新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.724 裁判以外に、いい方法はないかと思います


投稿者 AIさん  投稿日時 2009.5. 7 PM 0:29 


はじめまして、聞いてください。

M新聞の購読をやめたいと思って、月末に来た集金人にその旨伝えました。

「契約があるから、解約はできないが、販売店に言っておく。」といわれました。

月初めに、連絡もなく新聞も入っているので、こちらから連絡をしましたら「契約があるから解約はできない」と、言いますから、「契約書のコピーが欲しい」といいました。

コピーを見ると、

契約日・19年1月4日
契約期間・20年10月から24ヶ月M新聞を購読します。

とあり、夫の署名捺印があります。

新聞社のロゴは入っていますが販売店の名前等はありません。

「解約をしたいなら、違約金を払え」といわれたので、「では、明細を持ってきて欲しい」と言うのに持ってきません。

そして、「解約はできない」といいます。

そのうち、「この契約はおかしい」というと、態度が変わって、「3か月分ただにしている」といいます。

「それなら、その分を払えばいいのか」というと、「解約はできないんだ」と、言います。

新聞社に間に入ってもらおうとしても、「契約は販売店としているから、苦情があったことは伝える」としか言いません。

関西在住ですから、大阪にも東京にも電話しましたが、同じ対応です。

そのうち、「3か月分払えばいい」と、言い出しました。

そして、こちらが、この契約書の不備を言うと、「オタクは気分が悪いから、違約金は要らない、そのかわり、新聞を入れ続けるから、新聞代を払わないと訴える。」と言い出しました。

消費者センターから、先方に連絡をいれてもらったら「その話は、3か月分払ってもらうことで解決している」と言ったそうです。

消費者センターの相談員は、こちらの心情はわかるが、「3か月分ただでよんだんだから、その分は払うべきだ。それくらいですんでまだいいほうだ。」と、言われました。

もめているとき、徹夜で仕事をする夫が早朝犬の散歩をしていて、「配達員ににらまれた」と、笑って言います。

でも、私は笑い事ではありません。外にいる犬に何かされたらと、不安もあります。

3か月分、払って終わりにしたいです。

でも、相手は、慟哭したり脅したりして、泣き寝入りを待ち、泣き寝入りしないとわかると、「ただの分を払え」と言えば、それで済むのはどうしても得心が行きません。

裁判以外に、いい方法はないかと思います。

新聞社に対しても、失望しています。


回答者 ゲン


新聞の購読契約というのは、他の業界にはない特殊性があるということを、まず理解して頂く必要がある。

こういうケースでの揉め事は、販売店の人間がそれを上手く説明できんがために、言葉のやり取りや行き違いから感情的になって、こじらせることが多い。

ワシには、その販売店の言い分も分かるし、あんたの気持ちも分かる。そして、公平に見て判断すると、どうやらあんたの方に誤解があるということも分かる。

これは何もあんたを責めて言うてることやない。

業界の特殊性とか、業界関連の法律というのは法律家であってもなかなか分からん、気がつかんということがあるから、ある意味、やむを得んことでもあるさかいな。

況(いわん)や、一般の人が、この業界に精通することなど、まずないやろうから、誤解や勘違いが生じたとしても、それは仕方ないと思う。

あんたの言われる『この契約書の不備』というのが、その契約書に『新聞社のロゴは入っていますが販売店の名前等はありません』との理由なら、契約書の無効を主張できる不備とまではならん可能性の方が高い。

