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NO.784 新聞社の「6・8ルール」遵守姿勢と特殊指定との因果関係について
投稿者 Jさん 投稿日時 2009.9.23 AM 9:57
『NO.782 サービスの正常化規制は本当に実行されていくと思いますか??』について質問したいことがあります。
その公正取引委員会自体が一般的な業種の景品の上限を20%にまで緩和することになったんやが、新聞業界はその後も以前とその「6・8ルール」に拘(こだわ)り続けとるわけや。
これって、もしかしたら新聞社が特殊指定の廃止を恐れているから、景品の上限を緩和しないでおこうという思惑が働いているんじゃないでしょうか?
もし景品の上限を緩和してしまったら、理論的には、地域的な差別がますます広がる恐れがあるからです。
たとえば僻地の合配店のように、消費者に対して優越的な立場の販売店が一切景品を出さない実状に対して、都市部の競争が激しい地域では、それに乗じた景品合戦がエスカレートすることになるわけで、景品が「もらえない方」の不公平感の増大は否めません。
このような事態は、特殊指定の廃止を警戒する新聞社にとっては好ましくないと考えるのが自然です。
それが販売店の景品をセーブさせる最も大きな原因になっているのであると考えると、諸々つじつまが合ってくるような気がしたのですが、それ以前にゲンさんが言及されていないところを拝見しますと、私の考えは、やっぱり的外れなんでしょうか?
回答者 ゲン
『新聞社が特殊指定の廃止を恐れているから、景品の上限を緩和しないでおこうという思惑が働いているんじゃないでしょうか?』と言われるとおり、いくらかその思惑もあるというのは考えられることやが、『景品の上限』の維持が必ずしも『特殊指定の廃止』を逃れるための口実、理由付けにはならんのやないかと考える。
「新聞業における特定の不公平な取引方法」、これが俗に「新聞の特殊指定禁止事項」と呼ばれるものやが、これについて、1999年7月21日、公正取引委員会が告示したものがある。
1.日刊新聞の発行業者は、直接、間接を問わず、地域、相手により異なる定価や定価を割り引いて販売すること。但し、学校教材、大量一括購読、その他、正当で合理的な理由の場合この限りではない。
2.新聞の個別配達をする販売業者(新聞販売店)が、直接、間接を問わず、地域、相手により異なる定価や定価を割り引いて販売すること。
3.発行業者が販売業者に対し、正当かつ合理的な理由がないのに、次の各号に該当する行為をすることで、販売業者に不利益を与えること。
一、販売業者が注文した部数を超えて新聞を供給すること。販売業者からの減紙の申し出に応じない場合も含む。
二、販売業者に自己の指示する部数を注文させ、当該部数の新聞を供給すること。
というものや。
ここで、問題とされるのは、新聞の「景品付与」が単なるサービス品か、値引きに類するものかという点にあると思う。
新聞の「景品付与」が値引きに類するものと判断されたら、第1項、第2項の条項にある『地域、相手により異なる定価や定価を割り引いて販売すること』に完全に抵触しとると見なされ、違反行為ということになる。
しかし、公正取引委員会にその見方はないと思う。少なくとも、この「新聞の特殊指定禁止事項」に新聞の「景品付与」が該当するとは考えていないはずやと。
「景品付与」についての法律は、あんたもご存知のとおり「景品表示法」というもので規制されとるわけやけど、その法律を運用しとる政府機関が公正取引委員会なわけや。
これは、「景品付与」と値引き行為が明確に区別されているからこそ、その「景品表示法」で「景品付与」の上限を制限する法律を作っているわけで、それが同類のものと公正取引委員会が考えているのやったら、「新聞の特殊指定禁止事項」にそのことも明記しとるはずや。
具体的には「景品表示法の景品付与違反はこれに該当する」もしくは「その他の法律で値引き行為と同等と認定されたもの」という類の一文が入っとると思う。
法律の条文に、その記載がなければ、それを違反行為として適用することはできん。そのために法律というのは、どうとでも受け取れるような文言を入れる場合が多いわけやしな。
たいていは無理にでも、そういう類の文言を入れるのが国や役所の常やと思うが、「景品付与」と「値引き行為」が明確に区別されとるために、それができんかったと考える。
つまり、このことから言えるのは、いくら「景品表示法」で「景品付与」超過に問われる事案があったとしても、それを持って「新聞の特殊指定禁止事項」に違反したという理由付けができんさかい、その事で見直しや廃止は考えにくいということや。
この「新聞の特殊指定禁止事項」の「直接、間接を問わず、地域、相手により異なる定価や定価を割り引いて販売すること」というのは、あくまでも、直接的な価格の値引きを意味しとるということになる。
例えば、朝夕セット版の宅配定価3925円を3000円で売るというケースなんかやな。それ以外は値引き扱いやないというのが、「新聞の特殊指定禁止事項」の考え方ということになる。
確かにその『NO.782』の中で、ハカセが『今回の新聞社のサービスを抑えるという報道は、消費者側とすれば実質的な値上げということになります。少なくとも、そう受け取る人が大半ではないでしょうか』と言うてるように、消費者の感覚としてはサービスの景品は「値引き」と同等の感覚やとは思う。
特に商品券やビール券といった金券にはその要素が強いものと大半の人が受け取っとるはずやさかいな。
しかし、その感覚が法律の上では必ずしもイコールやないということや。法律で左右されるのは、あくまでもそこに記述されとる条文の文言やからな。
新聞社も、景品の渡し過ぎが、即、「新聞の特殊指定禁止事項」に抵触するとは考えとらんと思う。
