新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.777 募集要項とは違う新聞販売店の実態について


投稿者 ham さん  投稿日時 2009.9. 9 AM 10:51 


いつも楽しく読ませていただいています。

ゲンさんに質問です。

今販売店に勤めて5ヶ月になりますが、最初に提示してもらった条件と実際の労働環境のギャップがありすぎて悩んでいます。

募集要項には、月給28万以上(一律手当て含む)+歩合、実働8時間、4週6休、社会保険完備とありましたが、実際にもらえる給料は多くて総支給24.5万円(縛り、集金ノルマ達成)、少ないときは22万程度でした。

また、労働時間も平均9.5時間くらいで、月2,3回の店番のときは約13時間の労働。

その他にも月末の集金時には2時間ほど多く働いています。休みも月5日で募集要項とは食い違っています。また、いまだ社会保険に加入してもらっていません。給料も労働時間も休みも話が違う・・・

新聞業界に長く勤めてる人からみたらそれが当たり前なのでしょうか?

私としては、納得ができないものですから、退職後、弁護士または行政書士を通して、最初に提示してもらった給料、時間外労働分の賃金等支払われていない賃金の請求をしようと思っているのですが、ゲンさんはいかが思われますでしょうか?


回答者 ゲン


『新聞業界に長く勤めてる人からみたらそれが当たり前なのでしょうか?』 というのは、業界人から見れば、その程度やと、ごく一般的な新聞販売店ということになるやろうな。

『労働時間も平均9.5時間くらいで、月2,3回の店番のときは約13時間の労働』というのも、他もそんなもんやし、『その他にも月末の集金時には2時間ほど多く働いています』というのも、どちらかと言えば少ないくらいやないかな。

それで、集金のノルマが達成できとるのなら、その軒数にもよるが、あんたは優秀なお人のようや。

ただ、これだけの情報やと、印象としては、えげつない新聞販売店と言えるレベルやないとは思うがな。

ただ、『いまだ社会保険に加入してもらっていません』というのは、募集要項に『社会保険完備』と謳っていたのなら、それは守らなあかん。

それを除外した『月給28万以上(一律手当て含む)+歩合、実働8時間、4週6休、とありましたが、実際にもらえる給料は多くて総支給24.5万円(縛り、集金ノルマ達成)、少ないときは22万程度でした』というのは、労働争議に持ち込む理由としては弱いような気がする。

それには「+歩合」というのが入っとるからや。これがあるだけで、給料はかなり違うてくる場合もあると反論されるさかいな。

もっとも、最初にちゃんとした労働契約書を交わしていて、(縛り、集金ノルマ達成)が「+歩合」のすべてと明記されとれば別や。法律的な主張も通りやすくなり、それがなくて、単に募集要項と口頭だけの了解事項なら、難しい争いになるのやないかと思う。

一般論として求人広告の雇用条件に誤差があるのは、どんな業界のどんな職種であろうと普通のことやさかいな。それを労働条件違反と断定するには、やはり詳細な労働契約書(雇用契約書)の類が必要やないかと考えるがな。

ただ、『私としては、納得ができないものですから、退職後、弁護士または行政書士を通して、最初に提示してもらった給料、時間外労働分の賃金等支払われていない賃金の請求をしようと思っているのですが』というのは自由や。

しかし、そうするのなら、最終的には裁判になるという気構えが必要やと思う。

この業界は、販売店と顧客との間の裁判沙汰は皆無やが、従業員との労働争議は結構多いさかい、それに勝訴するかどうかは、一般の民事裁判と同じでやってみな分からんがな。

請求されたくらいで、このケースの販売店があんたの主張どおり『最初に提示してもらった給料、時間外労働分の賃金等支払われていない賃金』を支払うとは、とてもやないが考えにくい。

一般的な新聞販売店は、系列の新聞社の関係で顧問弁護士を擁しとるところが多いから、あんたの主張やったら、ほぼ間違いなく裁判を選択する可能性の方が高いと思う。

あんたの請求額がどのくらいなのかは分からんが、その弁護士料を含めた裁判費用が、費用対効果としてプラスになるのやろうかという気がする。その辺りは依頼される弁護士さんと良く相談された方がええ。

『ゲンさんはいかが思われますでしょうか?』ということやが、ワシの意見ということなら、辞めるという結論を下す前にその販売店の経営者に直談判したらどうかと思うがな。

『私としては、納得ができない』と言われるのなら、まずは、それをするべきやないやろうか。その場で、はっきり「話が違う」と言うて善処して貰えるように交渉することや。

ワシがあんたの立場なら、そうする。裁判にするのは、その話し合いが決裂してからでも遅くはないさかいな。

あんたへの評価次第では、その経営者も、それならと考え直すかも知れん。それにより、その労働条件が向上する可能性もある。どんな販売店でも有能な従業員に去られるのは痛いからな。

ただ、その場合は、なるべくその経営者と一対一で他の誰もおらんところで言うことや。

その販売店の経営者にすれば、あんたの主張は俄(にわか)には聞き入れ難いことやと思う。

あんたにその値打ちがあるとなれば考え直せても、他の誰かがその場にいるとなれば立場的には「ノー」としか言えんからな。

それをせず、辞めてからその請求書を送って来られたのでは、その販売店の経営者としては、先に言うたように裁判に持ち込んででも争うしかないと考えるしかなくなるわけや。

もう一つの選択肢として、あんたが労働条件違反やと思われるのなら、労働基準局に話を持ち込むという手もある。違法性ありと、その所轄の労働基準局が判断すれば、あんたに有利に働くことでもあるしな。

もっとも、それを含めてどうされるかは、あんたが決めればええことやけどな。


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