新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.749 今時分の新聞セールス営業のやりにくさについて
投稿者 Mさん 現役拡張員 投稿日時 2009.7.10 AM 0:33
お久しぶりです。いつも、楽しく拝見させてもらっています。今現在も頑張って拡張の仕事やっています。
現在、自分がたたいている営業エリアでは、店がカタログを廃止し、完全な現物拡材になり、たとえば、3ヶ月なら発泡酒1ケース。6ヶ月なら2ケースというように、自転車でやる者には、すごくやりにくい時代になりました。
自転車でやる者は、一軒揚がるごとに材料を追加しに、バンクから店に戻り、車でやっている者はどうかというと、常に路上駐車をし、今月止めなどの客に対してピンポイント攻撃で仕事をするスタイルになりつつあります。
本来の新聞拡張の、一軒一軒、白たたきし、新規読者を、こまめに回り、契約を獲得するという本来の営業の意義がだんだん、失われていると思います。
周りの者を見ても、いちいち契約が取れるごとに、店に拡材を追加しに行くのは大変だから、1件揚がったら打ち止めとか、積んできた拡材では足らなかったから、現金置いたとか、なんか前よりカードの質、量とも悪い感じになっている風に感じます。
自分は車で回っていますが、車が洗剤やビール、米、タオルなどで、あふれかえっていることがあります。
なんか、新聞セールスというより、酒屋さんの車みたいになり、いつも路上駐車していて違反キップを切られるリスクにさらされながら回ることに、あほらしくなったしだいです。
げんさんは、今の、この営業時の拡材の積載力の有無が、日々のカード生産に比例するような現状を、げんさんなら、どう突破されますか?
回答者 ゲン
あんたの不満は良う分かるが、ワシらの仕事は、その地域毎の販売店の方針に従ってするしかないわけや。どんな条件であったとしてもな。
ただ、あんたの話を聞く限り、時間的なロスが問題のようやから、それについての手は若干打てそうやけどな。
『完全な現物拡材になり、たとえば、3ヶ月なら発泡酒1ケース。6ヶ月なら2ケースというように、自転車でやる者には、すごくやりにくい時代になりました』というのは、一度にどの程度、積んで走るのかな。
まあ、使用してる自転車にもよるが、荷台に大きめのカゴが取り付けられるのなら5、6ケースくらい積めるのかな。それやと、カード3〜5本分の拡材ということになるのやと思う。
その程度なら、ワシが知ってる頃よりかは数段マシやと思うがな。昔にも現物を持って拡張するというのは普通にあったことや。
ビールにしても今は1ケース350ml缶24本入りという比較的コンパクトになっとるが、昔は1本の契約に瓶ビール20本入り1ケースという量的にもかさばる物が主体やったさかい、それこそ1回に1軒分の拡材しか積めなんだもんや。
それやと、一軒契約が取れた毎に、拡材を販売店まで取りに帰っていたから時間的なロスも大きかった。特に、それが夕方の書き入れ時と重なったら、きついわな。
ワシらの方では、こういうケースでは基本的に「後届け」というのを多用してた。それをする方法を考えたらええ。
契約が貰えれば、「後ほど、必ず持って来ますから」と言うて、その契約書の余白部分に、実際に持って来ることのできる日時を記入するわけや。
この契約書に記入するということがミソで、これやと信用されやすい。その約束を実行せんかった場合、その契約を「解除する」と言われても法的にも文句言えんさかいな。
現物がない理由は何とでも取り繕うことができるはずや。
「申し訳ありません、只今、その商品は入荷待ちですので後日、○○日までにお持ちします」とか「本日、○○時までにお持ちします」と言えばええ。あるいは、「配達は後日に必ず」、「当店では配達は本日、○○時からになっています」とでも言えば、それほど問題ないはずや。
こういう場合、昔は、その販売店の協力があった。販売店の従業員が、その約束の日時に持って行ってたわけや。それを頼むという手がある。
その販売店にそういう慣習がなく、それを嫌がるのやったら、拡張終了間際の時間帯に、まとめて配るという方法もある。
通常、拡張が終了しても「監査」というのをやるはずやから、それをやっている間に持って行けばええ。客にちゃんと話をしておけば、それほど問題はないはずや。あるいは、その時間帯に手の空いた仲間に持ってきて貰うかやな。
特に今時分の暑い季節やと、今すぐその発泡酒を飲みたいという客もいとるやろうから、時間的にズレると客を逃がすということも考えられるしな。
その場合、ワシらのやってた方法として見本のビールを数本持ち歩くということをしていた。これは、言わば「捨て材」に使う物で、その場で1本、客に飲ませるわけや。
