新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.772 朝刊のみの新聞購読料について


投稿者 decon さん  投稿日時 2009.9. 4 AM 2:21


ご返信ありがとうございます!

こんなに速くご返事戴けるとは思っていませんでしたので返事を書くのが遅くなって申し訳ございません。

ゲンさんの御回答(NO.771)を読ませていただきましたが、こちらからの説明が足らないところがありますので補足説明させていただきます。

質問メールには書くのを忘れたのですが実は我が家ではA新聞とN新聞(共に朝刊のみ)を併読してまして、いままで休止期間中の値引きはA新聞のみでN新聞は休止期間のある月はまるまる1ヵ月サービスしてもらっていました。

N新聞に関しては新しい販売所の経営者さんも1ヶ月サービスしてくれました。

それからA新聞は朝刊のみで配達してもらっている販売所はA新聞の販売所です。

新聞の購読申し込みはこちらから販売所に行って申し込みました。

以上の点を考えてこちらからお願いして配達してもらっている限り、あまり問題を大きくしたくないのですが、ゲンさんの言われるように納得できないことにはNOといったほうがよろしいのでしょうか?

余談ですが我が家のお隣さんと雑談中にこの話題が出た時、お隣さんも新聞の休止期間中の値引きはできないといわれたそうです。

そのうえ1年のうち2ヶ月以上新聞を休止するお宅には購読をやめてもらう! とはっきり言われたそうです!!

ちなみに、私が住んでいる地域は旅行や出張などで家を留守にするお宅が多く以前の販売所の経営者さんも結構大変だったそうです。

以上の点を踏まえてほかにアドバイス等がありましたらよろしくお願い致します。

またそれとは別に少しご報告したいと思います。

ゲンさんからご指摘戴いた朝刊のみの購読料金ですが、私が現在20年以上住んでいる関東地域での購読料金は朝夕刊セット3925円で、朝刊のみ3700円です。

今まで東京でも今住んでいる横浜でも同じ料金でしたが、ゲンさんが他の質問者の御回答でもご指摘しているようにそれはおかしなことみたいですね。

これまで少しも疑問に思わなかったので目から鱗でした。

よくよく考えてみれば同じ商品でも地域によって値段が違うのはよくあることですが、新聞と書籍に関しては全国同じ料金じゃないとおかしいですよね?

私の住んでる地域では朝夕刊両方購読しているお宅より朝刊のみ購読している方のほうが多いみたいですが。他の地域のお宅はどうなんでしょうか?

なんか質問みたいなことになってしまいましたが、気になったものですみません。

これからもなにかありましたらよろしくお願いします。

HPの更新楽しみにしてますのでがんばってください。

PS .御本(Q&A選集)読ませていただきました! とても面白くて何度も読み返しております。


回答者 ゲン


『補足説明させていただきます』ということの中に新たな事実もあるので、それに合わせて、こちらも追加説明をさせて頂く。

『質問メールには書くのを忘れたのですが実は我が家ではA新聞とN新聞(共に朝刊のみ)を併読してまして』というのは昔はそういう方も多かったが、この厳しいご時世に2紙の購読をされる方は珍しいと思う。

このQ&Aで時折、契約に不都合や勘違いがあって2紙の購読が重なるケースが起きそうな場合があるが、そういうときはどちらか一方にその契約の開始時期を延ばして貰うようにとアドバイスすることも多い。その負担を軽減するためにな。

今や、あんたのような方は業界にとって貴重な存在やから、よけい大事に扱わんとあかんと思うのやが、その販売店にその意識は薄そうやな。

『N新聞に関しては新しい販売所の経営者さんも1ヶ月サービスしてくれました』

N新聞というのは、全国紙でありながら専属の販売店が極端に少ないため、その他の全国紙、地方紙の新聞販売店に宅配の委託しとるのが実状や。

つまり、『N新聞に関しては新しい販売所の経営者』にはその集金方法を決定する権限はなく、委託元のN新聞の意向でそうなっているだけで、そのA新聞の販売店には何の権限もないから、それが当たり前やと思う。A新聞の販売店の好意というわけやない。

