新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.824 販売店に事情を話して解約することはできるでしょうか?
投稿者 cerca さん 投稿日時 2010.1. 7 PM 5:26
はじめて相談させていただきます。
去年の4月に新聞の勧誘が来て、『ノルマがあり、一年間料金はこちらが持つので新聞をとってください。必ず集金日前には毎月新聞代をお持ちしますから!』といわれ、一年間契約してしまいました。
最初の2ヶ月程はちゃんとポストに新聞代がはいっていたのですが、だんだん集金日になっても代金は持ってきてはくれず、こちらから電話すれば、持ってくるという感じになっています。
毎回新聞代の入った封筒には『○月の新聞代は○日までにお持ちします』と書いてあるのに、その日までに持ってこないです。
何度もその勧誘の人にはクレーム言いました。(新聞屋には内緒にしてほしいと言っていたので、その人本人の自宅らしき電話番号にいつもかけています。)
その人は毎回、『入院していて…』『大会があって忙しくて…(よく意味がわからない)』などと言い訳ばかりしてイライラします。
毎月こちらから連絡するのも面倒だし、特に新聞が読みたいわけではないので、解約したいのですが、新聞屋に直接電話して、この勧誘の人のことを全て話して、解約することはできるでしょうか?
あと何ヶ月の辛抱かもしれませんが、この人のせいでイライラするのがいい加減イヤになります。
それに私は今、妊娠8ヶ月で3月には里帰りするので、今住んでいるアパートは1、2ヶ月は留守になるので、ついでに解約したいと思うのですが、解約できるでしょうか?
契約書には『1ヶ月以上のご不在で、契約された新聞のお取り置きが不要な場合、その期間分は契約期間を延長させていただきます』と書いてあります。
回答者 ゲン
『解約したいのですが、新聞屋に直接電話して、この勧誘の人のことを全て話して、解約することはできるでしょうか?』というのは、その販売店次第やが、たいていの場合、あんたのようなケースは解約に応じとるようや。
ただ、法的な見地から言えば、『一年間契約してしまいました』というのが正規の契約と認定され、その勧誘員との個人的な約束を守らないからという理由では、あんたの側からの一方的な解約通告はできんと考えられる。
新聞購読契約というのは、新聞販売店と契約者との間でのみ有効なものとされている。契約書に記載された内容しか法律で保護されることはない。
その販売店が、その勧誘員とあんたとの約束事を契約時に知っていたというのなら別やが、『新聞屋には内緒にしてほしいと言っていた』と言われておられるところからすると、それはないやろうと思う。
たいていの販売店では、その契約の後、業界で言う「監査」という確認の電話を契約者にかける。あんたにもかかってきたと思う。
その際、その勧誘員の言われたとおり、口裏を合わせて答えたとすればその販売店に、あんたの方から責任を問うことはできん。
もし、その際、本当のことをその販売店に伝えていたら、この件はそこで終わっていたはずやさかいな。
あんたのように「タダにするから」、「金はこちらで払うから」というのは業界では禁止行為になっとる。
これが発覚すれば、その勧誘員は、軽くてその販売店への出入り禁止、ヘタをするとクビになることもある。
それがある故に『新聞屋には内緒にしてほしい』と言うてるわけや。まあ、そうなっても自業自得ではあるがな。
ただ、今までの相談者の中には、正直にその話をすると、その勧誘員に恨みに思われ仕返しされるのやないかと心配される方がおられる。
そういったケースは皆無とは言わんが、少なくとも、このQ&Aに相談された方で、そういう目に遭ったという人はいない。
そう言うてアドバイスはするのやが、不安感を抱くというのは、その人次第やから、その思いを払拭するのは難しい。ワシとしても「絶対大丈夫や」とまでは保証するわけにもいかんしな。
特に今の世の中、理屈では割り切れんようなアホな真似をする人間が増えとるさかいよけいや。確率は限りなく低くても、その万が一がないとは言い切れんさかいな。
そういう危惧や不安を抱くだけでも『妊娠8ヶ月』と言われるあんたの身体に負担がかかって良うない。
そうかといって、このままほっといて『この人のせいでイライラする』のもさらに身体に悪いわな。
幸いまだその勧誘員と連絡だけはできとるようやから、最後通告として「今後、どんな理由があっても約束を守って貰えない場合は販売店にすべて正直に話ますので」と言えばええ。
それで、その代金を指定した日に持って遅れた場合、そうされたとしても、その勧誘員もあきらめがつくやろうと思う。というか、それでは恨みに思う理由がない。悪いのはその勧誘員自身やさかいな。
