新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.751 これでも契約と呼べるのでしょうか?
投稿者 M.Kさん 投稿日時 2009.7.19 AM 1:56
2年前の平成19年6月に今住んでいる住所に引っ越してきました。
引っ越してすぐにS紙を平成19年7月から1年間購読契約をしました。
その後再度同じ勧誘員さんが来られ、平成20年の7月から1年間の購読契約を勧められましたが、その時には既に他のY紙のM販売店と1年間契約をしていて、重複してしまうので断りました。
それで、その勧誘員さんからさらにその後の契約を勧誘されましたが、2年も先のことなので、「約束できません」とはっきり口頭で断りました。
その後、その勧誘員さんとは、一度も会っていません。現在もM新聞店と購読契約を続けています。
ところが、今年の平成21年7月1日から、急にS紙が配達されるようになりました。
疑問に思い、翌日「勝手に新聞を入れないで下さい」と、書いて郵便受けに入れておきました。
すると次の日の7月3日の新聞と一緒に、全く覚えのない契約書のコピーが入っており、以前購読していたS紙のA新聞店から配達されていると分かりました。
住所、電話番号、契約者名など全て記入してありましたが、明らかに私の字ではありません。判子も押してありましたが、我が家で使っているものとは違います。
契約年月日が20年7月1日、契約期間が1年間となっていて、備考欄には、サービス品名として商品券5000円分と書いてありますが、そんなものは受け取っていません。
販売店に電話をして、「こんな契約はしていない。筆跡も違う。判子も押していない。そもそも契約していないのだから、新聞を入れないでほしい」と言いました。
先方も「分かりました。明日から止めます」と言ったので電話を切りました。でも、次の日も配達されていました。
どう対処したらいいのか分からず、消費者センターに電話しました。
女性の相談員さんに経緯を話したら、A販売店に話を聞いてみると言い、その場で電話をされるとのことでした。
すると、責任者らしき人間が出て、「こっちは契約書があるから配達しただけだ。契約取った人間を直接家に行かせるから、そこで決着させる。消費者センターは関係ないだろう」と恫喝され、筆跡のことを聞いても、「契約を取った人間が書いたんだろうから、筆跡が違うのは当たり前だ。2年も前の契約の事だから契約者が忘れているだけだろう」と、言ったそうです。
その翌日から、新聞は配達されなくなりました。
その事を相談員に報告したところ、「販売店に契約は無効になったのか、聞いてみた方がいい」と言われ、7月5日に電話しました。
恫喝した人と同一人物かは私には分かりませんが、男性が出て、「契約を無効にしたわけではなく、止めただけだ。担当した勧誘員に家に行くように言うから、直接話して決着をつけてくれ。販売店としては関知しない」と言いました。
その勧誘員さんを家に行かせると言われてから、しばらく待っていましたが、一週間経っても来ないので、こちらから販売店に電話を入れました。
その時に言われたことは、「その人間は販売店の社員ではないので、いつ来るか分からない。この前に来た時に、お宅に行って話し合ってこいと言っておいた」との事でした。
こちらから、直接その勧誘員さんに連絡するから、電話番号を教えてほしいと言ったところ、「携帯電話を持っているかどうか分からないから、番号は知らない」と言います。
今現在に至っても、その勧誘員さんは家には来ていませんし、話が出来ていない状況です。
そこで、その消費者センターの女性相談員さんのアドバイスで、今までの経緯のすべてと、この契約は無効だという内容を書いて配達記録で手紙を出しました。
これで契約は無効になるのでしょうか? そもそも、これでも契約と呼べるのでしょうか?
勝手に契約書に記入され、判子を押されて、それが通ってしまっては、何の為の契約書なんでしょうか?
