新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.765 なにかアドバイスいただけたらと思いメールしました


投稿者 toki さん  投稿者 2009.8.21 AM 1:34


はじめまして。

私は、今月から働きだしたばかりの新米パート拡張員です。

保育園に通う子供がいて、平日は、10時半〜16時。土曜日は休まねばならず、日曜日は、朝10時〜20時まで活動しています。

他のパートさんと違い、ゴールデンタイムに活動できないので、夜間働いているパートさんの何倍もの件数をたたくしかないと考えていますが、それ以外に努力できる点はありますか?

出勤10日目で、訪問件数は700ほど、足がふるえるぐらいまわりますが、新規は、日曜日に訪問したお宅の1件しかとれておりません。

先日、団地をまわりましたがまるまる1棟留守!なんてところもあり昼間の活動には限界があるのでは…と思ってしまうときがあります。

まだ、ホームページに書いてあるようなトークも身についていないのですが、なにかアドバイスいただけたらと思いメールしました。

よろしくお願いします。


回答者 ゲン


この拡張の仕事について即効性の高いアドバイスが何かないかとは良く聞かれるが、残念ながら、そんな便利なものはないと言うとく。

ある程度は経験を重ねることで補える部分があるのは確かやが、他の仕事と違って長く続けとればええというもんでもない。

もっとも、この営業の仕事にはこうすれば絶対に契約が取れるというような極意とか秘訣みたいなもの自体ないんやけどな。

良く本屋に置いてある営業本には「こうすれば必ず契約が取れる」みたいなキャッチフレーズが書かれたものがあるが、あれは単にその本を売らんがための宣伝文句にすぎんものやさかいな。

まったく役に立たんとまでは言わんが、それは一つの方法、考え方にすぎんものやと思う。

その手の作者は、それぞれの業界で華々しい成功を収めとるケースが大半やから、それなりに説得力のあるものが多い。

ただ、それは、その作者が単にそうやったというだけのことや。当然やが、それが誰にも当て嵌まるわけやない。

営業には、人それぞれのやり方があるというのが、正しい認識やと思う。

100人の営業員がいれば100通りの営業法があって自然やし、客にしても個人個人はまったく別人格なわけやから、この人に通用したやり方が、別の人には通用せんかったというケースはいくらでもある。

またAという営業員がBという客から契約が取れても、それと同じ方法でCという営業員がBに営業をかけても同じように契約が取れるという保証はどこにもない。

人とその時々の状況が変わればそれぞれに結果は違うてくるわけや。そんなものに絶対というのはあり得んわな。

もっとも、営業本にそんなことを書くわけにもいかんがな。本を売るためには、例え作者が懐疑的に思う部分があったとしても「こうすれば絶対に大丈夫でっせ」と言うしかない。

それを真に受けて上手くいくこともあれば、まったくあかんかったということもある。

物を売る「営業」という概念が確立したのは、人間が社会生活を営むようになった太古の昔からや。貨幣がない時代でさえ物々交換というのはあったわけやから、その営業力、交渉力のあるなしが、その損得に大きく影響したのは間違いない。

その気の遠くなるような年月の間、延々と続けられてきた営業方法は、現在のようないくらコンピュータ化され進んだ文明と呼ばれる時代になろうと、人を説得せな成立せんという点において、その太古の昔から何ら変わりはないわけや。

そして、それはこれからも同じやろうと思う。

結論の出ないもの。未だ確立されてないもの。それが「営業」やと、まずは認識してほしい。

不確かなものであるからこそ、古今東西、数え切れんくらいのそういった営業指南書が世の中に氾濫して存在しとるわけや。

個々の成功例があるために、それが確立された方法やと錯覚させることはあるやろうがな。

実績を残した著名人でさえ、それやのに、名もなき一介の拡張員であるワシのアドバイスや方法論など推して知るべしやと思う。

ワシなら、まるでハリーポッターの魔法の杖か何かのように、次々といろんな方法やアドバイスが出てくると勘違いされておられる方が多いようやが、そんなアホなことはない。

他の多くの先人たちと同じように、長い経験をもとに「こうしたから、上手く行った」と言うてるにすぎんさかいな。

成功例も確かにあるが、それに倍する失敗例もある。ただ、そんな失敗例は言うても役に立たんと思うから言うてないだけのことでな。

せやから、あまり過度な期待はせんといてほしい。特に拡張というのは、他の営業と比べても突出して難しい部類に属すると思うものやさかいな。

百に一つ、あんたにとって役に立ちそうな事があれば儲けものという風に考えて貰いたい。

ただ、その前に、この仕事に向いていて稼げる可能性が高く成功するのか、続けてもあかんのかという事を自己判断する必要はあると思う。

営業、特に拡張の仕事というのは誰にでも始められるが、誰でも成功するとは限らんものや。それを知った上でするのと、それと知らずただ闇雲にするのとでは大違いやさかいな。

