新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.802 引っ越しのための契約解除に応じてくれません
投稿者 S.Iさん 投稿日時 2009.11. 8 PM 8:08
初めまして。
昨年半年間購読するという契約をY新聞として今年の11月から4月まで配達してもらう予定でしたが、10月の末日に急遽引越しする事になりました。
新聞を配達する時に連絡をいれるといっていたので、連絡がきてから引越しの事を伝えようと思いましたが、11月の6日になり連絡がきました。
(この時は契約書を無くし、連絡先がわからなかったので連絡がこちらから取れなかったからです)
その内容が、「引越しされるのであれば事前に連絡して下さい」といったもので、連絡もなしに引越しなんてしたんだからそっちでまた新聞を取ってくれ。というものでした。
現在住んでいる所は同居で、その同居人が別の新聞を取っているので契約解除できないですか? と言ったところ、それはできない、そっちも誠意をみせろと言われました。
居候という形で住んでいて、その同居人は自分が取るN新聞以外がポストに入るのを嫌がるので契約解除したいのですが応じてくれません。
連絡しなかった理由もいったのですが、それはあなたが悪いといわれました。
契約時にもらった景品は引越しの準備で捨ててしましました。
引越し先の住所も教えてしまったのですが、こういう場合は契約解除できるのでしょうか?
お手数ですが、ご回答よろしくお願い致します。
回答者 ゲン
『引越し先の住所も教えてしまったのですが、こういう場合は契約解除できるのでしょうか?』というのは、あんたの引っ越し先が、その販売店の営業エリア内でなければ問題なく契約解除はできる。
『契約解除したいのですが応じてくれません』とのことやが、これは相手の販売店に頼み込む性質のものではなく、自動的に契約解除になるものやから、その販売店の人間が何を言おうが関係ない。
『連絡しなかった理由もいったのですが、それはあなたが悪いといわれました』というのも論外な話で、客がそうせなあかんという決まりは何もないさかいな。
それよりも『新聞を配達する時に連絡をいれるといっていた』のに何も連絡がないという事の方が、はるかに落ち度としては大きいやろうと思う。
まあ、これも決まりというものはないが、この業界としては常識的なことやさかいな。
その連絡さえしていれば、『連絡がきてから引越しの事を伝えようと思いました』と、あんたは考えていたわけやから、誰が聞いても、その方が話の筋としては通っとると思うわな。
まあ、その程度のことが分からん販売店に、その事をいくら言っても諭しても無駄やろうがな。
そんな論戦をせずとも、あんたは単に「引っ越し先では新聞は購読できません」と強く拒否すればええ。それで通る問題や。
新聞の購読契約は、新聞社と契約されておられるから引っ越ししても継続せな仕方ないと考えておられる人がおられるようやが、それは違う。
新聞社は、一般購読者との契約事には一切関係ないというのが公の立場やからな。
新聞の購読契約は、その新聞販売店と契約者のみの間で成立するもので、その当事者以外の第三者である他の新聞販売店が、その契約者の許諾なく契約を引き継ぐことはできんとされとる。
新聞には宅配制度というのがあり、新聞販売店は配達可能地域範囲というのが決められとるから、新聞販売店は、その営業範囲外に新聞を配ることはできんわけや。
こういう状態になった場合、民法第543条で契約の履行不能による解除権が認められるとある。
配達できんものを配達するのは不可能やということでな。その販売店が、あんたとの契約を履行しようにもできんのやから仕方ないわな。
この急な引っ越しについては、その契約者に継続の意志がなければ仕方ないとあきらめるのが新聞販売店としては普通やが、あんたのケースのように引っ越し先で継続してくれと迫る場合もある。
その根拠は契約書の裏面、「お知らせ」と記されたところに「お引っ越しの際」と書かれた項目があり、それには、たいてい「お引っ越し期日、新住所が決まりましたら、お知らせください」とあるからやと思う。
それを、決まり事のように勘違いしとる販売店があるが、それは単なる「お願い事」でしかないわけや。強制できることやない。残念ながら、それの分かってない、あるいは分かろうせん新聞販売店が存在するのも確かや。
『連絡もなしに引越しなんてしたんだからそっちでまた新聞を取ってくれ』と言われたとのことやが、そう言える正当性もなければ権利もない。
『そっちも誠意をみせろと言われました』に至っては言語道断や。そんな戯言(たわごと)は無視しても一向に差し支えない。
その手の言動になったのは、単にそういうタチの人間やったのか、あんたとの言葉のやり取りの中で売り言葉に買い言葉になったためなのかは知らんが、いずれにしても、商売人が客に対して吐く言葉やないわな。
こういう場合、新聞販売店は、ただひたすら「お願いします」という姿勢に徹しなあかん。それでは根本的な姿勢がなっとらん、程度が悪いと言われても仕方ない。
先ほど、契約事について新聞社は一切タッチせんと言うたが、この「継続契約の斡旋サービス」だけは例外的にしとる。
その趣旨は、その客をそれで「縛る」ためというものやなく、あくまでも顧客サービスの一環として、そのシステムがあるということになっとる。
実際にも、そうすることで顧客に有利になることも多いさかいな。
それを依頼すれば、引っ越し当日からでも講読していた新聞が届くし、契約も以前の店と同じ内容のものが引き継がれるから、その点でも当面の心配はない。
新聞の場合、その引っ越し先次第ではサービスに大きな違いがあるケースもあり、現地で新に契約し直すより有利やというのがある。
また、引っ越しで契約解除を希望するには、その契約時に貰ったサービスを返還せなあかんが、継続するのなら、その必要はないさかいな。