『新聞の購読申し込みはこちらから販売所に行って申し込みました』というのは、契約者にとって不利になるケースというのはある。

クーリング・オフについては知っておられると思うが、『販売所に行って申し込みました』というのは訪問販売には当たらんから、そのクーリング・オフの対象外とされる。

つまり、それで契約しても、そのクーリング・オフの特典として使える契約日から8日以内やったら、嫌になった、あるいは考え直したからという理由で無条件に解約できる権利を得ることができんわけや。

また、貰えるサービス品などの条件が勧誘客とは悪いという点もある。

そういった利点や損得を考えるのなら、勧誘員が来てから新聞の購読契約を結ぶ方が有利やということになる。

この業界では、サービス品の景品のことを「拡材」と呼ぶ。

文字どおり「拡張する材料」という意味で、顧客を確保するためには余分にサービスすることもままあるわけやが、飛び込んでくる客にはそうする必要はないさかい、どうしても他の勧誘客とはその拡材面において条件が悪くなるということや。

早い話が簡単に釣れる魚に、ええエサはいらんということやな。

『以上の点を考えてこちらからお願いして配達してもらっている限り、あまり問題を大きくしたくないのですが、ゲンさんの言われるように納得できないことにはNOといったほうがよろしいのでしょうか?』というのは、あんたの考え方、気持ちの持ち方次第で選択されるしかないと思う。

前回、『こちらから頼んでないのに休止期間中の新聞の取り置きまでされてました』ということや20日間もの休止があるのにも関わらず『新聞代金の値引きは一切行わない』と言われたことに我慢できるのなら、何も言わんというのも手やろうし、『私としては納得できかねる』と言われておられるとおりなら、はっきり言いたい事は言えばええ。

そのための方法論は示したはずや。

ただ、『1年のうち2ヶ月以上新聞を休止するお宅には購読をやめてもらう!』と言うほど強気な販売店なら、それを言えば揉める可能性は高いやろうから、あんたの方もその点を頭に入れて、最悪、新聞の購読を止めてもええという気になって文句を言うか、交渉せなあかんやろうとは思うがな。

つまるところ、あんたにとってA新聞の存在がどういうものかによって、その選択も大きく違うてくるということや。

あんたにとってA新聞がどうしても必要なものやと言うのなら、新聞宅配制度というものにより、その販売店からしか宅配はされんから、ある程度は我慢せざるを得んということになる。

しかし、他紙でも別に構わんと言われるのであれば、そこまで我慢せずとも「納得するまで保留にした新聞代は払えん」と強気で言えばええ。

そういう強気な販売店なら「それなら止めてくれ」と言うかも知れんがな。

当然やが、販売店側から購読の中止を宣言されたら、契約時に貰ったサービス品の返還や解約違約金などといったものは一切発生することはないから、その点は心配せんでもええ。

また、N新聞についても、その他の全国紙、地方紙の販売店でも扱うてる場合が多いから、それもそれほど心配することはない。例え、その地域の他店で購読していたとしても快く応じてくれるはずや。

『ちなみに、私が住んでいる地域は旅行や出張などで家を留守にするお宅が多く以前の販売所の経営者さんも結構大変だったそうです』ということやが、その程度のことが大変やと言うてるようでは新聞販売店の経営者としては失格やと思うがな。

あんたと同じような地域は他にナンボでもある。むしろ、そういう地域やからこそ、その対応を間違えんようにするべきやと思う。そうすれば、顧客が離れることは少なくなるやろうからな。

