新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.807 何が原因で改廃になるのでしょうか?


投稿者 yuさん  某新聞販売店専業員 神奈川県在住 投稿日時 2009.11.16 PM 10:18


先日はアドバイスをありがとうございました。

参考にいたします。

また質問なんですが。

よく、販売店が改廃になると聞きますが、何が原因で改廃になるのでしょうか?

何処の販売店でも押し紙があるはずですが、違う理由でしょうか?

よろしくお願いいたします。


回答者 ゲン


新聞社とその専属の新聞販売店との間では「業務委託契約」というのが交わされている。

一般の人の中には、新聞社と新聞販売店は一体という風に考えておられる方がおられるようやが、それは違う。

その規模の大小はあっても、いずれも会社形態の独立した企業同士という関係になる。分かりやすく言えば、新聞販売店は新聞社にとって、業務の委託先、委託業者ということになるわけや。

改廃とは、新聞社から、その専属販売店が一方的にその「業務委託契約」の解除を余儀なくされることをいう。

複合店、合配店といった複数の新聞を扱っている販売店のケースは、単に一つの新聞社との契約が切れるというだけのことで、この場合は「改廃」とは言わず、「販売権の返上依頼」と言う。

一般的に「改廃」と言われているのは、業界で最も多い形態である専属新聞販売店にとっての実質的な廃業を意味する言い方やから、ここからはそれとして答える。

『よく、販売店が改廃になると聞きますが、何が原因で改廃になるのでしょうか?』というのは、結構いろんな理由がある。

ただ、同じ理由であってもケースにより改廃になったり、ならんかったりという事もあるから、それなりにややこしいがな。

せやから、一概には断定できんと断った上で、考えられる改廃の理由を、これから列挙しようと思う。


新聞販売店が新聞社から改廃される主な理由


1.成績不良。

一番多いのがこれや。

専属販売店は、特定の新聞銘柄、業界で本紙と呼んでいる新聞を配達して売ることが使命とされている。そのためだけに存在しとると言うてもええ。

新聞社が販売店を評価するのは、その部数の増減によってや。部数を伸ばせば優秀やと評価それ、部数が伸び悩む、あるいは落ち込めば、その能力が疑問視される。

新聞社が、成績が悪くその能力がないと判断すると、「業務委託契約」の更新をしない。つまり、改廃ということになるわけや。

ただ、この成績不振という理由には、さしたる基準や決まりのようなものが存在する新聞社はまずない。

胸先三寸。と言うのは少し言い過ぎかも知れんが、早い話、新聞社、それも販売部の判断次第ということになる。

例えば、その販売店を潰すことで、代わりの経営者が確保できないような状況なら、いくら成績が悪くても我慢するということがあるし、反対に引く手あまたで経営者のなり手が多ければ、比較的簡単に改廃に追い込まれることもある。

もちろん、当の新聞社は、そうするにはそうするだけの確固たる理由があってのことやとは言うやろうがな。

2.社会的に影響力の大きい事件や犯罪に関わっていると発覚した場合。

その典型的な例が、このQ&A『NO.62 奈良・小1殺害事件で、新聞社が販売所との取引を解除したことについて』でも言うてたように、殺人事件を犯した犯人が勤めていたという理由だけで、さしたる落ち度もなかった販売店が現実に改廃の憂き目に遭うとる。

ここを読んで貰えば分かるが、ワシはこの処分には納得できんかった。どう見ても新聞社の対面、体裁のために切り捨てられたとしか映らんかったさかいな。

ただ、その「業務委託契約」の中には、店主、および配下の従業員に犯罪行為が発覚し、新聞社が不適格と判断した場合は、契約は打ち切ると、はっきり明記はされとるがな。

ちなみに、これについては、新聞社と新聞拡張団との間の「業務委託契約」にも同様の文言がある。

3.税金の未払いや明らかなごまかしが発覚した場合。

実際に税務署から、その指摘をされ悪質やと判断された販売店が改廃されたという事実もある。

これについても同じように、「業務委託契約」の中で謳われている。

まあ、これは自業自得やさかい、特にコメントすることは何もないがな。

4.押し紙を断った、またその数を減らすよう依頼した場合。

これは、あんたの『何処の販売店でも押し紙があるはずですが、違う理由でしょうか?』という質問の答えになるが、その理由の一つには挙げられると思う。

押し紙とは、新聞社が販売店に販売部数以上の新聞を送り付け無理矢理買わす、仕入れさせる行為のことをいう。

これについては、過去、『第158回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■押し紙裁判の波紋』 や『第172回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■ある地方紙販売店の闘い Part1 その前夜』 、『第55回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■週刊新潮の押し紙特集記事について』などでも散々言うてきたが、押し紙を断る、減らすよう依頼するというのは新聞社に対して公然と反旗を翻す行為と見なされ改廃の対象にされるということや。