何の通告もなく、販売店に本当の事を言えば、曲がりなりにも今まで約束を守ってきた人間としては「何で今更そんなことをするんや」と恨む場合も考えられる。当然、恨み言の一つや二つは言うかも知れん。
それが心配を生む。
冒頭で『たいていの場合、あんたのようなケースは解約に応じとるようや』とは言うたが、数は少ないけど、ごくまれに、それでも契約書と監査での確認を盾に解約に応じないという場合もある。
そうなると、あんたの立場は弱くなる。先にも説明したように、法律的にその販売店に対して抗弁することができんさかいな。
あんたがその勧誘員に騙された、騙されそうやというのは、ほぼ間違いないと思う。このままやと、いつか、それも早い時期にその支払いはストップするやろうと予測できるからな。
そんな勧誘をするような者は、必ず他でもしとる。あんただけやない。
当たり前やが、「購読料はこちらで払いますから」というような事をしていて儲かるはずがない。間違いなくパンクする。早いか遅いかの違いだけでな。
せやのに、何でそんな真似をするのかと言えば、その勧誘員に営業能力がないからや。坊主(契約ゼロ) で帰ると上司に怒られる、体裁が悪いということでそうする。
そういうのが長続きするはずがない。長引けば長引くほど『だんだん集金日になっても代金は持ってきてはくれず』ということになり、いずれ、それもなくなるのは目に見えとる。
あんたが責めることができるのは、その勧誘員に対してだけで、販売店にその責任を問うのは難しい。あんた自身がそのチャンスを放棄した形になっとるさかいな。
あんたが騙されたと感じるのと同じように、その販売店もその事実を知れば「騙された」と思う。しかも、販売店にすれば、あんたもその勧誘員と共謀して騙したと考える場合もある。
そうなると、逆にあんたに対して責任を問うこともある。それもあり、その契約解除を拒むケースもあるということや。
まあ、8割以上の確率で、「そういうことでしたら契約は解除します」ということにはなるとは思うが、拒否される場合もあるというのは考えに入れとく必要がある。
その場合は、また別途、相談されて来られたらええ。その交渉のアドバイスはさせて貰う。但し、ある程度、あんたにとって不利な交渉になるというのは覚悟しといてや。
『それに私は今、妊娠8ヶ月で3月には里帰りするので、今住んでいるアパートは1、2ヶ月は留守になるので、ついでに解約したいと思うのですが、解約できるでしょうか?』
これについては、また、そのアパートに帰って来られるのなら難しいとしか言いようがない。その留守の期間、休止にするくらいしか方法はないやろうと思う。
これが、もうそのアパートには戻って来なくて、その販売店の営業エリア外に引っ越しということになるのなら、その契約時に貰ったものがある場合、それさえ返せば、ほぼ無条件で解約はできるがな。
「契約書には『1ヶ月以上のご不在で、契約された新聞のお取り置きが不要な場合、その期間分は契約期間を延長させていただきます』と書いてあります」ということなら、その契約書どおりにするしかない。
経緯はどうあれ、その契約書に署名、捺印していれば、形の上ではその契約書の内容を承認したと見なされるさかいな。
結論として、勧誘員に最後通告をした上で約束を守らんかった場合、その販売店に事実を話すことや。
それで、その販売店がどうするかというのが分かる。
何度も言うが、多くはあんたの言い分を認めて契約の解除に応じるやろうとは思うが、中には、それを拒否する所もあると覚悟しておいてほしい。
その場合は、再度、ここに相談して来られたらええ。
最後にひと言。
こういう相談をされるすべての人に、「世の中、タダより高いものはない」と言うてる。
普通に考えて、営利目的でやってくる見ず知らずの勧誘員が「タダでもええから取ってくれ」と言うこと自体を、おかしいと疑わなあかん。そういうのには必ず何か裏があると。
例え、本当にそれが守られたとしても、今回のような勧誘員は、それだけで済ますことはまずない。当然のように、また、同じような話を持ちかけてくる。そして、最後には必ず裏切られる。
これの怖いのは、そういったケースで僅かでも得をしたという経験があれば、他の同じような話も比較的簡単に信用してしまいやすくなるというところにある。
ワシが言うのも変な話やが、それが今回のようなタカが新聞の購読契約程度のものなら、その被害も知れたもので済むが、これがもっと高額で悪質な悪徳業者やったら、とんでもないことになりかねん。
世の中には、そういう詐欺まがいの話は腐るほどある。実際、その手の甘い話に惑わされて大変な思いをしている人もおられるさかいな。
まあ、今回のことで、あんたは良う分かったやろうから、今後はその用心をされるとは思うがな。
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