新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.737 できれば今日中にでも解約したいのですがどうすれば良いでしょうか?


投稿者 Sさん 投稿日時 2009.6. 7 AM 10:40 


ゲンさん始めまして。

私は一人暮らしの大学二年で、一年生(18)の11月にY新聞の拡張員に二年の4月から三ヶ月ということで契約を結びました。

本当は取る気はなかったんですが、同県の人だと言われたことで親近感が沸いたことと、なかなか帰ってくれないことで契約してしまいました。

当初はちゃんと読んではいたんですが、大学の図書館で間に合いますし、その方が数種類を見れますし、諸経費を考えるとやはり解約した方がいいかと二ヶ月目の料金を払ってから思いました。

そして、先日Y新聞の販売店に民法4条、5条の未成年の法的行為に則って、解約したいと担当者に電話でその旨を伝えました。(両親のどちらにも同意は貰ってないので。)

ですが、クーリングオフ期間が過ぎていること。拡張員に多大な契約費(?)を払って契約を取り付けたこと。契約は遵守すべきことだから、といってネチネチと話をはぐらかされて途中解約に応じてくれません。

単に生活費を節制したいというのもありますが、一回目の電話では担当者から折り返しの電話がなかったことや二回目の電話ではやっと出たかと思えば小馬鹿にした態度だったので、できれば今日中にでも解約したいのですがどうすれば良いでしょうか?

それと内容証明郵便で解約を伝える際は、どのような内容を書けば良いのでしょうか?

長文乱文につき、失礼しました。


回答者 ゲン


あんたがどうしても、未成年ということで『民法4条、5条の未成年の法的行為に則って、解約したい』ということなら止めはせんが、そうしても得することは少ないし、却って大損する可能性もあるから、あまり意味はないと思うがな。

解約したいという理由に『諸経費を考えるとやはり解約した方がいい』とか『単に生活費を節制したいというのもありますが』と言われているのがウェートとして大きいのやったら、止めといた方が無難やと言うとく。

そうしても、すでに支払った新聞代は返らんし、残り1ヶ月の新聞代を始末するために支払う代償は、それ以上のものになると考えられるさかいな。

途中解約をした場合、契約時に何を貰ったのかは不明やが、それを返還する義務というのが生じる。

民法545条に原状回復義務というのが、それや。それにより、契約を全うする条件として貰ったものはすべて返還する義務を負うことになる。

これに関しては、勧誘する側が、いかに違法行為をしていようとも、それを理由に契約解除する側がその返還を逃れることはできんとされとるものや。

勧誘時の違法行為は、それが刑法に触れるものでない限り、単に「契約を解除できる」というだけにすぎん。それが契約者にとって最高の状態なわけで、それ以上はない。

良く「違法な契約で貰ったものは返さんでええ」、「迷惑料として貰うといたらええ」というバカなことを平気で言う者がいとるが、それは大変な心得違いをしとると言うしかない。

法律云々を別にしても、その契約が嫌で解約するということは、その約束を守ることができんということになるわけやから、その約束を守るために貰ったものは返すのが当然やと思う。