まあ、これに関しての詳しい事情は、それらを読んで貰えれば分かると思うので、ここでは割愛させて頂く。

5.積み紙、てんぷらなどの架空契約による水増し部数が発覚した場合。

積み紙というのは、押し紙とは逆で、販売店自らが望んでするものや。これに関しては新聞社が関与しているケースは少ない。

これらを余剰紙というわけやが、世間ではなぜか、この積み紙もひっくるめて余剰紙すべてを「押し紙」ということにしとるようや。その方が押し紙の悪質性を際立たせられるからという理由からかも知れんが、物事は正確に把握して話さなあかんと思う。まあ、その事情が良う分からんで言う者もおるさかい、それを言うても詮ない事かも知れんがな。

ちなみに、新聞社では「押し紙」というのは存在せんことになっていて、すべては販売店側の「虚偽報告による架空読者の計上」ということされとる。

まあ、その是非は、この際、置いといて新聞社の許可のない不正な部数の水増しも改廃の対象になるということや。

これについても『第82回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■それはないやろ』 にその典型的な事例があるので、見て頂ければ納得して貰えると思う。

6.新聞社の通告を無視した行為が発覚した場合。

これは結構、新聞社サイドでは重視しとるようや。この業界は、新聞社の指示、指導が絶対やという側面がある。

しかし、どんな業種、業界でも、その組織のトップの意向に逆らう者はおる。この新聞業界も例外やない。

具体的には、金券廃止とかサービスの上限の遵守事項なんかがそうやが、目先の部数確保のために、その禁を犯す販売店もあるという。

その販売店にすれば改廃逃れのつもりで部数確保に走ってそうしたのやろうが、結果として、それが発覚したために改廃に追い込まれるという泣くに泣けん事態に陥ったわけや。

7.ヤクザ組織とのつながりが発覚した場合。

これは一般からしたら信じにくいことかも知れんが、たいていの新聞社は、それを公然と禁止項目に挙げとる。実際、過去にそのヤクザとの付き合いが知れて改廃に追い込まれた販売店もあると聞くさかいな。

また、これは新聞拡張団でも同じことが言える。

ただ、そういうケースがあるというだけで、どこまで徹底しとるのかとなると、個人的にはいささか疑問ではあるがな。

そもそも拡張団の組織ができ上がった数十年前は、そのすべてがヤクザ組織やったと言うてもええくらいやったし、現在はその数が激減したとは言え、未だにその部分を引きずっている販売店、拡張団が存在するのをワシ自身知っとるさかいな。

まあ、これについては、客をそれとして脅すような行為でもなければ発覚するようなことは少ないとは思うがな。

ただ、改廃される理由の一つなのは間違いないということやから、身に覚えのある者は心しといた方がええ。早い話が「うちには○○組がバックにいとるんやで」というようなアホなことを言えば一発で改廃の対象にされるということや。


他にも、各新聞社の独自の判断というのもあり、これ以外のケースもあるとは思うが、分類するとこれだけの理由が考えられるということや。分かって貰えたかな。


追記 感想です

投稿者 Jさん  投稿日時 2009.11:19 PM 8:39


これに対する感想です。

なんだか、世の中の理不尽なことに対するグチになっていますが、一応、思ったことを書いてみました。


> 2.社会的に影響力の大きい事件や犯罪に関わっていると発覚した場合。

> 殺人事件を犯した犯人が勤めていたという理由だけで、さしたる落ち度もなかった販売店が現実に改廃の憂き目に遭うとる。


以前、事故米を買っていたことを明かした食品会社が、取引先から契約を切られた話がありました。

非常に理不尽で、胸が苦しくなったことを思い出します。(最近の事件では、市橋容疑者を雇っていた建設会社も同じ目に遭っていますよね。)


> 3.税金の未払いや明らかなごまかしが発覚した場合。

> 実際に税務署から、その指摘をされ悪質やと判断された販売店が改廃されたという事実もある。


ハカセさんも、脳科学者のM氏の脱税問題をご存じかと思いますが、N○Kは番組サイトで、降板させないことを宣言しました。

納税は、国民の3大義務なのに、理由が「忙しくて忘れた」じゃあ誰からも尊敬されなくなって当然と思うのですが、テレビ界は有名人に甘いみたいですね。


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