新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.769 引っ越した客から未払いの新聞代金は取れますか?


投稿者 toshi さん  投稿日時 2009.8.26 AM 6:27


はじめまして。

自分は以前ある新聞販売店で専業として働いていました。配達、拡張、集金を全てこなしてました。

担当の区域で新聞代金4ヶ月分を支払わないで引っ越した客がいます。

おおよその居場所等はわかります。新聞代金は取れますか?

新聞代金は平成20年5月から8月までの4ヶ月分それは自分が立て替えて払いました。


回答者 ゲン


あんた個人の立場として、「立て替え払いをしているから、その新聞代金を支払ってくれ」と言うてそれを受け取るのは難しいと思う。

それを請求するのなら、専業として働いていた新聞販売店の許可が必要になる。そこの領収証もいるやろうしな。

せやから、まず、その新聞販売店に話を通してその許可を貰い、形の上ではその代理人として行くことや。

もっとも、相手にはその詳しい話をせずとも「○○販売店から、以前○○さんが支払い忘れておられた平成20年5月から8月までの4ヶ月分の新聞代金を頂きに来ました」と言うだけでええと思う。ウソではないさかいな。

あんたは、あくまでも、その客の前では、その販売店の人間で通すことや。間違っても「立て替えてるから払って貰わんと困る」とは言わん方がええよ。

普通に考えて、4ヶ月分の新聞代金を払わず黙って引っ越すという人間はタチが悪い可能性が高いから、それを言うと、「販売店には支払い済み」なのかと思われるおそれがある。

そうなると、法律的には、その販売店からという名目でその新聞代の請求が難しくなるということや。

もっと言えば、「頼みもしないのに勝手に立て替え払いをした、あんたが悪い」と考える可能性がある。まあ、よほどでないとそんな人間はおらんとは思うが、こういう事に関しては常に最悪な事態を予想しといた方がええ。

そうすれば、予(あらかじ)めそれなりの対策を練れるしな。

言うまでもないが、新聞代を払わずドロンを決め込む人間が一番悪いのは間違いない。悪いが、せやからと言うてその人間を追い込むのも得策やない。

あまり追い込みすぎると「どうしても集金したかったら、裁判でも何でもしてくれ」と、その人間次第では開き直られるおそれがある。

こうなると、はっきり言うて、あんたの立場の方が弱くなる。

実際、支払いを拒否する相手に対しては、最終的には正式な債権者となるその新聞販売店の経営者自ら、その損害賠償請求をするしかなくなるわけやが、裁判を嫌う傾向にある新聞販売店の経営者がそれに応じるとは考えにくい。

あんたとその新聞販売店の経営者の関係が、もう一つ良う分からんから何とも言えん部分もあるが、一般論としては、辞めた人間に対してそこまでする経営者はまずおらんやろうと思う。帳簿上は、未集金になってないということもあるしな。

その新聞販売店の経営者がその集金をするために裁判を起こすのを拒否したら、あんたとしては手の打ちようがなくなるわけや。

今回の件は、その新聞販売店が、その不払いの読者から集金をする義務があり、あんたはその返金に対しては、その販売店から受け取るしかないということになる。

つまり、今回のケースでは、あんたの正当な金銭の返還要求相手は、その新聞販売店ということになるわけや。当たり前やが、新聞代金は本来、その新聞販売店がせなあかんものやさかいな。従業員に立て替えさせる、また従業員から受け取る性質のものやない。

筋論から言うと、その構造、仕組みの方がおかしいということになる。

その立て替え払いというのは、おそらくは「切り取り」行為によるもので、その販売店では恒常化されていたことやと思う。

この「切り取り」行為というのは、明らかに新聞販売店の違法行為になる。それについては、『NO.145新聞購読料金の切り取り行為は違法なのでしょうか?』 を見て貰うたら良く分かると思う。

もっとも、現段階では、その新聞販売店の違法性を追求するよりも、その購読者から返金して貰うた方がええやろうがな。

それで、「○○販売店から、以前○○さんが支払い忘れておられた平成20年5月から8月までの4ヶ月分の新聞代金を頂きに来ました」と言って、素直に払ってくれれば問題なく終わるが、「待ってくれ」とか「今は金がない」と、以前、おそらくそんな感じで支払いを引き延ばしたのやろうと思うが、今回もそうなる可能性がある。

そうなると、先に言うたように、あまり強気で追い込めん分、あんたにとっては不利になるということや。

なら、どうするか。

そのときになって初めて「私も立場上、このまま集金できないと困りますから、私の方で店に立て替え払いをしますので、それでよろしいですか」と、その購読者の承諾を得るように持ちかけることや。

あくまでも、個人間の立て替え払い、つまり個人的な金の貸し借りをするという体裁にするわけやな。具体的には、その集金分の金を個人的に貸すという形にする。

たいていの場合、今すぐの支払いには難色を見せる相手でも、猶予があると思えば、それに応じやすい。その際、その額の借用書を作成する。

その支払いが、数ヶ月後、あるいは支払い可能な額の分割払いとでもしておけば、その購読者も助かった、あるいは仕方ないと考えるはずや。

こうするのには、もちろん、それなりの理由がある。

こうしておけば、その時点で販売店とは関係なくなる。あくまでも、今度は、その購読者とあんたとの間の金銭貸借関係ということになるさかいな。

その借用書どおりの返済に応じて貰えれば、それでええし、応じて貰えない場合は、あんた個人で裁判を起こすこともできるから、その相手が約束を違(たが)えた場合は強気で請求できるわけや。

新聞販売店の購読料の時効は2年やさかい、『平成20年5月から8月までの4ヶ月分』分の代金は『平成22年5月から8月』まで、つまり、後、8ヶ月後から1年で請求すらできんようになる。

しかし、個人間の金の貸し借りなら、時効は10年やから、慌てずゆっくりと回収できるということや。

こういうことは、販売店で働いているときにするのは難しいが、辞めた今なら問題は少ないと思う。その相手さえ、それで納得すればな。

もちろん、そんな面倒で手間暇かけるより、ストレートに「新聞代を払ってくれ」と言う方がええと言うのなら、それでも構わん。それで支払って貰えれば、一番早いわけやしな。

いずれを選択するかは、あんた次第ということや。


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