新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.760 これって販売店にはどんな影響があるんですか?


投稿者 saさん  投稿日時 2009.8. 1 PM 10:17 


この前解約の件でメールさせていただいたのですが、もしかしてお返事送って下さったのでしょうか?

実はハカセさんのこのアドレスに私の携帯の拒否リストに登録してあったスペルが含まれておりまして、もしかしたらせっかく返事を下さっているのに着信拒否になっていたかも知れません。本当にすいません。。

それとこの前の件なんですが、今かなり揉めてしまってます。この前からの流れを聞いて下さい。

あまりにも対応が酷すぎるので(本当に酷いんです! でも話せばものすごく長いので、ここでは控えます)新聞公正取引協議会に電話相談しながら解約を決めたのですが、解約違約金を請求してきました。

その違約金の内訳に“契約料”という名の拡張員さんへの手数料を含めているんです。

納得いかないのでそう伝えたところ、『こちらでかかった必要経費なんで違約金に含めるのは当然』『直接申し込まれてたら払う必要のなかったお金なんですよ。だったらどうして直接申し込まなかったんですか?』と言われました!

絶対おかしいですよね?

もう完全に頭にきたので、またまた新聞公正取引協議会に相談したら、新聞社の担当に連絡してその担当から販売店に指導してくれると言われました。

ここでまた質問させて下さい! これって販売店にはどんな影響があるんですか? 

それと途中解約されたらどんなペナルティがあるんですか?

できれば痛手を負っていてほしいです。。


昨日、7月31日に回答を送らせて頂いています

返信日時 2009.8. 1 PM 10:40


『新聞拡張員ゲンさんの嘆き』のサイト管理者、白塚博士(ハカセ)と申します。

>この前解約の件でメールさせていただいたのですが、もしかしてお返事送
>って下さったのでしょうか?

とのことですが、昨日、7月31日、PM10:52に『NO.759 引っ越し先で違う新聞に替えようかと思っています』として、回答を送らせていただいています。

届いておられないとのことですので、再度、その内容を送付致します。

また、本日分の回答は、一両日中にお答えする予定ですので、それまでしばらくお待ちください。


先ほどの質問に付け足します

投稿者 saさん  投稿日時 2009.8. 1 PM 11:30


再度の返信ありがとうございます!

ゲンさんの回答を読んで、先ほども送らせていただいた質問に付け足します。


販売店から言われた違約金6027円の内訳
・無料購読3ヶ月分(3700×3ヶ月)11100円
・いただいた歌舞伎ペアチケット16000円
・拡張員さんへの契約料8390円
以上合計の2/12(契約残2ヶ月分)です。


ゲンさんがアドバイス下さっていたように、引越先で引き続き2ヶ月だけ購読しようとも考えたのですが、本当に頭にきてしまい『お宅さんには新しい住所を教えたくありません!』と言ってしまいました。

けど後3700×2ヶ月分払うよりも金額も低いし、今も教えたくない気持ちに変わりないので、サービス分の返還はかまいません。

ただ、先ほど送らせていただいたメールにも書いた通り、拡張員さんへの契約料を含めているのはおかしいと思うんです。

それに拡張員さんがいるおかげでお客さんも増えているのに『ウチだって拡張員から紹介してもらわなかったらこんな金払わなくてもよかったのに。拡張員と契約したお宅が悪い(←そう言った訳ではなく、少なくとも私にはそう取れた言い方でした!)』は、“じゃあ自分だけの力でどれだけの客を集められるんだ!”って感じです!

とにかくもうこれ以上関わっても関わるだけ自分が怒り損だと思うので、新聞公正取引協議会の方がどう新聞本社に話をもっていってくれるのか、新聞本社が販売店にどういった指導をするのかが気になります(協議会の方はどういう風になったか報告してくれると言ってましたが)。

販売店にキツいお灸を据えてくれることを心の底から願ってます。。


回答者 ゲン


あんたを、そこまで怒らせたというのは、前回の質問の中にもあった『今回の販売店の上から口調にカチンときた』ということが大きいとは思うが、このケースは、あんたもそれに対して、かなりきつい言葉で応じたのやないかな。