もし、そうなら『関西地区新聞を発刊する7社が、サービスとして新聞公正競争規約で上限とされている約2000円を違反しているところに対して、早急に是正する必要があり、ルールの遵守状況を地区ごとに毎月点検する旨の共同声明が出されました』という報道が、限定した地域だけというのはあり得ん。
全国規模で展開しとるはずや。その関西地域よりも酷い過当競争が行われている地域は他にもあるさかいな。
少なくとも新聞社グループの最大組織である『社団法人日本新聞協会』 のホームページあたりで、その広報がなかったらあかんが、それもない。
独断専行というと言い方は悪いかも知れんが、あくまでもその地域の都合で「景品付与」を抑える目的を持ってその記事を掲載したということ以外、ワシには考えにくい。
もし、本当に「新聞の特殊指定禁止事項」の抵触を恐れるのなら、「無代紙」と呼ばれる無料サービスをなくす方が先決やろうと思う。
一般的なのが、1年契約をすれば3ヶ月の無料購読サービスをつけるというものや。これは、金額に換算して考えても、その地域での景品過多の比やないくらい多いと言えるしな。
その記事の発行された『関西・中国・四国地区』では、サイトに届く情報、および公正取引委員会の発表で知る限り、その「無代紙」サービスが主流やと思われるが、それについての言及が何もなされていない。
この「無代紙」についても「新聞の特殊指定禁止事項」の値引き行為とは言及されとらんが、公正取引委員会の公式な文書の中で「無代紙」を値引き扱いと考えていると思われる記述は多い。
「特殊指定廃止」の危険度ということで言えば、こちらの方が圧倒的に高いと思う。
景品の渡し過ぎ違反については『ルールの遵守状況を地区ごとに毎月点検する旨の共同声明が出されました』というように、その都度、該当地域に数千店舗もあると言われる新聞販売店をすべてチェックして調べるという途方もない作業が必要になる。
しかし、「無代紙」については、各新聞販売店の契約書のデータを見るだけで一目瞭然に分かる。各新聞販売店のパソコンは特殊なオンラインで結ばれとるから、それを調べるのもわざわざ出向く必要もないしな。
まあ、普通に考えて「無代紙」が実質的な値引きやというのは誰でも分かるわな。
単に1年の内、9ヶ月間は購読料を支払って3ヶ月間無料というのと、9ヶ月間の購読料を12ヶ月で分割して支払うのが同じやということくらいはな。
ただ、現在の法的解釈では前者は法に触れず、後者は法に触れるということになるだけのことでな。そのためか、さすがに後者での契約は少ない。
「特殊指定廃止」を重視するのなら、まずその「無代紙」の廃止を打ち出して、それから景品の渡し過ぎの改善というのが順序やろうと考える。
その思いがあるから、「景品付与」だけなら現行の法律で許されるわけやから、ワシが提案した『公正取引委員会全体が20%までの景品付与を認めとる』という現在の状況に合わせた見直しを提言するべきやと言うたわけや。
まさか、いくら何でも公正取引委員会自身が容認しとるものを、それを提言しただけで「新聞の特殊指定禁止事項」違反やとは言わんやろうしな。
ただ、『もし景品の上限を緩和してしまったら、理論的には地域的な差別がますます広がる恐れがあるからです』という、あんたの懸念は大いに考えられることや。実際、そうなる可能性が高いとワシも思う。
何でもそうやが、規制というのは、どうしてもそのギリギリの高いラインになるケースが圧倒的に多いさかいな。
今でも歯止めが利かん状況やと考えていたら、それこそ、そんな事をしたらとんでもない事になると考えるのも良く分かる。
公正取引委員会が「景品付与」の規制を緩和したにも関わらず、未だに以前のままの「6・8ルール」に固執したままというのは、それが大きな理由としてあるのは間違いないやろうしな。
ワシが、『NO.782』の回答でこの件を「特殊指定廃止」につなげて言及せんかったのは、単にその地域だけの問題が強いという事、「無代紙」について何も触れてないという点があったからや。
加えて、真剣に「特殊指定廃止」を考えるのやったら、現在、数件の裁判が提起されとる「押し紙」をなくすように持っていく方が最優先課題やというのもあったしな。
これなんかは、裁判の場で万が一にも「押し紙」の存在が確定してしもうたら、それこそ先に言うた「新聞の特殊指定禁止事項」の第3項に完全に抵触して、一発で「特殊指定廃止」もあり得ることやさかいな。
その懸念を払拭するためにも「押し紙」と思われる余剰新聞の撲滅に新聞社は力を注ぐべきやと思う。
ついでに言えば「無代紙」のサービスが主流やという背景には、その「押し紙」と思われる余剰新聞の存在もあるわけやしな。それがある故の「無代紙」サービスということになる。
その余剰新聞が激減すれば、当然の流れとして、その「無代紙」サービスもなくなるはずや。そのためだけの「無代紙」サービスをするということになれば、販売店の負担も大きいさいかな。
今回の報道記事が『特殊指定の廃止を警戒する』ということを考慮した可能性がゼロとは言わんが、それよりも地域の事情を優先した結果やないかというのが、ワシの見方や。
もっとも、新政権になって公正取引委員会がどう変わるのかということも併せて、これからの動きを見守る必要はあるがな。前政権下で決定したことを新政権は、悉(ことごと)くひっくり返そうとしとるように見えるさかいな。
正直、これからの予想とか展望をするというのは難しいと思う。過去がこうやったから、これからもこうやとは言い切れん時代になったわけやからよけいや。
ただ、新聞社には取り締まる事ばかり考えるのやなく、営業員に仕事しやすい環境を整える事にもっと尽力してほしいと節に願う。
現況では、どうもそういう面しか目立ってないさかいな。そうすればするほど自分で自分の首を絞める結果になるだけやと、この場を借りて新聞各社に警告しとく。
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