新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.720 拡張員に複数年の契約をさせる理由


投稿者 kyoga さん 拡張員 北海道在住 投稿日時 2009.4.28 AM 0:48


NO.719での貴重なアドバイスありがとうございます。最近スランプぎみなんでちょっと弱気になってました。

ちなみに、なぜかM新聞だけは契約が5年とか拡張員ができるんですが、どうしてですかね。

北海道の札幌ではA新聞の場合は持家か分譲マンションで2年契約しか拡張員はできないんですが、Y新聞は賃貸アパートや借家でも2年契約とかできますが。


回答者 ゲン


『なぜかM新聞だけは契約が5年とか拡張員ができるんですが、どうしてですかね』というのも、前回同様、そのM新聞の販売店に聞いて貰うしか、その確かなことは分からんと思う。

まあ、想像はつくがな。

この業界には、基本的に購読客に対して何年までの契約ならOKで、それ以上はアウトという申し合わせなり決まりなりというものは一切ない。

すべては、その各販売店毎の裁量でどうとでも決められる。それが故に、この業界は千差万別、いろいろあるわけや。

そして、それは他からとやかく言われることでもない。単に、その販売店がそうで、あんたの所が、そうやないというだけでな。

ただ、全国的な傾向で言えば、契約を取ってくる際のワシら拡張員に対しての条件、制約が多いのは確かや。

最も多いパターンが、賃貸物件の住人には1年未満。持ち家の住人には2年。期間社員、学生さんなどは3ヶ月までの契約というものや。

基本的に、ワシら拡張員は、「縛り」と呼ばれている長期期間の契約は認められておらん。

たいていは、1年契約までの拡張料しか決められてないのが普通や。まれに、2年契約の拡張料が決められとる場合もあるが、それにしても、1年契約での拡張料が8000円やからと言うて、2年で16000円の倍になるというケースは、まずない。

5割増しの12000円程度までがええとこや。そして、それ以上は、すべて同じという所が多い。

これでは、アホらしいて誰も長期の契約なんか取ろうという者も、その気になる者もおらん。

ちょっと考えたらすぐ分かることやが、同じ報酬にも関わらず長期に客と契約するということは、結果として、自身の勧誘客を減らし、稼ぎも減らすことになるわけやから、そんな愚を冒すような拡張員もおらんわな。もちろん、拡張団もそんな指示は出さんはずや。

拡張員が取ってきた比較的短期の契約を「縛り」と称して長期間の契約に変更するのは、その販売店の専業の仕事とされとる場合が多い。

ただ、何にでも例外というのはある。

そのM新聞の販売店が、拡張員に『5年契約』を認めとるということは、それなりの報酬額も決めとるからやと考えられる。

これは、あんたにとっては羨ましいことかも知れんが、その販売店にとってはリスクの大きいことなわけや。普通は、よほどのことでもないと、そんなことはせんもんや。

先に、『最も多いパターンが、賃貸物件の住人には1年未満。持ち家の住人には2年。期間社員や学生さんなどは3ヶ月までの契約とされている』と言うたが、これには新聞販売店の長年の経験からくる、それなりの理由と思惑があってのことや。

賃貸物件の住人は定住性に欠けるというのが、この業界の定説でもある。

中でも、独身者のアパート住まいの場合、いつ引っ越すか分からんという思いが常について廻る。転居率の高い地域ほど、それが言えると。

それでも、ちゃんと引っ越しを告げる客はまだええが、黙っていつの間にか引っ越しするというケースもある。独身者には比較的、そういうのが多い。

その行き先が知れて追いかけることができれば、まだ救いがあるかも知れんが、その引っ越し先が遠方とか不明というのなら、探すだけ時間と経費の無駄になるということで、たいていは仕方なくあきらめる販売店がほとんどやと思う。

当然やが、その契約期間中にそういうことがあれば、拡張員に支払った営業経費、拡材費などが、その販売店の負担、持ち出しとなる。

それを少しでも軽減するために制約や制限を設けとるわけや。

学生さんとか期間社員といった、ある一定の期間しか、そこに住むことがない、あるいはその期間も確実に保証されないという人たちにも、当然ながらその制限がおよぶ。

その人たちは、順調にいけば、その期間、そこに定住するが、学生さんは中途退学、期間社員もその契約期間内に辞めれば、それまでになる。それもリスクの内に入れなあかん。

その危険があるために、3ヶ月までという制限があるわけや。

持ち家の住人というのは、それらに比べるとはるかに定住性は高い。こういう所の客からは長期の契約をほしがる販売店は多い。

しかし、拡張員にそれをさせていたんでは、その営業経費がかさむから、その長期契約を結ぶのは、なるべく自店の専業員でと考えるケースが多い。

したがって、『北海道の札幌ではA新聞の場合は持家か分譲マンションで2年契約しか拡張員はできないんです』というのが、業界の常識であり、健全な販売店ということになるわけや。

『Y新聞は賃貸アパートや借家でも2年契約とかできますが』というのはリスクが、健全な販売店の倍になり、『なぜかM新聞だけは契約が5年とか拡張員ができるんですが』と言うに至っては、さらにそのリスクが5倍になるということや。

本来なら、Y新聞やM新聞の販売店も、そんなリスクを背負ってまで、そんなことはしたくはないばすや。

しかし、それでもそうしとるというのは、背に腹は代えられんところまで追い詰められとるからやとワシは見とる。そうせな、新聞販売店としての存続ができんと考えるほどにな。

あんたの所のA新聞が、そこまでになってないというのは、まだ健全な状態にあるからこそやと言える。

何でも物は考えようで、そういうY新聞やM新聞の拡張員を羨ましいと考えるか、先の展望のない営業に走っとると冷ややかに見るかやと思う。

前回の回答で、拡材のみに頼る愚について説明したが、今回のケースも根本的には、それと同じや。

それらの販売店は、拡張員にそういうエサをちらつかせることでしか、その契約を確保することができんと思うとるわけや。加えて、前回でも言うたように、その客もエサで釣り上げることしか考えとらん。

そんな前時代的な手法にいつまでも拘(こだわ)っとるようやと、気の毒やけど、早晩、行き詰まり、破滅するしかないやろうと思う。救いがない。

現在は、すべての状況が過去のそれとは大きく違う。時代が変われば、それに合わせたやり方に変えていくしか生き残る術はない。

それが普遍の真理やと、ワシは思うがな。


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