新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.735 3ヶ月間サービスさせられたことにどうも納得いきません
投稿者 リョウさん C新聞販売店社員 投稿日時 2009.5.29 PM 6:50
いつも楽しく拝見させていただいております。
私、C新聞の販売店で社員をしております。
新規のお客様で2ヶ月サービスの後、今月初めての集金に行ったところ「2ヶ月タダでいいから契約書を書いてとセールスに言われたので金は払えん」といわれました。
そのセールスに確認したところ確かに説明して契約は頂いたし、そのようなことは言ってないとのことです。
そのセールスは信頼できる方なので客の方を疑ってしまうのですが、何を言っても仕方ないので新聞は止めました。
しかし、3ヶ月間サービスさせられたことにどうも納得いきません。こういった場合の対処法を教えてください。
回答者 ゲン
あんたが『そのセールスは信頼できる方なので客の方を疑ってしまうのですが』ということなら、そのセールスを伴って再度、話し合いで決着をつけるべきやと思う。
普通は、そうする。
もしくは、そのセールスに「客がこんなこと言うてるけど、どないなってんねん」と言い、「何とか話つけてくれ」と、任せるかや。
ワシは、前者の同伴する方がええとは思うがな。
あんたの目の前で、そのセールスと客と対決させるわけや。これは、どちらかがウソをついとるのは間違いないから、そのやり取りから判断せな仕方ない。
ウソをつく人間というのは、どうしても一貫性に欠けるからボロを出しやすい。また、その話の内容に整合性がないのが普通やから、言動次第でいくらでも突っ込みどころが出てくる。
但し、『そのセールスは信頼できる方なので』という思い込みは捨てて、第三者の立場で冷静に観察せなあかんで。
ワシは、そのセールスがどんな人かは知らんが、意外な面を秘めとるとも考えられるから、その客の言うてる事もあり得ると思う。
もちろん、その客が勝手にそういうストーリーをでっち上げとるということもある。
いずれがウソをついているにしても、ウソをついている方は、相当したたかな人間には違いない。
まずは、そこを見極める必要がある。
ただ、状況的には、ワシもそのセールスの言うてることの方が信憑性は高そうやとは思うがな。
あんたが『そのセールスに確認したところ確かに説明して契約は頂いたし、そのようなことは言ってないとのことです』ということで、そのセールスを信じたのは、その言動におかしな部分がなかったと感じられたからやと思う。
普通、本当にそのセールスが、その客とそんな約束をしていた場合、その代金を払うてるか、そうしようと画策していたはずやから、その話を聞かされとき、相当、動揺するはずや。
狼狽(うろた)えた感じになる者もおれば、妙に怒り出す人間もおる。少なくとも、冷静に『確かに説明して契約は頂いたし、そのようなことは言ってない』と、なかなか言えるもんやないと思う。
また、そういう事をしていれば、遅かれ早かれ問題になるというのは承知していたはずやから、客から言われるまで、そのセールスがその件を放っておいたというのも、考えにくい。
あんたがそのセールスを信頼しているということは、そのセールスも知っているはずやから、よけいや。
例え、裏でそういうことをしていたとしても、何とかして信用を落とすまいと奔走するのが普通やから、そんなことが表面化するとも思えん。
それに、そんなウソをつくようなセールスなら、もっと早くにどこかでボロを出していたはずやから、あんたの信頼も勝ち得てなかったと思う。
対して、その客が『2ヶ月タダでいいから契約書を書いてとセールスに言われた』と言う作り話をした場合はどうか。
あんたの店でも、その契約が正しいかどうかの監査はしていたはずやと思う。
具体的には、契約を貰ったその日、その客に「ありがとうございました」という礼をするためという体裁で電話をかけてということでな。
その際、おそらくは「それに間違いありません」と、その客は返事していたはずや。
それを、突っ込んで聞く。冷静にそのときの状況を話せるようやと、あながちウソとは言えんいうこともある。
人は、100%のウソをつく場合、必ずと言うてええほど辻褄の合わん箇所がいくつも出てくるもんや。態度も怪しくなる。妙に大声になって怒り出したり、ハナ(最初)から喧嘩腰になったりと、いろいろな表情を見せる。
先週から、木村拓哉主演の「ミスター・ブレイン」というテレビドラマが始まったけど、あれは面白いうえに、こういうことには結構、役に立つ番組やと思う。
初回の放送の中で、「人はウソをつくとき、自然に視線が斜め上を向く」というのがあったが、それはワシも経験的に納得できる話やった。
俗に言う、「目が泳ぐ」というやつや。ウソをつく人間というのは、どこを見ているのか分からんように視線が空をさまよい、落ち着きをなくす者が多い。
それがあることにより、ウソを見破れたというケースが過去にもあったしな。
また、ワシの昔からの拡張員仲間にヤスという「希代の詐欺師」を自称する男がいとるのやが、その男が良く言うてたことがある。
