新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.745 途中で購読を止めることは出来ないのでしょうか
投稿者 K.Aさん 投稿日時 2009.6.29 PM 5:41
突然のメールですみません。新聞の契約のことでサイト検索をしており、ここのサイトを発見し、私もゲンさんの御意見を頂きたくなり、質問させて頂きました。
今年の3月に引越しをし、現在のアパートに住み始めました。このアパートには新聞の販売店の店舗があり、私が引越しした部屋のお隣りさんは新聞販売店の店長さん一家です。
引越ししてしばらくたつ頃に、このお隣りの奥さんから新聞をとって貰えないだろうかと話があり、私は一人暮らしな上に仕事で家に居る時間が少ないためにお断りしたのですが、「ならば、3か月だけ無料のお試し期間があるので、それだけでも試して貰えると有り難い。」と言われました。
さすがにご近所になる方ですし、それくらいなら試してみても良いかと思い、承諾しました。お試し期間の配達は6月から始めて貰うことにしました。
そして、今日になって新聞店から料金の請求がありました。こちらは奥さんとの話で無料のお試し期間だと思っていたので、その旨を伝えましたが、「当店ではそのようなサービスは行なっていません。」とのことでした。
確かに、期間と名前を書いた契約書のようなものにも無料期間であることなどは書いてありませんでした。
しかし、送られてきた新聞が自動的にY新聞であったのも、無料のお試し期間だから選びようがないのかと思っていたから何も言わなかったのであり、こちらは中途半端なサービスを受けさせられていた気分になりました。
なので、「今月分だけは払うので解約して頂きたい」と伝えると、「3か月の契約を変えることはできません」とのことでした。
話の伝わり方に誤解があったのではないかと新聞店の方に言われましたが、ちゃんとした購読であれば、どの新聞をとるか(この新聞店では幾つかの新聞社のものを扱っているようですので。)、一か月幾らになるかなど説明を受けたかったと思うのです。
このような場合には、途中で購読を止めることは出来ないのでしょうか。気分的にはスッキリせず、あまりこことは付き合いたくないと考えています。
ゲンさんのご意見を頂けると有り難いです。よろしくお願い致します。
回答者 ゲン
このケースは、あんたの話を聞く限りはタチの悪い騙しということになるな。
こういう場合、徹底して争うか、あきらめるかという二者択一になる。すべては、あんたの考えと気持ち次第や。
ただ、いずれを選択するにしても簡単な話やないというのは言うとく。
まず、徹底して争う場合。
1.その言質を取る。
新聞販売店の店長の奥さんとやらが、『ならば、3か月だけ無料のお試し期間があるので、それだけでも試して貰えると有り難い。』と言うたことに関して、その販売店の人間が『当店ではそのようなサービスは行なっていません』と否定したとのことやが、肝心のその奥さんはどう言うとるのやろうか。
もう一度、「確かに、あのとき奥さんは……と、仰いましたよね?」と聞いてみられることや。この場合、なるべく、あんたと二人だけの方がええよ。そうすれば、もう一度、あんたに言うたようなことを吐露する可能性がある。
これが、他の人間とか、販売店の関係者と一緒やったら「そんなことを言った覚えはない」とシラを切るやろうからな。
もともと、この業界の『無料のお試し期間』というのは一週間と業界全体で決められとるものやから、『3か月だけ無料のお試し期間』と言う事、自体が大嘘なわけや。
もっとも、そんな事情なんか、あんたは知る由もなかったやろうがな。
『確かに、期間と名前を書いた契約書のようなものにも無料期間であることなどは書いてありませんでした』というのは、『契約書のようなもの』ではなく契約書に間違いはないと思うから、それにサイン、捺印したということは法的には契約が成立したということになる。
『送られてきた新聞が自動的にY新聞であった』というのも、その契約書には、はっきりとY新聞と分かる表示があるはずや。もし、それがないのなら、それは契約書ではないということにはなるがな。
その場で、それを良く確認して見ておけば、それは分かったはずや。それが確かにY新聞の契約書やったら、あんたの方にも確認不足という落ち度があったと考えられる。
まあ、そうは言うても、そういう思い込みがあれば普通は信用して確かめんやろうというのは分かるがな。
こういう場合、この契約を解除させるには、それが消費者契約法の「不実の告知」であることを証明する必要がある。
そこで、その奥さんに直接、それを確かめるわけや。但し、その際、ただその話を聞くだけやとあかん。それやと、その会話は当人同士だけのものやから、証拠能力に欠けるさかいな。
その会話を録音、できれば隠し録りできる小型のボイスレコーダーのようなものを使うことや。これは、今日び家電量販店あたりに行けば安価で売ってるはずや。そこそこの長時間録音が可能なら携帯の録音機能を使うのでもええがな。