これは、このページを読んでおられる新聞販売店の経営者の方に言いたい。

『1年のうち2ヶ月以上新聞を休止するお宅には購読をやめてもらう!』などというアホな考えを持っている所があるのなら、即刻改めるべきやと。

『1年のうち2ヶ月以上新聞を休止する』というのは、実質、10ヶ月の契約にしかならんという事なのやろうが、何でそんな短いスパンでしか物事を考えんのやろうかと不思議に思う。

例えそういう客でも、2年続けば20ヶ月の契約になるし、5年なら50ヶ月、10年なら実に100ヶ月は購読することになるわけや。そういう人たちは、少しの便宜でそれを続けるはずやから、考えたら貴重な客になると思うのやけどな。

「損して得を取れ」というのが商売人の大原則やが、どうしてそういう気になれんのやろうなと思う。強気で言うのは、その販売店の自由やが、そうした客は二度とは帰って来ることはない。

結局、それが将来に渡っての大きな損失になる。誰が考えてもその程度のことは分かりそうなもんやと思うのやけどな。

あんたには大して関係ないような事をこの場を借りて話して申し訳なかったが、どうしても一言、言うておきたかったので許してほしい。

確かに昔のように新聞を読むのが常識という時代なら、希望する新聞の宅配はそこしかできんということで、強気の商売をするというのも感心はできんが理解はできる。

しかし、今は新聞そのものの購読の是非が問われているという新聞業界にとって冬の時代が到来しとるというのに、未だにそういう殿様商売をやっていけると考える神経を疑う。

前回、ワシはこの販売店の事を「タチが悪い販売店」と言うたが、「アホな販売店」と言い換える。ほんま、それしか言う言葉が見つからん。

話が逸れたが、要はあんた次第ということや。ワシはその選択のための情報は伝えるが、最後に決断されるのは、あんたや。このQ&Aではすべての人にそう言うてるさかいな。

『私の住んでる地域では朝夕刊両方購読しているお宅より朝刊のみ購読している方のほうが多いみたいですが。他の地域のお宅はどうなんでしょうか?』というのは、それぞれやと言うしかない。

ただ、一つの目安として、当メルマガ『第4回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■消えゆく夕刊……その知られざる裏事情』 の中でM新聞のケースについて触れたものがあるから、それが参考になるやろうとは思う。

昨年の2008年の5月13日の新聞報道に『M新聞が北海道の夕刊廃止へ』というのがあり、その中に「道内を管轄する同社の今年3月の発行部数(日本ABC協会調べ)は朝刊6万8000部、夕刊1万4000部で、昨年同月に比べ1年間で約4000部減少している」という記述があった。

これからすると、「夕刊1万4000部」の顧客だけが朝夕セットを購読しとるということになる。つまり、残りの5万4000部もの大多数の客が朝刊のみの購読やったことになるわけや。

これではすでに朝夕セット版地域としての体裁が崩壊しとるということで「夕刊廃止」ということになったわけやが、ここまで極端やないにしても、全国的に朝刊のみ購読者が増加傾向にあるのは間違いないと思う。

多くの新聞社では実際にその夕刊廃止の検討、もしくは朝刊のみの統合版の拡大化へと流れが移行しつつあるのが実状やと聞くさかいな。

ただ、その朝刊のみの値段は、あんたのところでは3700円とのことやが、これは全国的にもかなり幅がある。

サイトに届く情報を総合すると、統合版並の3000円から最高の3700円の範囲ということになる。

この価格は、各新聞社毎というより地域での違いという方が大きいようや。それによれば、あんたの住まわれている関東方面では3700円に設定しとるという販売店が圧倒的に多いと聞く。