ワシの印象としては、売り言葉に買い言葉が原因でそこまでの揉め事になっとるように思える。まあ、揉め事が拗(こじ)れてしまうのは、たいていの場合、それやけどな。

ただ、例えそうやとしても、販売店たるもの客をそこまで怒らせるような言動をしたらあかんわな。その意味では程度の悪い販売店やと言われても仕方ない。

『新聞公正取引協議会に相談したら、新聞社の担当に連絡してその担当から販売店に指導してくれると言われました』というのは、その結果を待たな何とも言えんところがある。

一般論で言えば、これは解約時の販売店と契約者間の民事的な揉め事が主で、勧誘時の不法行為に起因しとるものやないから、新聞公正取引協議会や新聞社が積極的に介入するということは、過去の事例に照らすと少ない。

あるとすれば異例なケースになる。もっとも、今回の場合、その異例なケースになるというのも考えられんではないがな。それについては、もう少し、後で話す。

前回の回答でも言うたが、その販売店が、契約者が解約を希望した場合、「原状回復」分であるサービスの返還を、契約者に請求するのは正当な行為として認められとることや。

確かに、客であるあんたの気分を害する言動があったことは責められてしかるべきやが、例えそうであっても、法的には、その販売店は、あんたに対して不法行為を働いたわけやない。

不法行為を働いたわけでもない独立した企業である販売店に、助言はできても「こうしなさい」という強制はできんということや。

新聞販売店は、新聞社の傘下、配下という感覚が一般の人には強いが、正式には、お互いの間で「業務委託契約書」を交わした企業同士の業務取引関係という事になる。

形式上は、あくまでも対等や。もっとも、実質的には、ほとんどの場合、新聞社側が圧倒的優位に立っとるがな。

ただ、例え、そうであっても、新聞社はよほどの事でもない限り、その圧倒的優位な切り札である「契約解除」などの処置をむやみに使うことは法律や裁判の場でも許されとらん。

そのよほどの事とは、その販売店が明らかな法律違反を犯すとか、経営の怠慢が著しいと認められたときくらいのもんや。それ以外は、新聞社がその販売店の経営に関することで口出すことは認められとらんし、また表立ってそうすることも少ない。

まあ、そうは言うても、その新聞社から「注意してくださいよ」という諌言(かんげん)があれば、プレッシャーに感じる販売店は多いから「お灸を据えられた」と感じ、引き下がるケースはあるがな。

今回の場合、期待するのなら、それやと思う。

その業務委託契約書には、新聞販売店は、部数増のための勧誘と宅配する責務を負い、個人客との契約の責任も被るということになっている。

新聞社のできることは、新聞社の決めたルール、および法律の遵守を監視、指導することだけや。それ以外で動くことはまずないと言うてもええ。

それは『新聞公正取引協議会』についても同じや。そのネーミングから、公正取引委員会と同列の組織のような法的な組織、機関という印象を受けられる一般の方が多いようやが、これは、まったく別の組織で、民間団体や。

正しくは『社団法人新聞公正取引協議会』という。

これには、111の新聞社(発行本社)と150系統会(新聞社別・地域別の新聞販売業者団体)の参加事業者が会員となり、組織されとるものや。分かりやすく言えば、新聞社、販売業者の代表組織ということになる。

新聞の勧誘においての違反行為を監視することが、その主な仕事であり、目的とされている。新聞勧誘の正常化を目指すという建前のもとでな。

本来、新聞社は契約事には、その勧誘時の違反行為がなければタッチするケースは少ない。契約の揉め事は、販売店と契約者とのお互いの話し合いで解決してほしいというスタンスやさかいな。

その代表ばかりで組織されとる機関が、不法行為のない販売店にペナルティを加えることなどは、まず考えられん。

ただ、今回のケースは、法律的にと言うより、新聞社のルールを冒しとる可能性があるから、その点で、『できれば痛手を負っていてほしい』という望みが叶うかも知れんがな。

それが、先に言うた、異例なケースになるかも知れんというやつや。

あんたの言われる違約金に『・無料購読3ヶ月分』と『・いただいた歌舞伎ペアチケット』が含まれているが、何度も言うが、これは違約金という性質のものやない。

お互いが守れない契約、つまりその約束事が完遂する前提で受けたサービスは、民法第545条の原状回復義務の考えによって返還されるべきものと解釈せなあかんものや。

「その約束が守れないのなら、それを条件に渡したものは返してください」と言うてるだけのことやからな。当然のことやと思う。

『・拡張員さんへの契約料8390円』というのが、正規の解約違約金の請求ということになるが、引っ越しでの契約解除には、前回説明したとおり、双方やむを得ない形での契約解除になるから、それは一切、発生せん。