宜しくお願い致します。
回答者 ゲン
これは、典型的な、てんぷら(架空契約)というやつやな。そのS紙の勧誘員が、勝手にでっち上げた契約にほぼ間違いないな。
『この契約は無効だという内容を書いて配達記録で手紙を出しました』というのは、内容証明郵便のことやと思うが、それをして正解やったとワシも思う。
あんたの話を聞く限り、そのA新聞店というのは、かなり程度の悪い販売店やというのが良く伝わってくるさかいな。
契約者が『こんな契約はしていない。筆跡も違う。判子も押していない』と言うてるにも関わらず、『契約を取った人間が書いたんだろうから、筆跡が違うのは当たり前だ。2年も前の契約の事だから契約者が忘れているだけだろう』という信じられんような返答をしとる。
程度が悪いというのを通り越してアホとしか言いようがない。
契約者であるあんたが「それは身に覚えのない偽造契約だ」と言うてるのやから、本来ならその真意を確かめるべく「それについては良く調べますので、しばらくお待ちください」というくらいのことは販売店としては言うとく必要がある。まともな販売店ならそう言う。
勝手に他人名義の契約書を作ったり、契約書を改竄するというのは、刑法第159条の私文書偽造等という、れっきとした犯罪行為やさかいな。
3ヶ月以上5年以下の懲役に処するという規定がある。軽い罪やない。
このことが公になったら、その販売店もただでは済まんやろうと思う。
それにも関わらず『契約書がある』というボケたことを言い、その上に『契約取った人間を直接家に行かせるから、そこで決着させる』というトンチンカンなことを言うとる。
新聞購読契約書というのは、契約者と新聞販売店の間のみで有効なもので、間に介在した勧誘員云々は、この時点で契約者には何の関係もないことや。
その契約書に対しての全責任は、その販売店が負わなあかんように法律ではなっとるさかいな。
その販売店ができることと言えば、その勧誘員に対して「この契約は間違いのないものか」と問い質すくらいしかない。あんたに開き直るというのはいかにも筋違いなことや。
また『その勧誘員は販売店の社員ではない』という言い訳も法的には一切できんし、通用せん。
現在、個人情報保護法の関係で、新聞購読契約などの個人の情報の収集を必要とするものは、その組織の一員でないとそれをする事自体が認められんようになっとる。
せやから、例えその販売店にとっては外部組織の勧誘員(拡張員)であっても、一時的にせよその販売店の社員扱いとして、その社員証を持たせて販売店が勧誘させとるわけや。
それを知らんとは言えんわな。
『契約を取った人間が書いたんだろうから、筆跡が違うのは当たり前だ』と言うに及んでは、およそまともな話し合いなどできる相手やないと思う。
契約書の原則は、契約者の直筆によるサインと捺印をするということになっとる。こんなことは説明するまでもなく一般常識やわな。
例外的に、契約者に頼まれて書くというケースはあるが、それはその契約者がそれと承知していた場合に限られる。
契約者がその事実はないと否定したら、その契約書は無効と判断される。それが法律や。
それが許されるのなら、世の中は、てんぷら(架空契約)だらけになってしまうし、そもそもワシら拡張員すら必要なくなる。
『勝手に契約書に記入され、判子を押されて、それが通ってしまっては、何の為の契約書なんでしょうか』と、あんたの言われるとおりや。契約社会そのものが崩壊する。
『そもそも、これでも契約と呼べるのでしょうか?』というのも契約と呼べるわけがない。
その意味でも、消費者センターの相談員の方のアドバイス通り内容証明郵便でその意志を明確に伝えたというのは正解やったと思う。
したがって『これで契約は無効になるのでしょうか?』というのは、法的にはまず間違いなく無効になると断言してもええ。どこに出ても負けることはないさかいな。
ただ、タチが悪いと言われる販売店の中には、そういうのを無視して新聞の投函を続けるケースがあるのも事実や。
もちろん、それを止めさせる方法はいくらでもある。
