新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.721 この解除料金は支払う必要があるのでしょうか?
投稿者 everyday さん 投稿日時 2009.5. 2 PM 2:48
はじめまして。契約解除についての質問です。
母が、2年前に祖父が20年購読を続けたY新聞を解約し、他紙に切り替えました。
その時に、Y新聞の方が来られ、『今の新聞が2年だったら、2年後にまたお願いします』と『とりあえず書くだけでいいから名前を書いてくれ』と言われサインをしたら洗剤やビールを置いて帰ったそうです。
契約の後、祖父も亡くなり、私と主人が母と同居をするようになりました。
4月の末から何の前触れもなくY新聞が入るようになったのでY新聞本社や、新聞にあった電話番号に一週間電話を続けた結果、本日、2年前に母が契約をしていることをしらされました。
私は契約書もないので、コピーして持参してくださいと伝え、一週間分の新聞は持って帰っていただきましたが、契約を解除するには2万円の解除料金が必要だと言われました。
この解除料金は支払う必要があるのでしょうか?
お願いします。
回答者 ゲン
これは徹底して戦うか、穏便に済ますかによって、その対応が違うてくる。
その販売店が契約書を持って来んことには何とも言えんが、その契約者の名前が、お祖父さんになっていれば、契約者死亡での契約破棄を主張したらええ。
相手は、相続云々の話をしてくるやろうが、その契約がお祖父さんの「負債」と認められん限りは、子であるお母さんがその負債を支払う義務はないというのが一般的な法律の判断や。
また、お母さんが、そのお父さんの遺産を相続したかどうかの個人情報も知らせる必要はない。
せやから、その販売店が、相続を理由にその契約の有効性を求めるのなら、独自にお母さんがお祖父さんから確かに財産の相続したと証明し、その上で新聞の購読契約が負債であると裁判所に認めて貰う必要がある。
「それをしてから出直してくれ」と言えばええ。
『とりあえず書くだけでいいから名前を書いてくれ』と言われたのが、まさか契約このこととは知らなかったということなら、消費者契約法の「不実の告知」に該当する可能性も考えられる。
裁判所の判断やから、どうなるかはそのケース毎で違うさかい何とも言えんが、そう言えば、その販売店もそこまではせず、あきらめる可能性もある。
その契約者の名前が、お母さんになっていたら、勘違いによる 「不実の告知」だけで争うことになる。
この場合は、法的には少し弱いと思う。
その「不実の告知」による勘違いを主張しようにも、『サインをしたら洗剤やビールを置いて帰ったそうです』というのでは、契約してないのに、そんな景品を販売店が渡すはずがないと言われれば、返す言葉に窮すると思う。
サインして、その見返りである景品を貰えば、それを勘違いしたというのは、第三者から見れば無理のある話やと判断されやすいさかいな。
ただ、どうにも納得が行かないというのであれば、その「不実の告知」でとことん争う姿勢を見せるというのも方法や。
実際、『一週間分の新聞は持って帰っていただきました』ということなら、その払うべき支払いがなくなったということにもなるさかいな。
そのとき、その販売店とそちらの話がどうなっていたのかは分からんが、その『契約を解除するには2万円の解除料金が必要だと言われました』というのを、まだ認めてなければ、『そちらは契約解除に応じたからこそ、その新聞を引き上げたのでしょ』と言えばええ。
この時点で、この販売店はその対応を誤ったことになる。その販売店があくまでも、その契約に固執するなら、その解約金を支払うまでは、その新聞の投函を続けるべきやった。
それを、その話し合いがまだ決まらんうちに、その商品を自ら引き上げたという行為は、契約不履行に該当するさかいな。
新聞の購読契約の原則は、契約者はその新聞代を支払う義務を負い、販売店は遅滞なくその配達を行う責務があるというものや。
そのどちらかが続行不能となれば、契約不履行になる。
いかなる理由があろうと、その商品を引き上げたら、その時点で契約は破棄されたものと考えられる。
そう主張すればええ。
もっとも、その時点で『2万円の解除料金』の支払いに応じていたのであれば、それは仕方ない。払うしかないやろうな。
何でもそうやが認めてしまえば、そこですべてが終わるさかいな。それが嫌なら、徹底して認めず争うしかない。
ちなみに『この解除料金は支払う必要があるのでしょうか?』というのは、その契約がお母さんのものと認められた場合、それを解約するというのは、お母さんの自己事由ということになる。
つまり、自分の都合で契約を解除するには、そのペナルティとしての解約違約金を支払うというのが、世間一般の契約のルールでもある。
但し、この業界では、その解約違約金の額というのは特に決められてはいない。あくまでも当事者同士で話し合って決めるしかないとされとることや。
ただ、このサイトでは、便宜的に、1年以上の長期の契約を自己都合で解除する場合の解約違約金の最高額として2万円までが妥当やと言うてるが、それはあくまでも、それ以上請求するのはおかしいという観点での目安としてで、それを支払うべきやという意味やない。
もちろん、その額を示した根拠というのはある。
そのことに関して、当サイトの法律顧問をして頂いている法律家の今村英治先生から寄せられたご意見があるからそれを紹介しとく。
損害賠償の額ですが、特定商取法には継続的役務提供契約の中途解約を認める条文がありまして、これによると例えば、学習塾の契約などは中途解約のペナルティの上限として2万円または1か月分のどちらか少ない方という取り決めがあります。
これを類推適用するのが、いまのところ正当な賠償額かなと個人的に思います。したがって迷惑料として2万円を超える額を請求するのはいくらなんでも高すぎるというゲンさんの回答はまことに的を射たものと私は思います。
というのが、それや。
何度も言うが、これは、ワシのアドバイスする上の根拠であって、必ずしもそうするべきやと言うてることやない。
正直なところ、ワシとしては金額を提示すること自体には抵抗がある。
ただ、その目安がなければ、素人さんである一般読者の方は、老獪な販売店には太刀打ちできんやろと考えて、敢えてそうしとることや。
それを分かってほしいと思う。
それからすると、その販売店の示した解約違約金は、ギリギリではあるが、常識の範囲内やと考えられる。安くはないが、べらぼうに高いと言うほどでもないというところやな。
ただ、それを支払う必要があるかどうかは、そちらが判断されるべきことや。
それが高いと思えば、減額の交渉すればええし、納得すれば支払えばええことや。また、とことん争う気ならそれもアリということになる。
ワシのアドバイスはあくまでも参考でしかないと承知して貰いたい。
どうされるかは、そちらで良う考えて決められたらええ。
書籍販売コーナー 『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集』好評販売中