それを見極めるのは、そんなに難しい事でもない。

この仕事が好きかどうかを自問自答するだけで、ある程度は分かる。

あんたは話しぶりから、どうやら女性の方のようや。それはええ。営業の仕事に男も女もあまり関係ないしな。

むしろ、事、拡張においては胡散臭く思われがちな男よりも女性の方が安心されるという点で有利な面も多いくらいや。ワシの知っている女性拡張員の方でやり手の人も多いしな。

そんなことよりも、あんたがこの仕事を始められた動機の方が重要になる。

過去に他の営業に携わっていて面白いとかやりがいがあるというのなら、例え今はあかんでもこの先、十分見込みはある。

反対に、営業のことは何も知らず『出勤10日目で、訪問件数は700ほど、足がふるえるぐらいまわります』というのが苦になるのなら続けても、あまり大した成果は得られんやろうと言うしかない。

「好きこそ物の上手なれ」という諺(ことわざ)がある。何事もその道で上達しようと思えば、最低限度、その気持ちが必要や。人間は好きでもない事には熱心に取り組めんもんやさかいな。

単に他に仕事がなかったからという理由だけで、この仕事を続けて「あかん」と嘆いとる者がいとるが、ワシはそういう人間には「あんたはこの仕事には向いてないから辞めた方がええ」と、その本人に面と向かって言うことすらある。

厳しいことを言うようやが、この拡張の仕事は、苦しくても歯を食いしばって頑張ればどうにかなる、報われるというものやない。苦しむだけの人間は、結局、苦しんだままで終わることの方が多い。

救いのない言い方かも知れんが、それが今までワシの見てきた多くの現実なわけや。

あんたが、この仕事が好き、もしくは好きになれる可能性があると言うのなら、続けるのはええ。例え今はあかんかったとしても、その気持ちが持続できれば望みはあるさかいな。

契約が取れたときには、ある種のアドレナリンが分泌され高揚感を得られる。

この営業が好きやという人間は、この高揚感に浸りたいために続けるという者が多い。ワシもどちらかと言うと、その口や。

金が稼げるからというのは、それに付随してくるもので、目的であっても、生き甲斐、やり甲斐というとは違うと思う。

他の仕事なら、自分を犠牲にしても生活のために続けるというのは、ある意味、やむを得んところがあるが、この拡張の仕事は契約を上げてナンボの世界やさかい、ただ動いているだけやと金にはならんから、その生活のためにはなりにくい。

営業の仕事において、『私は、今月から働きだしたばかりの新米パート拡張員です』は、その会社内では通っても、勧誘の現場で考慮されることはない。

当たり前やが、勧誘に回っていて「私はまだ慣れてませんので」という言い訳が通用するはずもなく、「それでは仕方ありませんね。分かりました契約しましょう」という客なんかいとるわけがないさかいな。

昨日今日始めた駆け出しであろうと、数十年続けたベテランであろうと、相手の客にとっては同じ「拡張員」なわけや。初心者扱いなど皆無な仕事やと言うてもええ。

この仕事をする限りは、例え駆け出しであろうと表面だけでも「私はこの道の専門家なのでお任せください」という雰囲気を装うことや。

『他のパートさんと違い、ゴールデンタイムに活動できないので、夜間働いているパートさんの何倍もの件数をたたくしかないと考えています』というのも、そういった時間的ハンデがあるのなら、もっと違った視点を持つしかないと思う。

