新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.732 因縁をつけてくる読者への対応について


投稿者 Kさん  某地方紙新聞店社員  投稿日時 2009.5.26 AM 7:07


はじめて質問をさせて頂きます。

私、地方紙新聞店社員として勤めていますKと申します。

先日、後輩が、新聞を取りたいという連絡で読者A宅(アパートへ新入居)に伺い、年間契約をしました。

その際、金券を要求されたということで6・8ルールを超えてしまいましたが、金券を渡しました。

その後、隣の部屋の読者Bを紹介するという事で、伺うと「(銘柄の違う)3紙を購読するから、」ということで金券を要求。一度は、断ったものの言いがかりをつけられ渡してしまったとの事です。

その後は、いろいろと後輩の言葉づかいなどの挙げ足を取り、因縁をつけてきたという事で、私と一緒に話をつけに行きました。

読者Aと話をして結果としては、読者Aの分と読者Bの分もすべて解約するという事になりました(一応、会話は全部ボイスレコーダーにとってあります)。

店主からは、「もう、かかわるな。」と言われています。

一つ目の質問ですが、読者B本人に書いてもらった契約なので、たぶん契約開始日に新聞が、入っていたとしても入っていなかったとしても因縁をつけてくる可能性があります。

「○月○日、読者A様より、はっきり解約の申し入れがありました。」ということで突っぱねて宜しいでしょうか?

金券については、店主も「心情的には、許せないが、関わるだけ時間の無駄になる。これから気をつければいい。」と言ってくれていますが、今後、今回のように『拡材』をとる目的で契約をし、解約をし、拡材は「使ってしまい、ない。」という読者も出てくると思います。

私たちが、品物に頼らない契約を心がける事は基本として理解していますが、法律的には、何も対応することは、出来ないのでしょうか。

くだらない質問で申し訳ありません。お返事を頂ければ有り難いです。宜しくお願い致します。


回答者 ゲン


勧誘の揉め事が起きた場合、世間からは勧誘員の方が悪いと思われがちやが、実際には、あくどいと言われる勧誘員よりタチの悪い一般客の方が圧倒的に多いもんなんや。

ただ、業界の人間は、一般の人のようにはネット上などでアピールせえへんから、それと知られることが少ないだけの話でな。

ワシがサイトで、「あくどい人間は、どこでどんな職業に就いていようが必ずおる。それに一切の例外はない」と、口を酸っぱくして言うてることに間違いはないと思う。

もっとも、そうは言うても、あんたが言うほどの人間は、希な存在には違いないがな。

ただ、当たり前やが、業界従事者より一般購読者の方が圧倒的に多いさかい、例え希な存在であっても、絶対数は、はるかに多いということになるわけや。

今回の、その読者Aと似たようなケースとしては、旧メルマガの『第184回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■ゲンさんのトラブル対処法 Part 6 クレーマー対策について』というのが近いから読んでみられるとええ。

その中で、商品券を騙し盗る男の話をしたが、あんたの言われる読者Aおよび読者Bも同じように『金券』をタダ取りすることだけが目的やったと思う。

憶測だけで言い切るのは早計かも知れんが、十中八九、『その後は、いろいろと後輩の言葉づかいなどの挙げ足を取り、因縁をつけてきた』というのは、その契約をあんたの側(販売店)の方から解約させるように持っていくために言うてたことにほぼ間違いないと確信するさかいな。

もともと、その連中に最初から新聞を購読するつもりなど微塵もなかったはずや。

めでたくその目的を達したわけやから、『一つ目の質問ですが、読者B本人に書いてもらった契約なので、たぶん契約開始日に新聞が、入っていたとしても入っていなかったとしても因縁をつけてくる可能性があります』というのは、ないやろうと思う。

ちょっと冷静になって考えれば分かって貰えると思うが、普通の感覚のある人間やったら、『読者Aと話をして結果としては、読者Aの分と読者Bの分もすべて解約するという事になりました』というのを、その場でその読者Aが一存でするはずはないで。

普通は「読者Bの分は、そちらで話をしてくれ」と言う。また、そう言わなおかしい。形の上では、その読者Aは読者Bを紹介しただけやさかいな。

それが、その読者Aの一存でできたということは、ハナ(最初)から、金券だけが目的で、その二人の間には暗黙の了解が事前にあったやったからやと思う。それ以外には考えにくい。

これが、「解約するのなら、その金券を返してください」と正当な要求でもしてたら、とことん揉めてたとは思うがな。

『「○月○日、読者A様より、はっきり解約の申し入れがありました。」ということで突っぱねて宜しいでしょうか?』というのも、ないやろうが、万が一あれば、そうすればええ。