裁判所の判断であっても、正当な契約と認められるはずや。

通常の契約書であれば、契約者同士を明確にするという意味でも、その事業者名の表示が明記される必要がある。それがないと、誰と契約したかという特定ができんからな。

他業種では、それがなければ、契約そのものを無効と主張することも可能やが、新聞購読契約書の場合、それがなくても、無効とまでは判断されんという特殊な事情がある。

その理由を説明する。

新聞には、宅配制度というものがあり、一つの地域には同種の新聞販売店は一店舗と決められている。

つまり、その契約書がM新聞を示す『新聞社のロゴ』が入っていれば、それがどこの新聞販売店か特定されるということや。

あんたの場合は、あんたの家に配達している販売店が、その当該の契約販売店となるわけや。他の販売店はあり得んということで、契約の相手が確定されていると考えられる。

まあ、それでもたいていの新聞購読契約書には販売店名を記したゴム印や印刷があるのが普通やけどな。

それがないというのは業界内でもハテナマークのつくことやが、例えそうであっても法的に無効とまではならんやろうということや。

程度の悪い販売店やということにはなるけどな。言うてもその程度で終わる。

そして、その新聞購読契約書に『夫の署名捺印があります』ということなら、立派に契約書と認められるということになる。

しかも、契約を交わし、新聞の配達が開始されて7ヶ月余りも経ってから、その契約が不備やと言い出したというのも、断りたいがための言い訳としか見えんから、あんたにとっては不利に働くと思う。

『M新聞の購読をやめたい』という理由が、その販売店の落ち度、不法行為に起因しとるものでない限り、それは、あんたの側の一方的な自己事由ということにしかならん。

多くの人が勘違いされておられることに、新聞の購読契約など契約のうちには入らんと考えとるということがある。

新聞を取る取らんというのは約束程度のことやと。いつでも解約できると。

あんたの『M新聞の購読をやめたいと思って』という文面からも、それは感じられる。止めるのは自由やと考えておられたフシがあったのやないやろうか。

しかし、契約書を交わし、契約者が署名捺印すれば、先に言うたように業者側に不法行為などの落ち度がなければ、それは立派に契約書として成立し、その契約期間内は法律で保護される。

その販売店としても、何の落ち度もなく、いきなり「その契約を解除したい」と言われれば、その利益を失うわけやから、「解約はできないんだ」と答えるやろうし、一般の契約解除の慣例に照らしても「解約をしたいなら、違約金を払え」という要求は当然なことやということになる。

もっとも、客に対してそんな横柄な物言いをしたらあかんがな。商売人として、あるまじき態度や。あんたが怒っておられるのも、多分にそれがあったからやないのかな。

普通に「頂いた契約の解除は致しかねます」、「自己都合で解約を希望される場合は違約金を頂くことになっています」と、丁寧に言われれば、また違うてたと思う。

ただ、あんたが『では、明細を持ってきて欲しい』というのは当然で、持って来ないというのは、明らかにその販売店が悪い。払えと言う限りは、その根拠を示すのは当然のことやさかいな。

『消費者センターから、先方に連絡をいれてもらったら「その話は、3か月分払ってもらうことで解決している」と言ったそうです』と、その販売店が、消費者センターの人間にそう言うたのであれば、そうして貰えばええことやと思う。

というか、それがあんたにとっては最高の形での決着ということになる。

今回の件が、どういう形になるにせよ、中途解約となった場合、法的にはその『3か月無料分』の新聞代は必ず支払う義務が生じることになるさかいな。

民法第545条に、「契約が解除されると、契約は締結した時に遡って消滅し、各当事者は互いに相手方を原状に復せしむる義務(原状回復義務。受領した物を相手方に返還する義務)を負う」とあるのが、それや。

これは、例え相手側に不法行為などがあったとしても、あんたが契約を解除した段階で、それが生じるということになる。

要するに、契約を解除するのなら、契約時に貰った物、先にサービスを受けたものは返しなさいという法律やな。

もっとも、そんな法律がなくとも、ちょっと考えれば分かって頂けると思うが、受けたサービスというのは、あくまでもその契約を全うするという条件で渡されたものなわけや。

良く販売店や勧誘員が「勝手に渡した、勝手にそうした」と言う人がおられるが、それを受け取ってから、それを言うというのは、おかしな話で認められることやない。

それは、契約時には承知されていたはずやさかいな。せやからこそ、先にその3か月の無料サービスを何のクレームも発することなく受け取っとるわけやからな。

それを契約者、つまりあんたの都合で一方的に破棄するのなら、そのサービス分を返すのが筋やということになる。

そのサービスが品物で貰っていて使っていなければ、そのまま返還すればええが、あんたの場合、実際の新聞で返還するというのは不可能やから、その代金で精算するということになる。