相手の奥さんとやらも、あんたと二人きりやと、その安心感から意外に「確かにそんなことを言うたけど何か証拠がある?」とか「そんな話、誰も聞いてないでしょ」ということを平気で言う場合がある。
また、『話の伝わり方に誤解があったのではないかと新聞店の方に言われました』というのは、何かその販売店は勘違いしていて、あんたの落ち度でもあるかのような言い方やが、それについても「不実の告知」とされる場合がある。
つまり、その言葉は、あんたに勘違いさせる言動をしたと認めたに等しいからこそ言うたわけやさかいな。誤解を与える言葉そのものが「不実の告知」と認定される可能性が高いものや。
せやから、その奥さんだけやなく、その言葉を吐いた、その販売店の人間からも、その言質を取れば有利になるということや。
2.消費者センターに行く。
あんたが言うような内容が録音できたら、それを証拠に費者契約法の「不実の告知」を主張できる。契約の破棄は可能やと思う。
ただ、その販売店に消費者契約法の「不実の告知」などと直接言っても、知らん者もおるから相手にされん可能性がある。
せやから、その証拠の会話が録音されとるものを持って、そちらの市町村役場などの自治体、もしくはその近くにある「消費者センター」に相談に行くことや。その証拠さえあれば、行政機関は強気にその販売店に注意、指導できるさかいな。
逆に、その証拠が得られなければ、言うた言わんの水掛論にしかならず、法的にはどうしようもないということや。
3.あくまでも強気で断る。
それらの言質が得られず、消費者センターでも証拠能力に疑問を持つようやと、法的な処置でこの契約を解除させるのは難しいやろうと思う。
後は、あんたの信念に従って、「店長の奥さんが『無料のお試し』だと言った」と強く主張することや。「これ以上、新聞を入れてもお金は払いません」と。
そうすれば、その販売店次第ではあきらめる所もある。金を払わんという人間に、金を払わせようと思えば、その販売店も相当な労力を使うしな。
払わんという新聞代を支払わせようと思えば、訴訟するしかないが、新聞販売店にその発想をする所は少ない。そうかと言って、ヘタな集金の仕方をすれば、恐喝などの刑事事件にも問われかねん。そうなれば、今やと他紙の新聞ネタにされる可能性すらある。
タカが一軒の契約のために、そこまでするのがアホらしいと考える販売店もあるということや。
もちろん、そうは考えん販売店もある。そうなれば、お互いの根比べということになる。それに負けん自信があれば、そうするのも手やと思う。
そういうのは、嫌やというのなら、あきらめて後2か月、購読するという選択肢もある。
事の善悪、正当性を貫くのなら争うべきやとは思うが、そうすることによるマイナス面を考えたらあきらめるというのも、悪い選択ではないと思う。
このまま争えば、その隣の『新聞販売店の店長さん一家」とは確実に険悪な状態になるのは避けられんやろうし、『アパートには新聞の販売店の店舗があり』ということなら、そこの関係者とも顔を付き合わせることも多いやろうから、そこに住み続ける限り気まずい状態が続くと考えられる。
しかし、その販売店の言うとおり残り2ヶ月辛抱すれば、その契約を全うしたわけやから堂々としていられる。相手もあんたを「お客」として扱うはずやから、少なくともその間は嫌な思いをせずとも済むはずや。
そして、その次は、あんたの希望どおり絶対にそこから新聞を取らんことやな。そのためには「分かりました。今回は私にも落ち度があったかも知れませんから、このまま新聞を取りますが、次回からは絶対に購読しませんから」と、その契約が終了する間際にでも、その販売店に通告しとくことや。
今回の事で、あんたが折れた分、そう言うても筋が通るしな。
その際にも、そのやり取りを録音しといた方がええ。せやないと、そこが本当にタチの悪い販売店やと、その契約が切れた後も難癖つけて新聞を配り続けるということも考えられるさかいな。
あきらめたとしても、そこまで考えとかなあかんということや。
あんたには気の毒な話やとは思うが、えらい所に引っ越して来たなというのが正直な、ワシの印象や。そこに住み続ける限りは、相当強い意志を持ってなかったら、これから先も何かの拍子につけ込まれるかも知れんさかいな。その可能性は大いにある。
いすれにしても、そうと決めたら、その隣の人間とその販売店とは距離をおいた方がええという気はするがな。
それとも、そこに住み続ける限り、快適に暮らそうと考えるのなら、これから先も購読を続けるというのも一つの手ではある。
ワシの立場からは、あまり勧められた方法やないが、処世術としてなら、それもアリということや。特に争い事を好まん人にとってはな。
タチの悪い相手とは、表面的に仲良くすることで、その攻撃をかわすことができるさかいな。言えば、その新聞代を保険のようなものやと考えればええわけや。
いずれにしても、とことん争うか、あきらめるかは、最終的にはあんたの判断次第ということになる。良う考えて決められたらええ。
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