新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.830 認知症で入院した母の契約解除について
投稿者 katutoshi さん 投稿日時 2009.1.17 PM 4:59
相談よろしくお願いいたします。
3か月前から、同居の母親が入院してしまいました。母親は認知症になり、からだの自由も利かなくなり、おそらく自宅にもどることはない状態です。(要介護認定5です)
つまり、誰もうちでは新聞を読む人がいなくなり、新聞が必要なくなりました。(私は新聞を読まないので)
その母親が、22年の1月から24カ月の新聞の購読契約をしていました。
サインも印もある契約書があります。
今までも、母親の希望により、M紙と二誌をとっていたのですが、今回もう一誌A紙と増えることになりました。
流石に三誌は経済的にもきついので、購読を断りたいのですが、可能でしょうか?
回答者 ゲン
『流石に三誌は経済的にもきついので、購読を断りたいのですが、可能でしょうか?』ということやが、その契約の名義がお母さん場合なら、幾つかその方法がありそうや。
これが、いくら『母親の希望』やったとしても他のご家族の名義になっていて、単に『経済的にもきついので』というのでは、あんたの側の自己都合ということになり、一方的に契約を解除するのは難しいと思う。
契約者が、そこに存在しているわけやからな。
その場合は、その販売店と話し合って納得の上で契約解除するしかない。
もっとも、その販売店に正直に『認知症で母が入院して困っている』と言えば、それならと解除して貰えることもあるとは聞くが、それはその販売店次第やから何とも言えん。
普通は拒否され、どうしても解約したいのなら、それなりのペナルティとしての解約違約金を支払ってというケースが多いというのを断っておく。
それと、その契約を交わした時期にお母さんが、その認知症を発症していたかどうかも大きな要素になる。契約時、まだその認知症が発症していなかったら、その時点は健常者として扱われ難しくなる。
その場合も、その販売店と話し合って納得の上で契約解除するしかない。
ただ、ここでは、その契約の名義がお母さんであり、契約時に認知症が発症していたものとして話を進めさせて貰う。
1.契約者が認知症で入院したことを伝える。
それだけで、「分かりました」と言ってあきらめる販売店の方が多いが、中には「お宅らが住んでいるのやから関係ない」と言う販売店もあるとは聞くがな。
その場合は「認知症の母が交わした契約は法的には子供である私が背負う義務はない」と突っぱねることができる。
但し、お母さんのご主人、つまりあんたのお父さんが同居されておられる場合はそれは無理やけどな。
お父さんがおられる場合は、民法第761条(日常の家事に関する債務の連帯責任)に、
夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責に任ずる。
という規定があり、新聞の購読契約はその日常の家事に伴う法律行為と見られる可能性が高いから、お父さんがその契約を引き継がなあかんことになる。
2.法定後見制度、保佐、補助制度を利用する。
認知症の場合、 法定後見制度、保佐、補助制度というのがあるが、その手続きはしておられるのかな。まだなら、しておかれた方がええ。
各市町村役場の「地域包括支援センター」に相談してその申請をするか、家庭裁判所に直接申請すれば、お母さんが要介護認定5ということやから、後見人制度の後見人ということになると思う。
この後見人は4等親以内の親族なら誰でもなれる。しかし、これは、将来的には相続の問題まで絡むから、親族で良く話し合って決めといた方が無難やと思う。
この後見人制度で後見人が決まれば、その判断で法的にも契約解除が可能になる。それを利用する方法がある。
3.転居を理由にする。
お母さんの入院先の病院が、その販売店の配達区域外の場合なら、『契約者が引っ越したから、新聞をこの家に配達されても困る』と言えばええ。
これは良くあるケースやが、その新聞販売店は当然、近所にある場合が多く、お母さんが認知症で入院されたのを、その近所の人たちに知られたくないという場合に有効な方法や。
新聞の購読契約というのは、その新聞販売店と契約者のみ有効なものとされているから、これも、1.のケースと同じように「母が交わした契約は法的には子供である私が背負う義務はない」と言うて突っぱねればええ。
たいていの販売店は、どこへ引っ越したのかと聞くやろうが、それは個人情報やから言いたくなければ言う必要はない。
実際にも、お母さんは『おそらく自宅にもどることはない状態です』というのは、広義の意味で引っ越したことには違いないわけで、そこには住んでないのやから、それで通る。
契約者が、その販売店の営業エリア外に引っ越した場合、新聞販売店は宅配制度で、そこへは配達できず、その契約の履行が不可能ということになり、契約は自然消滅する。
その場合、その契約を結ぶ際に貰ったサービス品を返せば終わる。
それでも、あきらめの悪い販売店が、家族のいる家に新聞を配達して集金しようとするかも知れんが、その場合は、その新聞社の苦情センターあたりに「法律を無視する販売店がいるので困る」と文句を言えばええ。
「契約者が引っ越しているのに勝手に新聞を配達している」と。そう言えば、新聞社はその販売店にそれなりの指導をするはずや。
それで、たいていはあきらめることになると思う。
以上の方法のいずれかをやってみて上手くいかんようやったら、また相談して来られたらええ。その状況次第ではいくらでも方法はあるさかいな。
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