新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.820 また廃証でしょうか?


投稿者 てつさん 某新聞販売会社主任  投稿日時 2009.12.27 PM 11:53 


ゲンさんお疲れ様です。先日集金の件で相談させて頂いたてつです。

御回答ありがとうございます。ゲンさんの言う通り諦めました。その客は忘れる事にしました。

ゲンさん聞いてください。こんな客もいました。

私の勤めは販売店が5店舗ある販売会社なので、店舗内で移動があります。

ある店に移動になり、1週間程主任と引き継ぎをします。私が受け持っていた区域と新しく入る店の主任の区域の交換です。

その後、新しい区域を受け持ったのですが、私が監査にいったカードで集金が3ヶ月溜まりました。

その客は 3ヶ月分まとめて店に払いにくると言う事でしたが来ないので、訪問したら「金がない、月末来てくれ」月末行くと「10日に来てくれ」、10日に行くと「月末来てくれ」。

調べたら、私が受け持つ前にもこんな感じで1ヶ月分も払わず、諦めて廃証にしていました。

前の主任が拡張禁止にしていなかったので、また悪質な客との契約にいたってしまいました。

また廃証でしょうか?

拡材は6ヶ月でビール1ケースです。ゲンさんのサイトを拝見していますと、やっぱりゲンさんの様に経験豊富な方は尊敬します。

家賃も払えない客から解約金を払わせたり、新聞の抜き取り犯を…ゲンさんすみません。

「失業して金がない」と3ヶ月溜まっている客もいます。

その客も来月払う、と言って3ヶ月溜まりました。お忙しいとはおもいますがアドバイスお願いします。


回答者 ゲン


『調べたら、私が受け持つ前にもこんな感じで1ヶ月分も払わず』というのはタチの悪い客やな。

まあ、普通に考えてそんな人間が新聞代を払うということはないやろうが、まがりなりにも、それを払う意志を示して「待ってくれ」と言うてる限り、強硬手段に訴えるわけにもいかんわな。

この場合の強硬手段というのは少額訴訟での取り立てということになる。

ここで、それをするかどうかは別にして参考程度に少額訴訟についての利点と注意点を言うとく。

1.60万円以下の金銭支払請求をする場合。

2.何度も裁判所に足を運ぶ必要がなく、原則として1回で判決が言い渡される。訴状を提出した日から2週間程度で結審というのが多い。

3.同じ簡易裁判所での少額訴訟の利用は、年間10回までしかできない。

4.相手方の所在が分からない場合、少額訴訟を提訴できない。

5.提訴後に原告から通常訴訟での審理を請求することはできない。

6.被告が少額訴訟手続きに同意しない場合、通常の裁判に移行される。

7.原告・被告ともに、異議の申立てはできるが、控訴はできない。

8.反訴はできない。

9.訴訟費用が安い。新聞の場合は、たいてい訴える相手は一人で10万円を越える請求はまずないやろうから、最低ラインの手数料1000円と裁判所が双方に送付する切手代3910円の計4910円で済む。

但し、弁護士や司法書士に依頼した場合はその費用が別途必要になる。

もっとも、訴訟手続きの方法は、裁判所の係官が教えてくれるから、そのとおりにすれば特に弁護士や司法書士をつける必要はないとは思う。

まあ、それに関しては、それぞれで判断して貰えればええことやがな。

以上やが、「払わん」と言うてるわけやないから、少額訴訟を起こして勝利したとしても結局は払うてくれるまで待つしかない可能性の方が高くなる。

おそらくは、その裁判の場でも「金ができたら払う」と言うはずやさかいな。裁判して勝っても本当に金のない人間から取ることはできん。ない袖は振れんということになる。

それなら結局同じで、どうしようもないのかと言うと、そうでもない。

こういう手合いを相手にする場合は、その本人に、その支払い期日を自らの意志で指定させるようにすることや。

『金がない、月末来てくれ』という場合、「仰ることは信用してお待ちしますので、ここにその支払いの期日を書き込んで頂けませんか。それを持って帰らないと私も上から叱られますので」と言って書かせる。

