新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.834 雑談できるかどうかは相手次第ではありませんか?
投稿者 m121 さん 投稿日時 2010.1.20 PM 1:37
サイト見させて貰いました。
質問なんですが、私は期待の新人らしく、常配がないなど待遇が違います。
ただ営業で期待されています。でも営業経験はないし自己流でやらなければいけないし短期で結果も出さなきゃいけません…
そこで一例を聞きたいのですが、新規購読(白)の営業についてお話をお聞かせ下さい。
呼び鈴を押して、大抵は「どちらさまですか」と聞かれ「どこどこ新聞です」っていうしかないと思うんです。
うちの店長は3分雑談出来るかどうかっていうんですが、僕の素人の考えだと相手の購読する気が0なら要らないですで終わっちゃうと思うんですが、少しでも迷う気持ちが有って初めて雑談も可能になると思うんです。
そのへんどう思いますか?
回答者 ゲン
『呼び鈴を押して、大抵は「どちらさまですか」と聞かれ「どこどこ新聞です」っていうしかないと思うんです』というのは、そのとおりやが、同じそう言うにしても言い方というものがある。
単にインターフォンに向かってボソボソと覇気のない声でそう言うてたんでは、その時点でアウトやわな。
声は大きめに明るく爽やかに隣近所にでも聞こえるように「こんにちは(今晩は)、お忙しいところまことに申し訳ありません。○○新聞の○○と申します」と言えば、その話を聞く気がなくても、つい反射的に開けてしまう人もいとる。
新聞営業とは、そういう人たちにアタックする仕事なわけや。
そして、それはドアを開けて貰った瞬間から始まる勝負だと認識しとくことや。その幕が上がったと。
それはちょうど、映画やテレビドラマの俳優が演技を開始する直前にカチンコの音を聞いて、その役に嵌(はま)り込むようなものやと思えばええ。
優秀な俳優は演技が上手い。それと同じで、できる勧誘員、営業員は間違いなくその瞬間に、その相手に気に入られる人間になっている、またはなりきろうと演技するもんや。
ニコッとくったくのない笑顔を見せる者、深々とおじぎをする者、爽やかさをアピールする者もおれば、木訥(ぼくとつ)でいかにも誠実そうな印象を与える者もおる。
極端なことを言えば、その第一印象ですべてが決まるのが営業やというくらいの覚悟と心構えが必要になる。それが勝敗を決すると。
ただ、勧誘すればええという簡単なもんやない。
あんたの『僕の素人の考えだと相手の購読する気が0なら要らないですで終わっちゃうと思うんですが』とか『少しでも迷う気持ちが有って初めて雑談も可能になると思うんです』というのは、売り込む側が勝手に客とはそんなものやと思い込んでいるだけの話やと思う。
それは、新聞を売り込むことばかりに意識が集中するから、そう見えてしまうだけのことや。初めから、客はその勧誘する新聞の是非を考えるものやと。そこには必要かどうか、損得の選択しかないと。
確かに新聞の勧誘とは新聞を売り込むことや。
しかし、大半が講読する気、変更する気のないものや。それをその気にさせるのが勧誘なわけや。そのためには、その客に取り入って翻意させるしかないと考える。
その気のない人間に、いくら勧誘する新聞の利点を説いても、景品のサービスを他より多く渡しますよと言うても、そう簡単になびくもんやない。
それよりも、その客に気に入られ、「あんたがそう言うのなら、しゃあないな」と思わせられた方が成約の確率は高くなる。
新聞の営業は、新聞を売るより自分を売れ。それがワシのモットーでもある。
先にも言うたように、大半はその気などさらさらないわけや。お客の考え次第ということを期待しても、そんなお客に出会う事の方が難しいわな。そのくらいの認識をしといて、ちょうどやと思う。
その第一印象で好感度を上げた次に、物を言うのが雑談やと思う。それでさらに好感度が上がるようにするわけや。
雑談というと、世間一般の出来事といったものを連想する人がおるが、そういった話題に拘(こだわ)る必要はない。どんな些細なものからでも話は膨らますことができるさかいな。
ドアを開けて貰った瞬間、その玄関先から良い臭いがしたとする。すると、すかさず「良い臭いですね。何を(どこのメーカーの芳香剤)を使っておられるんです?」と言って、「私の母も(妻も)実は同じような物を使ってまして……」と、話をそっちの方に持っていくようにすれば、自然に雑談に導けると思う。
または、そこに花が活けてあれば「きれいですね。良い臭いがしますね。何の花なんですか?」と、その客が話をしやすい雰囲気に持っていく。玄関に花を飾る人の心理とは、それに気がついてほしいということがあるさかいな。それでも自然に話題は作れるはずや。
その気になれば、それに近いことはいくらでも考えつくと思う。
また、日頃からそうしたネタを常に仕入れとくことや。また、そういった雑談に持っていくのが苦手やというのなら、道行く人相手にでも、配達途中でもいくらでもその練習はできるはずや。
「今日は寒いですね」と、にこやかな笑顔で声をかければ、たいていの人は「そうですね」と快く返してくれる。その取っ掛かりができれば、「実はこの前の雪の日、単車で配達中、すべって転びまして……」と、話をふくらませていけばええわけや。
逆説的な言い方かも知れんが、売り込もうとしすぎるから結果として売れんのやと思う。
あんたも何かを買いに店に行くことがあるはずや。
例えば家電量販店に入ったとする。
そこで応対に来た人間がええな、面白いなとなったら買う気がなくても心は動くもんや。
その販売員を気に入れば、それほど必要でない物でも、つい買ってしまうことが誰でもあると思う。
反対に、買いたいと思っていても、その販売員が愛想の良くない、感じの悪い人間やったら、どうやろ。買う気がするやろうか。たいていは気分を害して止めるケースが多いのやないかな。
つまりは、そういうことやと思えばええ。
雑談とは、その客に気に入って貰うためにするものや。それで気持ちをほぐされ、あんたを気に入れば、その気がなくても新聞の変更くらいはしてみようかという気になる人も現れる。また、そういう風に持っていく。それが勧誘員の腕の見せどころでもある。
長期購読者が他紙に変更するというのは、そういうケースか、逆に現在、長期講読しとる販売店の人間が気に入らんからという理由が大半なわけや。
業界人のワシが言うのも何やが、新聞という商品自体には、それほど人を惹きつける力はないと思う。大半の人からは、どこの新聞でも大差ないと思われとるさかいな。
人を惹きつけることができるのは人や。それが分かっていれば、雑談をする意義というのも理解できるのやないかな。
あんたには、その理解が欠けていたように思う。
それが理解できれば、『うちの店長は3分雑談出来るかどうかっていうんです』という意味が良う分かるはずや。
これだけは自信を持って言えるが、雑談で客を和ますことのできる勧誘員は、間違いなく成績もええし稼ぎもええ。それくらい、雑談というのは重要なものやと知ってほしい。
このサイトには、雑談に関した記述は数多くあるから、その気になって探せば、あんたの役に立つようなものも見つけられると思う。
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