新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.72 素人の営業マン育成について
投稿者 福男さん 新聞販売店経営 投稿日時 2005.2.15. PM11:15
はじめまして、私は販売店を始めて11年、業界歴は22年です。
すばり、お尋ねなのですが、今回、素人さんを少しばかりこの業界の営業マンに育てたく・・お便りいたします。(ゲンさんの講習を拝見すると、1ヶ月間時間をもらっても、無理ではと判断する次第ですが・・)
しかし、そういう事態(2週間ほどで)が起こりましたのでお願いします。
初めの一歩なりを教えるには、どこから入って、どのあたりまで教えれば、営業マンの形になりますか。
もちろん、私は販売店なので、販売店寄りの営業が欲しいわけです。
外注の営業さんも、近頃は、ただ区域を流していてはカードを揚げるのには苦労されています。
頃合をみては、飛んででもポイントはつけているつもりですが・・
しかし、私は流すと自分の現場がよくわかり楽しいです。(たまには、私の体が拒否する事あり・・そんなときはフリーの事態を作っています。)
いかがでしょうか、何か、ヒントだけでもお願いします。
回答者 ゲン
これは、かなり難しい問題やな。あんたのようなこの道の超ベテランに、こんなことを言うのも僭越すぎるが、新聞の営業というもんが、そう簡単に出来るわけがないのは、良う承知されとると思う。
加えて、教えることの難しさは半端やない。他のあらゆる営業には、ほぼ確立された営業マニュアルが存在するが、この業界にはそれがない。そのことだけを取り上げても容易なことやないというのも、良う分かっておられるはずや。
確立されたマニュアルがあれば、あんたは、こんなサイトにわざわざ教えを請うような真似はせんかったやろからな。
もっとも、ワシは何でも、物事を自分の都合のええようにしか見んし、受け取らんから、このサイトのワシを評価してくれてのことやと思うてる。せやから、ワシもそれには答えなあかんと考えとる。
このサイトでも、いろいろな場面で言うてることやけど『新聞の勧誘や拡張の営業方法は、各地域、各新聞社、各拡張団、各販売所などの仕組みで違い、各個人のスタイルによっても千変万化、数限りなく存在する』ということがある。
これにプラス、その場、その時の状況も加味せなあかん。今回の場合で言えば「今回、素人さんを少しばかりこの業界の営業マンに育てたく」ということと「そういう事態(2週間ほどで)が起こりましたのでお願いします」ということやな。
素人を営業マンにと言うのは、それほど問題はないやろと思う。誰でも、最初はその素人やからな。
しかし、2週間で速成というのは無理がある。特に、ワシのスタイルで即効性を求めるのは難しい。
この素人さんを2週間程度の期間で営業マンにせなあかん事態というのは何やろ。普通では考えられんことやし、その必要性も少ないと思う。
当然やけど、営業というのは、その時だけ役に立てばええというもんでもない。その店で、その営業をする限りは、ずっと継続されるべきことやからな。
普通は、その継続している間、つまり、経験を重ねて行く課程において、営業員が独自のスタイルを見つけ成長することが自然なわけや。
まあ、あんたがそれを明かしてないことの理由も、ある程度は推察出来るがな。ワシの知る限り、二つくらいしかないと思う。
一つは、期間限定で営業を教えるとすれば、講習会のためというようなものやな。そう、仮定すると、その素人さんが必要なのは、知識ということになる。難しく言えば、営業の理論というやつやな。
それなら、ワシの答えとしては、そう難しいことやない。その素人さんに『ゲンさんの勧誘・拡張営業講座』を見せればええ。
もっとも、これはすべて完成したものやないけど、初歩的な勧誘の考えを知るには十分やろと思う。覚えるだけでも、ちょっとした勧誘の営業通くらいにはなれるやろ。