これは結構、効果があった。クーラーボックスなんかに積んでおけば冷えたビールを飲ませられる。暑い日にそれを出されると客もつい、ふらふらとその気になって契約することも多かった。
二の足を踏む客なら、その場で美味そうに飲んで見せるという手もある。言えば、実演販売やな。それに、その現物を先に飲ませるわけやから、信用もされやすい。
但し、自分で飲んで見せる場合は、単車や車を乗らんときにしときや。自転車も、滅多なことでは飲酒運転の取締りの対象にはなりにくいと言うても、厳密に言えば「飲酒運転」になるさかい止めとくことやと言うとく。
まあ、これをするのなら、歩きか相乗りのとき限定でということやな。自分で乗り物を運転せなあかんときは、「飲んで見せる」という方法はないものと考えといてほしい。
とにかく、営業できる時間をなるべく多く確保できるようにすれば、あんたの悩みもいくらか解消されるはずや。そうなら、そうする工夫をすることや。他にも考えれば、まだまだ方法はあると思うさかいな。
ただ、今まで大して何も持たずとも良かったものが急に、そういう状況になったら、誰でも嫌になる気持ちは分からんでもないがな。
『本来の新聞拡張の、一軒一軒、白たたきし、新規読者を、こまめに回り、契約を獲得するという本来の営業の意義がだんだん、失われていると思います』と考えるのも分からんでもない。
しかし、そうやからと言うて、手を拱(こまね)いているとか、愚痴を言うてるだけではどうしようもないわな。ワシら拡張員は、その場、その場の状況に臨機応変に対応していくしかない。それができな、一流の営業マンにはなれんということや。
もっとも、昔がそうやったように、その現物の商品がかさばることにより営業にロスが出るということで、ビール券や商品券が拡材の主流になっていったわけやがな。
あんたの方は、現在、金券廃止になっとるということやが、それが続けば、またぞろその金券が復活するのやないかと思うで。
『1件揚がったら打ち止め』というのは、その人間の好きにしたらええが、『積んできた拡材では足らなかったから、現金置いたとか』というのは感心せんな。
もっとも、あんたは、そういうことをする人やないとは思うが、身近にそういうことをする人間がおるのやったら、もしそうする場合でも、それは「保証金」という程度で客に預けといて、後で現物を持って行ってから返しといて貰うようにと言うとくことや。
この金を置くという行為は、あんたも分かっておられるとおり、ロクな結果にならん。そうすることが癖になり、そんなことばかり続けていたら、必ずバレる。バレたら言い訳できんことや。ヘタしたらその人間は職を失うことにもなりかねんさかいな。
ただ、言うても聞かん人間はほっとくしかないがな。『なんか前よりカードの質、量とも悪い感じになっている風に感じます』というのは、遅かれ早かれ、その地域の不評として広まる。
そのときになって、そのとばっちりだけは喰らわんように日頃から用心しといた方がええと言うとく。
『自分は車で回っていますが、車が洗剤やビール、米、タオルなどで、あふれかえっていることがあります』というのも、ある程度は仕方ない部分もあるとは思う。
敢えてアドバイスするとすれば、整理整頓を心がけ不必要な物は増やさんようにしとくことかな。まあ、これは多分にその人の性質的なものも関係するから、それができん者にとっては難しいやろうがな。
『いつも路上駐車していて違反キップを切られるリスクにさらされながら回ることに、あほらしくなったしだいです』についても、都会で車を使ってする以上は、ある程度、仕方ないことやと思う。
これを少しでも、避けるには、なるべく近くのスーパーやコンビニ、量販店などの駐車場をこまめに利用しながら移動していくことやな。
住宅街やエレベータ付きのマンションなどを叩く(訪問)のなら、そこから折りたたみの台車にでもその拡材を積んで勧誘に回ることや。それなら、いくらかは、その心配は取り除けるはずや。
まあ、以前がそうやったように、そういう状況はそうは長続きせんと思うよ。何でもそうやが、今の状況を思い悩むより、それならどうするかという方向に思考を向けることや。
創意工夫というのは、ワシが良う言うことやが、考えれば必ず、方法は見えてくる。ただ、ボヤいたり腐ったりしてたんでは、それこそ「アホらしい」としかならんがな。
それなら辞めやと言うのなら別やが、同じするのなら、どういう状況になってもその方法を考えることや。そうすれば必ず道は開けると信じて。
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