それが後、1か月しか残ってないとしても途中解除には変わりはないから、それが適用される。

つまり、あんたの場合は、そのサービス分と1か月の新聞代を比較して、どちらが得かという判断になるわけや。

加えて、その販売店が納得していないということなら、それでこれから争うことになる。

言い争っているうちに、その1か月、実質の残りでもある23日くらいはすぐに経ってしまうと思うけどな。

また、あんたは『内容証明郵便で解約を伝える』と考えておられるのなら、当然やがその費用も必要になる。

『内容証明郵便』を出すというのは、クーリング・オフ以外では「訴訟」も辞さずという意志表示やさかい、簡易ハガキで済ますというのではあかんと思う。

最低でも1220円が必要になる。普通は、専用の市販用紙を買って書き込むから、なければそれを買う費用もいる。

ついでやから『それと内容証明郵便で解約を伝える際は、どのような内容を書けば良いのでしょうか?』というのにも触れとく。

ただ、その際、契約解除の意志は、まず、あんたのご両親からその販売店に伝えて貰うことを勧める。それが筋やと思う。

単に『両親のどちらにも同意は貰ってないので』というのは理由にはならん。

新聞の購読契約を未成年がする場合、親の同意を得るというのは必要ないから、契約すること自体には何の問題もない。

ただ、販売店が、相手を未成年と知っていて、その親の同意を得てない場合は、その親からの契約解除を通告されると、それに抗しきれんというだけのことやからな。

契約した本人が「私は未成年ですから契約解除します」と言うのは、そうしてもええと判断する法律家もいとるようやが、それと反対の見解を示す法律家もいとる。

良くテレビの法律番組などで、弁護士同士が違う見解を示すということがあるが、この手のものもそれやと考えてくれたらええ。

ちなみに、このサイトでは後者の反対の見解に統一して、それに沿ったアドバイスをするようにしとる。

保護者から「私は息子のした契約には反対ですので、解除させます」と伝えるのなら、法的にも問題はなく筋も通ると思うさかいな。

せやから、その内容証明郵便を、あんた自身が書いて出したのでは早期の解決にはならん可能性の方が高いと考える。出すのなら、ご両親に頼むことや。それなら、仕方ないと折れる販売店もあるやろうしな。

その場合の書き方なら、

私の長男、○○○○が平成○年○月○日に貴社のセールスマンと新聞購読契約を結びましたが、民法第4条の規定により、保護者である私の意に背く契約と判断しますので、私の権限でその契約を解除致します。

という感じでええと思う。

ただ、確実性を求めるのなら、ちゃんとした法律家に確認してほしい。ワシは、こういうことには詳しいつもりやが、法律の専門家やないさかいな。間違いがあっても保障できんしな。

内容証明郵便というのは、はっきりとその意志を伝えられるような文面になっとることが必要や。

たまに、その経緯を伝え、こうしてくれたら良かったとか、私も悪いところはあったが、そちらはそれ以上に悪いというようなことをくどくどと書き添える人がいとるが、それをすると却って不利に働くことがあるさかい止めといた方がええと言うとく。

また内容証明郵便代金は用紙一枚でナンボやさかい、いらんことを書き添えて枚数が超過するとその分、費用もかさむだけ損や。特に、こういった法律の絡むものは、できる限り単純明快、確実にその意志が伝わる内容を心がけた方がええ。

それさえ分かれば、それほど難しいことはない。後は専用の市販用紙に書き込むだけでええ。

ただ、それにしても日数がかかるさかい、費用と手間のワリには報われんやろうと思う。

これが、その新聞が投函される前までにするのやったら、まだそうする意味もあったかも知れんがな。

この契約解除か法的に認められた場合は、その販売店の言う『拡張員に多大な契約費(?)を払って契約を取り付けたこと』を理由に解約違約金の請求というのはできんから、それを気にする必要はない。

ちなみに『拡張員に多大な契約費(?)』というのが、あんたには分かりにくいようやから簡単に説明しとく。

この業界は、拡張員という新聞専門の営業員が販売店の依頼で契約を取ってきた場合、それに応じた契約料というのを、その拡張員の所属する会社である拡張団に支払う仕組みになっているのやが、その販売店はそのことを言うてるのやと思う。

地域や新聞社、および拡張団と販売店の関係などでも、その額にはかなり開きがあるさかい確定的なことは言えんが、あんたのような3か月契約やと、6000円〜15000円までが、その費用の範囲ということになる。

おそらく、その販売店は、それの高い方なのかも知れんがな。もっとも、人によりその判断の違いから、例え6000円の最低ランクでも『多大な契約費』やと言うケースもあるから何とも言えんけどな。