当の新聞販売店にすれば、その顧客を新聞社に伝えることで「転居通信費」を貰えるという事と、「解約された」という汚名を返上できると考えるわけや。
もっとも「転居通信費」と言うても、貰えても1ヶ月の購読料程度のもんやけどな。
損得の面だけやと、それほど必死になる必要もないが、「解約された」という汚名は命取りになりかねんと、長く考え続けられてきた新聞販売店にとっては、どうしても避けたいという気持ちになりやすい。
それについては同業者として分からんでもないがな。
余談やが、部数至上主義の業界にとって部数が減る、成績が落ちるという事になれば、今後の新聞社との「業務委託契約」の更新にも大きく影響する可能性があると、多くの販売店が考えるわけや。
部数減は販売店にその能力なしと評価される要因となり、その契約の解除、つまり実質的な廃業に追い込まれるというケースも、過去にはそれほど珍しい事でもなかったさかいな。
近年、ここ数年の業界全体の部数減が続いているためか、多少はそれも緩やかになっとるとは言うものの、昔からの慣習で、なかなかそうは考えられん新聞販売店も多いのやないかと思う。
新聞販売店には、常にその危惧がつきまとう。その思いが、そうさせたという可能性はある。
もっとも、そんな事情など、あんたには関係のないことやがな。ただ、そういうバックボーンもあるのやと知って貰らえれば、少しは理解できる部分もあるのやないかと思うだけでな。
せやから、新聞販売店が、引っ越し先での講読継続を「お願い」すること自体は、それでええと考える。
しかし、それを、あたかも決まり事のように客に強制するのは頂けんわな。それをどうするかの選択権は購読契約者にあるわけやさかいな。
ただ、『引越し先の住所も教えてしまった』というのは、ちょっと拙かったかも知れんなとは思う。
普通、引っ越し先で講読するつもりがないのなら、その住所は知らせんもんやけどな。特に今頃は「個人情報保護」を盾に取れば、ほとんどのケースで引っ越し先の住所など知らせずに済むはずやからな。
あんたの場合、引っ越し先の住所を、その販売店に知らせたことで、その継続契約に同意したと見なされる可能性もある。それでしか、その販売店が、あんたの引っ越し先の住所を知る術などないと考えるのが自然やさかいな。
何で教えてしもうたんやろうかと、正直、ワシも思う。
もし、その販売店の人間に『誠意をみせろ』と言われた際、脅しに近い口調で迫られ怖くなって仕方なく住所だけ教えたというのなら、それを新聞社の苦情係に言うことや。
「私は、引っ越し先での継続契約はお断りしたのですが、勝手に新聞を配達されて迷惑しています。何とか止めさせてください」と言った場合、新聞社苦情係が「なぜ、引っ越し先のご住所を教えられたのですか」とでも聞いてくれば「脅かされて仕方なく」と、本当にそう感じたのなら、そう言えばええ。
その辺を、うやむやに返事しとると、「その場では一旦、承諾したわけでしょう」と言われかねんで。その事実があって「やはり止めた」と言うのでは、まったく意味合いの違うものになるさかいな。
どんなに不利益な事でも契約者が承諾すれば、それは正規の契約として認められる可能性が高いわけや。それを認めてから「違う」とひっくり返すのは難しいと言うしかない。
その場合は、正規の解約手順を踏まなあかん可能性があるから、話はやっかいやと思う。
普通、新聞社は客と新聞販売店との契約のトラブルにはタッチしたがらんもんやが、この継続契約に関してだけは、その斡旋業務をしとるから知らんとは言えんはずや。新聞社の斡旋なくして、その引っ越し先へは同系列の別の販売店が新聞を配達することなんかできんわけやさかいな。
この引っ越し先での継続講読はあくまでも「契約者の同意が必要」とされとるから、その承諾は一切してないと突っぱねればええ。
あんた自身が、この契約を解除できるかどうかは、偏(ひとえ)に「継続講読は承諾していない」と、どれだけ突っぱねられるかにかかっていると言うても過言やないと思う。
ただ、あんたの場合は、引っ越し先は『居候という形』というのなら、その家の世帯主である同居人の協力を得てという方法も考えられるがな。
その同居人は、その新聞を配達している販売店に対して『勝手に新聞を入れないでくれ』と通告できる。
『N新聞以外がポストに入るのを嫌がる』のであれば、むしろ、積極的にそうされるのやないかと思うがな。
あんたと、その同居人との間で賃貸契約でも交わして間借りしているというのなら別やが、そうでなければ、ポストを含むすべての所有権は、その同居人にあるわけやから、その同居人に許可なくそのポストを使用して新聞を入れたり、その敷地内に立ち入ったりしたら「住居不法侵入罪」にも問われかねん事やさかいな。
そう言うても、その販売店が、それに応じず新聞を入れ続けるのなら、警察に相談してもええし、新聞社にそのことを通報してもええ。
その際、「このままでは、私はそこからの退去を迫られる恐れもありますので迷惑です」とでも言えばさらに効果的やと思う。実際、そうなる懸念が高いのと違うかな。そうなってからでは、その同居人の方との今後の関係も拙くなるやろうしな。
保証はできんけど、そこまで言えば、新聞社も積極的に説得するやろうから、その販売店もあきらめるのやないかと思うがな。
その際、『契約時にもらった景品は引越しの準備で捨ててしましました』というのは同じ商品を買って返すか、その分の対価を現金で支払うかの話を、その販売店と話し合って決めればええやわけや。
たいていは、それで決着つくはずやと思うが、それでも、まだ揉めるようやと、また相談して来られたらええ。その状況次第で、いくらでもその対処方法はあるさかいな。
書籍販売コーナー 『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集』好評販売中