つまり、その請求は無視したらええということや。払う必要は一切ない。おそらく、その新聞公正取引協議会の担当員もそう言うはずや。

このケースは『その違約金の内訳に“契約料”という名の拡張員さんへの手数料を含めているんです』という点があるために、『新聞社の担当に連絡してその担当から販売店に指導する』と言うたのやと思う。

これについては、あんたが『絶対おかしいですよね?』と言われるとおり、おかしい。というか、本来、販売店が知ってなあかん法律の知識を身につけてないから、転宅による契約解除を契約者の一方的な「自己事由による解除」と思い込んどるのやろうと考える。

「引っ越しするのは、契約者の勝手な都合やろ」という感覚やな。それが故に、通常の解約処置ができるものと勘違いしとるわけや。

その新聞公正取引協議会の担当員からの報告待ちにはなるけど、その『・拡張員さんへの契約料8390円』は除外となるのは間違いないと思う。

ただ、それ以外の『以上合計の2/12(契約残2ヶ月分)です』というのは、ある意味常識的な販売店とも言える。落としどころとしても申し分ない。

その販売店の請求額から、『・拡張員さんへの契約料8390円の2/12(契約残2ヶ月分)』を差し引いた額を支払うというのが一番、妥当な線やと思う。

ただ、その販売店の請求額の分母に問題があると思うから、それで済むかどうかは分からんがな。

『無料購読3ヶ月分(3700×3ヶ月)11100円』というのが、引っかかる。

おそらく、あんたは、朝夕セット版地域で朝刊のみを購読されておられるのやと思う。1ヶ月3700円の新聞代というのは、それしか考えられんさかいな。

新聞社は、これを快く思わん可能性がある。特にS新聞社はな。

当メルマガ『第4回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■消えゆく夕刊……その知られざる裏事情』 という話をしたことがあるが、その中で、


この朝夕セット地域での朝刊のみの場合、販売店の裁量でその価格が設定されとるという現状がある。

朝夕セット地域では、やはりその朝夕刊主体に契約を取るように新聞社は販売店に要請していた。

表向きは要請であっても、圧倒的に弱い立場で業務取引契約を結んでいる販売店からすれば、それは新聞社の命令と受け取る。

そして、その新聞社の意向に逆らうということは、そのまま廃業をも意味することにつながると考える。

実際、新聞社の意向に逆らって業務取引契約を解除され廃業に追い込まれた販売店は数知れず存在するさかいな。

しかし、夕刊などを読まないという顧客にとって、そんな販売店の事情など関係ないから「いらない」と言う。

そこで苦肉の策として販売店が考えたのが、夕刊がいらないという客への値引き価格を大幅に押さえるというやり方やった。

朝刊のみの新聞代で最も高い月3700円というのは、それがために考え出された究極の価格設定やないかと思う。

朝夕セット価格が3925円やから、その差額の225円が1ヶ月の夕刊代ということになる。

実に夕刊1部、7.5円にしかならん計算や。

もちろん、その値段で夕刊を印刷して配達できるわけがない。配達員の配達代すら出んわな。

つまり、その本来あり得ないような価格を設定することで、「どうせなら朝夕セットで購読する方が得ですよ」とアピールしたかったわけや。

朝刊のみの購読を阻止するために。

一般の事情の分からん人からすると、単に販売店が欲にかられて、その高値に設定しとると思うかも知れんがな。

新聞社も、販売店が朝刊のみの顧客に、その高値の新聞代を設定しとるのを知らんわけがないから、本来なら統合版価格の3007円か、それに近い価格設定にするよう指示、勧告せなあかん。

しかし、そうしてしまうと、朝夕セット地域で朝刊のみの購読を容認することにつながるということで、販売店の裁量に任せるしかなかったのやと思う。


と言うてたが、そのメルマガを発行して以降、未確認情報ながら、一部の新聞社では、この販売店任せの朝刊の特別価格設定というのが問題になっとるという話が漏れ聞こえてきとる。

