新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.806 この先、拡張の仕事は残っていくのでしょうか


投稿者 ootoro さん  現役拡張員 北海道在住  投稿日時 2009.11.15 PM 7:26


北海道で拡張員をやってる者です。

この先この仕事は残っていくのでしょうか・


回答者 ゲン


あんたのように、『この先この仕事は残っていくのでしょうか』と心配される業界関係者は多い。

サイトには、拡張員を辞めた、拡張団を解散した、あるいは新聞販売店を廃業した、従業員(専業員)を辞めた、アルバイトの配達員を辞めたと報告されてこられる方が、ここ2、3年、急激に増えた。

理由はそれぞれやが、長引く不況やインターネットの台頭による新聞離れなどから新聞販売の長期凋落傾向に歯止めがかからず、やむを得ず、その規模を縮小、廃業していくケースが多いためやと思われる。

あんたも知ってのとおり、拡張団、拡張員の実態というのは、それぞれが秘密主義に徹しているためか、その詳細を最も把握し辛い業界なのやが、サイトに届く情報、報告から推察すると、ここ5年で約2割程度の人が、この業界から離れとるのやないかと考える。

その点、新聞販売店の方はその実数が毎年公表されているということもあり、拡張団のそれよりかは分かりやすい。

こちらは、ここ5年で約2万2千店舗あったものが、約2万店舗まで減少し、アルバイトも含め45万人を超いてた従事者は約40万人程度にまで激減しとるという数字がある。

新聞の部数も、業界の公表部数で、ここ5年、毎年十数万部単位で減少しとるという。

もっとも、この数字は押し紙や積み紙といった余剰紙を含んでのものやと推測できるから、実際は、もっと下落幅が大きいかも知れん。

少なくとも、現場で体感しとるワシらにとっては、そんな程度で済まんやろうというのが正直な感想やさかいな。

ただ、これは、この業界だけを抜き出して見た場合、そう考えざるを得ないということで、現在、日本のあらゆる業種でその規模の収縮やリストラが行われとる事からすると、特筆するほどの凋落ぶりとも言えんと思う。

新聞業界、とりわけ新聞社が現在ピンチ、苦境に立っている最大の要因は、それらの企業からの新聞紙面への広告費が激減しとるからやと言うてもええ。そのため、今年に入って大半の新聞社が赤字計上しとるわけやからな。

過去にも、ここまでの状況はなかった。それを危機と捉える人が多いのは確かや。

余談やが、台頭著しいと言われたインターネット業界ですら現在は悲惨な状況に陥っとるのが実状やと思う。

一頃はIT長者なる者が、それこそ雨後の竹の子のごとく、そこら中に湧き出ていたもんやが、今はその多くが見る影もないくらい凋落しているという。倒産や夜逃げ者も珍しいないというさかいな。

それも、ここ5年ほどの間の隆盛から凋落への転落が最も顕著で激しいとのことや。

今や、ネットで稼げくことはできんというのが定説になりつつあるくらいやさかいな。ネットにも、さしたる明るい未来はないと。

つまり、日本、いや世界を覆っている現在の不景気感がなくならん限り、新聞だけやなく、すべての業界の未来が危ういということやないかと思う。

これが新聞だけの衰退が目立っているというのなら、深刻に捉えてその打開策を考えんことには業界に明日はないということになるが、全体に冷え込んでいる現状ではそれも難しいと思う。

氷河期が訪れてるのに、一部の人間がたき火をして暖をとっても暖かいのはその周辺だけやさかいな。その火が消えれば、その冷え込みは一段と厳しさを増す。

しかし、そうかと言うて、座して何もせずにいたら、そこに待つのは死しかないのも確かやがな。

『この先この仕事は残っていくのでしょうか』と、傍観者的、あるいは他力本願的な視点や発想では、この時代、何をやっても生き残っていくのは厳しいと思うで。

苦難やピンチは自ら切り拓く。また、そうしようという人間以外に、そのチャンスが訪れることはないのと違うやろうか。

物は考えようで、どんなピンチや苦境も、必ずチャンスや幸運につなげることができる。

少なくとも、ワシは常にそう思うて生きてきた。これからも、そうするつもりや。

この業界の人間が離れていくという話をしたが、特にそれは、今までのやり方に固執しとる人間がそうなりやすい。

例えば、過去においては、喝勧やひっかけ、置き勧という手法は拡張員、勧誘員の常套手段として、公認とまでは言わんが、容認されてきた時代が長く続いていたのは事実や。

拡張の仕事は、こんなものやと。

しかし、特商法のクーリング・オフの制定に代表されるように、ここ数年、その特商法は言うに及ばず、消費者契約法、景品表示法など法律面からも立て続けに、それらの勧誘手法が規制されるようになり、新聞社からも目の敵にされるようになった。