あんたの側には、その利益供与である3か月分の新聞料金を無料で受け取り続ける正当性や根拠が何もないということでな。

もし、そんなことが許されるなら、契約してサービスだけさせといて解約すればええという理屈になる。そんなバカな話はないわな。

そんなことにでもなれば、この契約社会は崩壊する。

本来、解約違約金というのは、そのサービス分を返還した以外に請求されるもので、話し合いによりその額を決めて支払われる性質のものということになっとる。

せやからこそ、消費者センターの相談員が、『3か月分ただでよんだんだから、その分は払うべきだ。それくらいですんでまだいいほうだ』と言うたわけや。

至極、当然な回答ということになる。

あんたの方も『3か月分、払って終わりにしたいです』ということなら、何の問題もないはずや。

あんたが、それを望めば、相手も消費者センターの相談員に『「その話は、3か月分払ってもらうことで解決している」と言った』ということなら、それを認めるしかないはずやさかいな。

その条件で折り合わんのなら、再度、その消費者センターにその旨を伝えればええ。相手の販売店も困るはずや。

しかし、あんたは『3か月分、払って終わりにしたいです』と言いながら『「ただの分を払え」と言えば、それで済むのはどうしても得心が行きません』と相反したことを言うておられるのが気になる。

せっかく相手がそれで折れているものを、あんたがそう言うことで、ぶち壊しになる可能性がある。あんたの意向で、「その話はご破算になった」と、その相手の販売店が言いかねんさかいな。

その販売店の人間が、『慟哭したり脅したりして』というのが、どの程度のことか分からんから何とも言えんが、こういったお互いの言い分だけを言い合う状態になれば、売り言葉に買い言葉ということで処理されやすく、警察が介在するケースは少ない。

『外にいる犬に何かされたらと、不安もあります』というのも、あんたの考え過ぎということで、ご主人同様、警察からも一笑に付されるのがオチやと思う。

販売店の人間が、揉めた客相手にヘタにそんな真似をすれば、今やと他紙の新聞ネタにもなりかねん。そうなると、あんたとの契約云々の話やなくなる。

それでその新聞社の怒りを買えば、強制改廃、つまり店をつぶされるということにもなる。

よほどのアホでもない限り、たった一つ契約が揉めたくらいで、そんなことをする販売店の人間はおらんはずや。もし、そんなアホが本当におれば、とっくに新聞ネタになっとるやろうが、そんな事案を聞くことはない。

あんたにとって、その揉めた販売店は一つやが、その販売店にとって、あんたは大勢の客の一人にすぎんわけや。

その販売店が、客と揉めたからと言うて、一々、そんな真似をするほどの暇があるはずがないし、キリがないというのが、ワシの見方や。そんな言動しかできん人間のおる販売店では他とも揉めとるケースがあると考えるのが自然やさかいな。身が持たん。

まあ、どんなことにでも例外はあるから、絶対にないとまでは断言できんが、限りなく可能性の低いことやとは言える。

もっとも、その販売店の人間が、危害でも加えると具体的なことでも言うてるのなら、恐喝、脅迫に該当するかも知れんが、それでもこの揉め事の延長なら、そう主張するだけでは警察もよほど行き過ぎた言動でもないと動かんやろうと思う。

その確かな証拠、例えばその言葉を録音したものとか、第三者の証言でもない限り難しいという外はない。

『裁判以外に、いい方法はないかと思います』というのは、あんたの方からは、その裁判を起こすのは今のところ不可能やと言うとく。

この手の裁判というのは民事になるから、この件で具体的にあんたの方に被害を受けたという事実が実証されん限り訴える根拠がないということになる。気分が悪いからというだけで訴えることはできんからな。

