新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.750 新聞社本社の姿勢をどうお考えですか?


投稿者 Fさん  投稿日時 2009.7.14 AM 0:45


お疲れ様です。

昨夜も勧誘の方がいらっしゃいました。

公平に全ての新聞を交代で景品はお断りし購読していますので、今回はお断りしました。

いつも思うのですが、営業のかたは大変と思います。勧誘の方も大変だと思います。

つくっている新聞社は勧誘のかたのおかげで購読されていることをまったく意識せずに、勧誘トラブルにも知らん顔です。それが私には納得できません。

自動車も生産者と販売は別会社です。だからしょうがないのでしょうか?

物は売れて何ぼのものです。新聞社本社の姿勢をどうお考えですか?


回答者 ゲン


『つくっている新聞社は勧誘のかたのおかげで購読されていることをまったく意識せずに、勧誘トラブルにも知らん顔です』というのは違うと思う。

その違いが外からは分かりにくいから、あんたのように『それが私には納得できません』ということになるのやと思うがな。

新聞社も勧誘の必要性を十分認識しとるのは間違いない。その証拠に、新聞社には販売部という部署を設けて、販売店、拡張団の両方の管理監督をしとるさかいな。そのための専属の担当員がおる。その主な仕事が部数確保、つまり勧誘営業を推進させるためなわけや。

また、勧誘トラブルについては、それぞれの新聞社には苦情センターというのを設けてあり、そこで一般読者からの苦情を受け付けるシステムがある。このQ&Aでもケースによれば、その新聞社の苦情センターに相談するようにと、アドバイスもしとるくらいやさかいな。

明らかな違法行為が勧誘員側にある場合は、ほとんどの苦情センターの係員はそれなりの対処をするはずや。またそうするように厳命もされとる。そのため、その手のトラブルは解決するケースも多い。

もっとも、その担当者にもいろいろおって適切に対処する者もおれば、ええ加減に対応する者もいとるというのは否定せんがな。

特に、その勧誘トラブルが、「契約のもつれ」となると、「それはその販売店とお話しください」と言うケースがある。良くて「販売店に伝えておきます」という程度やな。それで、一般読者や苦情相談者から不評を買うことがある。

これは、業界のシステムが、販売に関しては「販売店」の責任ということになっとるためや。もっと言えば、新聞の購読契約というものは、法律の面からも、その販売店と購読者の間でのみ有効ということになっていて、新聞社がそれに介入できんということがあるからや。

一般の人の中には、購読は新聞社との契約やと考えておられる方も多いようやが、それは違うということになる。

あんたが『自動車も生産者と販売は別会社です』と言われておられるとおり、契約事のトラブルを自動車メーカーに言うてもラチがあかんのと同じということや。契約のもつれは、あくまでも、その販売店と契約者の間で解決するしかないさかいな。

もっとも、それが自動車本体の欠陥や不具合、もしくはその営業方法に違法性があるというのであれば、管理責任が生じるから積極的に対応するやろうがな。新聞も、基本的にはそれと大差ないということや。

『勧誘の方も大変だと思います』というのも、新聞社の人たち、とりわけ販売部以外の記者さんたちも分かっておられる人は多い。

このQ&A『NO.241 新聞社が販売店を直轄化するという方向性についてどう思われますか』 に、元新聞記者の方からの投稿があった。

その中で、その方は、


また、新聞業界がどうなるにせよ、私も拡張員が不要になるとは全く思いません。私は新人研修で拡張を1日だけやらされましたが、予想通りかなりしんどいものでした。

新商品の売り込みならともかく、他社の新聞購読を乗り換えさせて、何の代わり映えもない既成商品を売り込むというのは、他にはない経験と能力が必要だと痛感しました。おそらく新聞社にいる大多数が同じ認識だと思います(もっともN紙だけは例外かもしれません)。

あるとき酒の席で先輩の記者から、「拡張のおっさんがおらんかったら、わしらオマンマ食えへんのやから、足向けて寝られへんで」と言われたことがあります。私もその通りだと思っています。

拡張のとき、セールストークの要素の一つとして、「うちの新聞はこれが売りなんです」という話ができるような新聞にしたい。現場の記者が出来ることは限られますが、私はそれを理想の一つとして仕事をしてきました。そういう記者がいた(現にいる)ということを、是非ともゲンさんに知ってほしいと思います。


と言うておられた。ワシはその言葉を信じたいと思う。

『景品表示法』というのがある。新聞勧誘の景品付与がこの法律の対象になる。新聞勧誘の場合、景品の上限は業界の自主規制によるものとされとる。新聞業界の自主規制が、公正取引委員会の認定を受けることで法律になるということや。

ちなみに、現在の新聞業界の自主規制は、景品の最高額を取引価格の8%又は6ヶ月分の購読料金の8%のいずれか低い金額の範囲ということになっとる。

新聞社は景品勧誘に関しては表向き関係ないという姿勢や。むしろ、自主規制を打ち出して公正取引委員会に協力しとるということになっとる。

公正取引委員会が規制する一般的な景品の上限は、現在、取引価格の20%ということになっとる。新聞業界の自主規制が8%ということだけを見ても、いかにその体裁を良うしようというのが分かると思う。

もっとも、新聞社サイドから言えば、勧誘トラブルをなくすために厳格な姿勢を示しとるということになるのやけどな。

他にも、現在、勧誘で明らかな不法行為をしたと認められる勧誘員の所属する販売店や拡張団には、かなりきつい叱責と指導がある。実際、その手の勧誘員の多くが、それにより解雇されとるケースが多いさかいな。

そのためもあり、現在、多くの拡張団では、経験者の採用を手控えとるという現象が起きとる。経験者には不法行為をする者が多いと考え、そういうのを雇うと営業会社である拡張団にまで累がおよぶと危惧しとるわけや。

それほど、新聞社の目を怖がっているということなる。

ただ、これらの事実が一般の人に知られてないのは確かや。新聞社もその紙面上において、新聞の勧誘トラブルの実態についての記事を掲載することもないしな。

それには、そうすることが新聞のマイナスイメージになると考えてのことやと思うが、これについてはワシも異論がある。

新聞社が他者から批判されることに、他業種の不正には徹底して叩くのに、事が新聞業界の不正ということになると、とたんにトーンダウン、もしくは黙殺するというのがある。

残念ながら、それについて反論する材料がワシらにはない。

また、最近、話題になることが多くなった「押し紙」に代表される余剰新聞の存在と是非についても、堅く口を閉ざしたままや。

そういう姿勢が続く限りは、いくらええ取り組みをしていようと、あんたのように、新聞社に対して不信感を抱く人が多くなるのやと思う。知らん顔をしとると見られるさかいな。

その不信感がありながらでも『公平に全ての新聞を交代で景品はお断りし購読しています』と、新聞を購読して頂いている、あんたのような人もおられるのやから、いつまでも、そういう姿勢を取り続けるべきやないと思うのやがな。

そのええとこも、悪いところもすべてさらけ出さんことには、何を言うても何をしても誰からも支持されることはないさかいな。

はっきり言えば、隠蔽体質というやつやが、この新聞業界には、あまりにもそういうのが多すぎる。それをなくさん限り、近い将来、ほんまにどうにもならんところに追い込まれると思うのやけどな。

『新聞社本社の姿勢をどうお考えですか?』ということなら、それがワシの考えということになる。


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