新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.781 特拡の心構えと準備について


投稿者 start さん 某新聞拡張員  投稿日時 2009.9.18 AM 2:13


次の日曜日に特拡があります。

賞金がかなり良いので卑怯な隠しカードも続出すると思いますがゲンサンなら隠しカード目一杯作っておきますよね。

私はそのバンクが普段日程で行ってないバンクなので明日明後日と日程を飛ばして隠しカード作りに行くか行かないか悩んでます。

日程は稼げるしプライドはあるしでレベルの低い質問ですが、今後も今回の様な事もあるので遅れても返信頂ければ幸いです。


回答者 ゲン


『ゲンサンなら隠しカード目一杯作っておきますよね』ということやが、『卑怯な隠しカード』ということになるのかどうか、それができるかどうかは別にして、『賞金がかなり良い』カード(契約)を作っておきたいというのは拡張員なら誰でも持つ、偽(いつわ)らざる気持ちやろうと思う。

ただ、それについては、あんたの所属する拡張団、またはその特拡を主催する販売店の考え方や規則、姿勢次第というのはあるがな。

それを容認するのなら堂々とそれをすればええし、認めんというのなら、控えるか、するとしてもそれと分からんようにするしかない。

『特拡』というのは、その名のとおり「特別な拡張」なわけで、その日の1本の契約が、拡張員のみならず、その販売店、拡張団にとっても大きな意味を持つ場合が多い。

特に、普段の部数獲得が悪いため特拡せなあかん販売店やと、その日の成績如何では最悪「廃業」ということもあるから、なりふり構うてられんとなる。

拡張団とすれば、『賞金がかなり良い』というのは、当然やが他の平場より収益が多いわけやから、少々の事には目をつぶる所が大半やと思う。

それから、すればあまり大ぴらにせん限り、その『隠しカード』を容認する所は多いのやないかという気はする。

ワシが以前、所属してた拡張団でもその例に洩れず、何でもアリという感じやったから、その特拡に合わせて『隠しカード』を作っておいて、その日に提出したことは何度もあったがな。

その多くは、普段から心やすい付き合いをしとる交代読者やった。交代読者なら、予(あらかじ)め購読開始日が決まっとるのが普通やから、契約日をその特拡日にするのはそれほど難しくはない。

但し、それは心やすい人間で心変わりせんという確証がないと意味がないで。

万が一、あんたがそのカード(契約)を販売店に提出する前に、契約者が「やはり考え直したから解約する」、あるいはクーリング・オフの文書を送付して来たというのでは立場と信用を失うさかいな。

その販売店にしたら、「契約もしてないのに、何で解約やクーリング・オフを通告されなあかんねん」ということになる。冗談やないでと。

ワシが、「心やすい客」というのをその条件にしたのは、そういうことがあるからや。この隠しカードを作るというのも、それなりに難しいわけや。

まあ、それでも、あんたの言うように、その特拡日の前日や前々日くらいにそれを用意するというのなら、それほど問題にはならんやろうがな。

ただ、大ぴらにというか、団や販売店の正式な決まり事として、それが禁じられとる場合は、それと分かる動きはせん方がええとは思う。

しかも、『普段日程で行ってないバンク』では心やすい客もおらんやろうし、その販売店もあんたのことを知らんわけやから、目こぼしというのも考えにくい。

加えて、バンク内を出入り以外の拡張員が動き回っているという噂は広まりやすいからバレる可能性も大きいしな。

この業界の原則に、拡張員については入店したその日に上げた契約しか認められんというのがあるから、それを盾に無効やと言われたらどうしようもない。

さらに、あんたが『卑怯な隠しカード』と言うように、他の拡張員も、そう考える風潮が団の中にあるのなら尚のこと注意しとかなあかん。それと知られたらチク(密告)られることもあると。

ワシとしては、『行くか行かないか悩んでます』というのなら、止めといた方がええと言うとく。

「以(もっ)て取るべく、以(もっ)て取るなかるべし。取れば廉(れん)を傷つく」という古(いにしえ)の教えがある。

廉(れん)というのは、清廉潔白という四字熟語にも使われとるように、自分自身も含め誰からも後ろ指さされない間違いのない行いをするという意味がある。

もともとの由来は、高い地位に昇った者が、下の立場の人間から贈り物をされた場合、それを受け取るかどうかの迷いが生じたら、受け取らん方がええという教えから来とるものや。

その贈り物を受け取ったことで、痛くもない腹を探られ「廉(れん)を傷つく」 ことになり、その信用を失う恐れがあるという戒めやな。

それが転じて迷った場合、自身の「潔白」と「プライド」を優先するのなら、それと疑われる行為はしない方が得策やという意味で使われるようになった、「ことわざ」でもある。

もっとも、これは広く知られとるとは言い難い「ことわざ」やがな。

日本の政治家に僅かでもこの気持ちがあれば汚職や違法献金などが減って、もう少しマシな世の中になると思うのやが、なかなかそう考える人物は少ない。その言い訳をするのが上手い人間はナンボでもおるけどな。

これは、迷いが生じた場合、あらゆる場面で役に立つ考え方やと思う。もっと、分かりやすく言えば「迷ったら止める」ということや。それが最も無難なトラブルの回避策になる。

今回のあんたの質問には、その1本の契約で得られる利益と、自身の信用とプライドを失う損失を秤(はかり)にかけて判断すればええと答えるしかない。

ワシは、正直、どちらを選んでも構わんと思う。ルールに則った、あるいは違反行為ということでないのなら、隠しカードを作るのも一つの方法という見方もできるさかいな。

はっきり言うて、拡張員に「清廉潔白」を求める人間は誰もおらんやろうと思う。そういう性質の人間とも思われていない。ワシもそこまでの人間になれとは言わん。ワシ自身がそういうのとは縁遠いさかい、そんなことを言えた義理でもないしな。

せやから、好きにせいと言うてるのとは違う。

あくまでも、「自分の値打ちは自分で決めるしかない」ということが言いたいだけや。

最後に、その『隠しカード』を作ると決めたとしても、人知れずするように心がけとった方がええとだけ言い添えとく。

人に自慢できん事は、なるべく広言せん方が無難やと思うからな。


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