あんたの言われるように、それでは『新聞と書籍に関しては全国同じ料金じゃないとおかしいですよね?』という疑問が湧いて当然やと思う。

特に、新聞は再販制度で、その価格が全国一律でなかったらあかんと決められとるからよけいや。

多くの新聞社は、専属の販売店にはそれを厳命しとるわけやが、事、朝刊のみの価格に対しては容認というか、あまり踏み込んだ指導をしてないということがある。

それもあり、この朝夕セット地域での朝刊のみの場合、販売店の裁量でその価格が設定されとるのが実状なわけや。

新聞社は、基本的にそれにはタッチしてないという立場を取っとる。今は朝夕セット価格だけ堅持してくれたらええという姿勢や。

以前は違った。

朝夕セット地域では、やはりその朝夕刊主体に契約を取るように新聞社は販売店に要請していた。

表向きは要請であっても、圧倒的に弱い立場で業務取引契約を結んでいる販売店からすれば、それは新聞社の命令と受け取る。

そして、その新聞社の意向に逆らうということは、そのまま廃業をも意味することにつながると考える。実際、新聞社の意向に逆らって業務取引契約を解除され廃業に追い込まれた販売店は数知れず存在するさかいな。

しかし、夕刊などを読まないという顧客にとって、そんな販売店の事情など関係ないから「いらない」と言う。

そこで苦肉の策として販売店が考えたのが、夕刊がいらないという客への値引き価格を押さえるというやり方やった。

朝刊のみの新聞代で最も高い月3700円というのは、それがために考え出された究極の価格設定やないかと思う。

朝夕セット価格が3925円やから、その差額の225円が1ヶ月の夕刊代金ということになる。

実に1部、7.5円にしかならん計算や。

もちろん、その値段で夕刊を印刷して配達できるわけがない。配達員の配達代すら出んわな。

つまり、その本来あり得ないような価格を設定することで、「どうせなら朝夕セットで購読する方が得ですよ」とアピールしたかったわけや。

朝刊のみの購読を阻止するために。

一般の事情の分からん人からすると、単に販売店が欲にかられて、その高値に設定しとると思うかも知れんがな。

確かに、朝刊のみをその価格で売れるのなら、単に利益率がええだけやなく夕刊を配達する必要もないため配達コストも下げることができ、その配達の時間帯を勧誘営業などの他の業務に振り向けられるから得にはなるやろうとは思う。

しかし、販売店は新聞社のご機嫌を損ねることの方を何より恐れるから、その高値に設定した価格で朝刊が売れるより、やはり朝夕セットでの販売部数が伸びる方が有り難いと考える経営者の方が多い。

当然、勧誘員へもそれを求める。

新聞社は新聞社で、せっかく朝夕セット地域と朝刊のみの統合版を区分けしとるのに朝刊のみの購読を認め、それが増えすぎたら意味がないと考えるわけや。

新聞社も、販売店が朝刊のみの顧客に、その高値の新聞代を設定しとるのを知らんわけがないから、本来なら統合版価格の3007円か、それに近い価格設定にするよう指示、勧告せなあかんと思う。

しかし、そうしてしまうと、朝夕セット地域で朝刊のみの購読を容認することにつながるということで、そのシステム自体が崩壊する危惧が生じる。それをおそれるために販売店の裁量に任せるしかなかったと考えられる。

ただ、現在はその販売店毎の裁量で朝刊のみの価格が設定されとるということは預かり知らんとして、新聞社としては同一地域同一価格は堅持しとるから再販制度には抵触せんという理屈を主張しとるが、その朝刊のみの購読者がこのまま増え続けたら、それを言うのも早晩しんどい状態になるやろうという気がする。

ヘタをしたら公正取引委員会が、かねてからの懸案であった「新聞の再販制度撤廃」に向けた動きを再燃しかねんさかいな。

もっとも、そうなったら新聞社は北海道のM新聞のケースのように、夕刊廃止の方針を打ち出してそれを回避するやろうとは思うがな。

すべてが統合版になれば、その価格差も生じることがないさかいな。そうなれば、あんたの問題の半分は片付くことになる。そして、そうなるのは、そう遠い話やないと思う。

あんたの疑問に対する答は以上やが、また何か疑問なり問題があればいつでも言うてきてほしい。


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