新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.763 変更した覚えのない契約でも、しなければならないでしょうか?


投稿者 ナカムラさん  投稿日時 2009.8.15 AM 0:07


初めまして。突然で申し訳ないのですが新聞契約について相談があります。

平成20年7月に『平成21年1月〜平成21年6月まで』の契約をしました。急遽平成20年8月に引越してしまいました。

今まで新聞会社から連絡が無かったのに今年8月になってから「平成21年1月〜の契約を8月に変更したのに住所が違う。6ヶ月間の契約はいつからでも良いから取ってください。」と言われました。

1月からの契約は事実ですが8月に変更した覚えがないのです。

現在同じ会社から契約者は違いますが12月までの契約をしています。

12月以降契約するつもりがないのですがこの場合来年の1月から6ヶ月間契約しなければならないでしょうか?

拙い文章で申し訳ありません。返答の方よろしくお願いいたします。


回答者 ゲン


あんたの場合、その事情次第では微妙なところがありそうや。

『平成20年7月に『平成21年1月〜平成21年6月まで』の契約をしました。急遽平成20年8月に引越してしまいました』というのは、ありがちなことや。

その場合、他府県やその販売店の配達エリア外への引越しなら、その契約は債務不履行という形になり、自動的に契約は解除される。

これは、新聞購読契約というものが、その販売店と契約者のみの間でしか有効な契約やないからや。

新聞の宅配制度では、同一新聞社の営業区域はたいていの場合、同一地域に販売店は一つと決められている。

例外として、全国紙のN経新聞や一部の地方紙、業界紙のような委託販売をしている新聞などがあるがな。その場合は、同一地域に数店舗の販売店が宅配しとるということもある。

それでも、その契約した販売店はどこかの新聞社をメインにはしとるはずやから、そのメインの新聞の営業エリア外に引っ越しした場合は同じことになる。

そうなれば事実上、その販売店は、その契約者への宅配ができんから、言い方は悪いが「契約不履行」という事にならざるを得んわけや。

ただ、この業界では「引っ越し先で購読継続をするべきや」という考え方が昔から慣例としてある。

契約書の裏面に記載されている事項が決まり事のように考えている販売店や契約者の方が多いという事でそうなっとるようやが、これは何の法的拘束力もない、ただのお願い事にすぎんものや。一方が拒否すればそれで終わる。

個人との契約には一切関知しないというのが新聞社の建前としてあるが、この引っ越しに関しては顧客サービスの一環という名目でその仲介、斡旋をすることがある。

それを新聞販売店は強制力のあるものやと捉え、契約者は新聞社との購読契約になっているから仕方ないと勘違いする要因やと思われる。

しかし、それはあくまでも単なるサービスやから、嫌なら拒否できるということや。

普通は、引越しをする前にその旨を当該の販売店に告げ、引っ越し先でその契約を継続する意志がなければ、契約時に貰ったサービス品(拡材)を返還することで契約解除となりすべては何の問題もなく終わる。

これは、クーリング・オフとは違った意味で法的にも契約の継続拒否ができるとされとるものやから、いくら、その販売店が異論を唱えてもどうしようないわけや。

ただし、『急遽平成20年8月に引越してしまいました』というのが、その販売店に黙ってという場合は、あまり感心したやり方やないとは言うとく。

多くの新聞購読者は善良な方たちばかりやと思われがちやが、契約者の中には詐欺同然に、それと知りながらサービス品だけを受け取って黙って引っ越す、つまりドロンするという不心得者もいとる。

えげつないと言われる勧誘の事例報告はナンボでもあるが、そうされたという販売店の人間がネット上でそれを訴えるケースが少ないから、一般にはそれと知られてないだけのことでな。

そういう経験はどこの販売店でもあるはずやと思う。

当メルマガに、『第16回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■ここで遭ったが何年め?』や『第32回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■拡張員泣かせの人々 Part1 引っ越し取り込み』 などで悪意のあるその手の人間の話をしたことがあるが、万が一、そういうケースでその販売店が「景品を搾取された」「騙し取られた」と警察に被害届けでも出せば罪に問われる可能性すらあるわけや。

例えそれと訴えられず罪に問われんで済んだとしても、そういうのは褒められた事やないわな。

あんたのケースが、他府県、その販売店の営業エリア外の引っ越しで、そのサービス品を返すつもりなら、その契約の継続を拒否するのは何の問題もないと言えるが、そうやない場合は違うてくる。

ただ、『今まで新聞会社から連絡が無かったのに今年8月になってから「平成21年1月〜の契約を8月に変更したのに住所が違う。6ヶ月間の契約はいつからでも良いから取ってください。」と言われました』ということからすると、あんたの引っ越し先は、その販売店のエリア内の可能性が高いようや。