言えば「覚え書き」やな。本当に払う気があれば、それを拒むことはないはずや。

まあ、それでも悪質な奴は、そんなもの簡単に反故(ほご)にするかも知れんが、毎回、それをすればプレッシャーにもなるし、その覚え書きを突きつけ優位に立つこともできる。

中には怒り出しかねん者もおるが、そうすれば却って責めやすく有利になる。

一見、こういうケースでは怒らせたらあかんやろうと思われがちやが、こういう手合いはその方が金を支払いやすいというのがある。

その相手が怒れば、「あんたにもプライドがあるでしょう」 とか、「こんな新聞代くらいで事を大きくして恥をかきたいんですか」と言えば、その相手次第では効果があるさかいな。

ここでの注意点は、その相手に対して言葉を荒げんことや。こういう手合いは間違いなく「お前の口の利き方が気にいらん」、「態度がなってない」というところに争点を持っていこうとするさかいな。その揚げ足を取られんようにせなあかん。

実際、ワシはヤクザに知り合いがおると吹く客から、この方法で集金したことがある。

「私もこの年になるまで、いろんなヤクザと関わってきたことがありますけど、彼らはこういう不細工なことを一番嫌いますよ。貴方が付き合っているというその人に、こんなことがバレてもいいんですか」と、言うてな。

新聞代というのは高くても月4000円程度や。そのくらいなものを払えずに新聞を取っているというのは誰が見ても、しょうもない人間やと思われるわな。

自分を必要以上に強く大きく見せかけようという人間はおしなべてプライドだけは高いから、それを刺激するわけや。そうすれば、腹立ち紛れに払うケースもある。

もともと新聞代程度のものは払う気にさえなれば、どんな人間にも大した負担やないと思う。要は払う気があるか、ないかだけの話でな。

そら、誰でもたまたま持ち合わせがないということはあるやろう。しかし、それはあっても1、2度くらいなもんや。それが毎回続くというのは異常やし、そういう者は払う気がないと見た方がええわな。

また、家庭の事情で、その新聞代すら支払い困難になるというのも考えられんでもないが、それでも、単に一番切り詰めやすいということでそうする場合が多い。

世の中には、新聞の契約など「約束」程度のものでいつでも「反故(ほご)」にできると勘違いしている人が結構多いさかいな。契約したという観念すら持ってない人もいるくらいや。

そういう人には「契約は法律で保護されているのですよ。それから逃れることはできません」と説けば分かって貰える。

それに、本当に支払いに困った実直な客の場合は、「解約したい」と言うてくるのが普通や。その場合はその対応をするしかないやろうがな。それについては、あんたの販売店グループの方針に沿ってすればええことや。

あんたが、『前の主任が拡張禁止にしていなかったので』と言われていることも大きな原因の一つやと思う。穿った見方かも知れんが、それと知ってその客と共謀して契約にしたというケースもある。

あんたのところのその主任さんが、必ずしもそうやと言うわけやないが、その手の人間はどこにでもいとるさかいな。

それを野放しにしたら、今回と同じようなことは何度でも続く可能性がある。そう言うて、上司にかけあって、そのルール作りをするよう提言することや。

それにより、お咎めやペナルティがあるとなれば、それをしたくてもできんようになるやろうしな。そういった客への対応と同時にそういう人間の対応も考える必要があるということや。

ただ、そういうのと『「失業して金がない」と3ヶ月溜まっている客もいます』という客では事情が少し違うのやないかと思う。

現在の社会状況ではそういうことは往々にして起こりやすいことや。それを一々「廃証」にしてたら、まともな客すら将来に渡ってなくす可能性がある。

その客の前歴に、そういった支払いの延滞が何度もあるというのなら別やが、そういうのがなければ、それは一事的なものやから、その場合は、その客と話し合って「廃証」にする前にある一定の期間「一事休止」扱いにしたらどうかと思う。

その折りには、あくまでも「お客さんのために」という気持ちを忘れずにな。

そういう人なら、半年先、1年先になれば状況も変わっとるやろうしな。そういうちょっとした心遣いが結構、心に響くもんやさかい、将来的にはええ客になる可能性もある。

すべてを同一に考えるのは拙いと個人的には思うがな。

人それぞれというのが正しい考え方やと、老婆心ながら忠告させて貰うとく。


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