新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.796 新聞の再契約をさせたくないんです
投稿者 M・Nさん 投稿日時 2009.10.29 PM 2:08
初めまして。
離れて暮らしている父が来年までの新聞契約を2社かかえています。
今までも最高で4〜5社の新聞が届いており集金の時に会えれば解約をお願いしてきました。
ただ今回は契約しているから無理である旨のことを言われ、契約書のコピーをもらうと来年夏までの契約でした。
もう1社はハガキでの契約確認が届いていました。
途中での解約は難しいようなので契約が終了後に再契約をしないでほしいと思っています。
販売店に契約の更新をやめてもらう方法はありますか?
教えてください。 よろしくお願いします。
回答者 ゲン
『販売店に契約の更新をやめてもらう方法はありますか?』ということやが、それはお父さんがどう考えておられるのかによって回答も大きく違うものになると、始めに断っておく。
当然やが、新聞の購読云々について、どうするかの判断は契約者の意志次第やさかいな。
契約者であるお父さんが、それらの新聞を購読することを嫌がっておられるのなら、ご本人がその後の契約は「もういらん」とはっきり断れば、それで済む問題やと思う。
性格的に断り切れず、また販売店の口車に乗せられて仕方なく契約したとしても、ご本人がクーリング・オフの書面をその販売店宛に出せば、いくらでも解約できるから、そうするように教えてあげたらええ。
その詳しい方法ならサイトに『ゲンさんのお役立ち情報 その8 クーリング・オフについての情報』 というのがあるから、参考にしてくれたらええ。
本当にその契約が嫌なら、お父さんもそうするのやないかな。
それをすべての販売店に出し続けて続けていたら、そのうち勧誘にも来んようになると思うがな。お父さんと契約してもクーリング・オフされるのがオチやと分かれば、販売店や勧誘員の方で相手にせんようになるはずや。勧誘に行っても無駄やと。
それが、販売店に契約の更新要求を止めさせる最も有効な方法やないかと思う。早い話が、しつこい勧誘には根気よく断り続けるということやな。それが一番ええ。
そうやなく、それらの新聞の購読をお父さんが望んでいる、あるいは嫌がってないのなら、好きにさせてあげたらええのやないかとは思う。
あんたは『今までも最高で4〜5社の新聞が届いており集金の時に会えれば解約をお願いしてきました』ということで、そうすることが当然のように思っておられるようやが、お父さんの意志に反して、あんたが勝手にそう考えているのやとしたら、例え親子の間とはいえ、それは少し、お節介やないのかな。
確かに、『4〜5社の新聞』を同時に購読するのは普通の常識に照らしても多すぎるとは思う。金もかかって、あんたには勿体ないと映るかも知れん。明らかに無駄やないかと。
しかし、趣味や嗜好に関する物の価値への捉え方というのは、人それぞれ千差万別、いろいろある。何が必要で必要でないかは、その当人が決めるしかないと考えるがな。
立ち入るとしても、あくまで助言という程度に止めておいた方がええと思う。
その趣味とは縁遠い、あるいは否定的な見方をする人からすれば、どんなものでも「何と無駄なことをしているのか」と映ることが多いもんや。
それら複数の新聞を読むことが、お父さんの趣味であるなら、それはそれで尊重して上げるべきやないかな。
5紙の新聞を購読した場合にかかる費用は多くても月2万円ほどやが、これがその趣味にかける金として多いのかどうかということやと思う。
もちろん、その家庭、生活状態などの諸事情にもよるやろうが、大人の趣味ということで捉えたら、それほど高額とも思えんがな。
お父さんの年齢とあんたの年齢が良う分からんから軽々には言えんが、そこまであんたが関与するというのは、お父さんの年齢がかなり高齢のためなのやと思われる。
少なくとも60代後半から70代、80代くらいやと。そして、あんたの年齢は30代から40代やと勝手に想像して話を進める。
ネットに比較的関わり合いの深いとされる40代以下の方の中には、新聞など過去の媒体という捉え方をされて、それを購読するのはいかにも勿体ないという認識の方がおられる。