もっとも、その内容証明郵便が届いたら、ひよっとすると、もうその投函がなくなる可能性もあるから、その新聞の投函が再開されるまでは、そのまま静観しとくという手もあるがな。
それでも一応その方法を言うとく。
契約書を偽造された場合の対処法
1.最寄りの警察署の相談係に、今回の偽造契約について相談しておく。
警察は敷居が高いと思われる方でも、この警察署の相談係というのは、物腰が柔らかく相談者の話を親身に聞く担当者が多いので、あまり心配することはないと思う。
言えば、消費者センターの相談員と共通したところがあるという感じやな。どちらも法律をその判断基準にしとるという点も同じやしな。
その際、今回その販売店が新聞と一緒に入れていたというその契約書のコピーと、以前『地方紙のS紙を平成18年9月から1年間の購読契約をしました』というときの契約書を両方持っていく。
以前の契約書は、あんたの署名、捺印があり、今回の分は、それとは誰の目から見ても明らかに違うやろうから、「偽造だ」という説得力も十分ある。
場合によれば、その警察署次第では本格的に調べが入るかも知れんが、それはあまり期待せん方がええ。
この程度と言えば御幣があるかも知れんが、それを事件化するかどうかの判断は、あくまでもその警察署の裁量次第というところがあるさかいな。
この場合は、ただその相談をしたというだけでも、効果は十分や。その際、念のためにその相談係の担当者名は控えておいた方がええ。
2.地域の無料法律相談というのがあれば、そこに相談する。これも、裁判云々やなしに相談するだけでええ。もちろん、その弁護士名を控えとくのも忘れずにな。
近くにそういうのがなければ、30分5000円程度で法律相談をしている弁護士事務所があるはずやから、そういう所に相談するのも方法や。これも、相談したという事実だけでええ。
3.何でこんなことをするのかと言うと、警察や弁護士に相談したという事実をもって、新聞社の苦情センターに「偽造契約の違法行為で困っている」と通告するためや。
良くありがちなこととして、こういう契約絡みの話を新聞社に持ち込んでも「その契約についてはその販売店とお話してください」と言うて逃げられるというのがあるからや。
「契約の揉め事」やなく「違法行為」やから、警察や弁護士に相談したと言うた方が、新聞社も真剣に対応する可能性が高い。
実際、あんたと良く酷似したケースで、そうしたことによりその新聞社から販売店に連絡が行って事態が収まったという事例があったさかいな。
4.その勧誘員が来るまで、何の行動も起こさず静観するという手もある。
新聞の再投函が始まったら別やが、現時点では止まっていて、相手は一応、その勧誘員を寄越して話をつけさせると言うてるのやから、来るまで待つ。
その勧誘員が来たら、その契約書が偽造であることを指摘して認めさす。その際、念のためにその会話を相手にそれと知られずに録音しとく。
また、それを認めん場合は、警察に刑法第159条の私文書偽造等の疑いで通報すると言えばええ。
そこまで言えば、あきらめるのやないかと思う。
5.それでも、その販売店が認めず新聞を投函するようなら、その内容証明郵便で通告したとおり、その代金の支払いを一切拒否したらええ。
その販売店がそれでも、その支払いを求めるなら裁判を起こすしかないが、例えそうしても、あんたの正当性の方が認められるやろうから心配することはない。
まあ、過去の例から言うても、販売店がこの手の裁判を起こしたというケースはないから、たいていはそれであきらめるはずや。
こういう争いで長引けば、その販売店の方がいろんな面で打撃が多いさかいな。
大体、こんなところやな。
あんたがどう考えられるかによって、その方法の順番は適度に変えられたらええ。
早く解決したいのなら、多少、問題は大きくはなるやろうが警察や新聞社への通報を優先するのもええし、なるべく穏便に済ませたいのなら、その勧誘員が来るのを待って、あきらめさせるように持っていくのでもええと思う。
いずれのやり方を選択されるかは、良く考えてから決められたらええのと違うかな。
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