新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.754 今後の営業の方向性について悩んでおります
投稿者 kohideさん 神奈川県在住 某販売店専業員 投稿日時 2009.7.25 PM 10:34
ハカセ、ゲンさん、はじめまして。
いつも参考にさせていただき、感謝しております。楽しく読ませてもらってます。
私は、神奈川県の某販売店にて専業をしております。
本日、真剣な相談をいたしたく、投稿させていただきました。
下記のとおり、詳細を紹介いたしますので目を通していただけると幸い です。
■私のプロフィール
・神奈川県のA紙販売店の専業で、配達・集金・拡張をしています。
・昨年の4月に始めたので、1年とちょっとになります。
・前職では保険代理店を10年営んできました。経営者としての立場も経験しています。いろいろな営業をやってきましたが、個人宅への飛び込み営業とは無縁でした。
・自分の性格を自身で分析すると、押しが弱い・嘘がつけない・一点集中型・複数の事を同時に進行するのが苦手・こだわりが強い・頼まれると断れない・マメであるといったところです。
・パソコンは得意です。
■現在の営業の現状
・当店はA紙の専売所ですが、他に4社の一般紙を扱っています。
・有限会社として独立しています。
・拡張員は出入りしていません。
・当店独自の読者サービスをたくさんやっており、通常業務の他にも仕事が多く、多忙な毎日です。拡張に当てられる時間は平均して一日5時間くらいです。午前中は営業しません。
・ライバルはY紙ですが、シェアでは当店が勝っており、相手もあまり積極的に拡張していないようで、それほど脅威ではありません。
・A紙・Y紙ともに固定客が多く、もっぱら交代読者と先契約の奪い合いや契約読者の継続の繰り返し、たまに転入やおこしがあがる程度です。新歓などは月に5枚やったら文句ナシです。
・とにかく戸建てに関しては、無読層を除いては飽和状態に近い状況で、あまり開拓余地がありません。また、若い一般世帯の無読層の多さには呆れるばかりです。
・なお、周辺に大学が3校あるため、学生が中心に住むワンルームが大変多いです。学生も含め、若い世帯の無読層がかなり多いので開拓余地はあるのですが、なかなか厳しいのが現状です。
こんな感じです。
私は当店の中ではまだ新顔で、他の専業のように顔が浸透していないため、皆と同じ営業をしていては到底成績は伸びず、何か自分なりの営業を時間をかけてでも確立しなくてはいけないと思っているのですが、何せカードを毎日あげなきゃいけないプレッシャーもあって、なかなか思うように営業活動ができていない状況です。
とにかく早く営業の方向性を決めなくてはなりません。
例えば数限りある戸建ての新勧を狙うか、数は無限大だけどいろんな意味で厳しいと思われるワンルームを中心に狙うか、まずは一つの方向に絞っていきたいと思っています。
果たして自分はどういう営業が向いているのか、自分では何だか分からなくなってきており、とても悩んでいます。経験豊富な第三者から何かヒントがもらえないかと思いました。
何か良いアドバイスをお願いいたします。新勧・おこし・転入合わせて月10枚もあがれば御の字です。でもそれが厳しいのです。
ゲンさん、どうかよろしくお願いいたします
回答者 ゲン
『とにかく早く営業の方向性を決めなくてはなりません』という気持ちは分からんでもないが、あまりそういうことに固執するのもどうかと思う。
特に営業の世界では何事も臨機応変に対応した方が有利やさかいな。
当然やが、新聞を購読する客にはいろんなタイプがいとる。単に、一戸建ての人間やからとか、ワンルームの人間やからと区別することもないと思う。
すべてが、あんたの考えておられるような枠に入るとは限らんしな。
今は若くてワンルームに居住しとる人間でも、先行きは結婚して一戸建ての家に住む可能性があるわけやし、増加傾向にある離婚率のために、現在は一戸建てに住む夫婦者でも将来は、そのワンルームマンションの住民にならんとも限らんわけやさかいな。
そのいずれも、それほど珍しい存在でもない。そして、そのいずれであっても、本質的には同じ人間なわけやから、その好みや考え方が、その環境の変化でそれほど変わるとも思えんしな。
一人の人間でさえ、いつ、その両方の住民になるかも知れんのやから、最初(ハナ)から、その居住する場所だけで区別することもないやろうということや。
ただ、『例えば数限りある戸建ての新勧を狙うか、数は無限大だけどいろんな意味で厳しいと思われるワンルームを中心に狙うか、まずは一つの方向に絞っていきたいと思っています』というのは、それはそれで一つのやり方、方向性やから、別に構わんとは思う。
あんた自身がやりやすいと考える方法に専念するのも手やさかいな。
あんたの話からはワンルームの無読者は難しいと感じておられるというのが良く分かるから、そう考えておられるのなら、そのワンルームは避けられた方が懸命かも知れんしな。
この拡張の営業は、精神的な部分がかなりのウェートを占める仕事や。自分で「あかんな」と考えていたら、絶対と言うてええほど契約なんか上がることはない。よほどの幸運でもない限りな。
逆に「ここでは絶対にいける」と信じて営業すれば、たいていはそのとおりになる。そんなものや。
営業というのは何も難しい事にチャレンジする必要はない。難しいカード(契約)も簡単なカードも、同じ一本のカードで値打ちは一緒やさかいな。
凄腕のベテラン勧誘員はどんな難しい客からでも契約が取れると錯覚する人がいとるようやが、そんなことはない。
成績がええと目されとる営業員の多くは得意とする客に数多くアタックしとるから、結果として契約が多く上がっとるだけのことや。
営業には、こうすれば絶対正しい、いける、間違いがないという便利な方法なんかはない。自身でそう思える方法があるだけや。
そのあたりは『前職では保険代理店を10年営んできました。経営者としての立場も経験しています。いろいろな営業をやってきました』ということやから、ある程度は分かっておられるはずやと思う。
