいな。

新聞勧誘の場合、景品付与の上限は、先ほど言うたように業界の自主規制によるものとされとる。新聞業界の自主規制が、公正取引委員会の認定を受けることで法律になっとるということや。

ちなみに、現在の新聞業界の自主規制は、景品の最高額を取引価格の8%又は6ヶ月分の購読料金の8%のいずれか低い金額の範囲ということになっとる。

俗に業界で、6・8ルールと呼ばれとるものがそうや。

この法律で言えば、6ヶ月契約以上はすべて同じ金額相当の景品以内ということになる。つまり、6ヶ月契約も1年契約も渡す景品は同じやないとあかんということになるわけや。

それからすると、朝夕セット版地域の1ヶ月の新聞代が3925円の販売店の場合、客に渡せる景品の上限金額は、最高で1884円にしかならん。

それに対して、5千円であろうが1万円であろうが同じ違反行為には違いないということになるわけや。

ただ、これはあくまでもワシの感触にしかすぎんことかも知れんが、公正取引委員会は現在、景品付与に関しては比較的緩い規制をしとるようにしか思えんから、それが法律違反やとしても摘発される可能性は相当低いのやないかという気はするがな。

実際にも、今から6年前の平成13年に和歌山で摘発されて以来、その法律に触れたという話は聞かんさかいな。

もっとも、せやから絶対安心とは言い切れんがな。その罪の重い軽い、触れる触れへんに関係なく、法律違反はするべきやない。それで摘発されても、当然やがワシらは関知せんしな。

ただ、それのことを除外して考えれば、以前はそのY新聞の販売店も、あんたの所の販売店と同等程度の1年で5千円の商品券やったのが1万円と倍になったというのなら、勝負を賭けてきたというのが妥当な見方やろうと思う。

昔から、Y新聞というのは競争意識の強いことで知られている。そのためには何でもするという風潮がある。

歴史的に長くA紙の後塵を拝していたが、旗下の新聞販売店、拡張団に追いつき追い越せと煽った結果、今ではそのA紙を追い越し日本の新聞のトップに君臨するまでになった。

その一例として、今から34年前の1975年、東海でのシェアを伸ばそうと画策していたときの有名な話がある。

当時、今もそうやが、その東海ではブロック紙のC紙がそのシェア80パーセントという絶大な勢力を誇っている。

日本一のY新聞といえども、そこではその他の三流新聞の扱いでしかなかったわけや。

その年、Y紙はC紙の牙城を切り崩すために、その東海地域だけ特別に朝刊のみで購読料月500円にするという思い切った戦法に打って出たことがあった。

当時は、Y紙を含む全国紙の朝夕刊セット価格が1700円やったから、実に通常より1200円も安かったことになる。

ただ、その安さの背景には、朝刊のみしかなく紙面が16ページとかなり少ないということもあったのやが、とにかくY紙としては価格競争に持ち込みたかったわけや。

価格競争になれば資金力という点で有利やとY紙は考えた。実際にも、そこまでの低価格ならと切り替える読者もかなり現れた。

しかし、これは当時の公正取引委員会から不当廉売(ふとうれんばい)、つまり、安く売りすぎるということで排除命令が出され失敗に終わったがな。

ただ、この出来事でY紙は売り込むためなら何でもするという印象を他紙に与えることになったのは事実や。そのイメージが今も続いている。せやからこそ、今回のような事があれば、他紙はよけい警戒するわけや。

ワシは賭けと言うたが、それが外れると、その地域のY紙の販売店は相当な痛手を被ることになるのは間違いない。

ヘタをすると自殺行為や。そして、現状ではそうなる可能性の方が大きいと思う。

この発想は、単にエサで客を釣ろうとしとるだけにしかすぎんさかいな。また、それで釣れると考えとるからこそ、そういう手に出るわけや。

あまりにも芸がないと言うしかない。

こういうのは、それこそ何十年となく使い古された手法で、結果として現在があるわけや。

とても、上手くいくとは思えんが、そうは言うても、あんたにとっては心中穏やかやないわな。拡材勝負に出ても勝ち目はなさそうやさかいな。

どうするか。

手は二つ。自滅を待つか。対抗するかや。

ただ、いずれを選択するにしても、あんたの入店するA紙の販売店次第やさかい、あんた自身は静観するしかないと思う。

そして、あんたとすれば、前回の回答でも言うたように、その拡材以外のもので勝負すれば、ええことや。拡張にはいろいろ方法があるさかいな。拡材がすべてやない。


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