また、肝心の業界自体が過去に拡張員、勧誘員の経験のある者を雇わんようになったということもある。経験者には、その悪しき慣習が残っているからという理由でな。

すでに昔のやり方は通用せんようになったと自覚して方針転換をすれば、まだ救われたのやが、その彼らにとって身についたやり方というのはなかなか捨てることができんかったわけや。

時代の流れについていけん者は取り残され、弾かれる。これは絶対の真理やと思う。

「こんなんではやっていかれん」と言うて業界を離れた人間にそういうのが多いのやないかと考える。もちろん、それぞれに理由もあることやから一概にそうとばかりは決めつけられんがな。

ただ、旧態依然としたやり方しかできん人間にとって棲みにくい世界になったのは確かやと思う。

これは拡張員に限らず、新聞販売店にも言えることで、客と良くトラブって評判の悪い販売店も同じように淘汰されとる。

もっとも、こっちの方は店舗数の減少は、それらの店舗を吸収合併して巨大化傾向にある店舗が増えとるという一面もあるから単純に店舗数の減少だけで衰退しとるとも言えんがな。

ただ、その手の人間が業界から離れることで、当然やがトラブルケースも減って業界の評判は多少なりとも上がるとは思う。

長い目で見れば、業界全体のイメージの向上にはなる。

その意味では、一時的な減少傾向になったとしても、やり方次第では盛り返せるはずやから、このまま先細りになるという心配はせんでもええやろうと思う。

少なくとも、今すぐの急激な衰退は新聞にはないやろうと。そして、拡張の営業がなければ新聞が売れんのも確かやから、この仕事の需要がなくなるというのも現状では考えにくい。

もし、それがあるとすれば、新聞から「再販制度」が撤廃されたときくらいなもので、これが起きると、現在、世界各地で壊滅的なダメージを喰らっている多くの新聞社と同じような衰退の道を辿る懸念は大きいとは思うがな。

ただ、これに関しては日本の政治的状況、社会情勢などから考えても、そうなる可能性は限りなく低い。もちろん、絶対ないとまでは断言できんがな。

ただ、新聞は紙を使用しとる分、物理的な面での限界は考慮せなあかん。

今から3年ほど前の2006年7月7日に発行した、旧メルマガ『第100回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■新聞の未来』の中で、


紙としての新聞が本格的な斜陽産業となってくるのは、20年後くらいからやと思う。もちろん、徐々にその傾向は始まっていくとは思うがな。

ただ、パソコン時代の到来と呼ばれ、誰もがペーパーレス化が確実になると、10年ほど前から予想されとったが、実際には紙の使用量が年々増加していっとるというのが現実や。

環境問題という観点から、紙の使用量を減らすためにも、企業や官公庁でパソコンが大いに奨励され導入された。革命的とまでもてはやされたが、現実はそうなってないということや。

その傾向は、後、10年〜20年は続くのやないかな。

その時分になれば、60歳以下でパソコンを扱えん人間というのは激減しとるから、世の中、デジタル化されとるのは間違いないやろ。


と言うてたように、紙としての資源が枯渇すると、当たり前やが、現在のような新聞の形態は維持できんようになる。

もっとも、その話の中ではSF的に未来の新聞像、販売店像などについても話しとるから、読んでみられるとええ。単なる予想、空想としても面白いと思う。もちろん、それなりに根拠があってのものやけどな。

現在はこの仕事に限らず、すべての業界が危機的状況やと言うてもええほどやと思う。言えば職業氷河期というやつやな。

しかし、人類は幾多の実際の氷河期を乗り越え数十万年以上も生き続けた種族や。しかも、希有な知能と知性を有しとる種族でもある。

その中でも突出した頭脳を結集しとる業界が、この新聞業界やと言うてもええ。

心配せんでも、その新聞業界が、この程度の危機でどうなるということもないと思う。そこまで疎かやないと信じたい。

危険なのは、そういう考えを持ってあきらめることや。何事もあきらめたら、それで終わるさかいな。その気持ちの蔓延した業界は滅ぶしかない。

あんたの廻りでも、おそらく拡張団や拡張員の減少、廃業といった状況があって、心細くて、こういった質問をされてきたのやと思うが、これをチャンスやと捉えれば、また違った展望が開けるはずや。

浮かぶ瀬は必ずあると。

ただ、そのためにはピンチをチャンスに変えられるだけの心の強さ、力量、技術(テクニック)を身につけとかなあかんがな。

折れない心と創意工夫。そのために日々努力して研鑚することが、どんなときに何をしていても生き抜いていける唯一の方法やないかと思う。

不安をなくせとまでは言わんが、前向きに考えな、何事も損なのは確かやで。


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