確かに、この仕事は確率の部分が大きいから、より多く訪問することでその確率を上げることはできる。新人にはそう教えるところも多い。とにかく回れと。

しかし、それは時間に余裕のあるときの考え方やと思う。時間的な余裕がなければ、そう考えることが気持ちの上で却ってマイナスに作用する。

「私には他の人と比べて最初からハンデがある」のやと考え、そう思えば必然的に「他の人より契約が上がらなくても仕方がない」という気持ちになる。

営業は、そういうネガティブな思考をするようではあかん。

ワシには、寝ているとき以外は何をしていてもすべて営業という考え方がある。

仕事が終わってテレビや映画を見ている場合、あるいは本や雑誌を読んでいるときは、このネタは雑談に使えるかとか、日常の些細な事が、営業する上で何かの役に立つことはないかと常に考えとる。

その気になれば、人生の大半をその時間に使うことができるはずや。人は時間がないからできんというのやなく、時間を有効に使う術を知らんからできんと言うだけの話やと思う。

『保育園に通う子供がいる』のならば、当然、そのことには詳しいわけやから、同じような客に出会ったら、まずそのことを雑談で交わすようにしてみる。

それだけでも、あんたが保育園と関わっている、また子供と関わっている時間が無駄やないと気づくはずや。雑談のネタ探しの時間と捉えればええことやさかいな。

雑談の効用については、このサイトの至るところで言うてるが、具体的には『ゲンさんの勧誘・拡張営業講座 第2章 新聞営業の実践についての考え方 拡張トーク編 その4 雑談トークについての考え方』 、『第188回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■ゲンさんの話し方教室 その3 雑談の切り出し方について』などが当面の参考になるのやないかと思う。

雑談が交わせる相手なら、ワシの経験上、成約できる可能性はかなり高いと言える。それが同じような話題で盛り上がれる間柄ともなれば相当の効果が期待できる。

『他のパートさんと違い、ゴールデンタイムに活動できない』というのは、夕方5時以降から8時くらいのことを言うてるのやと思うが、確かにこれではきつい。

大半の拡張員は、この時間帯に狙いをつけてするさかいな。客と会える確率の一番高いときに拡張ができんというのは、相当厳しいわな。

その状況なら『日曜日は、朝10時〜20時まで活動』に賭けるしかないということになる。

それで『新規は、日曜日に訪問したお宅の1件しかとれておりません』というのも、新人ということを考えれば無理がないとも言える。

ただ、『平日は、10時半〜16時』というのも効率的に回れば、何とかなるのやないかという気がせんでもないがな。

『先日、団地をまわりましたがまるまる1棟留守!』というのは異常にせよ、狙いを外すとそういうケースもあるというのは分かる。

もっとも、これには、本当に留守の場合と居留守を使っているケースの両方があるとは思うがな。

一般的な公団の場合、階段の二戸一形式の所が多い。こういう所は、その階段部分が吹き抜けになっているという構造上、隣、あるいは上下階に誰かが来たというのが良く分かる。場合によれば、その会話まで鮮明に聞こえることもある。

それで、勧誘員が来たと分かると、そういうのを相手にしたくない人間やうっとうしいと考える者は、居留守を使って出ないケースも多いわけや。『まるまる1棟留守』という背景にはそれもあったのやないかと思う。

ただ、こういうのは、その地域毎のリサーチをすることである程度は補えるはずやと思う。そして、それは現場に行かんでも、ある程度、それと分かることも多い。

例えば、狙いの地域、公団があったとする。そこの在宅率を知るには、その該当するところに電話をかけてみればええ。その地域の電話帳が手に入れば、誰にでもできることや。

この勧誘の仕事は、別に電話を使うてもええわけで、実際、それ専門の勧誘会社もあるくらいやからな。それ自体は別に違法な行為でも何でもないしな。

当然やが、何軒かに電話をすれば、その地域のその時間帯のおおよその在宅率くらいは分かる。電話で勧誘するから、上手くいけばアポを取ることもできるし、その折りの質問次第ではその地域の情報や勧誘状態というのも分かるはずや。

そういったリサーチをすれば、他の人間に負けんだけの効率を図ることができると思う。

要は、あんたが、この仕事に対してどこまでの思い入れがあるかによって違うてくるということや。

それらを判断材料にして考えれば、あんたがこの仕事に向いているかどうかが分かるのやないかな。

まずは、ご自分でそれを判断されてから、次の段階に進まれることや。

その気になれば、どんなに暗く難しい道でも進む方向、明かりくらいは見えてくるもんや。

あんたが、その第一歩として、このサイトを見つけたようにな。すべては、あんたの気持ち、考え方次第やと言うとく。


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