それに、これやと、読むだけなら、2,3時間もあれば、ええのと違うかな。どんな講習会でもそうやが、分かるのは理論と知識だけになる。それで、良しとする分には、それでええと思う。実践は、また別の領域やからな。
二つめには、そうする理由は、あんたの所でその素人さんを育成して、他の店舗なり現場に送り込む必要のあることやな。
この場合は、実際にそこそこカードが上げられんかったら意味がないから、難しいし、やっかいや。
まず、その素人さんの立場が重要になる。多くの拡張員のように、ハングリー精神があるのか、あんたに否応なしに教え込まれるのかということで大きく違う。
カードを上げな、めしが食えんという文字通りのハングリーさがあれば、その人間自ら、必死で覚えようとするから、飲み込みが早い。
そうでない場合は……。言わんでも分かるやろ。
ワシは、人に教える時、覚えて下さい式なことは良う言わん。やる気のある人間だけ覚えたらええと思う。営業の考え方を知った上で、各自で創意工夫しろと言う。
この意味は、あんたになら良う分かるはずや。人に教えられた通りやって、カードが上がれば、こんな楽なことはない。せやけど、新聞営業は、そんな甘いもんやない。
ワシなんかも、こうして、偉そうに言うてるが、新聞営業のことを完璧に分かっとるわけやないからな。無責任に聞こえるかも知れんが、そんなもんや。
ただ、ワシは、未だに自分自身の未熟さを克服するべく、日夜、創意工夫を怠らんように心がけとるつもりはある。営業に完璧もなければ、ゴールもない。ちょっと、格好良すぎるかな。
つまり、ワシの言いたいのは、やる気のあるハングリーな人間だけが対象やということを分かってほしいということや。
それを踏まえて『初めの一歩なりを教えるには、どこから入って、どのあたりまで教えれば、営業マンの形になりますか』ということのアドバイスに入る。
もちろん『私は販売店なので、販売店寄りの営業が欲しいわけです』ということも加味した上や。
営業前の確認事項
教えるその素人の実態を知っとく必要がある。まずは、ここから入ることや。
1. 声を大きくはっきりと喋る。
営業でぼそぼそ話すようやと見込みはない。声は明るく、大きくないとあかん。はっきりとした言葉を喋ること。
2. 常に笑顔。これは、基本中の基本やと思うてくれてええ。笑顔のない拡張員ほど始末の悪いものはない。ましてや、あんたの所の店の看板を背負って営業に行くんや。
ニコッともせん人間なんかやと評判を上げる所の騒ぎやない。あんたも、たまには叩くて言うてたけど、笑顔で客に接しとるはずやろ。
3. 身なりや態度に注意する。第一印象は、なんと言うても、その勧誘員の雰囲気で決まる。小綺麗な格好の方が有利や。これは、客の立場で見ればすぐ分かる。
4. ロープレで基本トークを教える。
初心者には、あれこれと一度に多くを教えても効果はない。特にトークはな。基本的なトークを1つ、ないし2つくらいでしばらく押し切る。
この講習は、限られた期間ということやから、その限られた期間用のオリジナルキャンペーンを考えるのも、一つの手やな。トークの材料としても使える。
因みに、わしの良う知ってる店は、しょっちゅう、このオリジナルキャンペーンちゅうのをしとる。結構、効果あるみたいや。もっとも、同じ家にばっかり行ってても、どうかとは思うがな。
最近は、どこでもインターフォンが多いから、そのつもりのトークを主体に教える。
「おはよう、ごさいます。近所の○○新聞店のものですけど、○○サービスのご案内に寄せて貰いました。お手間は取らせませんから、お話を聞いて頂けませんか」
オーソドックスやけど、基本トークやから、こんなものでええやろ。もっとも、あんたがつけ加えたいことがあれば、それでもええ。
しかし、最初の段階では、奇をてらったトークは避けといた方が無難や。営業員が勘違いすることもあるからな。
この後の実際のやりとりは、その現場のあんたが一番、良う知っとると思うから、そのサンプルを作って、ロープレ、実際のシュミレーショントークの練習をする。