たいていの人間は思い込みで動く。それがええ方に出れば結果がええし、裏目に出ればきつい事になるということや。
そうかと言うて思い込みを捨てろと言うてるわけやない。むしろ、自信のないときは、その思い込みが功を奏する事も多いしな。
迷ったら、「自分はこの客層には自信がある」と思い込むのもええ。そう思える背景には、それなりの実績と根拠の裏付けもあるはずやしな。
あんたにアドバイスするとしたら、まずは自分が自信を持てる客層、方法でやってみることや。それが、頭打ちになってどうにもならんと感じたときに、新たなチャレンジをすればええと思うがな。
ただ、拡張の営業をするのに「押しが弱い」と考えとるようではあかんで。こういう人は「良ければ当店の新聞を読んでみてください」式の営業になりがちやが、これでは、どんなタイプに売り込んでもきついと思う。
自信を持って「当店の新聞を読まれると得をして有利になりますから、是非、読んでください」と言うことや。その有利な点は、探せばいくらでもある。
ちょっと古いが、『第66回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■新聞の利点』や『第130回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■役立つ賢い新聞の読み方』の中に、そのヒントは結構あると思う。
その有利な点を自分なりに理解して信じ切り、「当方の新聞を読まれないのは大変な損ですよ」というくらいの自信を持って売り込むことや。それが、その客のためにもなると信じてな。
その自信のある説得が相手の心を動かす。それが対面営業の本質やと思う。自信のない営業が、相手の心を揺さぶることなど絶対にないさかいな。
後の『嘘がつけない・一点集中型・複数の事を同時に進行するのが苦手・こだわりが強い・頼まれると断れない・マメであるといったところです』というのは、あんたの誠実さを示すものやから欠点にはならんと思う。そのままでええ。
その誠実さに押しの強さが加われば、相当のレベルにはなれるはずや。
『拡張員は出入りしていません』 というのは、他の専業の勧誘がどんなものかは分からんが、それほど荒れてないバンク(販売店の営業エリア)やと思う。
『拡張に当てられる時間は平均して一日5時間くらいです』というのは、それだけあれば十分や。拡張員でも、それだけの長時間、真面目に営業に専念しとる者は少ないさかいな。
『ライバルはY紙ですが、シェアでは当店が勝っており、相手もあまり積極的に拡張していないようで、それほど脅威ではありません』というのも好材料になる。
これは実際にも、そうなのやろうが、何よりそれで、あんたのモチベーションを上げることになっとるやろうからな。
『A紙・Y紙ともに固定客が多く、もっぱら交代読者と先契約の奪い合いや契約読者の継続の繰り返し、たまに転入やおこしがあがる程度です』というのは一般的やわな。たいていは、そんなものや。
『とにかく戸建てに関しては、無読層を除いては飽和状態に近い状況で、あまり開拓余地がありません。また、若い一般世帯の無読層の多さには呆れるばかりです』というのも、今はほとんどがそうやと言える。
ただ、余地がないと思い込めば、それまでやがな。営業の余地とは、その隙間を見つける事やなく自ら作る事やと思う。若い一般世帯の無読層が厳しいのは百も承知やが、まったく手がないというわけでもない。
どんな事にでも、それなりの方法というのはあるさかいな。
もっとも、今のあんたには、そこまで考えるのはマイナスになるかも知れんがな。自分自身に自信が持てるようになったら、もう一度、質問してきてほしい。そのときにその意味が分かるはずや。
『私は当店の中ではまだ新顔で、他の専業のように顔が浸透していないため、皆と同じ営業をしていては到底成績は伸びず』というネガティブな思考もあかんと思う。
他の人間の営業とやらが、どんなものかは分からんが、あんたは、その彼らと同じ営業をしとるのやないと考えるがな。勧誘員の数だけ、その営業法があるというのがワシの持論でもあるしな。
ワシの知る限り、「喝勧」や「ひっかけ」、あるいは拡材だけに頼った営業というのは似たようなやり方になるケースが多いが、あんたのように誠実さを武器にする営業の場合、人それぞれやと思う。
要は、それに自信が持てるか、どうかだけのことで結果に差がつく。その一点に尽きる。
『果たして自分はどういう営業が向いているのか、自分では何だか分からなくなってきており、とても悩んでいます』というのは、あんたの話だけで、どんな営業に向いとるかというのはワシにも判断できんし、分からん。
ただ、『一点集中型』を自認するのなら、サイトの『ゲンさんの勧誘・拡張営業講座 第2章 新聞営業の実践についての考え方 拡張タイプ編 その4 一点集中タイプ』にそのヒントがあるのやないかと思う。
営業のやり方など、それこそ星の数ほどある。ワシはこの拡張で15年。その前は建築屋で25年ほどと、およそ40年近く、その営業に携(たずさ)わってきたが、それでも日々、新たな営業法を模索しとるわけや。
それがえらいと言うのやなく、そうせなこの厳しい営業の世界では生き残れんということや。たいていの人間が行き詰まるのは、今までのやり方が上手くいかんようになったときやさかいな。
営業の世界では、いつまでも同じようなやり方は通用せんというくらいの気持ちを持つべきやと思う。日々、研鑽、創意工夫する。それしかないと。その気持ちを持つということが、ワシの最大のアドバイスになる。
まあ、そうは言うても、一朝一夕にその考えが会得できるものでもないから、何かの壁や困難な事にぶつかって悩む事があれば、その都度、いつでも遠慮なく相談してくれたらええ。
一つずつ壁を乗り越えることでしか、その先は見えんものやしな。
取り敢えず、今は自分で信じた方法でやってみることやと思う。できることから少しずつな。
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