しかし、お父さんのような高齢の人にとって新聞というのは特別な存在と考えてる人が圧倒的に多いという事実も分かって頂きたいと思う。
極端に言えば、その人たちは人生の大半を新聞を読むこと、常に傍(かたわ)らにあることが当然という環境で過ごしてきたわけや。ある意味、生活の重要な部分を担ってきたと言うても過言やないくらいにな。
ワシ自身、その高齢者と勧誘で関わることも多いから、それが良う分かる。
その高齢者の中には、あんたと同じように、お子さんから新聞を止めるように説得されて、止めたものの、いざその新聞がなくなると、途端に心細く不安になって自らまた新聞の購読を申し込まれるという人が多い。
その人たちにとっては、特にその新聞を読むためにほしいということでもないのやが、いつもの物がいつものように届けられ、そこにあるというだけで気持ちが落ち着くのやろうな。
あんたにとっては信じ難いことかも知れんが、昔は、新聞を読んでないということで「貧乏くさい」「教養がない」と思われていた時代があったんや。また、人にそう思われているのやないかと強迫観念に囚われていた人も、その頃には多かった。
実際、ワシも若い頃には「新聞くらい読めよ」と良う言われたもんや。それも新聞の勧誘員にやないで。そこらのおっちゃんにや。それがその当時の常識ですらあった。
それくらい新聞というのは庶民の生活の中に融け込んでいたわけや。そういう環境で育ち生きてきた人にとって新聞が急になくなるというのは、とてもやないが耐えられんことやと思う。
例え親子間であっても、自分の意に沿わないからと親を管理監督、強制するようなことはせん方がええと考えるがな。
あんた自身、お父さんから、ご自分の好きな趣味について否定されて「止めておけ」と言われたら、どんな気がするやろうか。過去においてしたやろうか。
そのことを考えてみてほしい。
また、あんたにお子さんがおられるのかどうかは分からんが、もし、おられたとして、将来、そのお子さんから、あんたの趣味に対して「お父さん(お母さん)、そんなもの無駄で勿体ないから止めておけよ」と言われた場合のことを想像してほしいと思う。
それを素直に聞き入れられるやろうかということや。
もちろん、それにはそれなりの事情というものがおありやろうから、それこそ大きなお世話やと言われるかも知れんけどな。
ただ、お父さんと離れて暮らしておられるのなら、その意志を尊重し、その意向に沿って助けてあげるというのが一番ええと考えるけどな。
まあ、そうは言うても確かに最高で4〜5社の新聞を購読してたというのは多すぎるが、それでも、せめて1、2紙くらいの新聞を読むくらいの理解は示してあげるべきやと思う。
最近、高齢者の孤独死ということが大きな社会問題になっとるが、新聞販売店の中には、そういうことにも気配りしている所もあるから、その意味でも新聞を購読することで頼りになるケースもある。
当メルマガの『第65回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■ある新聞販売店の取り組み その1 哀しき孤独死をなくせ』 で、そのことに触れとるから、良ければ読んでみてほしいと思う。
必ず何か感じられるものがあるはずや。
その中で、
老人に限ったわけでもないが、独居住人の孤独死がなぜ起きるのか。
ジローはそこから考えることにした。
まず、地域のコミュニティが希薄やということが挙げられる。隣近所の付き合いというのが昔に比べれば極端に減っている。
これが過疎地域で民家がまばらやというのなら、まだ分からんでもないが、都会の人口が密集している地域でその状態になっているケースが多い。
「隣は何をしている人ぞ」ということで、隣近所にどんな住人がいとるのか知らんという人も多い。
その昔、「東京砂漠」という歌謡曲があったが、まさに都会の中にいても実際は砂漠に一人で暮らしている悲哀を歌ったものや。
極端に言えば、そんな状況やと思う。
独り暮らしをしている人間の特徴として、現在は当たり前となった核家族化の影響というのが大きい。
結婚した若い夫婦は、お互いの両親との同居を嫌がる傾向が強い。結婚すれば別居するというのが当たり前という風潮すらある。