「ゲンさん、相手を騙そうとするとかウソをつくのやったら、本当の話を適度に織り交ぜなあかんで。すべてをウソで固めてたら、ナンボ一流の詐欺師でもボロが出るもんやからな」と。
人は本当の話をするときには、一生懸命になるし、熱も入るから説得力もそれなりに生まれやすい。そのためにも、ウソをつくのなら、意図して本当の話を織り交ぜてするのやと。
そんなものかと、感心して聞いたことがある。
参考までに、そのヤスの話は、旧メルマガの『第41回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■拡張員列伝 その2 詐欺師ヤス』 にあるから、暇なときにでも読んで貰うたらええ。面白いと思うし、意外な発見もあるはずや。
ウソをついてまでそんな真似をする理由は一つ。その新聞代を払わずに済ませ、それに付随したサービス品をタダ取りするのが狙いや。それ以外にはない。
あんたの方の地域では、こういう「タダにするから契約してくれ」と言うケースはまだ少ないと思うが、関東あたりでは多い。というか、日常茶飯事と言うてええくらい、ひどい地域もあるということや。
そういう情報がネット上には数多くある。このQ&Aにも、いくつかそういうのが寄せられとることでもあるしな。
それで今回のことを思いついた可能性がある。
また、ネット上の至るところに裏情報と称するものがあり、そういった行為を煽るサイトや書き込みが多い。こうすれば得をすると。
それを真に受けたか、ヒントを得て考えたというのも否定できん。
浅はかと言えば、これほど浅はかな人間も珍しいが、世の中には、それで通用すると考えるアホがおるのもまた事実や。情けない話ではあるがな。
あんたが、その客の方がウソをついていると感じたら、正攻法で追い込むようにすればええ。
まずは、その契約書を示して「この契約書には、あなたが言うように、2か月タダにする、とは書かれていません。どこからどう見ても正規の契約ですから、これは法的にも有効なものですよ」と言う。
そこで「こちらのセールスが言ったということが証明されない限りは、あなたには、その新聞代を支払う義務が法的にも発生しますので、私どもとしてはそれを請求するしかありません」と宣言すればええ。
加えて、先ほど、言うたように販売店からの確認の際、「それは間違いありません」と言うたことに言及すれば、よけい追い込める要素が強くなる。
ただ、こういう、したたかな男はそれでも抵抗するはずやと思う。意地にもなるやろうしな。
ここからは、お互いの根気の勝負になる。
法的には、少額訴訟で訴えるという手もある。本裁判というのは面倒で嫌がる販売店は多いが、少額訴訟なら、比較的安くて簡単に済むし、早い。
もっとも、新聞販売店が客に対して、それに踏み切ったという話は、今のところまだ聞かんがな。
ここで、参考程度として、簡単に少額訴訟についての注意点を言うとく。
1.60万円以下の金銭支払請求をする場合。
2.何度も裁判所に足を運ぶ必要が無く、原則として1回で判決が言い渡される。訴状を提出した日から2週間程度で結審というのが多い。
3.同じ簡易裁判所での少額訴訟の利用は、年間10回までしかできない。
4.相手方の所在が分からない場合、少額訴訟を提訴できない。
5.提訴後に原告から通常訴訟での審理を請求することはできない。
6.被告が少額訴訟手続きに同意しない場合、通常の裁判に移行される。
7.原告・被告ともに、異議の申立てはできるが、控訴はできない。
8.反訴はできない。
9.訴訟費用が安い。新聞の場合は、たいてい訴える相手は一人で10万円を越える請求はまずないやろうから、最低ラインの手数料1000円と裁判所が双方に送付する切手代3910円の計4910円で済む。
但し、弁護士や司法書士に依頼した場合はその費用が別途必要になる。
もっとも、訴訟手続きの方法は、裁判所の係官が教えてくれるから、そのとおりにすれば特に弁護士や司法書士をつける必要はないとは思う。
まあ、それに関しては、それぞれで判断して貰えればええことやがな。
今回のケースで争えば、証拠の点から言うても勝てる可能性は高いと思う。もっとも、ワシは裁判官やないから、その保証はできんがな。
もし、その客が確信犯やったとしたら、それに味をしめ、また同じことをする可能性があるし、他の者を唆(そそのか)す恐れもあるから、今後のことを考えるのなら、それを阻止するためにも少額訴訟をするというのも一考やと思う。
ただ、その客が本当にタチの悪い男なら、例えその少額訴訟で勝って、新聞代を支払えという判決が出たとしても無視して、払わんケースも十分考えられるがな。
Q&Aの『NO.732 因縁をつけてくる読者への対応について』 でも、タチの悪い客について触れたが、どうしようもない奴は、ほんまにどうしようもないさかいな。
相手するだけ疲れるという者がおるのも事実や。
どうするかは、あんたの販売店のトップと良く相談して決めるしかないことやと思う。
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