あんたが成功した方法か、あるいは、ここでも、あんたの希望のトークを交えるようにしたらええやろと思う。
実際、販売店でここまでやっとる所は少ないと思うが、普通の営業職ならどこでもやってるし、出来ると目される拡張団は、大抵、こういう実践面での教育をしとる所が多い。
これらは、すべて、あんたがチェックせなあかん。店の看板で表に出してええかどうかを判断するんや。あかんと思うたら、何度でも繰り返し、それを教える必要がある。これらが出来て初めて表に連れて行っても遅くはないと思う。
営業中の確認事項
初めのうちは、単独営業はさせん方がええ。連勧か案内の感覚でやった方がええやろ。付いてその都度、直接教える。現場が講習の場というやつやな。
1. 見本を見せるのが、一番、効果的や。あんたが、こうなってほしいというタイプの営業をして見せる。
その店の評価は、最終的には、あんたの姿勢や考え方次第や。営業員もそのあんたの姿勢を見る。あんたが妥協すれば、営業員もそう考え、あんたが真剣で厳しければ、営業員もこの仕事をそう認識する。
せやから、その講習中は、なるべく、妥協を見せんと厳しく教えとく方が、結果的にはその営業員のためになる。人間は、最初に教えて貰うたことが、あたりまえのことやと思うもんなんや。
見本のトークを見せて、実践した後、営業員にも練習したトークでやらす。
当然やけど、基本トークでその通り言うたからというて、客がすぐドアを開けるとは限らん。あんたも知っての通り、客がドアを開けて話をするまでが苦労をする。
せやけど、講習なら、それも、持って行き方次第で、ええ勉強になる。簡単に開けんし、難しいからこそ、この仕事はカード料も高いから稼げるんやと教えればええ。
そのためには、最初は、基本トークでただひたすら叩くしかないと教える。
この場合、ワシなら、ただ叩いて、断られましたというのやなく、断られた家でも、出来る限りの情報を入手するように、その営業員に言うて、メモでも取らす。これが、後で結構、生きるネタになることが多い。
2. なかなか、結果に結びつかんようやったら、あんたがヘルプをする。素人の営業員があかんと判断しても、ベテランがその話を聞けば行けるということは多い。
その場合、再度、あんたが行く。続けての訪問というのは、大抵、どこの家でも嫌がるものやが、店長のあんたやとまた違う。ご用聞きみたいな素人の後やとよけいにな。「先ほどは、どうもすみませんでした」で入って行ける。
それで、その客からカードが上がれば、どこが悪かったのか、実際的な指摘が出来て教育になる。
3. 「粘り強く」を強調して教える。極端な言い方をすれば、断られてあたりまえくらいの感覚でええ。粘り強い者が最後に笑う。そう教えとくことや。
これを、2週間の間に、スケージュールを組んでやれば、その人間にもよるやろけど、意欲のある人間なら、あんたの言う形くらいは出来るのやないかと思う。
4. これだけをみれば、あんたにかなりな負担のようやが、条件が条件なだけに仕方ないやろと思う。短期間で集中教育をしようと思えば、このくらいしかないと思う。
ただ、あんたも、彼らのためだけに時間を潰すのも、もったいないと思うから、これを機会にバンクの調査も兼ねたらどうかな。
例えば、過去読の洗い出しとか、拡張員の営業の仕方とか、考えたらいろいろあるはずや。結構、今まで、見えんかったものが見えるかも知れんと思うよ。
もっとも、あんたには、何も言わんでも仕事のことは、ワシ以上に良う分かっとるはずやから、今更な助言やけどな。
「私は流すと自分の現場がよくわかり楽しいです」と言うてるのを聞くだけで分かる。本当は、その楽しさを当の営業員に教えられたら、ええんやろけど、いきなりは無理やろなと思う。
仕事は何でもそうやけど、楽しいと思えな、それにのめり込んだり、打ち込んだりは出来んもんやからな。
ワシからは、こんなもんやけど、参考になるかな。また、何かあったら、遠慮せんと何でも聞いたって。ワシに分かることなら、何でも答えるつもりやから。