新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.753 拡張の現実について


投稿者 otoko さん  拡張員  投稿日時 2009.7.24 PM 11:35


いつもサイト、拝見しています。

ゲンさんのアドバイスは的確だと、いつも思いますが、どうしても、ひっかかる所があるのでmailしました。

ひっかけについて、、、

まず今の時代、ひっかけをしないと飯が食えないと思います。

ひっかけをしない営業は、カードが揚がる事は、難しいと思います。

長い目でみても、ひっかけをした方が先があると思いますし、生き残ると思います。

何故なら、ひっかけてドアを開けてもらい、ひっかけて契約を貰う事が一番、新聞が売り込みやすいからです。

また、ひっかけをしないと話を聞いてくれない事が多く、契約にはなかなか結びつきません。

また、食わず嫌いと同じ様に、意外と、違う新聞をお客さんが、気に入るかもしれないというキッカケをつくれません。

ひっかけなら、多少は騙したにせよ、違う新聞を読むキッカケになり、又、気に入れば長期間、読んでもらえるかもしれません。

このことについて、ゲンさんの考えを教えてください。


回答者 ゲン


あんたは過去に『NO.635正攻法と、ひっかけについて』で、ひっかけについて質問されておられ、それに対してワシは、


『ひっかけと正攻法! どちらが、契約を上げられると思われますか?』ということやが、それは、その拡張員次第で大きく違うと思う。

「ひっかけ」を多用する者にとっては、その方がより多く契約が上がると考えるやろうし、そうでない者にとっては、そういうやり方は下策やと思うから、やろうともせんわな。

どちらがええか悪いかを論じるには、同じ人間が同じやり方でやってみて比べるしかないわけやが、事、「ひっかけ」に関しては、それを公平な目で見極められる人間はおらんのと違うかな。

つまり、その評価はどこまで行っても平行線を辿るということや。

ただ、あんたのように両方していて、尚かつ、こういう質問されるのは「ひっかけ」の方が正攻法と呼ばれているやり方より、契約が多く上がると考えとるからやないのかと思う。

つまり、あんたとしてはその答は明確に出とるわけや。


と、言うた。

その際のワシの考え方なら、去年、2008年6月11日、参議院本会議において原案通り全会一致で可決、成立した『特定商取引に関する法律』の改正案の内容を引き合いに出して、


メルマガの『第3回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■『特定商取引に関する法律』の改正案成立について』でも言及しとるとおり、呼び出すためだけに使う「ひっかけ」も確実に違法行為と認定されることになった。

その改正された法律は、まもなく施行される予定やが、その第3条ノ2第1項に「勧誘の意志の確認」とあるのがそれや。

それには『訪問販売をしようとするときは、その相手側に対し、勧誘を受ける意志があることを確認するよう努めなければならない』と、はっきり義務づけられとる。

それがある以上、他紙の勧誘員を装うとか「宅急便です」「古紙回収の者です」などという騙しから入る勧誘は通用せんようになると思うてなあかん。

それがあるだけで、立派な解約事由ということになるから、それで上げた契約は、例えクーリング・オフの期間をすぎたとしても、その最初の時点に戻って無効になる確率が高くなるわけや。

しかも、「新聞インフォメーションセンター(旧、新聞近代化センター)」では、今までのように言うた言わんということになると、どっちつかずの対応が多かったが、現在は訴えた契約者側の言い分を採用するという姿勢に徹しとるとのことや。

つまり、すでにその「ひっかけ」の勧誘自体が先のないやり方になっとると考えるしかないということや。

せやから、どちらがええか悪いかということを論じる前に、この仕事を続けるのなら、なるべくそれを止める方向に持っていくしか、生き残る道はないと思うがな。

先のないやり方をいくら極めても、どうにもならんやろ。

ワシなりの考え方が知りたいというのなら、常に言うてることやが「営業とは、契約者との間で良好な人間関係を作ることや」としか言いようがない。

自分という人間を気に入って貰え、納得して契約して貰う。

その方法を極めることができれば、どんな法律ができようと、どんな難しい状況が生まれようと乗り越えていくことのできる最善の方法やと、ワシは常に思うとるのやけどな。


と言うてたが、それを、もう一度言うしかない。

ちなみに、『特定商取引に関する法律』の改正案の完全実施は、今年、2009年の12月1日からということに決定した。

それ以降は、あんたの言う「ひっかけ」は、意図して客に勘違いさせる方法なわけやから完全な違法行為ということになる。もっとも、現在、それを待たずして、多くの新聞社ではその方向で対処しとるとは聞くがな。

つまり、「ひっかけ」のような行為があったというだけで、無条件にその契約が解除されると考えとく必要があるということや。その意味で、先のないやり方やと言うてるわけやと。

悪いことは言わん。この拡張の仕事をこれからも続けるつもりなら、その「ひっかけ」をするのは止めといた方がええとしか、ワシには言えんということや。すでに、その是非を論じることすらできんようになったと。

『ひっかけなら、多少は騙したにせよ、違う新聞を読むキッカケになり、又、気に入れば長期間、読んでもらえるかもしれません』と考える気持ちは分からんでもないが、それは悪いが勝手な理屈やと思う。

契約とは、その商品を納得して買うかどうかを決めるための約束事なわけや。そこに『多少は騙したにせよ』という言葉が入るいうのは、きついようやが、営業とは言えんということや。所詮、騙しはどこまでいっても騙しでしかないからな。

ワシ自身は、あんたの言う「ひっかけ」のやり方も知っているし、それで契約を数多く上げていた人間も良く知っているが、それを真似ようとは思わんかったし、自分の意志でそうしたこともない。そういうのは営業とは思うてなかったさかいな。

もっとも、相手が勝手に勘違いすることまでは責任は持てんがな。例えば「○○新聞です」と言うた場合、新聞本社から来た人間やと思い込む人が、希におられるが、それに対しては敢えて否定も説明もせんというのはある。

ワシら拡張員は、その新聞社からお墨付きを貰うて営業しとるわけやから、「新聞社の代表」という風に振る舞っても許されると思うとるさかいな。実際、その「新聞社の代表」というくらいの気概がなかったらあかんとも考えとる。

しかし、「ひっかけ」は、それすら否定して「騙す」行為になるわけやから、どんな理屈をつけようが、法律違反やと決められたら、どうしようもない。

あんたにとっては承伏(しょうふく)できん法律かも知れんが、この日本で暮らす以上、またその新聞社と販売店、および拡張団の看板を背負って営業する限りは、決まった法律に従うしかないということになる。好むと好まざるに関わらずな。

あんたにとっては、ええ回答やなかったとは思うが、ワシにはどこまでいっても、こうとしか答えようがないということや。法律違反と分かっていて、それをするのを容認して頑張れとは言えんさかいな。


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