第三者のワシから見ても、あんたの相談は『当初はちゃんと読んではいたんですが、大学の図書館で間に合いますし、その方が数種類を見れますし、諸経費を考えるとやはり解約した方がいいかと二ヶ月目の料金を払ってから思いました』ということで解約したいのが本音やと感じる。

『民法4条、5条の未成年の法的行為』というのは、なんとかその契約を解除する方法はないかと模索した結果、それを見つけて引っ張り出したという印象が強い。

それのどこが悪いと言われたたら、それまでやけど、そういう考えは根本的に間違うとるし、あんた自身のためにならんと老婆心ながら忠告しとく。

自分の主張を押し通すために、相手の落ち度を探すという行為は、あんたの心を貧しくし、不幸になるだけやと思う。それが、嵩じると、相手に落ち度があれば何をしても許されると錯覚することになる。

そうなると、人は自分の落ち度には気がつかんようになり、何があってもすべて相手が悪いと考えるようになりやすい。

世の中には、よほどの極悪非道な犯罪以外、一方的に悪いというケースの方が少ないもんや。たいていは、それぞれの立場に立てば、それぞれの正義ある。

それに気づかんのは、これからのあんたの人生においても大きな不幸やと思う。

今回のケースを逆の立場で少し考えれば、そのことが分かるはずや。

その販売店は、あんたと交わしたその契約に従って、毎日、真面目に新聞を配達しとるだけのことや。それに関しては何の落ち度もない。

せやのに、後、わずか1か月という段階になって、いきなり未成年やからという理由で解約したいと言い出した客がいとるわけや。

「信じられんやっちゃ」、「えらい言いがかりやな」と考えても無理はないと思う。

ワシは、この業界の人間やからかも知れんが、その気持ちは良く分かる。

それが、『一回目の電話では担当者から折り返しの電話がなかったことや二回目の電話ではやっと出たかと思えば小馬鹿にした態度だった』ということにつながった可能性はある。

『一回目の電話では担当者から折り返しの電話がなかったこと』というのは、相手も仕事をしとる身やということを考えれば、どの程度のタイムラグがあったのかは知らんが、連絡があるまで待っても良かったと思う。

それが待ち切れんのなら、直接、その販売店に出向いて直談判したらええだけの話やしな。その方が確実で早い。

ただ、『小馬鹿にした態度だった』というのが、具体的にどんなものやったのかは分からんが、あんたにそれと感じさせたのは、その販売店の落ち度があるかも知れん。

それが理由で許せず、損得抜きに喧嘩したいということであれば、それはあんたの自由や。

ただ、怒る理由とすれば弱いと個人的には感じるがな。

それに付随するのかどうかは分からんが、『できれば今日中にでも解約したいのですがどうすれば良いでしょうか?』ということで、ワシらに即答を望んでそう言うてるのやとしたら、悪いけどそれは無理やと言うとく。

このQ&Aでは、なるべく早く返答するようには心がけとるが、ワシもハカセもそれぞれ仕事を持っていて、その合間にやっとることやから、いくら早くても翌日になる。

もっとも、ハカセが緊急を要すると判断したものについては、ごくまれに早い対応をすることはあるが、普通は、相談があってから2日頃までの間で回答するようにしとる。

それには、単にワシとハカセとの連携ということもあるが、法律に関係したような相談事になると、その専門家の意見を聞くこともあるし、調べる事も必要な場合が生じるさかいな。

ここに相談されたものはサイトへ掲載することになるさかい、迂闊なことは言えんというのもあるから、回答を推敲する時間も必要になる。

内輪の事情を話せばそうや。

それでも他サイトでのQ&Aの回答よりかは早い対応やと思うとるがな。

結論として、あんたが解約に向けて動くのは自由や。それを止めるつもりはない。ただ損得で判断するのなら、冒頭でも言うたとおり、今回のケースではあまりしても意味がないということや。

もっとも、どうするかは、あんたが判断すればええことやけどな。


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