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NO74  新聞紙の紙質についての疑問です


投稿者 スギ様 35歳 男性 関東居住 投稿日時 2005.2.20 PM 5:33


ゲンさん&ハカセさん こんにちは。
今回は、新聞紙の紙質についての疑問です。

私は、先月から、ゲンさんが担当されておられる新聞社の新聞を愛読していますが、ちょっと疑問が湧きました。

Y紙はNK紙と同じ紙質なのでは?と思い。どうもM紙の紙質が良く、新聞を折りたたんだ時(私は、電車内で読むため、真ん中から二つに折って読むのが私のスタイル 笑)に良い紙質の様な気がしてならないのです。

次に良いのがS紙の様な気がします。紙質的に言うと、M>S>A>Y&NKの様な気がします。

ここで言う紙質とは、内容うんぬんではなく、新聞紙の紙の質です。ひょっとしてYはNKと同じ製紙会社のものかな?と思いました。ふたつ折りにしずらいのです、笑。

どう思われますか??


回答者 ゲン


あんたの質問は、いつも単純な疑問のようでかなり難しいな。正直に言うてこういうことは、あまり詳しくは知らん。せやから、ワシの知る限りということで話す。

実は、こういう、あんたのような質問をする客も、希にやけどいとる。知ってて言う場合か、あるいは、そういう質問をすることで、拡張員の無知を暴こうとする場合といろいろや。

もっとも、あんたはそのいずれでもないというのは、良う分かっとる。純粋な疑問やと言うのもな。

そんなとき、ワシはトークで「そんなはずありませんよ。新聞紙には規格が決められているから、どこの新聞でも大差ないはずですよ。思い違いやないですか」と答えるようにしとる。

実際、ワシにはその違いは良う分からん、違うと言われれば、そうかなと言う程度や。もっとも、厳密に言うと、それぞれ違いはあるのやろうけど、それは、こうやとは言い切れん部分がある。

まず、あんたの「同じ製紙会社のものかな?」という疑問やけど、各新聞社は基本的に1社のみの製紙会社の紙で新聞を作っとらんということがある。

大抵は、大手製紙会社、数社の紙を使用しとる。割合は、その新聞社、その印刷工場によってそれぞれ違う。もっと言えば、同じ新聞の同じ印刷工場であっても、その年、その時期によっても違う。

新聞紙に使う紙は、更紙(ざらがみ)と言うて非塗工紙のひとつで、白色度も低く、表面がやや粗く耐久性に乏しい下級の印刷用紙や。紙質としてはあんまりええもんやない。

非塗工紙というのは、新聞用紙や普通のノート用紙、コピー用紙などのように表面に塗料が塗られとらんもののことを言う。

しかし、日本の新聞紙は、表面に多少の塗料は塗っとるようやけどな。カラー印刷なんかの印刷性を上げるためらしい。それが、どの程度かというのは、企業秘密のようや。

これは、手触りにも影響してくるから、この辺が触った感覚の違いになるのかも知れん。

それでも、通産省での紙の分類には、新聞紙は非塗工用紙とある。因みに塗工紙というのは、塗料を紙の表面に塗り表面をなめらかにして光沢を出したもんや。、高級印刷用紙として使われる。カレンダーやカタログのような紙がそうや。

ただ、下級の印刷用紙やからというても、日本の新聞用紙のレベルは世界的にも高い。新聞は短時間で多量の印刷を高速でする。当然やけど、印刷作業中に巻取紙が切れたらあかん。

日本の新聞用紙は世界で最も軽くて薄い。43g/uというのが一般的や。これに比べ諸外国は45g/u〜46g/uが標準や。日本のよりも、やや分厚い。

これだけ薄い紙やけど、印刷中の紙切れは巻取200本に1回程度で、200kmの長さで1回の割合やと言う。これは、驚異的な技術ということらしい。これに対して米国辺りやと、その紙切れが日本の約10倍は多いと言うことや。

古紙の使用率も新聞紙は高い。ある大手製紙メーカーの古紙使用率は75%もあると言う。感触の違いはここにも現れると思う。

この古紙というのが一律のものやない。地域や回収形態、各古紙回収問屋などでも違う。新聞用紙というものも、昔から同じものというわけでもない。

最近のものと、10年前、20年前のものはその紙質も違う。それらが、時期的に混載される場合がある。多くは年末なんかや。

この年末に大量に古紙を出すという人間が結構いとる。特に、地方の農家辺りは納屋が広いということもあるのやろうが顕著や。10年前、20年前の新聞というのが混じっとるのが珍しくもない。もちろん、一般家庭であっても、そういうことはある。

加えて、地域や回収形態により、チラシなどの混入率が違う。このチラシの混入というのが、古紙の品質においては大きなウェートを占める。

それを使用して出来た紙も品質に違いが出て当然となる。それが、手触りの違いとして現れる可能性もある。

製紙会社は、この混入率の多寡で買い取る値段が違う。それなら、すべてチラシ抜きの一律にして納入したらええやないかという意見もあるやろうが、地域や回収形態によっては、そうもいかん場合が多い。

混入されたチラシを選別するのにも人件費が嵩むし、大きな古紙回収問屋やと1日、数百トンの古紙が持ち込まれることもある。物理的な選別が難しくなる。

安く買い叩かれても、選別するよりかはましやと考える古紙回収問屋がある。古紙回収問屋はそれを圧縮機にかけ重さ1トンの立方体を作る。その立方体の品質にバラツキが出たとしてもおかしくはない。それが、製紙会社に持ち込まれる。

新聞社の印刷工場は、各製紙メーカーには、吸油度、平滑度、紙厚等を同じにするよう通達し、規格も制限しとるという話やが、どこまで、均一性があるのかは分からん。

ワシの結論としては、新聞紙に良質、悪質の区別はないと思う。少なくとも、新聞各紙が意図してそうしとるということはないはずや。

ただ、結果として、そういう触った感覚の違いはあるかも知れん。それが、ええと感じるか悪いと感じるかは、その人によると思う。

ワシには、正直、この程度の回答しか出来ん。これ以上のことは良う知らんからな。


追記
ここで、読者の方にお願いなのやが、このHPを見とる人で、新聞の印刷に携わっとられて、これ以上のことを何か知ってたら教えて貰えんやろうか。


追記での呼びかけに応じて頂いた方からの情報をお知らせします。大変、有意義な情報をありがとうございました。(ハカセ)


情報提供者 石津基地さん 某社関係者 投稿日時 2005.2.24. PM 6:22


発行本社員としては、とても興味があり。HPやメルマガを良く拝見させてもらってます。さて、今回のお話は概ね正しいです。

それでは、HPの質問に答えます。


超軽量紙が一般的。全国紙は4紙ともこの規格。

N紙は超々軽量紙を使用している。なお、超々軽量紙は40g/m2が標準。超軽量紙に比べ約7%〜9%軽い。しかも、インクが指に移ることはほとんどない。しかし、高い。N紙だけは紙面が48ページの場合があるため、超々を採用していると思われる。

S紙とM紙の間で質に差があるとすれば、インクだけ。しかし、その差は微妙だ。A紙、Y紙の間でも同様。気温とか湿度によっても薄い紙のことだからだいぶ差が出る。

また、A紙やY紙などは首都圏にたくさん工場をもっているので工場ごとでも採用メーカーは違うが、原則的に規格は一緒。
余談だが、M紙で刷っている○教新聞は、当然M紙と紙質は一緒。


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