このままやと、あんたがその『3か月の無料代金の未払いのまま』ということになり、金銭的には得こそすれ損にはならんさかいよけいや。

このケースで裁判になるのは、その販売店の人間が『新聞を入れ続けるから、新聞代を払わないと訴える』と言うてるとおり、あんたがその支払いに応じない場合くらいしかない。

このまま決着がつかんと、その販売店としては、その契約書を根拠に新聞を入れ続けると思う。

あんたにとっては嫌がらせ以外の何ものでもないと感じるやろうが、これも正当な行為ということになる。

新聞の購読契約の原則は、契約者はその代金の支払いをする義務があり、販売店は遅滞なく新聞を配達するという責務を負うということになっとる。

そのいずれかが履行されん場合は、契約不履行となる。契約違反ということやな。

つまり、その販売店の人間の言い方は悪いが、実質的に、この問題が解決せん限りは販売店はその配達を止めることはできんわけや。言うてることの内容は正しい。

当然、その間、配達された新聞代の支払い義務は残る。あんたがその支払いを拒否し続ければ、その販売店もその支払いをして貰うには、その損害賠償請求の訴訟を起こすしかなくなるわけや。

この場合、それが裁判になる唯一のケースやと思う。そして、裁判になれば、あんたには悪いが、あんたが勝訴する確率は限りなく低いと言うしかない。

しかし、新聞契約の揉め事に関することで裁判にまで発展した事例はない。少なくともワシは聞いたことがないさかい、おそらく、その販売店の人間も脅しのつもりで言うてるだけで、まずそうするケースは少ないやろうと思う。

すると、どうなるか。あんたがその支払いに応じなければ、普通にその支払いを求めて日参するしかない。

それが月に一度か二度、それ以上になるかは、その販売店次第ということになる。

そして、これは借金の取り立てとは違うから、貸し金規制法などの制限もなく、その支払いの依頼に訪れることができる。

そうなると、お互いの根比べということになる。払うて貰う方と、払う方のいずれが強いかという勝負やな。

あんたの方に有利な点が何かあれば、支払い拒否の内容証明でも出せばええとアドバイスするのやが、このケースではそれも難しい。

ワシは拡張員やが、これでも一応、常識のある社会人のつもりやさかい、理のない根比べを推奨するわけにはいかん。

もっとも、そうするのはあんたの自由ではあるがな。

ワシのできるアドバイスは、先にも言うたように、その『3か月の無料サービス分の新聞代』を支払って終わりにできるのなら、それが一番ベストやということくらいや。

最後に、『新聞社に間に入ってもらおうとしても、「契約は販売店としているから、苦情があったことは伝える」としか言いません』ということやが、これも、この業界特有のシステムでそうなるとしか言えん。

現状のシステムでは致し方ないことやと。

新聞社の主な業務は、新聞販売店に新聞を卸すまでなわけや。その新聞の一般読者への販売業務は、あくまでも各新聞販売店の仕事ということになる。

公式にも、それに一切タッチせん、できんというのが各新聞社のスタンスでもある。

これは、家電業界を例にとって話すと分かりやすいと思う。

大手家電メーカーは、専属の販売店、もしくは家電量販店に商品を卸すが、直接、一般客に販売することはない。

商品に不良や不具合があれば真摯に対応するやろうが、「商品を買う契約をしたが、いらなくなったので、断りたいのやが、販売店がその解約に応じないから何とかしてくれ」という苦情をメーカーに訴えても、「その店と話し合ってください」と言うしかないわけや。

それは分かって頂けると思う。

新聞業界も同じで、新聞社が直接、あんたと新聞購読の契約をしとるわけやない以上、契約の問題に関しては、その販売先の販売店と相談してくれと言うしかないわけや。

新聞社が、販売店の行為に介入できるとしたら、それは明らかに法に触れるというような違法行為があった場合に限られる。あるいは、今回のように苦情があったことを、その当該の販売店に伝えるという程度や。

あんたは『新聞社に対しても、失望しています』と言われているが、そのシステムがある以上、新聞社の対応もそこまでが限度ということになる。

以上やが、それらのことを分かって頂けたらと思う。勘違いから争うのは不幸なことやさかいな。


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