もしくは、その読者Aに「お宅の顔を立てて解約に応じたのになぜ読者Bの方からクレームがくるのですか」とでも言えばええ。

通常、この読者Aの立場の人間なら、読者Bがそういうクレームを販売店につければ、「顔をつぶされた」と考えるはずやさかい、その二人の間で揉めることになると思う。

『一応、会話は全部ボイスレコーダーにとってあります』という用心深さは評価するが、読者Bと揉めた場合には何の役にも立たんと言うとく。読者Aを責めるには有効かも知れんけどな。

「そっちが勝手に読者Aと約束したことはオレには関係ない」と言われれば、そのとおりということになる。もっと言えば、そのボイスレコーダーの存在は、それを裏付けとることにもなるわけや。

当たり前やが、解約するのなら、その契約者本人、もしくはその身内とするべきことやさかいな。新聞販売店の人間としては迂闊やったと思う。

まあ、今回はそれで揉めることはないやろうが、次からは気をつけることや。

『金券については、店主も「心情的には、許せないが、関わるだけ時間の無駄になる。これから気をつければいい。」と言ってくれています』というのは、そのとおりやとワシも思う。

悔しいやろうが、とことん争う気持ちがなければ、こういう輩とは渡り合うだけ無駄やし、損や。ロクなことはない。

『今後、今回のように『拡材』をとる目的で契約をし、解約をし、拡材は「使ってしまい、ない。」という読者も出てくると思います』

これについては、地道やが、そういう客が出る都度、「拡禁(特定の購読者への拡張禁止)」扱いするくらいしか手はないやろうと思う。

見た目だけで、客をそれと判断するのは難しいさかいな。また、そればかりを気にしていたら勧誘営業そのものもできんやろうしな。

今回の事は、あくまでも希なケース、言えば交通事故に遭うたくらいに考えることや。仕方なかったと。

ちなみに、先のメルマガでは、同じ人間が偽名を使うという手口を話したが、それは実際にあったことやさかい、拡禁にするのなら、そのアパートの部屋、もしくはそのアパート全体をそうする方が無難かも知れん。

そのアパート内で、その噂が広まって同じことがまた起きんとも限らんし、違う勧誘員が行けば、その読者Aが偽名を使う、あるいはその他の住居人をそそのかす可能性も皆無やないと思うさかいな。

まあ、これは、店主の判断に任せたらええけどな。

『法律的には、何も対応することは、出来ないのでしょうか』ということやが、その気さえあれば、法律的にはいくらでも対抗することはできる。

クーリング・オフの期間が過ぎて、期間の決められた契約は、勧誘者、もしくは販売店側に重大な落ち度や不法行為がない限り、契約者の側から一方的に契約解除することはできんことになっとる。正当に結ばれた契約はすべて法律で保護されるさかいな。

どうしても解約したいのなら、話し合ってお互い納得した上でそうするしかない。多くは、ペナルティとしての解約違約金を支払ってということになる。

その際、その解約違約金とは別に、今回のケースのように契約の条件として渡した金券の返還要求には、契約者は応じる必要と義務が生じると考える。

民法545条に原状回復義務というのがある。契約を解除する場合は、お互い契約する前の元の状態に戻そうというものや。

これは、例え勧誘する側に違法な行為があって契約が解除されたとしても避けられる類のものやない。販売店としては、いかなるケースであっても返還を要求できるとされているものや。

よく「違法行為があるから、その契約は無効」やと言う者がいとるが、それはそのとおりやが、せやからと言うて「貰った物は返さんでええ」という理屈にはならんということや。

今回、あんたは『6・8ルールを超えてしまいました』と景品表示法違反を気にされておられるようやが、例えその法律に違反していると認定されたとしても、それは契約者の利害とは何の関係もない話なわけや。

世の中、相手が無法なことをしていれば、こちらは何をしても許される、正当化されると思い込んどる者がおるようやけど、それはないと断言できる。

このケースを客に説得する場合は、その民法545条の原状回復義務の説明と併せて、「約束した契約が守れないのですから、それを条件にこちらが渡した物(サービス)を返すのは当然ではありませんか。契約を解除されるということは、それで得られるすべての権利を放棄されるということですから」と言うことや。

そうすれば、今回のような人間以外なら納得するケースは多いと思う。

今回のケースでは、とことん争えば勝てる可能性が高いから、その気さえあれば、そうすることもできたはずや。

もっとも、今回に限っては、すでに話がついたということのようやさかい、今からではどうにもならんがな。

どんな決着にせよ、お互いが話し合って納得して合意した事柄については、それはそれで法的にも有効とされるケースが多いさかいな。


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