新聞社の公式な建前には、全国同一地域の同一価格堅持というのがある。それがある故に、新聞は「再販制度」が維持されとるわけやしな。

それが、販売店毎の朝刊の特別価格設定というのがまかり通っとるというのは、いかにも拙いと考えたとしても無理はないと思う。

特に、S新聞の場合、全国的にも原則、夕刊廃止の方針を打ち出していて、朝刊のみ月、2950円と大々的に謳っとるからよけいや。

それを、多少、その紙面の構成が違うとはいえ、同じ朝刊のみを3700円で勝手に売られるというのは歓迎されることやないやろうしな。

おそらく、現在、あんたは関西エリアに住まれておられるのやと思うが、そのS新聞が唯一、朝夕セット版を維持しとるのは、その大阪本社版だけや。

S新聞社の本音は、その大阪本社版も夕刊廃止で朝刊のみ月、2950円にしたかったのやが、その地域の販売店組織の猛反対にあって、その朝夕セット版の維持を余儀なくされたという経緯がある。

今までは朝刊のみで3700円に設定されとるという事実は、あまり表に出てくることもなく問題にもされんかったが、今回のケースで、S新聞がそれを問題にすることも考えられる。

それが、具体的にどういう形で表れるかまでは分からんがな。

加えて『いただいた歌舞伎ペアチケット16000円』という価格設定の根拠も怪しいと思う。

前回の回答でも、『これは、正規で買うのと、販売店に新聞社から無料配布される分など、いろいろあるから、その適正価格を決めるのがかなり難しいと思う』と言うてたが、それを支払う以上は、その販売店が確かに、その値段で買ったという根拠となる証拠を示して貰う必要がある。

そして、その値段を契約者であるあんたが、契約時に、それと承知していたということも必要や。

当たり前やが、「このサービスは、この価格ですよ」という提示が最初に必要やさかいな。後になって「実はこれだけ費用がかかってました」というのは、勧誘時においてサービスの条件提示にはあってはならんことや。当然、そんなことがあれば問題にされる。

さらに、景品表示法というのがある。

新聞勧誘の景品がこの法律の対象になる。景品の最高額を取引価格の8%又は6ヶ月分の購読料金の8%のいずれか低い金額の範囲ということに決まっている。それをオーバーすると、この法律の違反行為ということになる。

この法律は、それを運用しとる公正取引委員会からの摘発は、今はほとんどないが、それよりも新聞社からの監視の方がきつい。たいていの販売店もその方を恐れる。

新聞勧誘の場合、景品の上限は業界の自主規制によるものとされとる。新聞業界の自主規制が、公正取引委員会の認定を受けることによって、法律になっとるわけや。

つまり、新聞社自ら作った法律やとも言えるくらいやから、販売店はそれを厳守するように求めるし、指導する。

それに照らせば、あんたのケースの『いただいた歌舞伎ペアチケット16000円』は、それが正当な価格やとしたら明らかにその景品表示法の違反行為という風に見られる。

そうやとすると、ワシが冒頭で、その販売店が『不法行為に起因しとるものやない』と言うてたのとは矛盾するやないかと思われるかも知れんが、この法律は公正取引委員会に指摘されて初めて不法行為ということになる。

スピード違反したと分かっていても、警察官に摘発されな、その違反に問われんというのに似とる。現在、新聞業界においては、その景品表示法の法律違反に問われるケースが少ないから、ああいった表現をしたわけや。

しかし、新聞社の判断は違う。

自らそれを法律違反と認定しとる以上、その事実を知って容認することはない。それでなくても、新聞社は、販売店の過剰なサービスには神経を尖らせて監視しとるさかいな。

よって、それも問題にされる可能性がある。

それらにより、かなり厳しくその販売店に指導がいく場合も考えられるということや。

結論として、その結果を、『協議会の方はどういう風になったか報告してくれると言ってました』ということで、その結果待ちに徹するのもええし、あんたが納得できるのなら、その販売店の請求どおりの金額を支払って終わらせるというのでも構わんと思う。

あるいは、ワシの指摘した点を衝いて、さらに値引き交渉するのも手や。

どうされるかは、良う考えて決められたらええ。いずれを選択されても、あんたの悪いようにはならんとは思うがな。

どういう結果になったにせよ、またそれを教えて頂けたらと思う。


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