ただ、これには若い夫婦が嫌がるというだけやなく、高齢者自身が子供や孫たちに迷惑をかけると考え、同居を遠慮するというケースが多いというのもある。
そんな中、配偶者と死別した高齢者は必然的に独り暮らしになる。
結婚した若い夫婦が、その近くに住むというケースは少ないため親族が近くにいないという高齢者が増える。
配偶者との死別やなくても、今流行(いまはやり)の熟年離婚の急増というのもある。
定年退職または失業により職業を持たない独身者というのも多い。
それらの人の中には慢性的な病気を抱えて生活しているケースも多く、その人たちが潜在的な孤独死予備群となっている。
それが、年々孤独死が増加の一途を辿っている主な要因になっていると考えられている。
突発的な心筋梗塞や脳溢血などの疾病や発作などがあっても誰もそれに気がつきにくいという状況が自然に増えているわけや。
また、それらが直接の死因やなくても、その症状を引き起こすことで日常の生活に困難をきたして動くこともできず餓死するケースや意識不明に陥ったまま亡くなるケースもあるという。
孤独死は現在、日本全国で年間2万5千人から3万人にも上るという深刻な状況にある。
と記述している。
この話の主人公である新聞販売店店長、ジロー氏は自身の辛い経験から、その孤独死をなくすためにいろいろと工夫されている。
お父さんの所の新聞販売店が同様の取り組みをしとるかどうかは分からんが、少なくとも新聞の購読をしていることで何らかの異変を察知することはある。
新聞は、毎日配達される。そこの住人に問題がなければ、当然のように、その新聞は毎回取り込まれる。
それが、取り込まれないようになると、配達人も不審に思う。それで、家主や警察に連絡するというケースもあり、それにより孤独死が発覚したという例も実際にあるさかいな。
それがなければ長期間そのままやったとも考えられるわけや。
その新聞販売店との契約を断りたいというのを止めはせんけど、そういったケースで役立つこともあるというのも知っておいて貰いたいと思う。
実際にジロー氏のように、いち早く購読者の異変を察知して、それを助けたいと願ってそのための実務的な行動をしている新聞販売店も存在するのやと。
お父さんと離れて暮らしておられるということからすると、お父さん自身、深刻な病気や認知症という事でもないやろうから、保険的な意味からでも、どこかの新聞を購読しとくというのもええのやないかと思うがな。
さらに言えば、そういう独居高齢者というのは総じて孤独ということがある。そのために話し相手にワシらがなる、望まれるというケースも多い。
もっとも、それが悪質な訪問販売の被害に遭う要因でもあるわけやけどな。それにつけ込む悪質な人間、業者がいとるのもまた事実や。
その被害からお父さんを守りたいという、あんたのお気持ちも良く分かる。
そうした被害から避けるには、お父さんが軽度、重度に関わらず、医師から認知症との診断があれば、法定後見制度、保佐、補助制度というのを利用できる可能性もあるから、そのいずれかの手続きをしておいて、その法定後見人、補佐人にあんたがなっておけば、そうした被害を防ぐことはできる。
それがあれば、あんたの一存でそれらの契約を解除することも可能やさかいな。もちろん、新聞の契約もや。
その詳しい方法は、旧メルマガ『第60回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■認知症患者のための契約解除法』 で説明しとるので、読んで頂ければと思う。
但し、これは4年前のもので、その手続きに関して今はもっと簡素になっとるさかい、最寄りの自治体の役所で聞いて頂ければ詳しく教えて貰えるはずや。
ただ、そうするのであっても、お父さんの意志というのを第一に考えてあげてほしいとは思う。
そして、できれば新聞を購読することについてマイナス面ばかりやないということも考慮して頂けたらと切に願う。
もちろん、どういう結論を下されるにしても、それはお父さんとあんたで良く話し合われて決められたらええ事やけどな。
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