『現在同じ会社から契約者は違いますが12月までの契約をしています』ということからも、それと窺われるさかいな。

一般の人は『新聞会社』と言うと、新聞社と考えがちやが、新聞社が個人契約者にこんな連絡を入れることは絶対にないと断言できるから、これは間違いなく新聞販売店のことやと思う。

その場合、いくら引っ越しても同一販売店ということになれば『平成21年1月〜の契約』は生きていることになる。

その場合は、契約解除とはならん。

しかし、『1月からの契約は事実ですが8月に変更した覚えがない』ということで、その事実がないのなら、その契約は過去のものとなり無効になる可能性もある。

ただ、あんたが別の住所への引っ越しを知らせてない場合は、その販売店もそれと知らず契約を履行することが不可能やったわけやから、難しい判断にはなると思う。

ワシが冒頭で『その事情次第では微妙なところがありそうや』と言うたのは、そういうことや。

結論として、『平成21年1月〜平成21年6月まで』の契約分の差し替えを要求されたら、法律上は微妙やが、道義的にはそうするべきやとは思う。

特に、その分のサービス品を受け取っている場合は尚更や。その契約の条件を守るという約束の上で貰うた物なわけやからな。

その場合は、単にそれを返したらええやろうということにはならん。

どうしても契約解除したいというのは、自己事由ということになり、そのサービス品プラスその契約期間に対しての解約違約金を支払らって解約ということになるのが一般的や。

もっとも、それは、その販売店がその解約違約金を請求した場合に限られるけどな。請求がなければ、それはいらんということになる。実際、そういう販売店もあるさかいな。

ただ、その販売店が「契約解除には応じない」と頑固に主張する場合は、あんたの方からその条件を持ち出すしか契約解除に持っていくのは難しいやろうと思う。

それでも今回の場合、若干やが、救いがあるかも知れん。

それは、その販売店が『契約を8月に変更した』と主張したという点にある。

それを主張するのであれば、その証拠なり、その変更したという契約書を見せて貰うことや。

この場合、口頭で言うた言わんというのでは何の証明にもならん。口頭での約束は、お互いがそれと承知で納得した場合のみ有効なものやさかいな。一方が否定すれば、その証拠がなければ、それと認められることはない。

その契約期間に変更については、新たに契約書を作成し直すか、その契約書に契約期間の変更の記載のみをした場合でも、それを確かにあんたが認めたというサインが別途必要になる。それがないと契約書としては有効なものにはならん。

せやないと、販売店がどんな条件でも勝手にその契約書に書き加えたら通用するということになるからな。そんなバカな話はないわな。

あんたが『8月に変更した覚えがない』と主張する以上、その販売店はそれを覆す証拠を突きつける以外には、『契約を8月に変更した』とは言えんわけや。

その証拠を示せん限りは契約の無効を主張できるということになる。

何か揚げ足取りのようなアドバイスやが、あんたがその契約から逃れる術はそれくらいしかなさそうや。

これが、最初から『あんたが別の住所への引っ越しをしたとは知らず契約を履行することが不可能やった』、あるいは『引っ越しをした人と同一人物とは知らず、その契約があったとは知らなかった』という理由で、その契約の差し替えを要求された場合は、黙って引っ越したあんたの方に非があるとされ、それを回避するのは難しいやろうと思う。

『同姓同名の人が同一人物とは知らず』というのも、あんたの「ナカムラ」さんというのは日本で8番目に多い苗字やから、そう勘違いされる可能性は高い。

新聞販売店は、住所と名前を同時にコンピュータ登録しとるのが普通やから、その住所の変更を知らせてなかったら、同一人物と気づかんというのは普通にあるし、数千人、数万人の顧客がいとる販売店なら無理もないことやと言える。その「ナカムラ」さんがその辺りに多ければ尚更やと思う。

したがって『今まで新聞会社から連絡が無かったのに今年8月になってから』連絡があったというのも頷けるということや。別におかしなことやない。

あんたの場合は、その販売店が、ありもしないことを言うてきた場合のみ、反撃の余地があるということや。

まあ、これはワシの個人的な見解やが、その引っ越しした際、単にその住所を伝え忘れたというのであれば、現在もその新聞を取っているということで、その新聞自体には問題はなさそうやから、後6ヶ月くらいは購読してもええのやないかと思うがな。

『12月以降契約するつもりがない』というのが他紙を購読したいということなら、その後の契約にするというのでもええと思う。あるいは、もっと先のあんたの都合のええ期日を指定するのでも構わん。

いずれにしても、そうする方が揉める事もなく丸く収まりそうや。

それとも、どうしても契約を継続できん、したくないという理由でもあるのなら、解約違約金を支払うことを視野に入れて交渉するかやな。

まあ、どう対応されるかは、その販売店の出方とあんたの考え次第でも違うてくるさかい、良う考えて決められたらええとは思う。


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